少しだけ時を戻し
天岩戸内 中央の道
「はあっ!!!」
(バゴォッ!!!)
(ボゴッ!!!)
仁は、狭く長い道を徐々に進みながら、ひたすら壁という壁を定期的に拳で砕いていっていた。
「だっ────!!!」
(バコォッ!!!)
(ボガァッ!!!!)
そんな、傍から見れば正気の沙汰かと疑うような行為を、どれだけ続けながら進んでいったろうか。
舞衣や木偶ノ坊は立った数分で辿り着けた同じ距離の広場に、仁は結果、その何倍もの時間を費やし、やっと辿り着くことが出来た。
「ふぅ・・・」
ようやく仁も、広場に到着する。
そこで
「出て来い薫。 ・・・いるのは、わかっている」
仁の言葉が、静かに洞窟内に響く。
それと共に、広場内が明るく照らされ、
仁の対向線上、広場の出口近くに、タオシーは姿を現した。
「(薫・・・!!)」
そう、間違いない。薫だ。
小さい頃から共に過ごし、共に遊んだ、幼馴染の・・・ 薫だ。
最後に見た、8歳の可愛い少女の顔、それは何年もの時を経て、美少年にも見える、中性的な美を備えた少女に成長していた。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
二人は互いに無言で相手を見つめていた。
単純にただ別れた二人であったなら、感動の再会として抱き合うことも許されただろう。
しかし、二人は敵同士だ。
薫も、表情こそただの真顔だが、その瞳には、仁に対する激しい憎悪、そして殺意が宿っていた。
「カオル・・・」
仁は、少し変わったアクセントで薫の名を呼んだ。
【カオル】。 そして・・・ 【ジン】。
それは、まだ二人が幼かった頃、互いに呼び合っていた独特の、二人だけの呼び名。
二人の、絆の証だった。
仁は、ほのかな願いを込め、敢えてその名で呼んだ。
しかし
「カオル・・・? 誰ですか、それは」
冷たい目と、冷たい言葉で、タオシーはそれを否定した。
「・・・・・・」
その返事に、仁は表情に悲しみを隠しきれない。
「僕の名はタオシー。カーマ様直属の参謀にして、人間の敵です。・・・無論、あなたもですよ、仁」
強い決意。強い憎しみ。
果たしてそれを氷解させることは自分に出来るのか、救えるのか。
「・・・どうやってここに?」
仁は、まずは疑問を尋ねる事にした。
「一つは、僕が術式の天才である事。
どんなものであれ、その入り口を調べれば、それがどういう術式でどんな空間と繋がっているのかの特定は充分に可能です。
二つ目は、僕が安倍の人間であったが故に、侵入に対する防壁がほとんど作用しなかった事。
三つ目は・・・ これです」
タオシーは、右手の人差し指を、何もない空間に突き刺した。
それが、空中で大きく円を描くと共に、指が通った跡が、明らかに異空間の湾曲を見せた。
それが円を描ききると、人一人が通れるほどの大きな穴が空間に開き、その向こうには4次元の異空間が姿を現す。
「それは・・・!!」
陣は目を見開いた。
「ええ、安倍清明が、あっという間に京の正反対の場所から姿を現した時に使っていたとされる【空間連結】。
習得には苦労しましたよ。かなりの霊力を喰いますしね。 しかしそのおかげで、探知したこの空間に入る事が出来た」
自慢げに語るタオシー。
「・・・・・・・・・(空間自体の移動・・・ だから、静瑠さんは感知できなかったのか・・・)」
仁は驚きを隠せない。
安倍の歴代の陰陽師達が、清明の死後、術式を失ってから1000年。誰一人として成し得なかった、陰陽師たちの間で【存在しない】とまで言われたそれを、タオシー・・・ 安倍薫という天才は、仁と別れてしまってからの、たった8年の内何年かで完成させてしまったのだ。
「・・・いつから?」
「入り口に着いてから、空間の特定に1時間。そして中に入ってから、色々と仕掛けて12時間。それから睡眠に7時間、食事に1時間
・・・ほとんど一日ですね」
「他に戦力は?」
「この洞窟の中は僕だけです。カーマ様にも亜衣様にも手出しをして頂きたくなかったので」
「・・・正気か? 3対1だぞ」
「充分です。それに、今は1対1ですしね。
木偶ノ坊さんと麻衣さんは既に打倒出来た今、残るのは・・・ 貴方だけだ」
その言葉に、仁は少し驚いた。
「・・・二人に、何をした?」
「さあ? 今頃、楽しい悪夢(ゆめ)でも見ているんじゃないですか?」
両手を広げ、【わかりません】のポーズを取るタオシー。
「幻術・・・ 俺の通ってきた道にもあった、あの仕掛けか・・・」
「さすがに貴方には通じませんでしたね。逢魔の隊長は伊達じゃありません、か・・・」
「一回の術式で幻術を発動させる場合、それが敵に気付かれた場合なども含め、失敗もし易ければ、相手の覚醒もし易い。
だから敵を誘い込む場合、その道筋に微弱な術式の欠片を書き込んでおき、敵がその道を通れば、無意識にジワジワとその術が精神に浸透していく・・・」
「そして、術式の最後のピースに到達すれば最後、本人は全く気付かぬまま幻覚の世界に旅立っているというわけです。
もし立ち眩みを覚えたら、その時点で既にアウト・・・ 幻覚・・・ その人が最も見たくない悪夢の世界にいるんですよ」
仁とタオシーの掛け合いで、麻衣と木偶ノ坊を襲ったものの正体が明らかになる。
