《20話 本番解禁?》 夜半。座敷にて祖母と双子姉妹が閑談していた。 「最近、宏樹殿の様子はどうじゃな?」 「体調は良くなって来てるみたいです。・・・それより なんかあいつ段々調子に乗ってきてんですけど」 「あはは」 「妙に色んな事しようとするんです」 「あはは。そうだね〜」 「まったく、鬼麻呂様の影響かしら?昔はあんな子じゃなかったのに・・・」嘆息する亜衣。だがその表情に深刻さはない。 「ぷっ・・・・・くすくす」 「何よ・・・麻衣?」 「何でも〜っ?」 「ふん、だ」 珍しく膨れむくれる亜衣に、くすくす笑い出す麻衣。幻舟はびっくりして孫達を見返す。 麻衣が亜衣をからかう、亜衣が膨れる等、近年見られなかった。 鬼獣淫界との闘争時にも仲は良かった姉妹だが、亜衣が自分も麻衣も立しようとしてた為 多少ぴりぴりして何事にも勇め注意する姉に、愚痴りながらも従い慕う妹という関係だった。 とても今のように麻衣が亜衣を呑気にからかうなんて見られなかった。まるで普通の姉妹の様ではないか。 平穏になっただけではなく宏樹がいる事が姉妹に良い影響を与えているように思え祖母は目を細めて孫達を眺める。 「その影響の事じゃがの・・」 祖母の表情を見て顔を引き締める姉妹。 「宏樹殿の中に鬼麻呂様の血と魂が転生しており、その影響で宏樹殿は苦しんでおるのは周知の通りじゃ 普通人(ただびと)に天神の血と魂を宿す事が、多大なる体の負担となっておるのじゃろう・・・」 「「はい」」 「押さえ切れない程の力が体内に溢れる為に精に込めて体外へ放ち、体内に霊力が篭らないようにしておるのじゃが・・・・・・・」 「「・・・・・・・・・・・?」」 「時にどちらか宏樹殿と契りおうたかの?」 「「・・・!!!」」 戸惑いながら、ちらちらとお互いの顔を見合わせる姉妹 「なんと、未だなのか。存外宏樹殿も意気地がないのう」 「おばあさま!」「おばあちゃん!」 焦った声が重なる。 「ほほほ。若い男御がまさかここまで我慢できるとは思うておらなんだ。よほどおぬしらが大事と見える」 「「!・・・・」」 顔を見合わせる姉妹 「ほっほっほっ」 「・・・宏樹は約束は守る子です」「あ、うん。そうだよ。そうです」 「・・・・・・・」 「だいたい、『契りを持たないように』と約束させたのはおばあさまではないですか?」 「何を云うとる。あの時承諾を躊躇した宏樹殿を後押しさせる為の方便だったのは知っておったじゃろうが。 守れるとは思うておらなんだよ合意した若い者同士じゃしな。 次代の者の成長を待つ上で少しでも時間が稼げればと思うとっただけじゃて。 だいたい二人も、そのつもりで了承しておったろうが?」 「「・・・・・・・・・・」」 黙って俯く亜衣と麻衣。 「ほっほっほっ まあ学生のうちはその方が良かったがの」 「おばあさま!」「おばあちゃん!」 「たいしたものじゃな。・・・かの御仁の中にある力はとても普通人に耐えきれるような大きさではないのに 力に押し潰されず、また流され過ぎず約定を守ろうとしてくれる。 実際事の最中に欲望の力に流されるのを耐えるのは男性にとってはかなりの苦痛だろうに こういっては何だが、良い御方に鬼麻呂様も宿ってくれた」 麻衣はかなり嬉しそうに微笑んでる。 亜衣は『うーん。そうかなぁ』という表情をしていたが次第に口元が緩みだし、麻衣を目を合わせて微笑みあう。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふう」 「「・・・・?」」 「今日宏樹殿の体を見せて頂いた・・・」 「・・・・・」 「内臓に陰り(かげり)が見える・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」 「・・・・・・・・・・・・まさか・・・・・」 「恐らく宏樹殿、そう長くは生きられまいと思われる」 「「!!!!」」 「そ・・・それって・・・おばあちゃん?」 