葛葉神社  林

 

 

 

 

 固定空間である葛葉神社の中には、天津の神社に似た林が存在する。

 とはいっても、本当に一つの山林が広がっているわけではなく、階段の横幅である7メートルの左右に、それぞれ100メートル。

 そして階段の長さは、神社境内まで海抜で計測すれば1キロメートルまでしかない。

 

そこから先は、そんなに広くはない神社全体を四角で囲って林が存在し、それも大体100メートル。

 その先は・・・ 何も無い。外界と遮断された固定空間の果て。

 

どんな物理、霊的攻撃にも干渉されない、それが故に外界への脱出も侵入も通常ではありえない。

だからこそこの葛葉神社は、カーマという規格外を足止めする最後の手段になる。

しかし同時に、それは己の命を盾にした最終手段でもあった。

 

 

 

 

「は────っ・・・ は────っ・・・・・・」

 林の中、階段中腹の右の林の奥。太い木の幹の側に、葛葉はいた。

 

 邪淫の神カーマという化け物を相手に、肉体も霊力も疲労が限界に近い。

 いくら早く、大きく息をすい、吐いても呼吸が追いつかず。苦しい。

そして捌ききれなくなった鞭の攻撃に、衣服の各所は破れ、切り傷から染み出す血が、残る衣服を赤く染めていく。

 

 特に酷いのは、右手だ。

 浅くは無い傷とダメージを受けてなお、カーマの大地を抉る鞭の攻撃を受け止め続けた事で

いつの間にか葛葉の右手は血で真っ赤に染まっていた。

 

「くっ・・・」

 左手と歯で、手拭いを結び、ギュウと、血の流れが止まりそうなほどにきつく傷口を縛る。

・・・だが、それでも右手の血は止まってくれない。

 

 

「は────・・・・・・・・」

 大きく息を吐くと、葛葉は目を閉じ、ゆっくりと精神を統一する。

 

 ここは、葛葉が作った世界。

 だから精神をリンクすれば、その空間の全てを把握するのは容易なのだ。

 

「(あ奴は・・・ 階段の中腹か・・・ よし)」

 カーマの居場所を感じ取ると、一つの木の幹を通じて、残りの霊力をある場所へ注ぎ込む。

 

 

「共鳴せよ、我が空間(せかい)・・・。

 我が敵を払い、我が空間に有らざる邪、異なる者を浄滅せよ・・・!!!」

 

  葛葉の固定空間。葛葉神社自体には、何の攻撃力も、葛葉を有利にする効果も無い。

 だがそれを補う為、こういった事態の可能性を考え、作ったものが一つある。

 

 神社の各所、それぞれ数本の幹に均等に設置した注連縄(しめなわ)。

 その一本一本には葛葉の妖力、霊力が込められており、葛葉がスイッチとなれば、その力を一箇所に集中し爆発させることも出来る。

 

 実質上、これが葛葉のカーマという化け物に対する最終手段。

 これでもし倒せなければ・・・ 終わりだ。

 

 

「くらえ・・・っ!!」

 念を込め、遠隔操作式の術式の引き金を引く。

 

 

 

 

 

(ゴッ・・・──────!!!!)

 

 

 

 

 目が潰れそうになるほどの、強烈な光。

 遠くからぶつかるように響いてくる、爆音。

 

 大地が焼けるのを感じる。木々が消滅し、薙ぎ倒れていくのを感じる。

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 ・・・光が、消える。

 

 手応えは、有った。

 カーマは、間違いなく光の爆発の直撃を浴びた。

 

 だというのに・・・

 

 

「・・・・・・・・・・・・ ダメ、か・・・」

 ダメージは与えた。

 だが、その全身を消滅させるには至らなかったらしい。

 

 爆発の中心地で、半分近くまで吹き飛んだカーマの肉体がとんでもない早さで修復されていくのを感じ取れる。

 

 

「(これが、かつてのインディアの古代神の力か・・・)」

 もはや、化け物などという表現を超えている。

 

 正に、人間を遥か天上より見下ろす、神の境地。

 あれに勝てるとすれば、それは・・・ 同じ神の力に、神器の力に他ならない。

 

 

 

 

(ヒュンッ・・・・・・・)

 

 

「・・・・・・っ!!」

 人の耳では聞こえない、僅かな風を切る音に気付いた葛葉は、その場で出来る限り小さく身を屈める。

 

 その次の瞬間

 

 

 

(バキバキバキバキバキィッ────────!!!!!)