「仕掛け幻の術式・・・ 完成させていたのか・・・」
それは、数ある幻術の中でもかなり高位の術式だった。
空間連結だけでなく、仕掛け幻まで・・・
「半日、かかりましたけどね」
3つの道全てに、たった一人で高位術式の罠を仕掛けて半日ですんでいるなら、それはとんでもなく短時間だ。
「・・・・・・・・・」
他に、確実に行動不能にする罠もあれば、命を奪う罠もあっただろう。
しかし、薫は相手を無傷のまま捕獲できる幻術を使った。 それは・・・ 何故なのか。
仁は、それを薫自身の中に残る良心ではないかと考えた。
確かにそれは、間違ってはいない。
しかしタオシーが幻術を選んだ理由の中心は、別の所にある。
【麻衣と木偶ノ坊さんには手を出さないで】
悪衣に言われた、たった一言の言葉。
それをタオシーは、無視できなかった。
淫魔の姫である存在からの命令だから、というだけではない。
「・・・・・・・・・・・・」
タオシーは、ぎゅっと自分の胸を掴んだ。
衣服の下には、あの時に一度はだけたサラシが巻いてある。
その行動は無意識で、タオシー自身もその行動の意味は分からなかった
「・・・他に質問はありますか?」
これまでの仁の全ての質問に答え、更に自分から質問があるかと言う。
タオシーは自分の勝利に絶対の自信があるのだろう。情報の提示程度はなんとも思っていない。
「・・・残り一つの質問に移る前に、俺から推理を言わせてもらう」
「推理・・・?」
タオシーは眉を曲げた。
「たっぷりと睡眠する時間があるのなら、その奥に進んで三種の神器を奪い、自分の力にする事が一番合理的なはずだ。
実際、俺たちが多少予定より早く着いたとはいえ、その時間は睡眠ではなく、それに使うつもりだった筈。
しかしお前はここにいる。そして静瑠さんも三種の神器の異常は感知しなかった。それは・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
タオシーは、無言だった。
「お前は実際に三種の神器を取りに行った。しかし・・・ 三種の神器に認められず、そして、得意の術式の読み取りを試しても歯が立たなかった。
それで時間を追われ、実際は睡眠をとる時間もなく、俺たちはやってきた・・・ 違うか?
ちゃんと眠れたにしては、疲れの色が見えるからな」
「・・・・・・・・・・・・」
タオシーはなおも黙っている。
「稀代の天才陰陽士であるお前でも、三種の神器には歯が立たない・・・ これは朗報だな。その力を手に出来れば、カーマ、悪衣の二人とお前が力を合わせても、勝利できる可能性はより強くなってきた訳だ」
仁の眼光は、真っ直ぐタオシーを射抜いている。
「・・・・・・・・・ふ、ふふ・・・ さすがですね。昔は筋肉バカのバカ正直だったと記憶していたのに、そこそこ賢くなってるじゃないですか。
・・・で? 最後の質問というのは?」
先程までの上機嫌はどこへやら、自分が言い当てられるということが気に入らなかったのか、少し不機嫌な顔で問う。
「どうして天津亜衣を、淫魔に変えた?」
仁の目は、これまでで一番厳しいものになっている。
「・・・カーマ様の望みでしたので」
驚くほど冷徹な目で、淡々とそう述べた。
「いや、それだけじゃない」
「・・・??」
「【反転の術】は、空間連結よりもずっと完成が難しい術だ。
いくら自分を救ってくれたカーマの言うことだからって、それだけで出来るとは思えない。
お前は優しい性格だ。どこかで良心が邪魔をしていたと思う」
「・・・それで?」
「お前は・・・ 天津亜衣に、無意識で【母親】を求めたんじゃないのか?」
「!!!!!?」
仁の言葉に、タオシーは目を見開き、驚く。
「父親の像は、おそらくカーマに重ねていた。だが、スートラにかつての自分の母親の像を重ねるには無理がある。
優しく、凛々しく、妹を想う天津亜衣の印象を聞いた時に思ったんだ。俺も知っていた、薫のお母さんの────」
「お前が母さんを語るなぁっ────────────!!!!!!!」
冷静だったタオシーは、人が変わったかのように叫んだ。
「っっ・・・!」
・・・しまった。薫の心の傷に、触れてしまった。
「・・・・・ ハァ・・・ ふぅ・・・」
深呼吸をするタオシー。
「・・・そうですよ。こんなペラペラ話しているなんて、時間の無駄だった。
早く帰ってシャワーを浴びたいんですよ。二人を持ち帰って・・・ 貴方を、殺して!!!」
タオシーは、3枚の符を取り出した。
本物の式神符。つまり、本気で決着を付けるつもりらしい。
「薫・・・ 俺は・・・」
言いかけて、自分でその口を閉じた。
今は、何を語ろうと意味を持たない。戦うしか・・・ない。
タオシーは3枚の式神符を投げ、本物の水虎、狛犬、凶蛇を召還した。
3体の怪物は、唸り、咆哮を上げ、仁という獲物を威嚇する。
「・・・・・・」
対する仁は、あろうことか、目を閉じた。
静かな顔で、刀さえ抜かず、ただそこに立っている。
「・・・自分なりの謝罪のつもりですか? それとも、僕らを嘗めきっているんですかね」
「・・・・・・」
タオシーの苛立ちながらの質問も、仁は答えなかった。
「っ・・・ いいですよ。そのまま死ねばいい!! 行けっ!!!!」
(シャ────────────ッッ!!!!)
