鬼獣淫界  荒涼なる大地

 

 

 

 

 

 

(タンッ────)

 

 

 

 葛葉という相手に思わぬ時間をとられたカーマは、一跳びで幾つも岩を飛び越し、急ぎ悪衣の元へ向かっていた。

 さすがにカーマも焦りを見せ始めているのか、その表情に笑みはない。

 

 

 しかし

 

 

「っ・・・!」

 

強大な霊力の波動を感じたカーマが咄嗟に体勢を変えた その瞬間

 

 

(ゴウッ────!!!)

 

 

 常識では考えられない威力を込めた霊力波の塊が、カーマの眼前を掠り、流星の如く駆け抜けて行く。

 

「(これは・・・)」

 今のは、直撃を受ければカーマでも危うい。

 それだけ、霊力波を撃った本人の霊力は強いという事になる。

 

 それも、人間を遥かに超えた、神のクラス。

 ということは、これが撃てる存在・・・ それはカーマの聞き知る限り、一人しかいない。

 

 

(スタッ・・・)

 

 

着地と共に、霊力の砲弾が飛んできた方向を睨むと

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 そこには、予想通りの一人の男が立っていた。

 

 緑がかった髪。平安の服装。美形ながらも野性的な相。一角獣の如き角。

 そしてその瞳は、強い敵愾心と憎悪を込めて一直線にカーマを睨んでいる。

 ・・・・・・タオシーから聞いていた特徴通りだ。

 

 まったく、次から次へときりがない。

 

 

「・・・これはこれは。淫魔大王様ではありませんか」

 カーマはわざと、畏敬の欠片も篭もっていない敬語で目の前の陽神の鬼麿に挨拶をした。

 淫魔ならではの挑発だが、その割にカーマの表情にやはり笑みはない。

 

「俺を二度とその名で呼ぶんじゃねー・・・!!」

 カーマの行く道の先に立ち塞がる形で立っている鬼麿の第一声は、怒りに満ちていた。

 

「フン・・・」

 鬼麿の怒気に対し、カーマはうわべの敬う態度すらとりやめたらしい。

先ほどの霊力波で、多少焦げた前髪を救い上げ

 

 

「それで? 今更何をしに来た?」

 ぞっとするほど冷たい目と語気で、邪魔だと言わんばかりに問う。

 

「・・・・・・てめーは」

「俺は?」

 

「俺の大切な人を犯した。傷付けた・・・っ!!」

 刃のような殺気が、カーマに向けられる。

 

 カーマに処女を奪われ、その後も犯され続けた亜衣。

 木馬の上に跨がされ、処女を失った麻衣。

 

 そのどれも、行ったのはカーマである。

 亜衣、麻衣を大切に想っていた鬼麿にとっては、カーマほど憎らしい相手もいないのだ。

 

 だが

 

「何を言っている」

 それを聞いたカーマは、逆に冷淡な目で

 

「それを望み、命じたのはどこの誰だ?」

「・・・・・・・っっ!!」

 

 紛れも無い事実をぶつけられ、青年の鬼麿は心臓を潰されるほどの痛みを覚える。

 

「憐れだな。理(ことわり)の化身である神にもなりきれず、人にもなりきれず・・・ 淫魔として欲望に従い生きることも出来ない」

「・・・・・っ だまれ・・・」

 

「それでも、どれか一つに己の道を決めていればああはならなかっただろうに。

 しかしそれを決められなかったのは、お前の幼さ・・・ いや、幼さに甘えた軟弱さか」

 

「黙れよ・・・」

 

「俺は、淫魔としての欲望に正直に生きているぞ。

 心欲するままに、俺は貴様が手に入れることが出来なかった亜衣という宝を手に入れ・・・」

 

 

「だまれっつってんだろ────っっ!!!!」

 

 

(ドウッ────!!!)

 

 

 怒りの叫びのままに発射される、天神の力の塊である霊力波。

 しかしそれを、今度はいとも簡単にカーマは避わしてみせた。

 

 

「(やはりガキだな、こいつは・・・)」

 見た目はよろしくとも、こうやって揺さぶればすぐに切れる。

 

 それを見越したからこそカーマは、わざわざ鬼麿を最も激昂させる言葉を選び並べ立てた。

 タオシーには出来ない、男の劣情や心理を隅々まで知っていなければ出来ないテクニックである。

 

 

「てめえだけは・・・ てめえだけは許さねえぞ!! カーマぁあっ!!!!」

 激情と共に、次の攻撃を繰り出す鬼麿に

 

「・・・・・知るか。どけ」

 静かな殺意をもって、それに相対するカーマ。

 

 そう。誰に許されようと許されまいと、そんなもの・・・ 真に欲しいと思う一人の女の前には、瑣末なものでしかない。

 立ち塞がるものが神であろうと魔王であろうと、全て打倒し、破壊し、先に進むまでだ。

 

 

 

(ドウッ────!!!)