「・・・常人では絶えられない力が内在する故に外に放出して発散しておるのじゃ、体の負担はすさまじいものじゃろう」 「一見宏樹殿の肉体は強くなったようにみえるが、普通の体がそのように簡単に強くなるはずがない。 あれは鬼麻呂様の 血と魂からの影響によって、身体能力の一部のみが勝手に強化されとるのじゃから体に負担がかかってるのは間違いない」 「で、でも今はあんなに元気に・・・」 「そうじゃの。今は一見 健康そうに見える。じゃが内臓への負担は確実に溜まっているのじゃろう」 「・・・・」 「自動車に飛行機のエンジンをつんで走ってるようなものじゃな。無理しないように頑張ってもとても長くは持たない・・・」 「そのような体ではいかに注意して常に余力を発散させていたとしても、おそらく長くは生きられまい」 青冷める姉妹。 「そこで・・・二人のうちのどちらかに、今のうちに宏樹殿の御子を宿しては貰えまいかと思うのじゃが・・・」 「「!!!!??」」 「お、おばあちゃん!」 「け、結婚しろっていうことですか?!」 「そうじゃな。同意出来ればそのほうがありがたいが、最悪籍には入らなんでも御子のみでもかまわん。 嫌な話じゃが 血筋を絶やさぬ為だからの」 「・・・・そんな」 「勝手な言い分だとは判っておるが、何分今のあの方のお相手が出来るのは二人しかおらん。 当然御子を宿して育てられる母体も二人にしかできんだろう。 宏樹殿の余命はもう残り少ないかもしれん。一度亀裂が入ると修復が間に合わず急速に身体が壊れていくと思われる」 「「!!!!」」 「我ら天神の血をここで絶やす訳にはいかぬのじゃ」 「二人には迷惑をかけやもしれぬが、良ければどちらか あの方の嫁となり子を成して貰えまいか」 「子供って・・・・・」 「・・・き、鬼獣淫界との戦いは・・?・・・・学校とかだって・・・」 「既に次代の候補者の選定は終わった。3組じゃ。近日中にはこちらに来て修行に入れるように手配しておる。 天津家の養女と・・・おぬしらの義妹となるの・・・・8人姉妹にもなってしまうが・・・」 「・・・・・・・・・・」 「今のところ奴等に動きはない。来月には候補者を養女としこちらに迎え入れ巫女舞の修行に入る事になろう」 「しかし宏樹殿の事は一刻を争う大事じゃ・・・・もしかしたら、今日。明日にでも体が耐え切れず倒れてしまうかもしれん。 前例が無い為、その時が明日が5年後か10年後かは判らぬのじゃ。早い方が安心じゃの。学校も・・・仕方あるまい」 「そんな・・・・・」 「・………」 「もし・・・・もし断ったらどうなるのですか、おばあさま?」 「当然嫁(母体)候補を他の血縁から捜す事になる。早急にな」 「!!!!!っ」顔を見合わせる姉妹。 「それとも先日来られた京の三人に頼んでみようかの?あれから何度も伺いの連絡は来ておるし 御子のみならば、たぶん可能やもしれぬ」 「「それはダメっ!!」」 珍しく姉妹の声が重なる。 「・・・・・じゃろう?」くっくっと笑う幻舟 「「・・・・・・・」」 「・・・そんな事より、宏樹の身体を治す方法を探すのが先ではないのですか?」 「あ、そうだよ!元気に成りさえすれば問題ないでしょ?」 「わしらが数ヶ月前から何度となく外出していたのは、全てはその為じゃった。じゃが集められた神器は知っての通りじゃ。 判り得た情報も・・・・あまり明るいものではなかったがの・・・そしてもう幾ばく時間があるものやら。 急かしてすまぬが・・・時間はあまり無いかもしれぬ・・・・決心がついたら宏樹殿と合議としよう。心して考えておいておくれ」 ◇ 幻舟が去った後、座敷には呆然とする姉妹が残された。 「お姉ちゃん・・・・どうするの?」 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・お姉ちゃん・・・?」 「・・・・・・麻衣は?・・・・どうするつもりなの?」 麻衣は驚く。亜衣が自分に聞き返すとは。 常に自分の意見を持ち、麻衣に模範を示すのが彼女だった。