(ガウウウウウウウウウウウッッ────!!!!!)
(オオオオオオオオオオオンンン────ッッ!!!!)
タオシーが誇る3体の式神が、一斉に仁に襲い掛かった。
水虎の触手の槍が、狛犬の爪が、凶蛇の牙が、仁の命を奪わんと、目と鼻の先まで来た
「動かざること、山の如し・・・」
仁は動かない。まだ、動かない。
そして遂に、3体の式神の攻撃が、仁の体を──── 引き裂いた。
たちまち囲まれ、仁は、タオシーの視点から見えなくなる。
そこから見えるのは、飛び散る赤。舞う衣服の欠片。
殺った────
これで、もう・・・
「・・・さようなら、仁────」
あっけなく叶った復讐に、タオシーは、瞑想の言葉を手向けた。
しかし
「静かなること・・・ 林の如し」
聞こえる仁の声。
「っっっ!!!??」
慌てその声の咆哮に目を凝らす。
死んだ筈の仁は、上着の無い、黒のタンクトップの姿で、狛犬の真後ろに居た。
そして・・・ 掠り傷一つ負ってはいない。
「そん、な・・・?」
仁が死んだ筈の場所を見た。
式神の隙間から覗けるそこには、仁が着ていた薄手のジャンパー・・・ の、残骸だけが空中に舞っていた。
赤いのは・・・ 擬装用の、染料・・・?
「馬鹿な・・・」
風林火山の心得。
逢魔武術の基礎にして、最難なる教え。
その内の、山、風、林を識ることで得る、空蝉の極意。
山の如くその場でギリギリまで動かず、相手に己の像を焼き付けさせ、同時に己の気配をそこに残し
その次の瞬間、林の如く静かに・・・ つまり、気配を完全に消し、無音、無我無心の境地となり
風の如く疾さを以って、一瞬で移動する。
それにより、相対する敵は虚像を追いかけ、結果として無防備な姿を晒す。
そして仁は、日本刀を────抜いた。
「疾きこと・・・ 風の如し!!!」
(ザシュザシュザシュザシュザシュザシュッッ────────────!!!!)
仁を中心として、巻き起こる剣舞による鎌鼬、その竜巻に、3体の式神は巻き込まれる。
水虎の触手の槍はバラバラに斬り分けられ、狛犬の片前足は飛び、凶蛇は全身から血と体液を噴き出す。
「っっ!!!?」
タオシーが驚愕する間もなく、仁は駆け出す。
(ザンッッ!!!)
一振りで凶蛇の首を飛ばし
返す刃で
「うおおおおおおおおおおおっっ!!!!!」
(ザシュ────────────ッッッ!!!!)
駆けながら狛犬を、一刀で横に両断する。
(ブシュ────────────ッッ・・・・・・・)
凶蛇が、無くなった首から、狛犬が、別れた上半身と下半身から、血の噴水を噴き出し、それが仁の体を、髪を、顔を紅く染める。
戦闘力と命を失った2体は、翡翠色の光の粒子へと変じて、タオシーの符へと戻っていった。
「え・・・? え・・・? 凶蛇・・・ 狛犬・・・?」
タオシーは、目の前で起こった事が信じられなかった。
そんな馬鹿な。だって、狛犬だって凶蛇だって、最新型の戦車と戦ったって、数分で鉄屑に変えることだって出来るし、機関砲だろうがミサイルだろうが、余裕で避わし、或いは喰らっても傷一つ付かない強靭な鱗を持っている。
それが・・・ 逢魔の隊長一人の、霊刀による斬撃だけで────
「・・・・・・・・・」
血に濡れた顔で、静かにタオシーを・・・ 薫を見つめる、仁の視線に気付く。
「・・・・・・っ!!」
その顔には、先程までの甘さはどこにもなかった。
・・・幾百幾千の視線を潜り抜けてきた、戦士の目。どこまでも冷静に、敵を屠る事が出来る。修羅をも狩る羅刹の境地。
血に塗れたその姿は、まるで幻想の世界の軍神を描いた一枚絵の如く、恐ろしく、美しささえ感じる。
タオシーには、決定的な勘違いがあった。
それは、集めた情報と机上の論理、計算だけで【逢魔仁】を判断したこと。
仁は、薫と別れてからの8年、親友を助けられなかったという自責の思いから、ひたすら己の身体を苛め抜いた。
どのような淫魔、妖魔、魑魅魍魎達との戦いにおいても前線中の前線に飛び込み、敵を屠り、仲間を助け、そして必ず生きて帰って来た。
そんな仁が、他の逢魔の戦士達から尊敬され、リーダーとして認められるのに、そう時間は必要とはしなかった。
しかし、逢魔の隊長となった仁に待っていたのは、より壮絶な死地、地獄とも言える戦いの数々だった。