 

(ズガッ────!!!)

 

 

 

 カーマの鞭と、鬼麿の霊力波が、互いに交差し、弾け飛んでは、耳を劈く轟音と共に鬼獣淫界の地を破壊していく。

 

古代神と、天神の末裔の激突。

 誰が予測しえたろうか。この番狂わせの戦いは、正に神々の衝突、神と神の戦争の再現である。

 

 

 

「うおおぉぉらあぁぁあああっっ!!!」

 

「・・・・・・チッ───・・・」

 

 片や、大切な人を傷付けた相手を倒す為。そして大切な存在を守る為。

 片や、己が望むもののために

 

 神の力同士が、激突する────

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

    一方

 

  鬼獣淫界  瓦礫跡

 

 

 

 

 ビュウビュウと、刃物の様な音をさせた冷たい風が通り過ぎる、戦いの跡。

 その中心に、血の海に抱かれうつ伏せに横たわったまま、人形の如く動かない、一人の少女の姿。

 

 カーマに敗れ、致命傷を負ったまま倒れ伏している、葛葉である。

 

 虚ろな目は何も捉えてはおらず、鼻は何も嗅ぎ取らず、ただ自分の心臓が弱まる音だけが、掠れた意識に聞こえるだけ。

もはや、呼吸さえ消えかかっていた。

 あとは─── 数分と経たずに、千年以上を生きてきた命の灯火も潰えるだろう。

 

 

(ジャリ・・・)

 

 

 そこに響く、軽い体重が砂利を踏む音。

 

「────・・・・・ ・・・・・?」

 それは、死の間際の幻聴の類か

 どちらにしろ、顔を僅かに持ち上げる余力、意識すら、葛葉にはない。

 

 

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

 

 

        一方

 

 

 

 

 

七十七の天罰!!!

 

 神具発動と同時に、武神装を纏った風螺華は大きく屈むと、次の瞬間にはバネのように天空へ向かって空高く跳躍していた。

 

 人の常識と限界を軽く超えたジャンプの先、虚空の上に現れる蓮の花。

 そこに軽やかに着地すると

 

 

「具現。七十七砲!!!」

 

 忽ち、風螺華の周囲に無数の梵字が出現し、それが円状の帯となり、風螺華を中心とした半透明な球体を作り上げる。

 風螺華の神具。それは霊性と科学の融合した、七十七種の銃砲

 

 

「ギャ────ッ!!!!」

 翼を持つ魑魅魍魎達は、空の上の風螺華に、狂気のまま一直線に襲いかかろうとするが

 

 

「砲撃っっ───!!」

 

 自分に向かってくるその時を狙い、風螺華は叫んだ。

その瞬間に、風螺華を囲む球。七十七の梵字が、それぞれに違う形の重火器の砲身へと変わっていき

 

 

(────────────────ッ!!!)

 

 

 マシンガンが、ショットガンが、キャノンが、レーザーが、

 火炎放射から苛流電子砲に至るまで、現代科学が作り出し、神通力と融合した古今全ての重火器が、一斉に炎雷を吹く。

 

 七十七の砲身は、一つ一つが絶大な威力を持ちながら、その全てが過たず正確に敵の核に命中し、ミンチに変え、焼き払い、消滅させていく。

 

「はっ──!!」

 それを可能にするのは、【千里眼を持つもの】広目天の全てを見通す力と、その力を使いこなし、全方位への正確な射撃を可能にする風螺華自身の能力、才能あってこそだ。

 

 

 

 

不動炎龍昇(ふどうえんりゅうしょう)っっ!!!!」

 

 同じく叫ぶは、朱と銀の武装を纏った明奈。

 その途端に明奈の身体を紅蓮の炎が包み、龍頭の形を創り出す。

 

 不動明王が纏いし、全ての邪を焼き払う浄滅の炎。

 それこそが、明奈の持つ神具なのだ。

 

 

(ゴォッ───!!!)

 

 

 炎から生まれた龍は天地をも揺るがす咆哮を上げ、魑魅魍魎達を巻き込み喰らいながら、大きく螺旋を描き、天へと昇っていく。

 

 絶叫を上げる間もなく、炎龍の鱗火に触れるだけで蒸散する淫魔達。

 大地から天まで、美しき紅の螺旋を描いた炎龍は、その姿を巨大な火柱の渦へと変える。

 

竜巻・・・ 否。その姿は、炎で作られし、全てを燃やし尽くすハリケーン。

 

 

「ギィィィ───っ!!!」

 

                    「ケ────ッ!!!」

 

 

 それは風を、周囲の全ての物を巻き込み

無数の淫魔、魑魅魍魎達もまた、掃除機に吸われる砂利の如く、その中へと吸われ消えていく。

 

 

 風螺華、明奈。

 安部最強の女戦士である二人は、驚くべき神具発動の力で、ほぼ淫魔の軍勢の半分以上を蹴散らし、消滅させた。

 

 

 

 そして

 

 

 

「これで・・・ 終わりだぁ───────っ!!!