 

 

 

 

 葛葉がそれまで身を隠していた、周囲一帯の木々。

驚くべき事にその全てが、折れ

 

 

(ズズ・・・・・・ ン!!!!)

 

 

倒れた。

いや・・・ 叩き折られたのだ。あの、デタラメな鞭で。

 

「ひゃー・・・」

 葛葉の鼻先を掠め、倒れた木。

 その先に・・・

 

 

「フン・・・」

 鞭を手繰り戻しながらこっちを見る、カーマがいた。

 

「隠れんぼはもう終わりだ。さっさと出て来い、狐」

 

「・・・・・・っ!!」

 その言葉に、ビクンと体を震わせ、竦む葛葉。

 カーマに恐怖したのではない。葛葉が怯えたのは、過去の記憶だった。

 

 

 

 

「狐め、さっさと出て来い!!」

 

「向こうには罠がある! 追い込め!!」

 

 

 

 

「ふっ・・・ く・・・」

 あれから千年も経ったというのに、あの時の恐怖を思い出すと震えが収まらない。

 

「・・・・・・・・・・」

 それを見越したのか、カーマは冷淡に葛葉を見下げながら

 

 

「どうした? 人間に追われていた頃でも思い出したか?」

 わざとらしく問う。

 

「くっ・・・」

 これまでにない敵愾心を、葛葉は目でカーマにぶつけた。

 

「図星か。

 まったく、どこまでも人間に酷い目に遭わされていながら、よく人間の味方でいようとするものだな」

 

「・・・わしの事もよー知らんクセして、知ったかぶるでないわい」

 葛葉の怒気を孕んだ返し言葉に、カーマは

 

「聞いているとも。タオシーからな。

 ・・・随分と、人間に裏切られているようじゃないか。葛の葉狐」

 

「・・・・・・・・・・・っ」

 葛葉は、表情を凍りつかせる。

 

 

「随分と酷い話もあったものだ。

 始祖である存在に対し、拘束し、犯し・・・ 安倍清明を量産する為の母体にしようとしていたそうじゃないか」

 

「・・・・・・・・・・」

 視線を落としたまま、葛葉は何も言い返さない。

 

「タオシーもまた、住処を一方的に追われ、引き取り先の金持ちの目的は、犯し、飼うことだった」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 安倍薫。

自分が安倍から逃げ、放浪という形を取らざるを得なかったが故に、救えなかった子。

 

 

「所詮そんなものだ。人間というものは。

いくら擁護しようと、信じようとも、余裕が無くなれば自分の事を優先する。

その為に平気で他者を騙し、奪い取り、利用する」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「お前とて本当は人間に、そして世界に絶望している所はある筈だ。そうだろう?」

 

 相手の心の隙間に染み入る、悪魔の言葉。

 

 しかし

 

「・・・・・・・・・・・ ぷっ・・・ プフフフ・・・」

 錫杖を支えに、重い体を立たせながら、葛葉は笑う。

 

 

「・・・・・・?」

 その様子に、眉をくねらせ疑問の表情を浮かべるカーマ。

 

「何をどう言われようと、無駄じゃ、無駄。

 何度裏切られようと、わしの親バカは死んでも直らんよ」

 

  永き時を生きてきた、仙人のような乾いた笑い。

 それは何とも嬉しそうな笑顔で、同時に・・・ 悲しい笑顔だった。

 

 

「それにな」

 にやりと笑い顔をカーマに向け、そして空を見上げながら、葛葉は言葉を続ける。

 

 