いくら仁が切り込み隊長として身命を賭して戦おうとも、この世の理である限り、【闇】、【淫】は消えない。
いくら身を挺して庇おうと、いくら守ろうと、どうしても逢魔の大切な仲間達は死んでゆき、守りきれなかった無辜の人々は殺され、陵辱される。
一度は助けた仲間が、次の日は肉片に。
それが女の戦士であれば、身も心も陵辱され、死よりも凄惨な姿で再会する事もあった。
時には敵となった仲間を、自分が斬らざるを得なかったことさえあった。
贖罪の為に始めた筈の戦いは、より救えなかった人間と、背負う事になった魂を増やした。
だが、仁はそれでも戦った。
戦って 戦って 戦い続けて。
それでも仁は、優しさを失うことは無かった。
それこそが、全てを受け止め、全てを背負って生きる仁の魂の強さ。
仁の中には、逢魔の戦士、英霊達の魂が宿っている。
何百という戦士の魂を内に秘めた男と、たった3体の化け物。
敵う訳が無い。
そんなものが、机上の計算で導き出される訳が無い。
「・・・・・・・・・っっ」
タオシーは、自分を見つめるその血まみれの瞳に恐怖した。
それは殺意でもなければ、憎しみでもない。そんな感情は、むしろ欠片も無い。
その目は・・・ その感情は・・・ 悲しみだ。
目の前の男は、薫の式神を斬ったことすら、悲しんでいる。
自分が守る事が出来なかった相手から、何かを奪ってしまうことすら悲しんで、それでも・・・ 瞳の中の決意は、欠片も鈍りを見せない。
どうしてそんな目が出来る?
なんで、そんな悲しみを瞳に宿して、正気でいられる?
タオシーにはわからない。
恐怖の正体が、その魂に、自分の悲しみさえ奪われてしまうかもしれないと
8年もの時を必死に生きてきた糧・・・ 復讐心、憎しみが、吸い取られてしまうと、そう思ったからだと。
「う・・・ う・・・っ」
仁の目は、【もう止せ】といっていた。
だが、そうする訳には行かない。
8年、8年も費やした。
そのために心血を注いで作り上げた術式の数々。そして作戦。
天津亜衣はこちら側の戦力に、左右の洞窟では、既に天津麻衣と木偶ノ坊を幻術で捕らえた。
神藤静瑠も、もはや敗れ去っているだろう。
それが、最後の一人で崩れるなんて、あってはいけない。 あっていいはずが無い。
どこで計算が狂ったかは知らない。
それでも、ここで諦める訳には絶対にいかない────
もうすぐで、僕の、そしてカーマ様の、理想の世界が完成するんだ────っ!!!!!
「水虎────────────っっっ!!!!!」
沈黙を守っていた最後の式神が、仁に切られた部分を本体に戻し、動き出した。
物理攻撃に対して絶対の無敵を誇る水の虎が、主の令を受け、仁に向かっていく。
「・・・・・・・・・」
(ズバズバズバ────────────ッッ!!!)
仁は、容赦なくそれを細切れに切り裂いた。
しかし、スライム体で出来た水虎の体は、その細切れの状態からでも一つに集まり、再生する。
・・・そうだ。いくら霊刀であろうと、それが刀剣である限り、水虎には・・・ 通じない。
勝負はまだ、終わってはいない。
何度斬られても、水虎は仁に向かっていった。
それは、まるで主人に忠を尽くし、懸命に応じようとしているかのようにも見える。
(ザッ────・・・・・・)
一定の距離を取る仁。
そして────
「侵(おか)し、掠めること────・・・・・・」
風林火山の、最後の一つが披露されようとしていた────
◇ ◇
時を戻し
天岩戸 入り口前 山中
小百合を逃がすことにこそ成功した静瑠も、武神剛杵の奪還には失敗し、黒子頭の暴行により肉体に大きなダメージを受けた上、全裸の状態で、触手に吊り上げられ、生贄の供物のように、様々な獣人たちの晒し者にされていた。
「・・・・・・・・・っ」
黒子頭の蹴りで、所々に蒼痣はあるものの
無駄な肉が一切付いていない均衡の取れた、美しい白桃色の肌。白桃色の美しき巨乳、芸術的な腰のくびれと、清らかさと妖艶さを備えた秘所。
そして艶ある茶がかった美しき長髪、何より恥辱に耐えるその上品なる美を備えた美貌の顔が、まるで囚われの天女の様ですらある。
そんな静瑠の様子がより拍車をかけているのか。高く吊るされている静瑠を獣人たちは皆静瑠を見上げ、そして同時に、獣人達の肉棒も、天に吊るされた静瑠の方向へと反り返り、ビクビクと脈を打っている。
(ピシュウウゥッ────!!)