 

 人生最大の気合を込めて、那緒が拳を振りかざし・・・

 

 

 

神聖なる千師団(サウザンド・ウォーリアーズ)!!!!」

 

 

 

 淫魔の軍団に引導を渡す為、最後の一人として神具を発動させる。

 

 白銀の千手の篭手が光り輝き、さながら美しき神の後光の如く那緒を照らす。

 そして出現する、千手観音・・・ 那緒の神具。

 

 

 千手の篭手、その全てに何かが握られている。

 それは槍や剣といった武具から、水晶、経典、錫杖、数珠。果ては農具に至るまで、何一つとして同じ物はない。

 そして驚くべき事に、その一つ一つは、全て神具の波動を持っていた。

 

 これまで、武神装女が持つ最大の奥の手である神具は一つ、多くて二つが基本。

 それを唯一覆す規格外が、七十七種の銃砲だが・・・ それもまた、たった一つの砲台の神具というカラクリである。

 

 だが那緒の千手の篭手に握られている千の神具は、それこそ本物の【規格外】と言える存在だった。

 千の神具は全てが独立しており、そのそれぞれがれっきとした神通力を宿している。

 

 人々を救う千の手を持つ千手観音。

 それが那緒の、最強の武神装の形。

 

 

「いっっ・・・けえぇぇ────────っっ!!!!!」

 

 剣が、槍が、錫杖が。

千の神具総てが眩く光り輝き、その力を発動させる。

 

炎が、雷が、水の刃が、鎌鼬が、

浄滅の光。重力。ありとあらゆる種類の力が、残る全ての邪鬼達を襲った。

 

 

「おらおらおらぁ──────────っっ!!!!!」

 調子に乗りながら、那緒はその凄まじい千手の力をフルパワーで邪鬼を消滅させていく。

 

 鬼獣淫界の荒野の中、那緒の笑い声が大きく響いた。

 

 

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

 

 

 そして

 

 

「とっどめぇ────────っっ!!!!」

 

(カッ────!!!)

 

 那緒の最後の神具が、もはや一握りにまで減った最後の残党を光の衝撃で滅する。

 

 そうして、全ての魑魅魍魎は、荒野から消え去った・・・

 

 

「ふ───・・・・・」

 安堵の溜息と共に、地上へと最初に降り立つ、明奈。

 

「殲滅完了。ですね・・・ ほとんど神通力と霊力を使ってしまいましたが」

 続いて、風螺華。

 

 そして

 

 

(グラッ・・・!)

 

 

「・・・・・っ!?」

 一番の功労者となった那緒は、大地に降り立つなり、バランスを崩して倒れる。

 

 

「那緒!?」

 静瑠が駆け寄り、倒れた那緒を抱き起こす。

 

「那緒、大丈夫?」

「ゼッ・・・────  ハッ・・・──────」

 

 那緒は、まるで徒競走を全力で走ったかのように激しい動悸と呼吸を見せ、苦しそうに胸を上下させていた。

 

「あー・・・ こりゃ、オーバーヒートだな」

 続いて駆け寄ってきた明奈が、言わんこっちゃないという様子で呟く。

 

 

「当然ですね。あんな燃費の馬鹿デカい神具を、あんな風に考えなしでフルに使いまくっていたら。

 時間差で霊力疲労が一気に押し寄せたんでしょう。・・・尤も、武神剛杵のオートセーフ機能のおかげでその程度に済んでるのですが」

 

「あ──・・・・・ なるほど、ねぇ」

 千手の神具による活躍はかなりのものであったが、それでも那緒はルーキーの戦士。

圧倒的な経験不足が、こういう所に出てしまったわけだ。

 

 

「し・・・ ゼー・・・・・ しぬ・・・ ハ───・・・・・

 

「あはははははっ。ま、いい勉強になっただろ」

「うふふ」

「・・・・・・・・ ふふ」

 

 

 疲労困憊の若い戦士と、それを激励しながら明るく笑う。3人の戦士達。

 

 

 

 

(ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・・・!!!