「・・・・わしは知っとる。人間の優しさ。想う力の・・・ 絆の強さを。

 妖怪や神であるわしらからすれば、流れ星のように過ぎてしまう短い時を生きる人間じゃからこそ、それがとても強い。

あ奴らは、自分の命の価値を何より知っておる。

 じゃがその上で、自分の命を投げ打ってでも助けたいものが、守りたいものがあるからここまでやって来たんじゃ。

 己の誇り、正義。大切な仲間。肉親。失くした大切な者に報いようとする想い・・・ それが、あ奴らの力じゃと知れ」

 

 

  そう 静瑠は、かつて自分を愛し、自分も愛した人への償いの為に

 明奈は、己の力で大切なものを守れることを証明する為に

 風螺華は、悪を許さぬ純粋たる正義の誓いと誇りの為に

 那緒は、仲間と同じ場所で、同じものを守りたいという一つの想いの為に

 

 仁は、かつて違えてしまった約束と、守れなかった一人の少女の為に

 木偶ノ坊は、己の無力から救えなかった大切な人を、今度こそ救い出す為に

 

 そして、麻衣は

 たった一人の、誰より大切な姉の為に・・・

 

 

 

「・・・戯言だな。人間は醜いものだ。

 己の利己ばかりを考え、平然と裏切る。

 かつて作物を実らせ豊穣を約束し、恵みの雨をもたらし、災いから守り・・・ 

人を愛し守ってきた土着の神達を平然と忘れ、穢し、破壊し・・・ 外来の神を迎え入れたようにな」

 

 対してカーマは、皮肉な笑みで人間を蔑む。

 

かつて、無償の愛を捧げてきた者達に裏切られ、神の座から堕とされ

人に仇成す魔へと変えられた神であるからこその、どこまでも重い真実の言葉。

同時に、カーマが初めて感情らしい感情を見せた瞬間でもあった。

 

 

「・・・・・・まるで、“私は人間が大嫌いです”と宣言しておるみたいじゃな」

「その通りだ」

 

 

「そりゃ矛盾じゃな・・・ なら、どうして人である亜衣に惚れた?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 冷ややかながらも常に余裕をもっていたカーマが、僅かながら目を見開き、驚きを見せる。

 

 

「それだけではない。どうして・・・ 人間である薫を迎え入れ、世話をした?

 忠実な部下にする為なら、お主ら淫魔特有の方法があったにも関わらず」

 

「む・・・」

 

  そう、淫魔であるならば、理性を奪い、肉欲に堕としきり、忠実な人形にしてしまうのが常。

 実際に、淫魔の人形となってしまった戦士達は安倍歴史の中でも多くいた。

 人に憎しみを持つ淫魔であるのなら、尚更そうしないのはおかしい。 

 

 

「疑問じゃった。何から何まで、お主の行動はわしが知るあらゆる淫魔と違うからな。

・・・本当の目的は何じゃ? 何の為に、このような乱を起こした?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 さすがは千年以上を生きた妖狐。

 飄々としているようで老獪だ。

 

 カーマは、葛葉という相手の評価を改めざるを得なかった。

 

 

「お主が聡明なのは分かる。・・・自分自身で気付いていないわけではあるまい?

お主とて、本当はまだ人間を・・・」

 

「黙れ」

 有無を言わさぬ、重圧のある一言。

 

 

「・・・・・・・・ 俺としたことが、喋りすぎたか」

 再び、三鈷杵を変化させた鞭を構えるカーマ。

 

「くっ・・・」

 葛葉も、応じて錫杖刀を構え直す。

 

 

「冥土の土産に疑問の答えを教えてやる。俺の目的は・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 ピリピリと、痛いほどの空気の中で、ゴクリと生唾を呑む葛葉。

 

 

 そして

 

 

「“刻死の呪い”だ」

 

 

 

 

 カーマの口から、その語が語られる。

 

 

「っっ・・・!!! なっ・・・!!?」

 葛葉は、予測もしていなかったその名に、驚きを隠せなかった。

 

 

「な、何故お主がそれを知って・・・!!?」

 

「これから死ぬ貴様に、教える義理は無いな」

 軽く腕を捻り、鞭を動かすカーマ。

 