「うっ・・・!!」
吊り上げられたまま身動きが出来ない静瑠の前で、何本もの触手の先端が急激に膨らみ、桃色の液体を噴射した。
静瑠は咄嗟に目を閉じ、顔を背ける。
その液体は、静瑠の肉体に余す所無く振り掛けられ、噴射され続けた。
顔、髪、胸、手足、腹、腋の間、そして、広げられた足の間から秘所、菊門へと、執拗にその液体はかけられ続ける。
「その液体は、黒子達の体内にある分泌液でな・・・ 強烈な催淫効果がある。
例え処女でも、数分もすればよがり狂い男のモノを欲しがるぐらいの強力なものだ。・・・クク、いつまでもつかな?」
黒子頭自身は、特に何もすることなく、吊り上げられた静瑠と同じ高さの木の枝に座り、その姿を見物していた。
「く・・・」
黒子頭を強く睨む静瑠。
「まあ、そう睨むな。優れた戦士であるお前に敬意を表し、なるべく苦しまず、すぐに堕ちられるようにという俺なりの配慮だ。
その液体は潤滑液でもある。下で待ち構えている獣人どもに何の準備も無く突き上げられては、痛いだろうからな」
「・・・・・・っ」
自分の体が、敵の体液でビシャビシャに染められている。
体に掛かっているベトベトした液体の感触は、なんとも生理的な嫌悪感を生み出す。
濡れた髪の先から、開かれた両足の親指から、ポタポタと流れ落ちる滴が、実に卑猥で官能的だ。
「中も慣らしておかんとな」
黒子頭の一言と共に、触手はズリズリ、ズユズチュと卑猥な音を立て、静瑠の秘所と菊門を擦り上げる。
「う・・・っ あ・・・」
ぬめぬめと粘着質で、でこぼことした触手の表面は、的確に秘所を、菊門を責める。
そのまま、一旦引いた触手は、は狙いを定め────
(ズププッ────・・・)
「あっ・・・ ぐ・・・ うあ・・・っ!!」
入り口を掻き分け、触手は静瑠の秘所と、菊門の内側に入り込んだ。
濡れきっていた触手は、すんなりと両穴にズルズルと入り込んでいく。
「あ・・・ あ・・・ あ・・・っく」
その感触に、静瑠は激しい嫌悪を覚えながらも、液体の効果は凄まじい。
体は既に熱を帯び始め、快感を引き出し始める。
「(こんな・・・ こんなモンに・・・ 感じてまうなんて・・・)」
(ブシュッッ──── ブシュブチュウウウゥゥゥッッッ─────────)
液を噴射しながら、摩擦なく進む触手は、膣と腸の奥深くにまで到達し、腸の中、子宮の中にまで、催淫の液を撒き散らす。
「・・・っぐ、ぐ、う・・・っ!!」
両穴奥深くへの注射は、静瑠の中で熱いものが広がっていく嫌な感触を与え続けた。
「はっ、あ・・・ ────うぶっ!!?」
一瞬の隙を突き、3本目の触手が静瑠の口内を侵し、犯す。
それは前後運動など一切せずに、目的である液体噴射の為、口の中にそれを放射する。
「・・・ううっ────!!!」
それはすぐに口いっぱいに広がり、吐き出そうと首を振っても、触手はそれに器用に付いて来て口から離れない。
その時、触手の中の、指みたいな小さなものが、いきなり静瑠の喉を押した。
「ぐっ・・・!!?」
予想外の喉への攻撃に、静瑠は
(ゴク・・・ ゴク・・・)
その液体の、喉への溜飲を許してしまった。
「(しまった・・・・・・)」
静瑠の両穴を貫いていた2本の触手、そして静瑠の口を塞いでいた触手は、目的を終えると、じゅぷりと音を立て、静瑠の体からそれを抜き放った。
「う・・・ く・・・」
体の内、外両方に満遍なく媚薬を塗りつけられ、静瑠の体は早くも尋常ではない熱を帯び始めていた。
体中が燃える様に熱く、触ってもいないのに両の乳首は痛いほどに起ち上がり
中でも蜜壷は、もう自分が火傷しそうなほどの錯覚を覚えるほどに熱くなり、ジンジンと、何かで抉って欲しいと、貫いてほしいと疼いている。
「(あかん・・・ あかん・・・よ・・・ そん・・・な・・・っ!)」
静瑠は、戦士としての理性を以って、必死に耐えた。
「ブオオオオオォォォォォッッ!!!!!」
「ブルルルルルルルルルッッッ!!!!!」
一方地上では、静瑠という生贄を待ちかねている牛頭、馬頭達が、肉棒に血を滾らせ、よこせ、早くよこせとばかりに吼え続けている。
「(ウチ・・・ あんなんに・・・ 犯される・・・)」
激しい嫌悪の中に、媚薬のせいか、あの中に放り込まれたい・・・犯されたい。という欲求が、自身の黒い部分から湧き出ている。
「お前は陵辱や拷問には慣れているらしいな。・・・だがそれでも、あそこに放り込まれては正気を保てまい。
・・・どうだ? 結界を解くなら、あそこに放り込むのは勘弁してやってもいい」
黒子頭は、静瑠に最後の選択肢を与えた。
この男なりに、静瑠という戦士を認めているのは、事実なのだろう。
しかし・・・
「・・・嫌どす。絶対に、封印は解きませんよ」
尚強い意志を宿した瞳で、静瑠は断言した。
「そうか、実に残念だ」
黒子頭が手で合図をすると、静瑠の両足を拘束していた触手が解かれた。
そして遂に、静瑠を吊り上げていた触手は、ゆっくりと牛頭馬頭達の待つ地上へと、降下を始めた。
どんどん近づいていく、獣人達と静瑠の距離。
それは、まるでワニの池にゆっくりと降ろされる鶏肉のようだった。
足が、獣人たちの身長のすぐ近くまで来た。
すると牛頭、馬頭、他に人狼、人虎といった獣人たちが、次々と跳び跳ね、我先にと憐れな生贄を手に入れんと躍起になる。
獣人達の目は血走り、口の端から涎をボタボタと落としていた。
「・・・いやっ!! 触らんといてっ!!!」
自分の足首を掴もうと伸びてくる毛に覆われた大きな手を、静瑠は腰をひねり、足を上げることで避わす。
降ろされていく自分の体。それと共に、自分を掴もうと伸びてくる手は多く、そして振りかぶる部分も大きくなっていく。
5回、6回、7回・・・
静瑠は、懸命に、必死に幾つもの手を避わし続けた。
しかし
(ガシィッ!!)