問いに問いで返すなんて今までなかった事だ。 お姉ちゃんも混乱してるんだ。。。。 ◇ ◇ ◇ どうしよう・・・・亜衣は考え込む。とうとうここまで来てしまった。 こんな状況がこのままずっと続く訳が無いとは判っていた。でも対応策が見つからないまま流されてこうなってしまった。 口惜しい。もっと早くから真剣に皆で考えて対応策をうっていたら・・・ 麻衣はどうするだろう・・・・考えるまでも無い。自分が相手となる。と言い出すだろう。 亜衣は妹の性格を本人以上に把握している。『おばあちゃんからお許しが出たよ』と言って 『あたしにはもう我慢しなくていいんだよ。』と宏樹に抱きつくのが目に見えてる。 宏樹はどうするだろうか?・・・・拒む理由はないだろう。あれだけ我慢してたのが許されるんだから。 二人が関係を持って・・・・子供が出来て・・・・結婚・・・・する。 この若年での結婚に宏樹は迷うだろうか・・・でも子供が出来たと知ったら責任はとろうとするだろう。そういう子だ。 好き同志であるし、早いとは思うが廻りにも問題は無い。宏樹は養子で一族の長となり麻衣はその嫁となるのだろう ・・・それが順当な成り行きだ。 ・・・なのにそこまで想像して凄く胸が苦しくなる。 本当は宏樹の余命を繋ぐ方法を探すのが先のはずだ。そっちの方が考えるべき重要な事なのに 何で自分はこんなに宏樹と麻衣が結ばれるという想像ばかり気にかかり落ち着かなくなるのか・・・ 痛い・・・想像だけで胸が、肺がぎゅうと圧迫されて息が詰まる。二人が結ばれる・・・・・ 麻衣はその気になってる。宏樹もまんざらではないだろう。宏樹が自分の方にも好意を持ってるのは感じてるが 二人は傍で見ててもすごい息が合ってるしお似合いだ。祖母も皆も祝福するだろう。 あたしは本当は男なんて嫌いなんだし、二人はお似合いだし、これが普通の成り行きだろう。それで良いはず・・・ 良いはずなのに辛い。その結末は苦しい。情景を思い浮かべるだけで胸が詰まる。 そんなはずは無い 気になる理由がない。 ・・・・そんな事はないはず・・・・・・・・・・・・・・なのに・・・・ ◇ ◇ ◇ 男根に這う舌先の刺激が途絶えたので見ると、亜衣が潤んだ目で僕を見上げてる。 普段は恥ずかしがって目を合わせないようにしてるのに、じっと思いつめたように見詰めてる・・・・珍しい・・・そんな・・・・え? 違う。気分が高まってる様子じゃない。・・・泣きそうな目? 「え、え?・・・どうしたの?」 「・・・・」 「何か僕、調子にのって嫌な事強制しちゃった?ゴメン。謝るから」 (うわっ。僕弱っ。でも亜衣が泣くなんてよっぽどの事だし。) いきなりの事態に僕は焦った。急速に興奮が冷めていく。(でも起っているけど。) しかし彼女は首を振って 「違うの・・・」とだけ言う。 「??」 「ヒロキ・・・っ!」 僕の右手を取って両手で抱きしめる。 (う・・・・・・胸があたる!! ああああっ柔らかいいいっ!!)あっさり僕の興奮はMAXに戻る。 「ち、ちょっと待った!」 「え?」 「で、出そう!・・・擦って!」 「・・・・・ばかっ!」 僕は亜衣の葛藤なんて全然気づかなかった。 ◇ ◇ ◇ どうしよう・・・・麻衣は考え込む。とうとうここまで来てしまった。 こんな状況がこのままずっと続く訳が無いとは判っていた。でもまさか結婚と子作りがセットで来るとは思ってもいなかった。 いくら何でも早過ぎる。まだ自分達は高校生なのに。 お互いが大事な存在だとは判ってる。けど未だ正式なお付き合いをしてる訳じゃないし、当然恋人同士でもない。 宏樹はずっとここにいて欲しい大切な男の子だ。 今まではどちらかというと末っ子という事もあって、自分が家内のムードメーカーのような位置にいた。 優しいが厳格な祖母、生真面目で気丈な姉、長年一緒にいるが一線を引いて仕えるようにしている巫女さん達。 その中で自分は無意識に皆を笑わせ明るくする役割にいた。常におちゃらけて皆を笑わせ和ませる立場。 