「くっ・・・」

 生き物のようにくねり動く鞭は、まるで鎌首をこちらに向けている毒蛇のようにさえ見える。

 

 最早、時間稼ぎは叶わない。

 この状況で逃走しようとしても、その瞬間にあの鞭が命を奪うだろう。

 なら・・・

 

 

「(時間稼ぎではなく・・・)」

 渾身の、必殺の一撃。それしか・・・ ない。

 

 

 

「ふっ────!!!」

 腕を前に突き出す瞬きほどの動作で、錫杖刀の鞘が弾丸の様にカーマへと一直線に飛ぶ。

 それと同時に、抜き身の錫杖刀を手に、葛葉は獣の如くカーマへ向かって疾走する────

 

 

「・・・ふん」

 勿論、そのような小手先の攻撃を恐怖に感じるカーマではない。

 鞭を軽く振るい、真っ直ぐ飛んでくる鞘を叩き砕こうと・・・

 

爆!!

 

 

(ド ォ ン !!!)

 

 

 しかし、鞭が鞘に当たるかと思われた刹那、印を結び唱えた葛葉の一語により

 大きく浄化の光を放ち、鞘は自ら爆発した。

 

 

「ぬっ・・・!?」

 城下の光と爆発により、鞭はその威力を消され

周囲に粉塵が舞い、葛葉の位置が見出せない。

 

 

「小賢しい真似を・・・」

 だが、それで怯み手を止めるカーマではない。

 気配がする大まかな方向を狙い、鞭を振るえばいいだけの事だ。

 

(ビュンッ────)

 

 

 肉を削ぎ骨を折る、死の鞭が葛葉を襲う。

 

 

「っっつえええええええいいっっ─────────!!!!」

 

 葛葉は叫び

 

(ザ ン ッ ──── !!!)

 

 

「なっ・・・───」

 

 

 爆発のダメージで脆くなっていたその一点に向かって、一閃───

 

 体全体をバネに、その身を回転させ、渾身の力で放つ弧の斬撃。

 それはカーマの武器である鞭を完全に斬り断ち、尚もカーマを目掛け加速する。

 

 

 

「邪なる者、天地に還るべし!!!」

 

(ザ シ ュ ッ !!!)

 

 

 カーマの胸に、深く突き刺さる葛葉の錫杖刀。

 それと同時に、刀を通し葛葉の霊力による浄化の力が、カーマの体内で爆発する───

 

 

「ぐ・・・・・っ」

 初めて、その顔に激しい苦悶を宿すカーマ。

 決死の一撃は、成功したと思われた

 

 しかし

 

 

「しくじっ、た・・・」

 心から口惜しそうに、葛葉はそう呟いた。

 

 

「ふふ・・・」

 旨を貫かれながらも、カーマは笑い、葛葉の右手ごと刀を掴む。

 

「この今際の際で、捨て身の一撃か。

窮鼠猫を咬むとは言うが・・・ 狐も窮地になれば噛み付くとは驚いたぞ。だが・・・」

 

 

(グ、ギ、ギ、ギ・・・!!)

 

 

「あぐっ!? あ、あああぁぁっ!!!!」

 ダメージの深い右手を、握りつぶされそうな強い握力で握られ、葛葉は絶叫する。

 

「やはり手負いの狐の牙では、致命には至らんな」

 

 もし、葛葉の右手が深い傷を負っていなければ、過(あやま)たずカーマの急所。

妖や神の心臓である核を貫き、倒せていたかもしれない。

 

 

「く・・・ そぉっ・・・」

「終わりだ」

 

 

(ガッ───!!)

 

 

「っ────・・・・!?」

 強い衝撃と共に、葛葉の体は空中に投げ出された。

 

「鞭を斬ったのは、お前が初めてだ。褒めてやる。

 だがしかし・・・」

 

  カーマがくるりと手の中で三鈷杵を回転させると、斬った筈の鞭は簡単に元の状態へ復元される。

 

「無駄だったな」

 

 

(ヒュンッ───・・・)

 

 

 風を切る音。

 

 そして

 

 

 

 

(ガ・ガ・ガ・ガ・ガ・ガ────ッッ!!!!)

