淫獣聖戦 偽典 「繭地獄」 16 |
「ふう。なかなか良かったぞ。天津君」 桂の言葉を受けて、亜衣はやや正気を取り戻す。これが男の精液。なんてねばねばして、生臭いのだろう。が、不思議なことに、もはや汚わらしさを感じない。それより吐き出したら、先生が怒るだろう。そんなことしか思いつかなかった。口内に残った精を、こくりこくりと飲み下した。舌にまとわりついた、苦さも妙な親しみさえ感じる。 「これを綺麗にして貰おうか」 「はい」 亜衣は抵抗する気すら憶えず、白い粘液を顔に滴らせたまま、素直に筒先に吸い付いた。ぬちゅ、ちゅぱ、ちゅーーっ。中に残った液を一滴残らす吸い上げる。そうしていると、なぜか苦さが消え、甘みが混じっている気にさえなった。亀頭や茎胴、陰毛に垂れ下がった滴さえも全て舐め取ったとき、胸が重く感じ、腰が甘く震えた。私、奉仕するのが好きなのかも知れない。ひどく扱われるほど実は感じるのかも知れない。そんな概念が、頭を占めてゆく。 「これで顔を拭き給え」 「ありがとうございます」 自分で汚しておいて・・・とかそういう対抗的な発想とはならず、素直に感謝して差し出された手拭いを受け取る。顔、首筋を拭いていったときに、一向に衰えようとしない桂の逸物が目に入った。おちんちんって、出したら小さくなるんじゃあないの?その雄渾なモノに恐怖と畏敬の念を感じ、また子宮がきゅっとなった。 「天津君。お返しに得も言えぬ、陶酔を味合わせてやろう」 この男に抱かれるんだ、甘い諦めが亜衣の頭を覆い尽くした。どうせ、もう私は処女でないのだし、一回が二回になったところでどうということはない。それで美和ちゃんが救われるのなら意味がある。いまさら逆らったところで、勝てるわけはないのだから。亜衣は免罪符を手にした気がして、こっくりと肯き返した。 桂は腰を下ろすと、亜衣を抱き寄せた。素肌同士の触れあいが、こんなに気持ちよく安心感を生む物なのか、亜衣はそう思った。確かに男女の仲はこれで深まるのかも知れない。そう神様が作ったのだろうか。 「あっ」 抱きしめられて。胸がつぶされ、心地よい波紋が広がる。やや、躯を放すと、顔を近づけてくる。桂の意図を察した亜衣は、面を反らそうとしたところ、顎を摘まれ逆らえなくなった。 「んん」 唇が合わさる。吸い付かれ、引き結んだ合わせ目を舌でなぞられる。別に口ぐらいと亜衣は思ったのだが、何かの障壁に勇気が出せず、開けなかった。 「ああっ。んーーっああぁんんああ」 乳首を摘まれた。今度はそれほど力が入っていなかったが、以前に捻りつぶされそうになったことがトラウマにになったのか、思わず口を開いた。ぬるっと桂の舌が進入し、代わりに亜衣の舌が吸い出される。 これがキス。そうだ、私のファーストキスだ。だから怖かったのか。しかし、キスとは、こんなに快感を生じるものなのか。嘗め回され、吸い上げれられる。亜衣はそれだけで陶然となり、自らも吸って流し込まれた唾液を飲み込む 「ふっあああーーっ」 数十秒後、ようやく唇を外したとき、気だるく、もう全身に力が入らなかった。亜衣は桂の顔をまじまじと見た。整った端正な顔だ。なぜ、この男のことを嫌ったのだろう。その理由が全く思い出されなかった。自分はもしかしたら、この男に支配されたいと思ったのかも知れない。そのやり方が分からなかったから、子供じみて反応し、ことあるごとに対立しようとしたのかも。桂が淫魔衆で、第六感で見抜いたという事実は、頭の片隅に残っていたが、それは皮相的な偶然に過ぎず、その奥にある真因を見た気がした。 桂は、頭をずらし、首筋に吸い付き、軽く甘噛みし舐め上げる。手は一方乳房の裾野に付けやわやわと揉み込み、もう片方は腰からすべり降りて、むっちりと張り出した尻をさすりなぞる。 亜衣は、桂の舌や指が這った部分が熱く火照り、そこから女淫に向けて歓びの波を照射するのを感じた。そして淫裂は、絶え間なく淫らな蜜を吐き、疼きで甘く融けそうだ。亜衣はそこをめちゃくちゃに触って欲しくて仕方が無かった。尻の切れ間から指が背中を這いながら上へ上へと登ってゆく。それにつれて亜衣は怖じ気にも似た感覚が追ってくる。首筋を通り手が束ねた髪に掛かった。それは羽衣とはならないがリボンで結わえられていた、桂はそれを解いた。ざっとカサの多い髪が降りてきた。 「この方が可愛いよ」 そう言われた、亜衣は胸がざわめいた。 「ああっ」 亜衣は上半身を床に倒され、解いた髪が放射状に床へ広がる。