疲れたり落ち込んだりした時も、何故か自然に皆の前だとはしゃいで笑わせようとしてしまう末っ子の性。 別に嫌だとか辛いとかを感じていた訳ではないが、厳しい修行の毎日に他の家の女の子と比べちょっと、 ちょっとだけ自家は厳し過ぎてげんなりする時があった。『疲れるなぁ』と愚痴りたくなる時があった。 それが宏樹が来てから境内が明るくなった。家族が明るくなった 突っ込んでボケて笑い合う。一緒にいるお姉ちゃんともこんなに毎日笑ってばかりいるのは久しぶりだ。 おばあちゃんもなんか楽しそうだ。 返ってくる行動全部が自分の予想以上のツボで相方として最高だ。 今までも楽しい毎日ではあったけど、宏樹が来て凄く家の中が楽しくなった。嬉しい。ずっといて欲しい。 皆を明るくして自分とも気が合って、楽しい相手で、そして・・・自分を女の子として意識してすごく大切にしてくれる。 恥ずかしいのと嬉しい気持ちが胸の奥から沸いてくる。 久しぶりに再会した弟分の男の子はすっかり背が高くなって、しかも格好良くなってた。 それだけでもポイント高いのに気が合って。可愛くて。面白い。楽しい。 恋に憧れは人一倍あったけど、家は厳しいし中学から女子校だった麻衣は実はボーイフレンドは数少なく 男性との付き合いに不安もあった。だけど宏樹なら気心知れてるので何でも言い合えるし応えてくれる。 『幼馴染の男の子に再会したら格好良くなってて、しかも自分がお世話してあげないと生きていけなくなってる。』 ちょっと大げさな、このシチュエーションにヒロイズムを感じて不謹慎な気もする。けど嬉しいという本心は隠せない。 Hな事をするのはかなり恥ずかしいが『それをしないと彼の健康が危ない』という大義名分があるし やはり年頃の女の子としてはHに興味もあった。(まさかここまで進展してしまうとは思ってもいなかったけど) でも自然の成り行きだったと思うし後悔はしてない。 毎日の行為を通して漠然と想っていた好意が、既にかなり大きく育ってしまってるのを自覚してる。 もう離れたくない。ずっといて欲しい。一緒にいたい。・・・・・・でも顔には出せないが大きな不安がある。 ヒ ロ ち ゃ ん は 私 よ り お 姉 ち ゃ ん の 方 が 好 き だ 。 以前から薄々そんな気はしていたが今のヒロちゃんを見てると判る。お姉ちゃんを目で追ってる。意識してる。 病院で喧嘩したらしいのを見てから気付いたけど、もしかしたら2年前連絡取らなくなったのも何か関係があるのかもしれない。 お姉ちゃんもそれを気付いてて意識してる。表面上は普通に接してるけどわたしには判る。 ヒロちゃんはお姉ちゃんが好きで、お姉ちゃんもそれを意識しちゃって戸惑ってる・・・ 二人をくっ付けたい気持ちもある。ヒロちゃんならお姉ちゃんの隣にいても良いような気がする。 でも邪魔したい気持ちもある。渡したくないという気持ちもある。自分が一番になりたいと思ってしまう。 いつも一杯話すのは自分の方だ。ヒロちゃんに合ってるのは自分みたいな女の子じゃないかと思ってしまう時もある。 ヒロちゃんは私をどう思ってるんだろう。 仕方ない事とはいえ、あんな事までしておいてあたしに『良い友達で』とは言わないだろう。 何時も抱きしめて言われる『好きだよ』というのが『Like』ではない『Love』の方だと肌で感じてる。 でも自分から「好き」と言うのには抵抗がある。散々笑い合って、いちゃいちゃしてるくせに、いざとなると不安で言い出せない。 そんな男の子じゃないって判ってる。でも直に言葉で確かめるのが怖い。自分と姉が一緒にいると姉の方をつい見ている宏樹。 それが切ない。確かめたかった。でも不安だった。聞けなかった。 告白して、もしお姉ちゃんの方が好きと直接言葉で言われてしまったら・・・・ お姉ちゃんはどうするつもりなんだろう。 たぶん『おばあちゃんからお互いに結婚を誓約するならしてもいい。と言われた。』とヒロちゃんに話して 新しい関係をどう築くか真面目に三人で相談しようとするだろう。