天岩戸内  右の道  広場

 

 

 タオシーの式神“水虎”により捕らわれた麻衣は、身動きも取れぬまま、その羽衣を捕食され続けた。

 

「うっ・・・う・・・」

 そして今、麻衣の体を守る衣服は・・・ 何も無い。

 何物をも溶かす水虎の消化液に晒され続けては、天神の加護を得た羽衣も耐え切れなかったのだ。

 

 全裸の状態になった麻衣は、その体を未だ水虎に包まれ、タオシーの前に生まれたままの姿を晒している。

 大の字に固定されているため、秘所すら満足に隠すことも出来ず、あろうことか半透明のスライム越しに広げきった状態・・・

 

「おやおや、丸見えですね」

「イヤッ・・・!! 言わないでっっ・・・!!!」

 羞恥に強く目を瞑り、顔を紅く染める。タオシーが元々女性であるのがせめてもの救いだ。

 

「さしもの天津の巫女も、羽衣が無くなってしまえばただの少女ですか」

 しかしタオシーの言葉の中には、容赦も慈悲も無い。

 

「うっ・・・ うう・・・」

 奇跡の梅の鉢から得た、お婆ちゃんの魂でもある新・天神羽衣。

 それすらも、己の未熟さから失ったしまった・・・

 

「無力化に成功したところで、次のステップへと行きましょうか。

 水虎達も、遊び相手が欲しいでしょうから」

  冷徹に微笑むタオシー。

 

「な・・・ 何を・・・?」

「こういうことをするんです」

 パチンと、指を鳴らすと、水虎は再び体を揺らした。

 

「えっ!!? やっ!! いやあぁぁっ!!!!」

 体全体を、急に何かに揉みしだかれ、舐められるような感触が襲う。

 形の良い胸はぐにぐにと潰され、乳首は引っ張られ、背筋、腋筋、太腿、首筋と、人間の手には有り得ない全身への一斉の愛撫が支配した。

 

「想像を絶する気持ち良さみたいですね。あはははははっ」

「うああっ!!!? ああああっ!!! あっ、あああああっ!!!」

 足の指の間から、臍の穴に至るまで、余す所無く攻め立てられる。

 更に、その愛撫は秘所と菊門にも及び、クリトリスが強制的に抓み出される。

 

「きゃっ! くふうぅぅぅううっ!!!? やあっ!! 引っ張ら・・・ ないでっ!!」

 スライムの繭の中では、そんな様子すらもはっきり過ぎるほどに晒される。

 今、天津麻衣は、見世物の動物なのだ。

 

 

「へえ・・・ こんな風に見るのは初めてですよ、面白いなぁ」

「いやぁ・・・っ もう・・・ やめ、てぇっ・・・!!」

 驚異的な愛撫の連続に、顔を紅潮させ、口から涎を垂らしながら、必死に懇願する麻衣。

 

「何言ってるんですか、これからが本番なのに」

「ほん・・・ばん・・・? ・・・っっ!!!?」

 急に、麻衣の秘所に、硬い何かが当たる感触を感じた。

 

「えっ・・・!?」

 首を傾け見ると、自分の秘所の前には、黄緑色の一層濃くなった部分が存在していた。

 その形は・・・ 男性の・・・

 

「いやああああっ!!!! ダメッ!! やめてっ!! それだけはっ───────!!!」

 唯一動く首を必死に振って、化け物の侵入を拒否する。

 木馬に貫かれ処女の証を失ってはいるが、それでも生き物に貫かれるのと、道具に貫かれるのとでは大きく違う。

 それも、こんな人間とはまるで違う化け物に交わされるなんて────

 

 それに、今の自分には、もはや梅津の花弁の加護は存在しない。

 羽衣をも失った今、麻衣にその侵入を防ぐ手段は・・・ 無い。

 

 スライムが作った贋の男性根が、秘所をズリズリと擦る。

 

「ひっ・・・!!?」

 羽衣の巫女ではなく、一人の無力な少女として恐怖に震える麻衣。

 麻衣の中で、木馬に貫かれた時の記憶が蘇る。

 

 クププ・・・ と、贋根が麻衣の小陰唇をゆっくりと掻き分けていく。

 

「いっ・・・ いやぁあああっ!!! やめてっ!! やめてぇぇええっ!!!!」

 しかし、少女の願いは聞き届けられない。

 贋の透明な男根は、容赦なく、何の摩擦も無く麻衣の中に・・・ 

 

(ズプ、プッ・・・・・・!!!)

 

没した。

 

やっ・・・ きゃ、ああぅあぁ────────────っっ!!!!」

 麻衣の絶叫が、洞窟内に木霊した。

 

 

 そしてそのまま、贋の男根は前後運動を開始し、麻衣を犯し始めた。

 

「うあっ!! あああっ!! あっ! あっ!! や、ああっ・・・!!!」

 まるで黄緑の透明な繭の中で、見えない誰かに犯されているかのように、大きく足を開かされ、麻衣の体は揺らされている。

 

「あはははははっ!!! すごいなあ!! 膣の中が見えてますよ」

 透明な男根で貫かれた麻衣の秘所は、ぱっくりと円形に広がりきって、贋男根の侵入と後退がくりかえされるたび、奇麗なピンク色の膣奥まで見渡せる様になっていた。

 

「やあっ・・・ あああっ・・・ 見ない、でっ・・・」

 普段なら絶対に人に見られるはずも無い場所を晒しているというその状況に、麻衣は羞恥で死んでしまいそうだった。

 

「・・・もう一つ、見たいなぁ・・・」

 無邪気な言い方で、タオシーはもう一度指をパチンと鳴らす。

 

「・・・っ!!!?」

 すると、ほんのついさっき秘所をくすぐっていた感触が、麻衣の菊門を擦る。

 

「えっ・・・!? いやっ!! うそっ!! やめ・・・」

 その意図を理解した麻衣は必死になって拒絶するが、それが聞き入れられるはずが無い。

 

(ズググゥッ・・・・・!!!)