「あっ!!?」
そんな抵抗がいつまでも続く筈が無い。
遂に静瑠の左足の足首は、多くの獣人の中の一匹の牛頭にしっかりと掴まれ、その万力のような力に抜け出すことが出来ない。
牛頭は、そのまま静瑠を引っ張り、自分の胸前にまで持ってくる。
「いやっ!! 離してっ!!!」
もう片方の足で、牛頭の体を力の限り蹴り続けるが、牛頭の強靭な肉体は、風が当たった程度かというほどにビクともしない。
興奮しきった牛頭の鼻息が、静瑠の髪を吹き揺らした。
「うっ・・・!」
野生の生物ならではの生臭さが、鼻を突いた。
(ベロベロ、ベチャ、ベチャ、ビチュッ・・・!!)
そして、腕が触手で拘束されたままの静瑠を、自分のものと誇示するかのように、静瑠の全身を舐め始める。
「うっ、あうっ・・・!!」
ザラザラとした大きな舌が、静瑠の体を隅々まで、まるでオモチャか水飴の様に舐る。
そのざらついた舌が静瑠の巨乳を押し潰し、乳首を転がした。
「ひ、ぅっ・・・!!?」
痛いほどに立ち上がっていた乳首は、その感触にまるで電撃が走ったかのような衝撃を覚えた。
その反応に気を良くしたのか、牛頭は重点的にそこを嘗め回し続ける。
「ふぁっ・・・! そこ、は・・・ 堪忍、して・・・ぇっ!!」
元々弱い箇所であった乳首を攻められ、思わず震えてしまう。
ひとしきり胸を舐めると、牛頭の舌は、静瑠の秘所へと伸びた。
(ビチャ、ビチャ、ズルルル・・・!!)
「ああっ・・・!! あっ・・・!!」
尻の割れ目から陰唇の割れ目まで、牛頭の大きな舌はいっぺんに舐め取る。
その舌による攻撃は、下に比べればあまりにも小さい秘所に集中した。
これまでの攻めで、静瑠の意志とは関係なく、秘所は愛液に濡れ、内股を伝っていた。
牛頭はその汁を、いきなり強い吸引力で吸い始める。
(ズルルルルル、ズルルルル・・・!!)
「いや、ぁっ・・・ 吸わん、とい、て・・・っ!!」
その吸引力の強さに静瑠は仰け反り、ビクビクと体を震わす。
媚薬の効果で性感が以上に高められた状態では、耐えられない攻撃だ。
「ブルルル・・・」
そしていよいよ牛頭は、静瑠の秘所から口を離すと、腰を掴み、グルリと回転させ、背中を向けさせる。
待ち望んでいた時をようやく迎え、興奮に脈打つ剛直を、静瑠の秘所に押し当てた。
「あっ・・・!」
グリグリと、拳並みに巨大な半牛半人の異形の肉棒が、静瑠の中へと狙いを定め────
「イヤッ・・・!! そんな化けモン、入るワケ────」
挿入の直前となり、恐怖を感じた静瑠は、それを拒絶するが
(ズブブゥッ────!!!!)
牛頭は、一切の容赦なく、力任せにその剛直を、静瑠の中へと────埋めた。
「あっ ぐっっ!!! あああああっっ────────!!!!」
人の何倍もの大きさの剛直が、自分の胎内に無理矢理押し入ってきた。
子宮口にまで届く剛直、そしてその太さに、明らかに静瑠の下腹部は円筒形に盛り上がりを見せている。
「かっ・・・ は・・・ あ・・・っ」
苦痛に、辛苦に静瑠は顔を歪め、涙が流れる。
だが、牛頭はそんな静瑠を気遣いなどしない。本能のまま、激しく前後運動を開始する。
(ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ、ズッチュ────!!!!)