ヒロちゃんは私とお姉ちゃんのどっちを選ぶだろうか・・・ きっと・・・・お姉ちゃんを選ぶに違いない。お姉ちゃんは応えるだろうか・・・まんざらでもないと思ってるのは判ってる。 道で男に声を掛けられるだけでも煙たがる男嫌いのお姉ちゃんが、ヒロちゃんにはすごい打ち解けてる。特別扱いだ。 というか男嫌いの姉の相手はもうヒロちゃんしか出来ないんじゃないかとも思う。 でも結婚・出産となると重大だ。二人の気持ちはそこまでのものなんだろうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・わからない。 怖い・・・・ 渡したくない・・・・・・・・・・・ いけない・・・・埋もれていた醜い気持ちが湧き上がる・・・・・やだ・・・・こんなのは嫌だ・・・・ でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・渡したくない。 ◇ ◇ ◇ 膝に抱いた麻衣が、妙に焦りながら言いごもる。 「あ、ああ、あの、あのね」 「うん?」 「あ、あの・・・・・・え・・・・・・と」 「どうしたの?」 「・・・・・・・・・な、何でもない」 「?」不思議に思いながらも愛撫し合って、僕が二度麻衣の口内へ放った後、お返しとばかりにクンニで 三度立て続けにイカせたら麻衣が息を荒げながら首に抱きついてきて耳元でささやいた。 「はっ・・・・・ふっ・・・ヒロちゃん?・・・」 「ん?」 「・・・・・・・・・・して・・・・・・」 「?・・・・もう一回?すぐして大丈夫?疲れてない?」 「・・・・・・・・ちがう・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・?」 「・・・・さ、・・・・最後まで・・・・・・・・・・・・・・・・・して」 「!!!!!!?」 ぎょっとして肩を掴んで顔を見ようとする。が、俯いて目を合わせない。でも耳が真っ赤だ。本気?本気で? 「ち・・・・ちょっと、ちょっと待って?駄目だよ。約束してるんだし」 「おばあちゃんから・・・・もう、しても良いって言われたから」 (!!!!!?っ ) 「な、何で?何時?どうして?」 問い詰めても首を振って答えない。再び首にしがみついて来る。 「して・・・・・・・・・・・いいから」 「で・・・でも・・・」 「あたしも・・・・もう・・・・我慢できないっ!」 そう言って唇を重ねてきた。 (!!!!!っ −−−−−−−−−うぁあああああっ!) かあっ と頭に血が昇る。 気が付いたら押し倒してこっちから唇を奪っていた。麻衣が懸命に吸い返してくる。首に巻きついた腕に力が入る。 勢いがついて舌を滑り込ませる。 「(!!?)んっ・・・んんっ!」 びっくりして びくん。と跳ねる。 ちろっと舌を差し出してきたのを絡めとる。 「!!っ!っ」ぴくん。ぴくん。とぴくつきながら真っ赤な顔で懸命に舌を動かして応える麻衣。 手を制服の下から潜りこませブラごと胸を揉みこむ。初めて揉む麻衣の双乳。・・・・も、ものすごい柔らかい。 (おおおお?す、すごい。ふかふかしてる。) 今まで会った女の子の中でも格別に柔らかい。何だ?す、すごいぞ?マシュマロどころの比喩じゃないぞ? そのくせ既に先端が固くシコってるのをしっかり感じる。うおっ。麻衣もすごい興奮してる! 淡い下草へ手を伸ばし弄る。すごい、ぐっしょりだ。 秘裂をなぞり つつ・・と薄肉をめくると、とろりと淫蜜が垂れてくる。 だだ駄目だ。我慢出来ない。 脇の布団に寝かせてショーツをひん剥き覆い被さってしまう。 「麻衣ちゃん・・・・」 「・・・・・・いい・・・よ」 緊張しながらも麻衣が頷く。脚を掴み内股を割って淫裂に肉棒を添える。 (ついに、ついに麻衣と。ああ、でもこんな急にムードも何も無いまま、なし崩しにしちゃって良いのか? でもでも本人が良いって言って・・・) 麻衣の表情を見る。羞恥に染まり震えながら耐えて・・・・・・・・・・・・・・・?