 

「ぎ、あ゛ああああああああああああ────────────っっ!!!!!!」

 

 強く閉じた菊門も、あっさりと水虎の贋男根は貫通する。

 どんなに力を込めて締めようと、その隙間から侵入し、こじ開けるスライムの前では、それは全くの無意味で、無力であった。

 

 遂にアナルまでもこじ開けられ、麻衣は二つの穴をぱっくりと開かせ、晒してしまう状況となった。

 

「きゃうっ!! ぐっ!! うっ!! あっああっ!!!」

 しかし、麻衣はもうそれどころではなかった。

 縦横無尽に形を変える贋の男根は、膣と腸内で暴れまわり、麻衣の体の内側を蹂躙する。

 

「あぐぅうっ!! 死んじゃうっ!! こんなのぉっ!! ひん、じゃ・・・っ!!!」

 強烈な快感と苦しみ、膣と腸壁の薄い壁越しに鬩ぎ合う侵略者は、麻衣の体を気遣う事無く攻め立てた。

 

「ああっ!! くぅああっ!!! あっ、あ────!!!」

「・・・ちょっと、うるさいですねぇ」

 タオシーは再び、パチンと指を鳴らす。

 

 麻衣の体を包んでいた塊から、3本目の贋の男根が姿を現し、鎌首をもたげるような動きをしたかと思うと、それは一直線に麻衣の口へ突っ込んできた。

 

「っ!!!」

 咄嗟に顔を横に向け、強く口を塞ぎそれを防いだ。

 べちゃりと、再び麻衣の顔にスライムがかかる。

 

「〜〜〜〜・・・っ!!!」

 その気持ち悪さに、つい声が漏れてしまいそうになる。

でも、少しでも口を開いてしまえば、この物体は自分の口の中に入ってくる。

 

「お見事お見事、さすがの反射神経ですね」

 憎らしいほどの皮肉めいた拍手をするタオシー。

 

「・・・でも、無駄な努力ですねぇ。ちょっと考えれば分かりそうなものですが」

 その言葉と共に、顔に掛かったスライムが再び移動を始める。

 

「っ────!!?」

 スライムは麻衣の顔を移動し、口と鼻を・・・塞いだ。

 麻衣は再び、呼吸を封じられたのだ。

 

「このまま苦しくなって、口を開くのを待つのもいいんですけど・・・

 ここは敢えて、趣向を凝らして鼻から入れてみましょうか?」

  無邪気な言い方で、返事が出せない麻衣に対して質問するようなアクションを取る。

 

「・・・・・・・・っっ」

 当然、麻衣は答えられない。

 全身を愛撫され、両穴を貫かれ蹂躙される辛苦と快感になんとか耐えながら、より強く口を閉じた。

 

「んー・・・ でも、鼻はちょっと変態臭いですかね。・・・水虎」

 タオシーの言葉に反応して、水虎はぞわぞわと波を打った。

 

「・・・っ!? ・・・っっ!?」

 忽ち、麻衣の全身を愛撫していた部分の感触が、別の何かへと変わる。

 纏わりつき、じわじわと揉みしだく感触から、肌の表面を触るか触らないかぐらいのもどかしさで触れてくる。

 これは・・・ くすぐられて・・・ いる?

 

「〜〜〜っ!! 〜〜〜〜っっ!!!!」

 腋の谷間や足の裏に至るまで、絶妙な感触でくすぐってくる。

 麻衣はくすぐりには耐性は無い。それに苦痛や快感はともかく、ここまで徹底的にこそばされての我慢など、出来る人間の方が希少だろう。

 

 必死の我慢も虚しく・・・

 

「ぷはっ────!! うぐっ!!?」

 限界を迎えて、意志とは無関係に口から笑が漏れてしまおうとすると共に、口を覆っていたスライムは一気に侵入を開始した。

 

「う────っ!!! うう─────────っっ!!!!」

 すぐに噛み切ろうとしたが、口の中に入った途端にスライムは贋男根に変化していた。

いくら強く歯に力を入れても、それは驚くほど強い弾力を持ち、歯傷一つ付けられない。

 

 3本目の贋の男根は、麻衣の口内どころか、喉の奥までをも犯す。

 麻衣は何度もえずきそうになりながら、再び激しい動きを開始した一本目と二本目にも攻められ、体をガクガクと揺らされ続けた。

 それはもう、レイプというには生易しい、

 それは正に、化け物による【攻撃】だった。

 