 

 

 

 

「────────・・・・・・・っっ!!!」

 

 空中で体制も整えられない葛葉を、目に止まらぬほどの疾さで、鞭が襲う。

 

 体中の骨という骨が折れる音が、体の内側から聞こえる。

 髪から足の爪先まで、言葉に尽くせぬ、狂いそうなほどの激痛が駆け抜けた。

 

 

 

 

「がっ・・・ う・・・」

 重力のまま、落ちて行く体。

 

 踏ん張って、着地をしようとした。

しかし、それでも体は言うことを聞かず、 ドシャ と鈍い音を立て、落ちる。

 

 それも当然。立つのに必要な骨が折れているのだから。そもそも立つという姿勢が維持できる筈がないのだ。

 

 

(シュウ・・・・・────)

 

 

 葛葉が倒れ伏すと同時に、葛葉が形成していた空間は霧にように消え、元の荒涼とした鬼獣淫界の大地に戻る。

 

 

 

「ぐ・・・ ごっ・・・ ふ」

 まともに、呼吸が出来ない。

 肺が潰れてしまったのだろうか。

 

 

(ピチャ・・・)

 

 

 頬に、腿に、大地に広がっていく何か暖かい液体が当たっている。

 霞む視界に映る赤い色で、それが自分の血だとやっとわかった。

 

 これが全部自分の血なのか、実感が沸かない。

 何せ、全く痛くないのだ。

 だから、倒れ伏している自分の目の前に在る血の溜め池が、自分のものとはとても認識し難かった。

 

 肉体のダメージがあまりにも酷いと、脳が痛覚を伝えることを停止するというが・・・ 今がそれなのだろうか。

 

 

 

 

「・・・・・・・ もはや止めを刺すまでも無いな」

 遠くに聞こえる、冷淡なカーマの声。

 

「そうやって、ゆっくりと死んでいけ」

 砂利を踏む音が、遠ざかっていく。

 

 

待・・・・・・

 喉からやっと搾り出した、制止の声。

 しかし、遠ざかる足音は止まらない。止めようにも、体はピクリとも動いてくれない。

 

 

「(・・・・・・・・・これ、は・・・)」

 本気で、死ぬかな・・・

 

 

 薄れていく、意識。

 そんな中で、葛葉は

 

 

「(まいった・・・・ な・・・)」 

皆の為にもう、少し・・・ 時間を稼ぎたかったのに・・・

 

 

自分の死に対する恐怖や、悲嘆ではなく

 子供達と、仲間の為の防波堤の役割が努め切れなかった事に対する悔恨に満ちていた。

 

 

やす・・・ な・・・

 最後に口から出た言葉は、人生で初めて心から愛した男の名前。

 その時の事は、今でも鮮明に思い出せる・・・

 

 走馬灯というものが本当にあるなら、今の葛葉が見ているものがそれだろう。

 倒れ伏した自分を抱く血の海が、徐々に冷たくなっていくのを感じながら、葛葉は・・・

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

         千年前  平安

 

       満月の夜  信太の森

 

 

 

 

 平安の今日から少しだけ外れた場所にある、春夏秋冬様々な姿を見せてくれる森。

昼間こそ平民の童が遊んでいることもあるが、夜の森は一転、人は足を踏み入れず、静まり返っている。

 

それこそ、聞こえる音はといえば、時折風に木の葉がザワザワと揺れる、木々の談笑の声ぐらいなもの。

しかし、その日だけは違っていた。

 

 

 

“ハッ─── ハッ──── ハッ────”

 

 

 

 月明かりの下、狭い木々の間を駆け抜ける、小さな影。

 それは、まだ若く幼い、一匹の雌の狐だった。

 

 生まれついての体毛色素の薄さから、体に纏うその毛は純白で、それは月明かりに照らされ美しい白銀色に輝いている。

 それが、静寂な森の中を、小柄な獣ならではの疾さで駆け抜けていく。何かから逃げるように。

 

 

(パシュッ───    スカァン!!!