・・・・・・・・・・・え? 麻衣の目が潤んでる。 いや・・・・思いつめてる・・・泣きそうになってる・・・ 違う。 何か違う。 頭の中が急速に冷めていく。 念願叶うはずなのに、何で気分がこんな冷めていくんだ?盛り上がらないんだ? 麻衣が泣いてる。 違う。 これは感じてる涙でも情感が高まったのでもない。悲しんでる? 何かを耐えてる涙に見える? 興奮が冷めてくる。おかしい。おかしい。変だ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒロちゃん?」 「・・・・麻衣ちゃん、どうしてそんなに・・・・辛そうなの?」 「!!?・・・・・・そ、・・・・そんな事・・・ないよ。・・・・緊張しちゃってる・・・だけだよ」 「ちがうよ。判るよ。無理してしようとしてるのが・・・何・・・焦ってるの?」 麻衣は唇を噛み締めて・・・突然顔を両手で覆って・・・・泣き出してしまった。 (・・・・・・・・・どうなってるんだ?) 落ち着かせて宥めながら事情を聞き出す。そして僕は知った。 僕の身体に悪い兆候が見られ始め、何時また倒れるか判らない為、天津のおばあちゃんから姉妹に 血族存続の為、契って子供を身篭る様に指示があったって・・・・・・・ (ふ、ふざけやがって!冗談じゃない!) 当然僕は怒った。ものすごい腹が立った。俺は種馬か?しかも実孫の二人を祖母が牝馬扱いするなんて何考えてんだ! 怒鳴り声を聞いて驚いた亜衣が走って来た。事情を説明すると口惜しそうに顔を歪めて認める。悩んでいたと白状する。 おばあちゃんに文句言いに行こうとする僕を姉妹が慌てて止める。納まりきらずについ怒鳴りだしてしまう。 「僕の子供を残す為だけが目的で僕とHするっていうの?」 「「・・・・・・・・・」」 「僕は種馬なのか!? 二人だって良いの?それで良いの?一族が大事だからってこんな命令にまで従うの? いくら血の存続の為だからって僕はそんな事したくないよ!僕の意思はどうなるんだよ?」 「そんなの理由で僕は二人としたくないっ! すっ、好きな女の子が命令で!義務で僕と子供作ろうとするなんて!強制でそんな事するくらいなら死んだほうがましだ!」 (ああ・・・糞、ムードもタイミングも無い最低の告白になってしまった。) 苦い物が胸に詰まったけど勢いついた口が止まらない。 「二人にもそんな風に考えて欲しくない!いくら一族の命令だからってこんな事にまで従って欲しくない」 「決定?決定だからって何だよ!じゃあ何?!僕じゃなくってもするの?」 (ああやばい。やばい。やばいそれは駄目だ。言ったら駄目だ。) でももう口が止まらない。 「僕じゃなくても、何処の誰でも道真の血を持ってれば抱かれるの?どんな男相手でも股開くのか! 命令だったら従って誰にでも股開いて子供孕ませるのかよ!」 ばちん!! ・・・・・・・・思いっきり亜衣が僕を引っ叩いた。 ぎりぎり歯軋りしながら呻くように声を吐き出す。 「あんただって・・・誰にでもしたくせに」 「!」 「あんただって!誰彼かまわずしたくせに!」 「誰でもいいのはあんたの方でしょう?」 「させてくれれば!誰でもいいのはあんたの方でしょうが!!」 「何人ともしたじゃない!」 「何人ともしたくせに!」 「させてくれるって来た三人に鼻の下伸ばして、二週間も閉じこめて猿みたいにしてたのは何処のどいつよ!!」 「!!」 「あんたその時のあたしの気持ち少しでも考えた事あった!?」 「!・・・・・・・・・・・」 「毎日聞こえてくる変な声に、あたしがどんな思いしてたか少しでも考えた事あった? 無かったよね?浮かれて猿みたいにやってたあんたに!」 「自分は好き勝手してるくせに、私たちには家命に従わないで自分を大切にしろですって? 家命で来た娘さん達に散々手出しといてよくもぬけぬけと。どの口で言うのあんたは!」 「病院であんたが看護婦さん達と、どんな事になってたか私達が気付いてなかったと思った? 