「ふうっ!! うううっ!! うぐうううっ!!!」

 まるで麻衣という存在を突き殺そうとしているかのように、水虎の攻撃は続き、麻衣から抵抗する力と体力を奪っていく。

 バラバラに攻め続けていたその攻撃も、だんだんと要領を得てきたのか、リズミカルに変化し、連携が生まれてくる。

 

「うっ・・・! うう・・・ んんぅ・・・っ!!」

 それと共に、麻衣の鼻声に変化が起こり始めた。

 力の無いその声の中に、明らかに嬌声が混ざり始めていたのだ。

 

「・・・・・・おや、まさか・・・ 本格的に感じ始めちゃいました?」

 タオシーの言葉に一瞬ハッとする麻衣。

 しかし、反論に使える口は塞がれ、なおも続く3本攻めにその理性も崩れかけていく。

 それでも、必死に首を左右に振り、その事実を否定した。

 

「アハハハハハ!!! こんなに乱暴に突いてるのに、しかも明らかに化け物に犯されてるのに、それでも感じちゃうんですか!!?

 とんだ淫乱ですね!! あなた何でもいいんですか!!? アッハハハハハハ!!!!!」

  屈辱的な言葉の数々に、麻衣は自責の想いが募ると共に、強くタオシーを睨む。

 

「・・・ふふ、いいですね。それじゃあ・・・ 水虎で、妊娠してみますか?」

 狂ったような被虐的な笑みで、とんでもない言葉を放つ。

 

「(・・・・・・え?)」

 このスライムの化け物で・・・妊、娠!?

 どういうことなのか、麻衣の頭はグルグル回って理解できない。

 

「わからないようなので、実演してみましょうか。 ・・・水虎?」

 パチンと、もう一度指を鳴らした。

 

 

「ぷあっ・・・!! ハァ・・・ ハァ・・・」

 今度は、麻衣の口から三本目の贋男根は解放され、麻衣はようやく口での息を許される。

体を覆っていたスライム部分も、手足の拘束部分以外は全てが一斉に退いた。

 秘所とアナルを蹂躙していた二本は、抜かれこそしないが、その動きを止め、残りのスライムは全て、仰向けのままの麻衣の股の間に集まっていく。

 今の状況は、その大部分のスライム部分から、それぞれ日本の贋男根と、手足を拘束する4本が伸びている形だ。

 

 麻衣には、何が起こるのか全く理解できない。

 

「ハァ・・・ ハァ・・・ ふ・・・ あ・・・」

 ただ、激しい陵辱から一時的にでも解放された今は、息を整えるだけで必死だった。

 

「さあ、狂宴を始めましょうか」

 もう何度目になるのか分からない、パチンという指を鳴らす音。

 

(オオオオオオォォォォォォォンンン・・・・・・)

 

 虎の鳴き声のような振動音と共に、麻衣の中で動きを止めていた二本の贋男根は、再び活動を開始した。

 

(ズチュッ! ズチュルルッ!! ズルルルルルッ!!!!)

 

 スライムの繭に密閉されていた状況の時とは違い、触手は厭らしい音を立て、麻衣の膣と腸内を抉る。

 

「うああっ!! やっ───!! もう、イヤッ・・・!!」

 麻衣の膣、そして腸内に再び深く侵入していく二本。

 そして・・・

 

(ゴボ・・・ッ ゴボ・・・ッ ゴボゴボ・・・ッ)

 

 

「う、ああっ!!? そん、な・・・ ウソっ────!!?」

 今度の攻撃は、決定的な違いがあった。

 これまではとんでもない激しさで前後運動を繰り返していたスライムは、今回は全く戻ろうとしなかった。

むしろ逆に、麻衣の中に入っていこうと、どんどん送り込まれていく。

 

「あぐ、ふううっ!!! イヤァァッ!!! そんなっ、やめてえぇぇぇっっ!!!!」

 自分の体の内部を異物が支配していく感覚に、麻衣は悲鳴を上げるしか出来ない。

 スライムは子宮の中だけでなく、後ろからもスライムは腸内を逆流して行き、胃へと到達する。

 

 そこからが始まりだった。

 

(ゴボゴボッ!! ゴボゴボゴボ────ッ!!!!)

 

 水虎はより一層、麻衣の中へのスライムの注入を恐ろしいまでに早めた。

 

「きゃ、ああああああ────────っ!!!!??」

 麻衣の視界の中で、水虎と呼ばれるスライムの体が縮んでゆき、そして明らかに、麻衣の腹部は膨らんでいく。

 

「あぐうぅああっ!!!? イヤッ!! いた、いいっ!! お腹が・・・ おな、かが・・・っ 破裂、しひゃ・・・ぅっ!!!」

 自分の体の中で、二つの場所が無理矢理膨らまされ、圧迫されているのが分かる。

 

「ああああああうっ!!! あ──────────っっ!!! 