桂が覆い被さり、再び唇を奪われる。今度は荒々しく乳房を揉み絞られる。怒張は亜衣の無毛の痴丘を突く。亜衣は、冷たい床も気にならず、ゆるゆると股を開き、もっと良く突いて貰おうと思った。 「あう。はああっん、んんんあぁ、だめぇ」 しかし、桂ははぐらかすように、下へ体をずらした。 「あひぃーーっ。んんあぁ。だめ噛まないでぇ」 尖りきった乳首を吸われ、舌でこね回され、甘噛みされる。胸の先にもう一つ牝芯ができた感じだ。狂おしい螺旋に捻られるように、亜衣を押し上げていく。呼吸は乱れ、瞼の裏に星が流れ、官能に焙られる。もう、どうなっても良い。そう亜衣が音を上げた頃、ようやく桂の指が、秘所に届いた。 「はあぁーっ。うんんあああ」 土手を包み込むように撫で、柔らかく尖りを掃く。膣前庭をなぞって、とば口に軽く出し入れする。亜衣は堪らず、桂の首を掻き抱く。 「いやっ、いいーっん。あはあん。だめよ、そこは。ああ変になっちゃうぅん」 亜衣自身聞いたことのない、甘くよがりきった嬌声を発していた。口の端から乳児のように涎を垂れ流し、眉をだらしなく下げ、瞳は虚ろで焦点を結んでいなかった。 「ふん。こちらの準備はもう必要ないな」 指の間に糸を引いた痴蜜を見せると、亜衣は涙目で何度も頷いた。桂は亜衣の片脚を肩に担ぐと、照準を合わせぐいと腰を突き出した。 「ひっ。んあぁーっ。あぅあーっ」 亜衣は、挿入だけで達してしまった。極楽とはこんなところかと、無音の境地に至ったかと思うと、落ちるように無重力となって現世に引き戻される。耳に届くのは、溺れたような自分の息遣い。 熱い。それになんて堅いんだろう。焼けた鉄の棒を突き入れられた如く、身が焼かれる感覚が、脳を支配してゆく。カーマとのまぐあいでは、混乱と痛みで、拒否してするように五感を閉じていた。しかし、今は交合の細部にわたる情報が、歓喜の洪水と同時に押し寄せていた。それが何とも心地よい。逸物が抜かれてゆくと耐え難い喪失感に襲われ、再び突かれると半身を取り戻すような充足感で満たされる。そして二度と離すものかと、淫裂を喰い締めずにはいられない。先端が奥底の子宮を叩けば、信じられないほどの快哉が躯を貫く。 それは、桂とて同じだった。亜衣に怒張を沈めてゆくと、襞がぬめぬめとまとわり、とば口と中程、そしてカリが当たる奥が不通女にも負けないほど締め付ける。名器の俗称で言えば三段締めだ。それが絶妙な動きで奥へ奥へと吸い込んで容易に離さない。突き入れた先には、下がりきって、こりっとした子宮口と共に内壁の粒立ちが亀頭や鰓に当たり、前後すれば擦れて得も言えぬ愉悦を生む。この錬れた女淫が、この前まで処女だったものか。桂は亜衣の機能のすごさに舌を巻きつつ、それでも冷静に、三浅一深を心がけて腰を進める。そして、亜衣を狂わせるべく、事前に指で探り当てたポイントを幾度も切っ先で抉る。 亜衣は、ただただ悶え喘ぎ、おもねるように頭を振っていた。これが、本当のSEXなのか。なんて気持ちいいんだろう。生まれて以来男を避け、只一筋に天神に捧げてきた年月が、今では愚かなことだと思えていた。そして、肌を合わせている存在を抱きしめると、安心感と陶酔が心を満たしてくれる。これが本来の人間の営みなんだわ。亜衣は桂によって深く刻みつけられた。 「あっ、あっ、はあぁーーっ。あっ」 桂の律動が速まり、どんどん亜衣は高まってくる。桂は亜衣の耳朶に口を寄せる。 「亜衣、今度達しそうになったたら、イクって言うんだ。ちゃんと口に出すと何倍も気持ち良くなる。いいね」 そんなこと、恥ずかしくて死んじゃう。亜衣はそう思ったが、何倍もいいという誘惑が心をむき出しにした。 「ああ、だめ。そんなに激しくしたら・・・融けちゃう。んーーっふ。んっはああーん。イイーっ。気持ちいいのぅ」 亜衣は、本当に桂と融け合うような愉悦を味わっていた。桂は、二浅一深、一浅一深とシフトアップし、亜衣の嬌声が最高潮に届いたとき、大腰を使って遮二無二突き上げた。 「あっ、あっ、あん。だっ、だめ、イッちゃうの。亜衣イッちゃう・・・イクっ。イクぅーん」 断末魔の女啼きを轟かせると、痙攣しつつ、桂の屹立を締め上げた。それに耐えかねた桂はドウとばかり精を迸らせる。最奥で爆ぜた白濁が亜衣の子宮をどくどくと何度も叩いた。 「ああ。でてる。膣で出てる、ああーっ。また。イグぅーっ」 亜衣は最後の一滴まで絞りきるように名残惜しく締め付けると、惚けたように弛緩した。 |