「あぐっ!! ううっ!! あっ! ああっ!!!」
後背位の形で、両腕を掴まれ、肉棒自身で空中に支えられながら、獣人ならではの、まるで祭の神輿の様な激しいピストン。
その勢いで、その長く太い肉棒が抜けてしまうか否かというぐらいに突き上げられた静瑠の体は、その反動と、腕を引く剛力によって、また根元近くまで深く挿入され、それがその激しいピストンのストロークで繰り返される。
そのたびに静瑠の下腹部は、肉棒の侵入と後退に合わせて盛り上がっては元に戻るという動きを繰り返していた。
左右に流れて揺れる、静瑠の艶ある長髪。 そして、前後に激しく揺れる美乳。
「グフッ・・・ グフッ・・・!!」
静瑠を犯している牛頭は、静瑠という極上の相手に満足しているのか、嬉しそうに鼻を鳴らし
人間相手ではありえない異様な光景。
淫魔を討つ使命を持った、天女の如く美を持つ誇り高き女戦士は、今、醜き猛々しい野獣によって、ただメスとして嬲られ続けている
それは、とてつもなく淫美な陵辱劇。穢される美という、淫に狂った芸術であった。
そんな攻めが、1分、2分と続いたろうか。
「あっ、あっ、あぅっ、あ、ああっ・・・!!!」
静瑠の状況には、明らかに変調が見られた。
ガクガクと体を揺らされ、いまだ激しく貫かれながら、静瑠の声だけが変化している。
最初は全くの呻きの声だったそれは、媚薬の効果と執拗な攻めで、その端々に喘ぎが混じり始めていた。
「・・・・・・・・・・・・」
黒子頭は、その様子を木の上から、ただじっと見物、観察を続けていた。
特に黒子頭が興味深く観察していたのは、醜き巨根に結合された静瑠の秘所である。
静瑠の秘所は、体格自体が全く違う異種との強制的な交尾で、今にも壊れてしまうのではないかというほどの拡張を強いられている。
なのに、美しい桜色の粘膜は、疣だらけの黒々とした肉棒をしっかりと咥え込み、その僅かな隙間からは、次々と愛液の蜜を溢れさせていた。
静瑠の顔は紅潮しきっており、突き上げられるたびに苦しげに悶絶している。
淫魔の催淫の体液により、もう苦痛のほとんどは快楽に成り代わり、牛頭の一突きのたびに感じてしまっているだろう。
ということは、苦しみに歪むその表情は、肉体的な苦しさではなく、精神的な苦しみだということだ。
人ではない獣人の魔物に犯されているという嫌悪も勿論あるだろう。
だが、もう一つの苦しみが見受けられる。
それは、媚薬によって高められた性感による、強烈な快感と、それにより増大していく雌の本能が、理性を塗り潰そうとするのを必死に抑えている。
そんな苦しみなのだろうと、黒子頭はそう判断した。
実際、驚異的な精神力だ。
黒子どもの触手の催淫液は、我慢とか気力とか、そういった
常人はおろか、高潔な戦士であろうと、今頃には何もわからなくなり、ただ肉欲のまま肉棒を求めるようになってしかるべきだというのに、目の前の女は大した精神力で、よく頑張っている。
だがそれも長くはもたないだろう。
獣人達の責めは、これからどんどん激しさを増していくのだから。
いずれよがり狂い、かつての戦士像は見る影も無いほどの雌に成り下がる。それも時間の問題だ。
「・・・・・・・・・実に、勿体無いな」
黒子頭は、他の黒子達と同じ、タオシーに作られた合成淫魔で、その中で唯一人間程度の知能を得ることができた最高の一体である。
牛頭や馬頭などの獣人たちも、知能においては獣に毛が生えた程度。
それを統率できるのが実質タオシー本人だけだった現状の中、偶然の産物で知能を持った一体が出来上がったのは、タオシーにとって喜びであった。
その新たな一体が、部隊の統率という役を任されるようになるのは、わかりきったことであろう。
生まれた自分を祝福してくれた、生みの親であるタオシーは、黒子頭にとっては絶対主。だからその命令もまた絶対。
黒子頭にとって、静瑠は亜衣を除けば、初めて見た女。そして、初めて会話を交わした女である。
タオシー様の命令を覆してでも助けようとは思わないが、それでも・・・
凛々しく強く、美しい女戦士が壊れ、堕ちてしまうのは、【勿体無い】と感じた。
今となっては眺めるぐらいしかすることは無いが、もう2,3度。 あの奇麗な声を聞いてもよかったかもしれないと、少しだけ考える。
一方
「グモオオオオオオオォォォォォォオオオッッッ!!!!」
静瑠を犯し続ける牛頭が、唐突に動きを止め、天に向かって遠吠える。
そして
(ズビュルルルルッッ!!! ビュルビュルルッッ!!! ビュクビュルッッ!!!!!)