 

 

 

 

「「「「!!!?」」」」

 

 その時唐突に、戦士達が立っている地面が、けたたましく揺れ始めた。

 

 

「っっ・・・!? な、何!?」

 

「地震か!!?」

 

「そんな、地球と理の違う鬼獣淫界で地震やなんて・・・」

 

「ということは、この揺れの震源は・・・!」

 

 風螺華は思考を休息回転させながら、自らが立っている地面に目を向ける。

 僅かながら、明らかな隆起とひび割れ、それを視認した風螺華の背を悪寒が走った───。

 

 

 

「皆、地面から離れ・・・────!!」

 

 風螺華の叫び、それと同時に、大きな音を立て、大地が割れた。

 

水に浮いぶ氷のように、不規則に岩土の塊りが盛り上がる。

それと同時に凄まじい轟音と、ジュルジュルという気味の悪い音を立て、忽ち風螺華達の身の丈よりも長く伸びる無数の姿。

それは・・・

 

 

 

「これ・・・ 触物淫魔!? うそ・・・?」

 静瑠が驚きのまま口にする、その名称。

 

 蝕物淫魔・・・ 植物に似た形と種という生態を持ち、ほぼ全てが触手体で構成されている、いわゆる鬼獣淫界の植物といえるもの。

 それには元々邪鬼や動物の様な知能はなく、ただ植物的な本能で、獲物から精気を吸い、糧とする。

 安倍の戦士達が何度も相手にしてきた、厄介な相手だ。

 

 しかし・・・ どうして?

 知能を元々持ち合わせない触物淫魔が、どうしてこんなフェイントをかけられる?

 

 そもそも、【養分】が必要な筈だ。

 なのに、どうして・・・ どうやってこの触物淫魔達は、成長した?

 

 

「(まさか・・・!!?)」

 そこで風螺華は、結論に至ると同時に、触物淫魔の根の部分を見渡す。

 

「っ!!」

 そこで風螺華は、改めて驚かされた。

 

 触物淫魔の半分以上。その根は・・・ 淫魔、邪鬼達の屍体から出現している。

 

「やられた・・・」

 苦虫を噛み潰すが如く、苦々しく呟く風螺華。

 

「おい、風螺華。なんかわかったのか? こりゃどーいうこった?」

 戦闘態勢を解かぬまま、明奈が風螺華に尋ねる。

 

 

「安倍薫・・・ ですよ」

 

 そう、触物淫魔自体にフェイントはありえない。

 ならば、そのフェイントを作ったのは、策謀に長けた人物以外には考えられるはずがなかった。

 

「大したものです。彼女は・・・

 淫魔の狂化兵の大軍は、苦し紛れの最終手段なんかじゃなかったんです」

 

「・・・・ つまり・・・ どーゆー・・・?」

 いまだ苦しそうな那緒が尋ねる。

 

「恐らく、食物に紛れさせるか何かをして、邪鬼の腹の中に触物淫魔の種を仕込んだ。

 そして・・・ 私達が神具を使い果たし邪鬼を全て倒しきったこの時になって、種は邪鬼の死体を糧として一気に成長し・・・」

 

「それで今のこれってわけか・・・・・・ 冗談キツいぜ」

 明奈は溜息を吐き、長い髪をクシャクシャと掻く。

 

「・・・・・・安倍薫。どうやら私達は、彼女の才能と力を計り誤っていたようですね」

 

 彼女は、私達の実力をほぼ完全に把握していた。

それは、あの淫魔の大軍の数を見れば分かる。

 

あれだけの数は、那緒のいなかった場合の私達ではどうしようもなかったろう。

それを何とか出来たのは、私達さえ知る事のなかった、千手の武神装を纏った那緒というイレギュラー。

 

 

しかし安倍薫は、もし淫魔の大軍がイレギュラーにより突破された時を想定して、更なる二段構えを設置していたわけだ。

おそらくは那緒の登場以外にも、様々なイレギュラーの可能性を考えたのだろう。

 

 もはや安倍薫に、イレギュラーへの弱さなどという弱点は無い。

 天岩戸での戦いは、安倍薫をより強大なる策士、参謀として成長させてしまったのか。

 

 

「・・・これも、安倍がやって来た非道外道のツケっていう訳やね」

「ああ、いっつもそのツケ払うのは俺達なんだよな・・・ 那緒、立てるか?」

 

「うぅ・・・っ う〜〜〜・・・ こな、くそっ・・・!!」

 

 溜息を吐く親友同士と、死にそうな声でなんとか立ち上がる那緒。

 

「三人とも気を引き締めて。そろそろツルが来ますよ」

 

 触物淫魔達が成長を終えきった、緑や赤色のグロテスクな花やツル。

それが、まるで獲物を見つけた蛇のように鎌口をもたげ、ゆっくりとこちらを向き、取り囲む。

 

 勝率は・・・ 計算するまでも無い。

 全員が神具を使い、霊力もほぼ消耗した。

那緒に至っては立つのもやっと、かくいう自分も、七十七種の銃砲という消費の強い神具の使用で疲労感は強く、体が重い。

 

 八つ裂きで死ねればまだいいが・・・ 淫魔を相手にして、それはあまりにも甘い考えだ。

 ともあれ、やれる所までやるしかない。

 私達は、こんな所で潔く素直に死んでやれるほど、背負うものは軽くは無いのだ。

 

 

 シュルシュルと、こちらへ伸び始める触手達。

 その動きと音が、自分達のファイナルラウンドの秒読み。

 