ああ────────────────っっ!!!!!!!」

 その苦しさは創造を遥かに超え、そのとてつもない辛苦に、麻衣は狂ったような、雄叫びとも悲鳴ともつかない声を上げ続けた。

 両の目はぐるりと上を向き、口からは泡を吹いている。

 

 そして

 

「あ・・・っ ぐ・・・ ・・・・・・」

 そのまま、麻衣は・・・ 意識を失った。

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 天岩戸内  左の道  広場

 

 

「んっ・・・ くちゅ・・・ はぷ・・・」

 静かな洞窟内に響く、水音と漏れる声。

 

「んん・・・ ちゅぷ・・・ んっんっ・・・」

 悪衣が、完全に拘束した木偶ノ坊のモノを口淫し続けていた。

 尿道に舌を突き刺し、裏筋を舐め、玉袋を手で触る。

 カーマによる師事で上達した悪衣の攻めは的確で、洗練されている。

 

「・・・・・・・・・っ」

 木偶ノ坊は、敢えて何も言葉を発しない。

 ただひたすら精神集中を以って、悪衣の攻めに耐えていた。

 

「んっ・・・ さすがね。一筋縄じゃいかないか・・・」

 そんな事を言いながら、悪衣は余裕を見せている。

 いつでも止めを刺せるのに、わざと状況を楽しんでいるかのように。

 

 自分が亜衣様を穢すわけにはいかない。

 その一つの想いで、木偶ノ坊は耐えている。

 

 しかし

 

「ねえ・・・ 木偶ノ坊さんって、童貞?」

 絶望的な一言が、木偶ノ坊の耳に入る。

 

「あいははっ!! ほれはへは・・・ ほれはへはやっへはいへはへぬほなほし!!!(亜衣様っ・・・!! それだけは・・・ それだけはやってはいけませぬぞなもし!!!)」

 質問の意図を理解した木偶ノ坊は、遂に沈黙を破った。

 

「ダ〜メ♪ 淫魔におあずけは・・・ 通じないの」

 しかし、木偶ノ坊の願い虚しく、最後の禁門は開かれた。

 天に向かってそそり立つ、木偶ノ坊の大きな屹立棒の真上に秘所をあてがったかと思うと

 

(ズププッ・・・!!!)

 

 一気に、腰を沈めた。

 

「ぐっ────────!!!!」

 心のどこかで望んでいた行為が、最悪の形で叶ってしまった。

 自分のモノが、熱い蜜の壷の中に入れられたかのような熱さと、強烈な快感が突き抜けた。

 

「あふっ・・・ すごいっ・・・!! 木偶ノ坊、さんのっ・・・ 太くて・・・ 奥まで、来るぅ・・・っ!!!」

 悪衣は、カーマとは全く違う肉棒の快感に身を震わせる。

そしてそのまま上下へと、腰を動かし始めた。

 

「〜〜〜〜〜っっ!!」

 その強い精神、その優しき心、そして凛とした美しさ。正しく天女の化身と思える女性。

 一種の憧れさえ抱いていた人物は、自分のモノを咥え込み、淫らな言葉を口にし、嬌声を上げている。

 

「ふふ・・・ ねえ、木偶ノ坊さん。私でも麻衣でも、自慰もしたこと無いんでしょう?

 木偶ノ坊さんって真面目だから・・・ 

 でも、今はもうそんなこと、考えなくてもいいわよ」

「・・・っっ!!!」

 

 木偶ノ坊は天を睨み、両の瞳から、様々な感情が織り交ざった涙を流す。

 赤い涙。血の涙。

 人間は、激しい負の感情の昂ぶりにより、涙腺の近くの神経が切れることがあうという。

 赤色の涙をとめどなく流す木偶ノ坊は、正にそれが起こったのだろう。

 

 これが、もはや亜衣様ではないと思うことが出来れば、どれだけ楽であろうか。

 しかし、自分のモノで身を震わせ、快楽に顔を紅潮させる亜衣様の顔に、木偶ノ坊はそれまで見た事の無い亜衣様の、妖艶な美しさを見てしまった。

 その身が淫魔となっても、天津亜衣は・・・ 美しいのだ。

 

「じゃあ・・・ 天国に連れて行って・・・ あげるっ!!」

 きゅうっ と、悪衣の膣が引き締まり、より木偶ノ坊のモノを絞り上げる。

 

「くっ・・・ う、うっ!!!?」

 限界に近い所でなんとか留まっていた、さしもの木偶ノ坊も、その感触に一気に堰が弾けた。

 

(びゅるっ!! びゅくびゅくっ!!! どぷっっ────!!!!!)

 

「あ、はぁ、あ、あ────────────」

 自分の膣内で起こる噴火、噴水に、悪衣は背を仰け反らせ、短く痙攣する。

 

「っ・・・・・・・・・」

 木偶ノ坊の意識は、そのまま白い霞の中へと誘われた・・・・・・

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

    天岩戸内  右の道  広場

 

 

「そろそろ起きたらどうですか?」

 ペチペチと、軽く頬を叩かれるその感触で、麻衣は意識を取り戻した。

 

「う・・・」

 徐々に意識が覚醒していく麻衣。

 

「わた・・・ し・・・  ・・・っ!!!?」

 視点を下に移した時点で、麻衣は驚愕した。

 自分の両胸の下、腹部に、見慣れない膨らみがある。

 半月型に大きく膨らんだ・・・ これ・・・ 自分の・・・ お腹・・・っ!!?