鎌田さん(襲った巫女さん)の事でどれだけ私達が話し合ったのか知ってるの? あんたの為にどれだけの人間が考えて、話し合って、動いていたか知ってるの? 呑気に部屋に篭ってやらしい事してたあんたに!」 「今あんたが生きてるのは私達一族の助けがあってなのよ? そりゃ鬼麻呂様が宿ったのは事故で、責任の一旦はこちらにもあるわよ。 でも大勢の人間があんたを助けて働いてるから、今あんたはここで呑気に暮らしていけてるのよ? それを自分に都合のいい事は受け入れて、気に入らないのは怒り出すの?あんただってもう私達一族の人間なのよ!」 麻衣は俯いたまま黙っているが、異論を言わない以上同じ事を思っていたのは間違いない。 (言い返せない・・・・) 今、僕は自分に都合の良い事をだけ都合良く受け入れた挙句に、気に入らない事は亜衣達にも止めさせようとしてる。 まったくその通りだ・・・今の僕は自分勝手で自己中で小狡い卑怯者だ。 完全に間違えてしまった。 好きな女の子にアタックするなら告白して、OK貰ってからキスして、Hなのが当たり前なのに 僕は正式に二人に告白さえしてない。 確かに今迄の経緯で告白して二人に断られてからフェラとか頼むようになったら互いに気不味く 辛いものがあったかもしれないけど、本気で彼女達を女性として求めてたのなら一番最初にそれをするべきだったんだ。 断わられるの怖がらずに一族の命の為ではなく「僕の彼女となって、そのうえで僕を助けてくれ」と言って 告白して求めなきゃならなかったんだ。 逆に状況に流されて二人に性欲処理を頼むのなら、そんななし崩し的な恋愛関係を相手に求めちゃいけないんだ。失礼だよ。 僕は自分が傷付くのが嫌で告白出来なかった。そのくせおばあちゃんから2人への淫行を言われると 欲望につられて承諾して、押しまくって ろくに知識の無かった姉妹に散々淫らな事をしてしまった。 『淫行しないと生きていけない。』という状況を振りかざして好きな娘への性欲を満たしてたなんて、何て卑怯で汚い行為だ。 本当だ・・・僕は二人を怒る権利なんて無い・・・。 「そうだね・・・・・亜衣の言う通りだ・・・・・ごめん」 「!!っ・・・・・・・・・・・・・くっ!」 とっさに再度亜衣が手を振りかぶり・・・しばらく葛藤した後でゆっくり手を下ろした。 僕は二人に頭を下げる。 「麻衣ちゃんにも・・・ごめん・・・調子に乗っていっぱいHな事しちゃって、ごめ・・・」 「謝るな馬鹿っ!!」亜衣が泣きそうな表情で怒鳴る。 「!っ・・・・・ぁ・・・・・」 「あやまる・・・・っ・・・・」口惜しそうに黙り込む亜衣。言い過ぎた。でも言い足りないという苦々しい表情。 麻衣も何度か何か言いたそうな顔をしてたけど、ついに一言も発せず黙ってしまった。 亜衣は息を荒げ何度も唸ってたが、今は自分も興奮してしまってて、冷静に結論出し難いと考えたようで 「少し・・・・お互い時間をかけて落ち着きましょう?それから・・・皆で話し合いましょう」と言った。 「・・・・・・・・うん」 「そう・・・だね」 二人は戻って行った。残された僕は脱力してへたり込む。 (ああ、駄目だ。今お前が落ち込んでも只の自己陶酔なんだよ・・考えるんだ、考えるんだよ。 良い気になって二人を傷付けてしまったのをどうしたいか、どうすれば良いのか・・・ああ俺って何て汚い奴なんだ。) でもショックが大き過ぎて頭が回らない。自分の馬鹿さ加減に呆然としたまま夜が明けた。 朝・・・2人は僕を避けて先に登校していた。しばらく顔を会わさない気らしい。 体調がかなり戻った今はたぶん2週間くらいは相手をしてくれなくても耐えられるだろう。それまでに答えを出さないと。 浮かれ過ぎてた昨日迄から一気にどん底へ落ちた気分で、僕は部屋で頭を抱えて悩んだ。 でも・・・・・僕達は大事な事を見落としていた。 気にもしていなかった・・・・・ 誰も対処していなかった・・・・・亜衣も、麻衣も、子守衆の皆も。 そう・・・既に鬼獣淫界は復活していたんだ。。。。。。。。。 20話 了 |