 背中越しに、仲間達がそれぞれに武器を、拳を構える気配と音を感じながら、自分も残った武器である拳銃に霊弾を込める。

 リボルバーの拳銃が好きな恋人に貰った、お守り代わりのリボルバーマグナム。

 普通の感覚なら、彼女の誕生日に贈るものとしては異常な品もいい所なのだろうが、私には指輪や花束よりずっと相応しい。

 

 

 

(カチリ・・・ カチリ・・・)

 

 

 6つしかないシリンダーの穴に弾を押し込む感触が、少し気持ちがいい。

 いつだったか、彼の目の前で【リボルバーなんて火縄銃のようなもの、西部開拓時代ならともかく現代では化石】だなんて言って、

大ケンカになったのは。

 

「・・・・・・ ふふ」

 それが今では、迷いなくこの局面で、最後の武器にこれを選んでいる自分がなんともおかしくて・・・ 自然と、笑みが漏れる。

 

 

 3・・・ 2・・・ 1・・・

 

 

(ギャルッ・・・────!!!)

 

 

 タイヤの摩擦のような音と共に、目にも止まらぬ早さで襲い来る、無数の触物淫魔。

 

 

「らぁぁあああっっ!!!」

 

「ふっ・・・───!!」

 

「このっ・・・!!!」

 

 それぞれに、最後の力を振り絞り立ち向かう戦士達。

 

 

「・・・・・・・・」

 風螺華は、ただ沈黙し、襲い来る触物淫魔の急所である根元を狙い

 

 引き金を

 

 

 

 

 ァンッ・・・・・!!!)

 

 

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

 

 

一方

 

京都  新平安京

 

 

 

 

「破っ!!!」

 右隊長、竜は、両手の先に霊気を凝縮すると、そのまま襲い来る邪鬼達に向けて放った。

 

(ドゥッ───!!!)

 

 それをまともに受け、風に吹かれた灰のように爆散する淫魔達。

 しかしそれでも数は一向に減らず、爆散により空いた場所も、すぐに別の淫魔達に塞がれる。

 

 

(キキキキ・・・)

 

(ゲゲゲゲ・・・・・)

 

 

 猛り狂った淫魔達の奇怪な声が、平安京に木霊す・・・・

 

 

「・・・・・・・・ 来いっ!!

 竜は欠片も物怖じする事無く、自分から淫魔の群れへと突っ込んでいった。

 

 

 

 

「畜生っ! これじゃキリがねえな・・・」

 一方の左隊長、剣も、愚痴をこぼしながらも両手に構える刀で次々と邪鬼を、そして触手を斬り捨てていく。

 

 剣のぼやきも無理もない。

何せ、邪鬼を倒しても倒しても、その側から中から、次々と触物淫魔が沸いて出てくるのだ。

 

 

「(これじゃあ、こっちのスタミナが先に尽きちまうぜ・・・!!)」

 そう、剣が頭の中で呟いた所で

 

 

「うわっ!? きゃああぁぁあっ!!!

 背後から聞こえる、悲鳴。

 

「っ!?」

 反射的に振り向く剣。

 その先では、悲鳴の主であろう一人の女性剣士が、触物淫魔の一体に捕まり、持ち上げられていた。

 

 

(ギリギリギリギリ・・・・・ッッ!!!)

 

 

「ぐ、ア・・・ がっ・・・!!」

 粘液にまみれた気色の悪い触手は、驚くほど力が強い。

その締め上げる強さに、女剣士の衣服はビリビリと裂け、骨が軋む。

 

 

「ちっ・・・!」

 普通に駆けつけても間に合わない。

 

 なら・・・

 

 

「(よし・・・)」

 剣は、その場で剣を構え

 

 

 

(シュッ・・・───!!)

 

 

 

 

 瞬きほどの僅かな間に、剣は部下の視界から消え、次の瞬間には触手を挟んだ反対の位置にいた。

 

 

「・・・・・・・(パチンッ!)」

 そして、指打ち。

 

 それが合図か、女剣士を拘束していた触手が、その女剣士の重みで、バラバラと切り身となり落ちていく。

 

 

「わっ、と、と・・・」

 仰天しながらも、女剣士もやはり鍛えられた戦士。

 自分の体が触手と一緒に落ちていくのを確認すると、軽い身のこなしで、シュタリと地面に着地する。

 

 

「大丈夫か? 柳(やなぎ)」

 そんな女剣士の目の前に、剣がいた。

 剣は邪鬼達の方に気を配り、部下の女剣士の方を見ていないが、柳という名前はしっかり覚えているらしい。

 

「え・・・ あ、はい。

ありがとうございました、剣隊ちょ・・・」

 

  そう言い掛けた所で、柳は自分の格好がほとんど裸のようになっている事に気が付き、慌てて胸を隠す。

 

 

「・・・もう捕まんなよ」

 そう言って、柳に自分の上着を投げてよこすと、剣はもう駆け出していた。

 