 

「ど、どうして・・・っ!? 私、どうして・・・ こんな・・・っ」

 信じられない光景に、麻衣はパニック状態になる。

 

 そこで思い出した。

 自分は、そう、薫・・・ タオシーに捕まって、水虎に陵辱されて・・・ 中に・・・

 

「あ、ああ・・・っ!!」

 その時、麻衣は状況を全て理解した。

 じゃあ、じゃあ、この・・・ お腹は・・・っ

 

「そうですよ、今貴方のお腹の中には、水虎の何分の一かがた〜〜っぷりと詰まっているんです。

 何故痛くも苦しくもないのか? それは、僕が霊力で麻酔をかけたからです。

 そうでないと、これから痛みでショック死しかねませんから」

  嬉しそうに説明しながら、麻衣の周りを歩くタオシー。

 

「これ・・・ から・・・?」

「そう、これから」

 麻衣のお腹のすぐ隣で、タオシーは立ち止まる。

 

「大きなお腹ですよねぇ。何ヶ月ですか? オ・ク・サ・マ♪」

 人を食った作り笑顔で、麻衣の膨れたお腹を、優しく撫で回す。

 

「・・・・・・・・・っっ!!」

 自分の体を玩具にされている恥辱、屈辱の怒りで、強くタオシーを睨んだ。

 

「いい顔ですねえ。・・・そうして、僕の苦しみの何分の一かでも・・・ 味わって下さいっ!!」

 ぎゅうぎゅうと、麻衣のお腹を強く押し込んだ。

 

「あぐ、ううううっっ!!!?」

 唐突な腹の圧迫に、麻衣は悲鳴を上げた。

 

 タオシーは一度手を離し

 

「水虎」

 その名を呼ぶと、麻衣の胎内で、水虎の一部が暴れ出した。

 

「きゃっ!? あ、う、ああっ!! い、ぎっっ────!!!!??」

 ポッコリと膨れた麻衣のお腹は、その内側から来る衝撃で、面白いように波打ち、一部だけが膨らんだり陥没したりを繰り返す。

 麻酔が効いているなんて、ウソ────  だって、こんなの、苦しすぎ────

 

「ああ、僕の麻酔は特殊でね、ただ普通に【痛みを消す】んじゃなくて、【ショックで死んだり気絶してしまうレベルの痛みだけ消す】んです。

 これでずっと、さっきみたいに気絶せずに、ずっと遊べますよ? ステキでしょう? あっははははははははははは!!!!!!!」

  タオシーは狂ったように笑い続ける。

 

 そして、深呼吸を一回。くるりと振り返る。

 

「・・・さ、そろそろ、お産の時間ですよ」

「お、お産・・・っ!!?」

「はい」

 麻衣の膨らみきった腹の頂上を触るタオシー。

それはするすると下腹部に降りていき・・・

 

(ジュプッ・・・)

 

「やっ・・・あっ!!?」

 麻衣の秘所に到達し、指を突き入れる。

 

「勿論、ここからね」

 グリグリ、グチャグチャと、二本、そこから三本の指で秘所をかき回す。

 

「やあっ!! ああぁっ!! いやっ・・・ かき、まわさ・・・ ない・・・ でっ・・・!!!」

「ハァ・・・ たかが指三本でなに言ってるんです? これからもっとずっとでかいのがここから出てくるのに」

 

「えっ・・・?」

「4728グラム。何の重さだか分かりますか? ・・・今、貴方のお腹の中にある、水虎の全容量です。

 ・・・普通の赤ん坊の大きさにちょっとオマケしたぐらいですね。 それが、あなたの中で赤ん坊の姿のまま、ここから這い出てくるんですよ。

 ちょっとした、出産ごっこです。・・・ふふ、苦しさは本物並ですけどね。羊水の代わりも、奇麗な水ですよ。

 ・・・ああ、心配しなくても、裂けたり、二度と使い物にならなくなったりはしないように気をつけますから」

  恐ろしいほど優しい笑みで、麻衣の顔を両手で擦る。

 

「い・・・ いやぁぁっ!! やだあああああっ!!!! やめてっ!! 助けてえええぇぇぇぇっっ!!!!」

 擬似とはいえ、子供を産ませられるなんて・・・ 嫌だ。

 麻衣は、半狂乱で泣き叫ぶ。

 

 しかし、そんな願いが聞き届けられるはずも無かった。

 

「水虎、出ておいで」

 タオシーは麻衣の秘所の前に立ち、子供を迎えるようなポーズを取る。

 それと同時に

 

「うわああっっ!!!?? あっ! ひっ、ぎぃあうぅう!!!!」

 麻衣の胎内にいたものが、移動を開始した。

 

 子宮口がこじ開けられ、大きく広がる。

 体の内側を通して、ズルズルと何かが通る音がする。

 狭い膣道を、それは小さな両手で、頭で無理矢理通ろうとしている。

 

「いやああああっ!!! しん、じゃうっ!!! しんじゃ、う、っっ────!!!!」

 あまりの苦しみに、そして麻衣の体力を悉く奪っていくこの行為に、呂律さえ満足に回らない。

 秘所からは、羊水の代わりに入っていた水が、破水したかのようにドバドバと湧き出ていた。

 

 胎に響く鈍い音。膣道を広げきって移動する何かは、明らかに手足を使って動いている。

 子宮の圧迫感は消え、その代わりに苦しみは全て膣内へと移動した。

 盛り上がる下腹部。移動を早めていく中身。

 

 そして遂に、恥骨と陰阜が、内側から共に押し上げられた。

 

