聖獣伝 −リターン− Act.1
by Rusty
「うぅん...。あれ?」
ひんやりとした感触にふと目を覚ますと、俺は何故か暗い洞窟(?)
の様な所に居た。周りは紅い凸凹した壁になっていて、先のほうは薄
暗くてよく見えなかった。
勿論、始めてみる光景のはずなのだが、何故か俺には見覚えがあ
るような感じがした。
「おぉ!!お目覚めで御座いますか!!」
突然、前方より声がするのでそちらを見ると、さっきまで誰も居な
かったはずの所に、男が一人立っていた。その男は、古めかしい衣装
(平安時代の貴族の様な)を身にまとい、何故か喜びに打ち震えてい
た。
(ん?こいつは見覚えがあるぞ。誰だったかなぁ?)
「淫魔大王様!!私で御座います!!鬼夜叉童子で御座います!!」
(あ!そうそう鬼夜叉童子だ。あの作品の...って淫魔大王ぅぅ!!!!)
(なんじゃそらって、なんかでかくなってるし俺っ!!ええぇっ俺っ
て..........淫魔大王なの?じゃあ鬼麻呂は?)
「どうかなされましたか淫魔大王様。御復活なされたばかりですからお
疲れなのですか?」
「おお鬼夜叉童子か!大丈夫じゃ!それより今の状況を説明してくれい。」
(とりあえずそれらしくしゃべっとこう。今の状況も知りたいしね。)
「はっ。まことに残念なお話ですが、淫魔大王様が封印されておられました間、この世は、人間どもに支配されておりました。我々もこの世を鬼獣淫界の物にする様、色々な手を打ってきたのですが、人間ども、特に天神羽衣衆にことごとく...」
「よいよい。わしが復活したからにはやつらの好きにはさせんわ。とこ
ろで今、天神羽衣衆を率いているのは、なんという者じゃ?」
「はい。天津幻舟を筆頭に、その孫娘の天津亜衣、麻衣姉妹がまもな
く、天神羽衣壱の舞を完成させんとしている所です。あの舞を習得さ
れると我々には大変な脅威となることでしょう。しかし私どもはてっきり天神子守衆が守っている鬼麻呂がてっきり淫魔大王様の生まれ変わりかと思っておりましたが...」
(おっ。ということは、俺は最初の作品の頭の時代に来てるんだ。)
「只今、白毛鬼を召還いたしますので、淫魔大王様より能力を与えて
ください。私がやろうと思っていたのですが、淫魔大王様が復活した
今、白毛鬼は更に強力になり、必ずやにっくき天神子守衆を...」
「まあ待てぃ!わしに考えがある。」
(能力?俺に使えるのかな?って、わああぁぁっつ!!何だこ
りゃ!!頭の中に次々と呪文が浮かんでくる。えっと何か使えそうな
のは...ようしこれだ!!)
「作用で御座いますか。畏まりました。全ては淫魔大王様のお心のま
まに...」
(鬼夜叉童子君。君には悪いけど、ちょっと楽しませてもらうよ。すぐ倒しちゃったらつまんないもんね。それ『鬼獣操念波っ!!』)
....つづく