「あっ!! ああああああっっ!!!!!」
牡棒の先端で、既にこじ開けられていた子宮口に、直接牛頭の精液が大量に注ぎ込まれる。
胎内に爆裂し、広がる熱き奔流。それと共に、静瑠もまた、決して望まぬ絶頂を迎えてしまった。
大きく背を弓なりに仰け反らせ、ビクビクと吊り上げられた魚のように震える。
「あ・・・ ぐ・・・っ!!」
その射精量は常識を超えており、まるで胎(はら)の中が全てそれで満たされてしまうのではないかと思うほど。
「フシュ─────・・・・・・」
本懐を果たしたとばかりに、牛頭は満足げな鼻息を洩らし、
静瑠の腕を真上に引っ張る。
(ズル、ズル・・・ ヌチュル・・・ッ)
尚硬さを失わない剛直から、やっと抜き放たれ、静瑠は一次的に解放された。
「はっ・・・ あ・・・!!」
(バシャッ・・・ ビシャッ・・・ ボタ・・・ ボタ・・・)
抜き放たれた瞬間、静瑠の秘所からは、牛頭の放った大量の精液が膣内、胎内に留まりきらず、勢い良く地面に白濁液が降り注いだ。
まるでそれは、静瑠の秘所自身が射精をしたかのようにすら見える。
「ハァ・・・ ハァ・・・」
あられもない姿で、腰を掴まれた状態のまま、静瑠は人形のようにぐったりとしていた。
なんとかここまでは耐え切った。だが、体の熱は収まるどころかより敏感さと興奮を増してきている。
退魔の戦士として、こんな辱めに負けてなるものかという意志は、まだ折れていない。
しかし
犯されたい、犯されたい。もっとあの太いモノで貫かれたい・・・
そんな心の内なる肉欲の声も、どんどん大きくなっていく。
・・・そして、陵辱がこの程度で終わる筈がないのも、静瑠はよくわかっていた。
「・・・・・・・・・ふむ、強いな」
弱ってはいるが、まだ静瑠の目に理性が色濃く残っている。
それを確認した黒子の頭は、牛頭馬頭達に、次のステップへの指示を出した。
静瑠の周りに、もう2体、馬頭と人虎が進み出てきた。
それと共に、静瑠を最初に犯した牛頭が、別の牛頭に静瑠を手渡す。
「・・・・・・っ」
「ブルルルル・・・」
喜び勇む牛頭は、仰向けに大地に寝転がり、そそり立つ牡棒の上に、静瑠を乗せた。
「・・・・・・くっ・・・」
今度は、こいつに犯される・・・
それを覚悟した静瑠だったが
「ブルルル・・・」
後ろの位置に立っていた馬頭が一鳴きしたかと思うと
クチュリと、静瑠の菊門に何か、熱い、大きなものが触れる。
「え・・・? まさか・・・」
静瑠の位置から、それを見ることは出来ない。
だが、予想通りだとしたら・・・
「(ウソでしょっ────!!? そんな、こんな太いのん、前と後ろでやなんて・・・っ!!?)」
膣に無理矢理突き込まれただけでもあれだけ限界ギリギリだったのに、そんなもの、耐えられるはずがない。
「待っ────!!!」
後ろに向かって待ったをかけようとしたその時
(グチュウウゥッッ────!!!)
「うぶっ・・・!!!??」
いきなり何か、生臭いモノが口内に突き入れられた。
目の前に広がる、黒と黄色の毛並。
つまり・・・前に立っていた人虎の、ペニスだ。
「ううっ!! うっ、うっ────!!!!」
そのまま静瑠の口を膣代わりに、激しく腰を動かす人虎。
牛頭ほどの大きさは無くとも、それでも人間の数倍はあり、静瑠の口は苦しいまでに開かされた。
口いっぱいに広がる獣人の生臭いペニスは、一突き一突きのたびに喉の奥まで侵す。
噛み切ろうとしても、喉の奥まで突かれるごとに起こる吐き気にそれどころではなく、強靭な人虎のペニスは、当たる歯の感触すらも明らかに快感と感じており、それが無駄であることを告げていた。
そして、次の瞬間
(ズグッ・・・ !! ズブプッ────!!!)
何の予告も無いまま、いきなり陰唇と菊門が、巨大な何かによって広げさせられ、膣と腸内に、熱いほどの熱を持った侵入者に蹂躙される。
「ぐ・・・ ぐっ────!!!!?」
突然の苦痛に、塞がれた口は悲鳴すら上げられず、静瑠は眦(まなじり)が裂けそうなほどに目を見開いた。
自分の下半身全体から、ギチギチ、ミシミシという軋む音が聞こえる感覚。
「────────────っっっ!!!!!」
苦しい、なんていうものじゃない。
口も膣もアナルも、すべてが獣人に犯されているという事に対する嫌悪さえ、その辛苦の前には砂上の楼閣である。
特に、アナルを貫いている馬頭の肉棒は、牛頭よりも更に一回り大きく、それで自分の腸が裂けないのが不思議ですらある。
・・・いや、触手による一応の慣らしはあったが、それでも突然に突き入れられた巨大な牡棒には、少量ながら静瑠の血が纏わり付いていた。
「ぐうっ!!! うううっ!!! うう───────っっ!!!」
気丈な静瑠も、声にならない呻き、叫びを上げざるをえない。
静瑠のそんな状況を思いやるなど勿論欠片も無く、獣人達は本能のままに腰を動かし始める。
「(ウチ・・・ 本気で・・・ あかん・・・ か、も・・・)」
バラバラの獣人達の動きに体を不規則に揺らしながら、静瑠の頭の中にそんな言葉が浮かんできていた・・・
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
大反則の夢(幻覚)オチ!!!
すいませんすいません、とにかくすいません。
麻衣、木偶ノ坊と共に思いっきり、見てくださった人を騙してしまったことを深くお詫びします。
色々と自分でも【いいのかよ】というところはあるんですが、もう進むしかないので頑張るのみです。
静瑠イベント、思ったより膨大にて、入りきりませんでした。
・・・次だな、うん。がんばろ。