「────────っ!!! ────────────────っっっ!!!!!!」

 もはや、悲鳴は言葉らしい言葉にさえなっていない。

 言葉に出来ないほどにとんでもなく苦しいのに、タオシーの言葉どおり、麻衣の意識は一向に遠のこうとしなかった。

 

 中身は、もう既に入り口に移動していた。

 

「わあ・・・ 頭が見えてきましたよ!! ほら! 頑張れ!! 頑張れ!!」

 パチ、パチと、手拍子で囃し立てるタオシー。

 それに呼応したのか、それは、一気に広げきった秘所から這い出てきた。

 

「────────────っっっ!!!!!」

 出現する、黄緑で半透明の頭、そして両手。

 その手を掴むと、タオシーは一気に引っ張り出した。

 

 赤ん坊の形をした水虎の一部分を抱き上げ

 

「おめでとうございます。・・・ええと、女の子ってことにしましょうか?」

 わざとらしく無邪気な言い方をするタオシー。

 

「────っ・・・ ぐ、う・・・っ あ・・・う・・・ ハァ・・・ ハァ・・・」

 麻衣は放心状態で、タオシーの言葉も届いていなかった。

 

 不思議な事に、麻衣の体は完全に元に戻っていた。

 あれほどの腹部の膨らみも、今は最初から無かったかのようにいつものくびれに戻っている。

 

「〜〜〜〜〜〜〜 ・・・・・・っ?」

 その事実に、麻衣は少しだけ疑問を浮かべる。

 なんだか、おかしい、この世界は、なんだかおかしい。

 

「ほらほら!! ママと赤ちゃんのご対面ですよ!! 頑張りましたね!! アハハハハハハハハ!!!!」

 だが、そんな疑問を抱く暇も無く、タオシーは赤ん坊の形をしたスライムを見せ付け、麻衣の顔に押し付ける。

 

「うっ・・・ ううっ・・・!」

 気色の悪い、黄緑半透明の赤ん坊を無理やり頬ずりされて、麻衣は激しい嫌悪感に襲われる。

 

「じゃ・・・ もう休んでいいですよ、水虎」

 そう言うと、赤ん坊の形をしたスライムは一瞬で溶け、地面に落ち、本体へと移動し溶け込んだ。

 

「ハァ・・・ ハァ・・・ ハァ・・・っ」

 顔を紅潮させ、目からは涙を、口からはだらしなく涎を垂らした状態で、麻衣はひたすら呼吸を繰り返していた。

 

 

「・・・ママになった感想はどうですか? 麻衣さん」

 悪辣な笑みを麻衣に向けるタオシー。

 

「・・・・・・っ」

 何とか気力を振り絞って、タオシーを睨んだ。

 

「すごいなあ、これだけの責めにあって、まだそんな目が出来るんですか、さすが亜衣様の妹ですねぇ」

 その言葉に、麻衣は目を見開いてタオシーを睨む。

 

「・・・っ!」

 タオシーはそれに驚かされた。

 

「お姉ちゃんを・・・っ お姉ちゃん、を・・・ かえ、して・・・っ!!」

 あれだけ執拗に攻めたのに、それで尚、姉の為となるとここまで力を振り絞れる・・・

 それが二人の姉妹の絆なのか。妹の麻衣は脆いと聞いていたのに・・・

 

「・・・でも、それじゃあ困るんですよね。抵抗の目の一つも出来ないぐらいになってくれないと、持ち帰るのに面倒ですし。

 もっと、精神的に追い詰めた方がいいかな」

  タオシーの目は、再び冷徹な相を見せる。

 

「狛犬」

 タオシーの声と共に、現れる二体目の式神。

 体長2〜3メートルはありそうな、青い体毛に覆われた巨大な狛犬。

 そう、水虎と同じ、淫魔の社の前の階段で、麻衣が姿だけ見た式神だ。

 

 ただ、違うのは・・・

 

「っ!!!?」

 その股間には、人間とは明らかに違う形をした、獣特有の男性器が、とんでもない大きさで勃起しきっている。

 

「やっ・・・ イヤッ・・・!!!」

 これまで様々な淫虐な責めにあってきた麻衣には、その時点でタオシーが次に何をしようとしているのかが、分かってしまった。

 今度はこの式神と・・・ 犬の姿をした式神・・・ 獣に、犯される・・・っ!

 

「そ、そんな・・・」

 麻衣はこれまでになく体を恐怖に震わせた。

 

 タオシーの指が再びパチンと鳴る。

 

「あっ・・・!?」

 麻衣の手足を拘束していた水虎が、麻衣の体をくるりとうつ伏せに回し、腹を押し上げ、両手両足のみが地面に着き、尻を突き上げた四つん這いのスタイルに無理矢理固定させた。

 

「ガウッ・・・ ガフッ・・・!!」

 狛犬は、いきなり麻衣の上に圧し掛かった。

 

「ひっ・・・!?」

 両肩に前足を掛け、ガッシリと麻衣の体を固定すると、その猛りきった肉棒を麻衣の秘所に押し当て、擦(こす)り出した。

 

「い、やぁっ・・・!! やめてっ・・・ それ、だけ・・・ はぁっ・・・!!」

 獣の肉棒に秘所を擦られ、おぞましい思いと共に、否が応でも体は快感を得てしまっている。

 これを、挿れられてしまったら・・・

 