 

「剣・・・ 隊長・・・」

 後に残された剣士柳の剣を見る視線は、すっかり恋熱を帯びていた。

 

 

 

 

 剣は、居合いの達人である。

 洗練された究極の居合い抜き。それが、剣の必殺の極意。

 瞬間的な脚力、瞬発力、斬撃。そして霊力の絶妙なるコンビネーションが可能にする、不可避の光速剣。

 

 名をクイック・ドロウ(早撃ち)。

 西部時代の浪漫を愛する彼だからこその名前が付いたそれは、一瞬の勝負では最強を誇るものだった。

 

 

「姫さん!! まだですか────っ!!?」

 新たに襲い来る邪鬼や触手を切り捨てていきながら、剣は大きな声で桔梗姫のいる方へ叫んだ。

 

 

 

 

「こらぁ────っ!! 姫様になんというぞんざいな!!!」

 それに対し、姫の護衛役の義柔の声が返ってくる。

 

「このままじゃこっちがもたねえぞ───!!」

 

「わかっている───!! 姫様は結界を張りつつフルパワーで準備中だ────っ!!」

「貴様らもっと踏ん張らん・・・ うわわわこっち来た!!!」

 

乱戦していてわからないが、向こうも大変なようだ。

 

 

「ちっ・・・ 死ぬ気で頑張るしかねーか」

 改めて二刀を構え、突撃する剣。

 

 

 

 

「(・・・皆さん。何とか・・・ なんとか、持ち堪えてください・・・)」

 それぞれに戦士が死力を尽くす、地上の守衛線。新平安京。

その中央で、平安京全体に結界を張り続けている桔梗姫は、多量の汗を流しながら懸命に術式を編み続けていた。

 

 そんな姫の周りを、義柔達3人集を始めとした多くの僧兵が守護し、戦況を打破する為に戦い続けている。

 

 勝利への切り札は、桔梗姫にかかっていた。

 桔梗姫が間に合うか、それとも戦士達が消耗するが先か

 

 誰もが不安に支配されながら、それでも希望を目指し、戦っていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

 

 

       再び、葛葉の回想

 

 

 

 

「姉様!! 何故ですか!!?」

 

 信太の森とは違う小さな林。

その中で響く、柚子葉の張り詰めた声。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 当の葛葉は、柚子葉に背を向け、数歩離れた所に座したまま、何も答えなかった。

 

 

「何故あの男を・・・ 金毛九尾様の憎き仇を、何故殺さなかったのですか!!!」

 答えない葛葉に、柚子葉は更に怒号の如く問いかける。

 

 葛葉には、柚子葉を通して、一つの命令が里から与えられていた。

 

 【神、金毛九尾を殺した安倍康成を、葛葉自らの手で誅殺させよ】。

 

 それこそが、狐の掟に於ける、葛葉が己の罪を贖する唯一の選択肢となっていた。

 

 妖狐族は柚子葉に長刀と大布を渡し、【その刀を使って康成の首を刎ね、大布に包み持って来るべし】と、そう言い渡した。

 そして柚子葉の手から、刀と布は確かに葛葉に渡した。

 

 なのに葛葉は、何も持っては帰らなかった。

 康成を殺すことだけが、姉がこの森に自分と共にいられる、唯一の方法だったのに・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・ 出来るわけ、無かろう・・・」

 独り言のように、背を向けたままの一言。

それが、ようやく口を開いた葛葉の返事だった。

 

 

「わしは母親じゃぞ? 子を殺す母など、どこにおる」

 葛葉のその言葉に、迷いは無い。

 

「はは、おや・・・・・」

 母親・・・ 柚子葉にとっては、呪いの言葉。

 姉様が【母親】になってから、人の家族になってから、私は・・・

 

 

「・・・・・・・・・・・ それで、姉様はどうするおつもりなのですか?

 このままじゃ、姉様は・・・」

 

  様々な感情を押し殺して、柚子葉は姉に問う。

 

 

「全ての責はわしにある。ならば・・・」

 そう言うと、葛葉は長刀を持ち、その場で立ち上がる。

 

「ねえ、さま・・・・・・?」

 首筋に長刀の峰を当てて、左手で己の髪を掴む葛葉の姿に・・・ 柚子葉は、言い様の無い不安を覚える。

 

「すまぬな、柚子葉」

 そして一言。一言だけの、柚子葉を見ながらの謝罪の言葉。

 

「・・・・・・・!! まさか・・・!?」

 姉が行おうとしている事に気付き、その瞬間柚子葉は戦慄する。

 しかし、その時にはもう遅すぎた。

 

 

(バサッ・・・・!)