「ガフッ・・・ グフッ・・・」

 髪を擽る獣の荒い鼻息。吐息。

 それと共に、狛犬はグリグリと肉棒を押し付けてきた。

 

「ひあっ・・・! やめっ・・・ 許して・・・っ! それ、だけはっ・・・ お願いっ・・・!!」

 麻衣は、目に涙を浮かべながら、必死に懇願した。

 しかし、肉棒はゆっくりと小陰唇を掻き分けようと・・・

 

「い、やぁあぁっ・・・!! だめ、ぇぇっ・・・!!」

 いくら身を必死に捻って逃れようとしても、水虎によって体はガッシリと固定され、それすらも許されない。

 

 

(────ズブ、ズプププッ・・・────)

 

 

 そして遂に、獣の肉棒は、膣壁を掻き分け、一気に麻衣を・・・ 貫いた。

 

「あっ・・・ ぐ・・・!!!?」

 人にはありえない太さ、子宮口にまで到達するその長さ。

 全く人のものとは違うその形、鉄の異物でも入れられているようなその違和感。

 何より、フサフサとした豊かな体毛の感触が陰唇に触れた瞬間、麻衣はその現実を思い知った。

 

「あ・・・ あ・・・」

 最早、悲鳴すら出せない。

 只、体を痙攣させ、ボロボロと涙を流すことしか、度重なる陵辱に疲れ果てた麻衣には・・・ 出来なかった。

 自分の中で何かが、音を立てて崩れていく。

 

「(ウソ・・・ こんなの・・・ ウソ・・・? 私・・・ 今、私の中に・・・ 犬の・・・化け物の・・・?)」

 羽衣の巫女としてはおろか、乙女として・・・ いや、人間としてのプライドが、ズタズタに引き裂かれた瞬間。

 この瞬間、麻衣は全ての誇りを奪われてしまった。

 

(ズッ、ズッ、ズチュッ、ズプッ、パチュ・・・ッ!!)

 

 麻衣と繋がったばかりの狛犬は、本能の通り、すぐに交尾のための前後運動を開始した。

 

「うっ、あっ、やっ、あっ、あ、ああっ・・・っ」

 2メートル大の獣の激しいストロークに、麻衣の体は合わせて大きく前後に揺らされ、その度に声が出る。

 急に、麻衣を拘束していたスライムが、全て麻衣の体から離れ、どこかへと消え去った。

 麻衣の疲労の具合から、もはや必要ないというタオシーの判断である。

 

「あぐっ、ううっ、あ、あぅっ、あ、あ、あ・・・っ」

 その判断どおり、麻衣は完全に拘束を解かれても、狛犬から逃げなかった。いや、逃げたくても体が動いてくれないのである。

 無理もない。3穴攻め、擬似出産と、そんな激しい陵辱を立て続けに行われれば、もう体に力など残っているはずも無い。

 うつ伏せの状態のまま、麻衣の上体は床に落ち、頬と両胸に冷たい岩肌の感触が感じられた。

 ただ、狛犬と繋がったままの腰だけが突き上がった状態で、動物ならではの激しい交尾のたび、その揺れで麻衣の形の整った美しい胸は、床にグニグニと潰され形を変えている。

 

「あっ、く、ふっ・・・ う、は・・・ あふっ・・・ う、う・・・」

 そして、麻衣の中で再び起こる変化。

 こんなに苦しいのに、こんなに心が痛いのに、体は女の本能で、そんな獣の激しい交尾にさえ、どんどん快感を高めていってしまっている。

 自分の体が・・・ この行為を受け入れ、悦んでいるのだ。

 その証拠に、顔は紅潮し、体は熱く痺れ、秘所は熱を持ち、愛液さえ流れ始めていた。

 

「おやおや、しょうがない人ですねえ。スライムの化け物だけじゃなく、犬の化け物に犯されてまで感じちゃうんですか?

 それじゃ、天津の巫女どころか、只のメス犬ですよ」

 

「・・・・・・っっ」

  タオシーの言葉は、麻衣の心を更に突き刺し、止め処なく涙を流させた。

 

 その時

 

「あ・・・ あ、ああっ!!?」

 舞衣の膣内を蹂躙していた肉棒が、急激に変化する。

 その根元がいきなり膨らみだし、麻衣の膣の入り口を圧迫した。

 それと同時に

 

(ドプッ! ドププッ!! ビュクビュルルッッ────!!!!)

 

「う゛、あ゛、あ゛あ・・・っっ!!」

 何の心の準備もなく、子宮の中に広がっていく、熱い獣の精液。

 最後の堤防さえ失われてしまったかのような喪失感、絶望感が、麻衣を支配する。

 

「面白いでしょう? 犬のペニスは根元が膨らんで栓をするんです。・・・そしてそこからが本番」

 

(ビュクビュルッ!! ドプッドププ────────────)

 

「あ、あうああっ・・・!? な、なん、で・・・」

 射精が、止まらない────

 

「・・・犬は栓をした後、ポンプのように長い時間、射精し続けるんですよ、多いパターンは30分以上ですかね」

「さ、さん・・・ じゅ・・・ ・・・っ!?」

 麻衣は驚愕する。

 

(パチン)

 

「あ、ううあっ・・・!」

 タオシーの合図により、狛犬は大きく腰を引いて麻衣を引きずる。

 それにも関わらず、両者の結合は、全く外れることがなかった。

 

「仲がいいですねぇ。お似合いのカップルですよお二人さん。

 ・・・ああ、すいません。二匹でしたっけ? アッハハハハハハハハ!!!」

  響くタオシーの笑い声。

 

「あ、ああ・・・ いや、ぁ・・・っ、こんなのっ・・・ い、やぁっ・・・」

 止まる事無く精液を流し込まれ続けながら、麻衣は力なく涙を流し続ける。

 

 

「(・・・仁、さ、ん・・・・・・)」

 遠くなっていく意識の中、麻衣は、恋心を寄せた相手の名を、心の中で呟いた。

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

  一方

 

    京都  逢魔本部  安倍・新平安京  

 

 

 京都の中心部に存在する、退魔機関【逢魔】の要、新平安京。

その部屋の一つで、安倍の最高責任者、安倍梗子こと桔梗姫は、付きっきりで一人の少年を霊力で保護していた。

 

 その少年は、鬼麿である。

 

 今から十数分前、寝室で丁寧に世話をされていた鬼麿は、急に苦しみだし、強烈な霊力と妖力を放出しだした。

 その霊圧の強さは、周りの物質を破壊し、この新平安京全体を揺らすほどになっていた。

 その頃には既に瀬馬は姿を消し、他に誰もその強烈な霊圧を抑えることが出来る人はいない。

 

 只一人、その強大な霊力、妖力を抑えることが可能であった桔梗姫が、霊力の結界を張りそれを抑えている状況だった。

 

「・・・っ それにしても・・・ なんて力・・・」

 安倍薫が智と術の天才なら、桔梗姫は人望に恵まれ、そして同時に、安倍一族の歴史上でも屈指の霊力の持ち主だ。

 しかし、その桔梗姫を以ってしても、その強大な霊圧をなんとか抑える事しか出来ない。

 それも、段々と抑えきれなくなってきている。

 

 結界という繭の中で、鬼麿の霊力と妖力の渦はより唸りを上げ暴れまわる。

 

「くっ・・・!!」

 ここまでの霊圧を、自分の結界で抑制した状態から解き放てば、この部屋どころか、新平安京事態が吹き飛んでしまうかもしれない。

 桔梗姫も結界に全力を込めるが、それもいつまでもつものか・・・

 

 そんな攻防を繰り広げていた時

 ただ暴れまわっていただけの、霊力と妖力の奔流が、徐々に変わり始めた。

 

「これは・・・ 淫魔大王・・・っ!? 違う・・・、この霊力の神々しさは・・・ 天神・・・」

 その力、そしてこの力の暴走の正体に、桔梗姫が気付いたその瞬間

 

(バオッッ────────────!!!)

 

「────っ!!!」

 強大な光が辺りを包み、その光によって、どのような悪鬼も封じ込める桔梗姫の結界は、その光によって溶けて消えた。

 

「(私の・・・ 結界が・・・!?)」

 増長していた訳でも何でもないが、桔梗姫の結界は、これまで一度も、誰にも破られたことがなかった。

 しかもそれは、霊力や妖力で破壊されたのではなく、まるで氷解するかのように、その結界を組成する術式から分解された。

 

 そんな事が出来るのは・・・ 

 

 

 ふいに、光が収まった。

 いや、一箇所にだけ光は残っている。それは、人型・・・ 青年の姿を象っていた。

 

「あなたは・・・」

 目の前の光景に、桔梗姫は驚いた。

 

「そう・・・ なのですか。 それが・・・ あなたの運命(さだめ)なのですね・・・」

 桔梗姫は、その光の正体を把握したらしい。

 悲しみを宿した目で、その光を見つめた。

 

 それは、光陰の矢の如く、一瞬でどこかしらへと消え去った。

 

 後には、桔梗姫と、静かに眠る鬼麿が残るのみ。

 

「桔梗姫様っ!!? 何が起こったのですか!!!?」

 桔梗姫により別の場所への避難を言い渡されていた衛士達が、霊圧が消えた事に気付き駆けつけた来た。

 

「・・・いえ、もう何も・・・ 悪い事はすべて終わりましたから」

 柔らかな笑顔で、桔梗姫はそう答えた。

 

「そ、そうですか・・・」

「さすがは桔梗姫様ですな」

 桔梗姫の活躍と勘違いした衛士達は、口々に桔梗姫を讃え、仲間内で盛り上がる。

                                                                                                                          

 

「・・・ご武運を」

 桔梗姫は、光が消え去った方向に、たった一言、祈りの言葉を送った。

 

 

 

 

 

  ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 

 

 や・・・ やりすぎた・・・ 今回は明らかにやりすぎた・・・

 気付いてみたらこれまでで一番ハードな内容になってる・・・ 麻衣の部分が多すぎて静瑠入りきらなかったし。

 

 苦手な人はゴメンなさい。オチがオチだけにやりたい放題だったので(コラ

 

 今回悩んだのは、麻衣で口から入るか鼻からか。

 鼻はマニアックすぎかなーというのでお蔵にしました。




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