 

 

「・・・・・・・っ!!?」

 目の前で起きた光景に、柚子葉は息を呑む。

 

 いとも簡単に、長刀は真上まで振り上げられた。

 稲穂のように無造作に切り取られた銀の髪は、葛葉の手から離れ、大地にゆっくりと落ちていく。

 

美しき銀の髪は、大地に落ちる瞬間には本来の形である狐の尻尾へと戻っていた。

 

 

「あ・・・・ あああ・・・っ!!!」

 信じられない。とても信じられない。

そんな顔で、ふらふらと、おそるおそる葛葉の尾に近寄る、柚子葉。

 

 

「あ・・・ あ・・・」

 目に涙を溜め、震えながら、葛葉の尻尾を拾う柚子葉。

 

 

「そん、な・・・ そん・・・」

 葛葉の身体から完全に切り離された尻尾を抱き締め、柚子葉の顔は涙に濡れていた。

 

 

 妖狐族には、三つの姿がある。

 一つは完全なる狐の姿。二つ目は完全なる人の姿。そして三つ目が、人の姿に耳と尻尾が出た状態の、半獣半人の姿。

 

 その中にでも葛葉は特殊で、何故か人の姿の時は、霊力の要が変化することで、髪こそが妖狐にとっての尻尾の部分の化身となる。

 つまり、葛葉が人の姿の時に自らの髪を斬れば、それは自らの尻尾を斬ったことになるのだ。

 

 

「どう、して・・・」

 柚子葉には、訳が分からない。

 

 妖狐族にとって、尻尾は権威の、妖力(ちから)の、全ての象徴の筈だ。

 それ以前に、尾は命より大切な妖狐の誇りであり、証しであり、妖狐の妖力そのもの。

 

 後世の武士は髷を切られる事を恥としたが、妖狐が尾を切られることは、その比ではない。

 それは死にも何にも勝る辱めであり、妖狐が妖狐ですらなくなる行為。

 

 そしてそれ以前に、それ以上に、柚子葉は葛葉の白銀色の尻尾が大好きだった。

 姉の尻尾に甘えるのが大好きだった。父母のいない寂しさに泣いた時、母がしてくれたように、尻尾で撫でてくれたのが嬉しかった。

 

 なのに・・・

 

「どうして、こんな・・・」

 双眸を涙で濡らしながら葛葉を見上げる柚子葉の顔に、もはや怒りなどどこにも無い。

 ただ、わからなくて、悲しくて・・・

 

 

「・・・・・・子は殺せん。ならば、全ての責を受け死ぬべきはわしじゃ。

 しかし、わしは保名に【生きてまた会おう】と約束した。・・・よって、今ここで死ぬわけにはいかん。

 じゃからその代わりに、【妖狐族の葛の葉】をここで殺す事にした」

 

  短き銀髪となった葛葉は、悲しいほど淡々とした口調で、その理由を語る。

 葛葉は、たった今、妖狐である自分を【殺した】のだ。

 

「そんな・・・ そんな、理由で・・・?」

 とっくの昔に死んでしまった人間の夫。

 その生まれ変わりを待つという、その御伽話のような理由だけで、姉は・・・ 自分を、殺したっていうのか。

 

 

(スッ・・・)

 

 

 幼子の見た目そのままに泣きじゃくる柚子葉の額を、葛葉は優しく撫ぜる。

 

「ねえ、さま・・・」

 

「今まですまなかったの、柚子葉。

 わしの我侭に付き合わせたばかりに、お主を縛り、辛い時を歩ませてしまった。

 ・・・じゃが、それも今日で終わりじゃ。わしの尾を持ち帰り長老に渡せば、お主とわしの関係は切れる。

 【妖狐葛葉は、康成の罪全て許されたしと願い、己の命を絶った】と、長老にはそう伝えておいてくれ。

 これで誰もおぬしに後ろ指は指さぬじゃろう。これからはわしを忘れ、一人の誇り高き妖狐として生きられる」

 

「それじゃあ・・・」

 姉様は、私のために・・・?

 いや、姉様は、自分以外の全てに対し、けじめをつけたんだ。

 

 こうすれば、康成に妖狐族の刺客の手は及ばない。

 姉様は、自分を殺すことで、これ以上何の憎しみも生まれないように・・・

 

 

「・・・・・・・・・・ うっ・・・ ぐ、ひぐっ・・・」

 全てを知ったことで、柚子葉はいよいよ嗚咽を抑えられない。

 次々と落ちる涙が、銀の尾を塗らす。

 

「柚子葉、もう泣くな」

 そんな柚子葉の姿に、優しく頭を撫ぜながら言葉をかける葛葉だが

 

「だって・・・ こんなの・・・ 不条理です。理不尽ですっ!!」

 柚子葉は心の底からの悔しい思いをぶちまけた。

 

「姉様は・・・ 姉様はこれまで誰よりも苦しんできたのに・・・っ

 どうしてそんな姉様がっ!! 姉様だけが・・・ こんな非情い目に遭わなくては、いけないんですかっっ!!!!」

 

「柚子葉・・・」

 

  姉が妹の苦しみを知っていたように、柚子葉もまた、葛葉の苦しみをわかっていた。

 だからこそ、姉がここまでの苦しみを背負ってしまったことが、背負わなくてはいけない理由の全てが憎かった。

 

 その理由の一つである自分が、姉様が尻尾を切る理由を伝えてしまった愚かな自分が、何より憎い。

 

 

「私は・・・ ただ姉様と、また一緒に暮らしたかった!! それだけ、それだけなんです・・・ なのに・・・」

 姉様が康成を斬れば、それで全て終わると、元の姉妹に戻れると。そう思っていたのに・・・

 

 

「・・・・・・柚子葉をこれから守るのも、共にいるのも・・・ わしではあるまい」

 すっくと立ち上がる葛葉。

 

「柚子葉。好きな妖狐(おとこ)がいるんじゃろう? この、信太の森に」

「え・・・?」

 

「よい男ではないか。あれなら柚子葉を任せても安心できる」

 

「・・・会ったんですか? 彼に」

 

「うむ。【妹をよろしく、幸せにしてくれ】と言っておいた」

 

 はっはっはと、明るく豪快に笑う葛葉。

 だがすぐに、その顔を今まで柚子葉が見たことも無いような真剣なものに変え

 

「・・・好きな男とは一緒になれ。子を作って、立派な家族を作れ。

 そして・・・ ずっと家族と共にいてやれ。・・・わしには出来なかったことじゃが、お主なら出来る。

 願わくば、幸せに・・・ それが、愚かな姉から妹への、唯一の願いじゃ」

 

  葛葉はそれだけ言うと、柚子葉に背を向け、歩き出した。

 

 

「姉様・・・?」

 そんな葛葉に疑問を浮かべる柚子葉だが、すぐにハッと気が付く。

 

「姉様、嫌です! 行かないで下さい!!」

 必死に叫びながら、立ち上がり駆け寄ろうとするも、それより早く葛葉は駆け出した。

 

 

「姉様、待って下さい!! 姉様・・・ ねえさま────────────っっっ!!!!!!

 

 姉様と、自分を呼ぶ悲痛な泣き声。

 

 しかし葛葉は、振り向かなかった。

 振り向いてしまえば、この足はもう動いてくれなくなると、未練に止まってしまうと、分かっていたから。

 

 

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

 

 

     そうして舞台は、鬼獣淫界へと戻る・・・

 

 

 

 

 風が吹きすさぶ荒野の中、倒れ伏している葛葉。

 

「ぅ・・・・・・・」

 その瞳に、再び意識の光が宿り始めた。

 

 

「(・・・・・・・・・ 生きて・・・ る・・・?)」

 自分の体温を感じる。死んでない。

 でも、どうして・・・?

 

 ずいぶんと昔の夢を見ていたような、気がする。

 ずっと前に別れた、大切な・・・ 

 

 

(ポゥ ───・・・)

 

 

「・・・・・・・・・・・?」

 なんだか背中に温かい感触を・・・

 手が触れられているのを、そこから、とても優しい気が流れ込んで来るのを感じる。

 

 そして

 

「・・・・・・・・・・・さま」

 遥か昔に聞いた事のある、声も。

 

 

「姉様」

 そして今度は、その声ははっきりと聞こえた。

 

「(え・・・・・・?)」

 まさか、まさか・・・・

 

 そう葛葉が己の耳を疑いながら、声の方向を見上げると・・・

 

 

「葛葉、姉様」

 そこには、とても・・・ とても懐かしい顔があった。

 

「ゆず・・・・ は・・・・?」

 幾ら年月が経とうと、見間違えようの無いその顔。

 

 目の前の少女は、数百年の昔よりもずっと成長していた。

 14の姿のままでいる葛葉よりも、背も高く、見た目は2つや3つ上の年齢ぐらいか。

 

 

「お久しぶりです。姉様」

 柚子葉の美しく整った顔には、幼き時と変わらぬ純粋な瞳に溢れんばかりの涙があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 葛葉の尾の数が8.5本という中途半端な数だったのにはこういう理由がありました。

 本当ならとっくの昔に九尾になれてたんですけどね。千年の間にようやく8.5本。

 

 今回はちょっとだけ風螺華にスポット。

 

そして妹、柚子葉登場。

ポッと出っぽいですけど、前々から出すつもりだったんですよ? 本当ですよ? 柳なんてのは完全なポッと出ですけどね(ぉぃ

 

 次回はもうちょっとだけエロい・・・ と思います。

 あとはもー、色々と決着へ進んでいくかと。もう伸びるまい。

 

 

 

 

 

柳「え・・・ 私、ポッと出なんですか?」

 

作者「脱がされてチョークされただけなのは申し訳ないけどさ。

 まあ他にたくさん登場できない控え室キャラもいるし、幸運だと思って」

 

柳「・・・・・・・・・(泣」

 



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