 

 

 子狐が駆け抜けたすぐ横の木に突き刺さるは、狩りに特化した、やや小さな矢。

 

「ああ、くそっ! 外した!!」

「もっとよく狙わんか!!」

 

 どかどかと足踏み、そのたびに枝を踏み折り、土や小石を蹴飛ばしながら、子狐よりもずっと騒がしい音を立てる異邦者達。

 弓矢を持ち、狩りの為の服装をしているが、その実てんで狩りに慣れていないらしい。

必要以上に上等な狩り用の着物は、これまた必要以上に泥や木の葉やらで汚れていた。

 

 もし彼らが山を良く知る生粋の狩人であるなら、子狐はここまで追い掛け回され怯えながら走り回る事は無かっただろう。

 

 狩人は、獲物を狩る時は苦しませず、怯えさせず、一瞬、一撃にて命を奪う。

 そして何より、若すぎる獲物は決して狙わない。小さな子供なら尚更だ。

 それは、山林の理と共生している狩人達であるからこその、肉という糧への感謝と畏敬の念の現れである。

 

 しかし彼ら・・・ 滑稽な狩人姿の若者達は、土にろくに触りもしない上品な家のお坊ちゃま育ちらしかった。

 林でのイロハもろくに知らず、罠や作戦もろくに備えず、ずかずかと勝手知ったるとばかりにやって来た類である。

 

 唯一弓矢の扱いは自信があるらしいが、それも木床の上で動かぬ的を狙うのと、ちょろちょろ動き回る獣とでは勝手が違う。

 執念深く追い掛け回す若者達から必死に逃げ回ること、小一時間。

 

そんな、森の奥にもろくに入ろうとしない未熟な狩人の前に、姿を現す獣達などいる筈もない。

多くの獣達は、彼らがやって来る事を感じ取った上で、彼らが足を踏み入れる事も出来ないであろう安全圏まで逃げ切っていた。

 

そんな狩人達に引っ掛かる獣がいるとするなら、まだ小さく、幼く弱い、今逃げている子狐のような存在ぐらいである。

 

 

 子狐の頭の中は、恐怖で一杯だった。

 子狐は、他の獣よりもずっと狩人に、人間に憎しみを持ち、恐れていた。

 それも無理はない。子狐の父狐と母狐は、共に人間に狩られている。

 

 理由は、母が、そして子狐自身が生まれついて受け継いだ、白銀の毛並にあった。

 珍しく美しいというだけの理由で、母と、そして父は、子狐が幼い頃に人間に狩られた。

 

 それが、狐を喰らう動物や、真っ当な狩人の所業なら、子狐も山の理に生きる一匹として、親の死を享受しただろう。

 

 

 しかし、子狐は見ていた。人間のやった事を。

 

 仕留められた父は、糧となる事無く、無意味に死骸をその場に射ち捨てられ

 母は、子狐が草の陰で見ている前で、その場で皮を剥がされ、残った肉だけが塵(ごみ)の様に・・・ 捨てられた。

 

 

 子狐には、理解が出来なかった。

 

父と母を殺したのは、喰らう為にではないのか。

 肉を喰らいもしないのに、何故狩ったのか。殺したのか。

 何故、皮だけを切り裂き持ち帰り、肉を捨てたのか。

 

 獣の理からすれば、父と、特に母の殺され方は、最大の辱めに他ならない。

 

 人間は恐ろしい、人間が憎い。

 

 それが、子狐の心に刻まれた、初めて見た“人間”という種に対する感情だった。

 

 

 そして、今日・・・ 自分の番がやって来た。

 逃げるだけしか出来ない自分が恨めしい。しかし、母の無残な骸の姿が子狐の脳裏を過ぎるたび、恐怖に潰れそうになる。

 

 

 必死に、必死に逃げ続けた。

 息切れを起こしながら、何度目かになる木々の間を抜けた時

 

 

(ガバッ───!!!)

 

 

 

“っっっ────!!!?”

 

 

 

 何か、大きな布が、子狐の体を包んだ。

 あっという間に視界が奪われ、思うように身動きが取れなくなる。

 

 

「じっとするんだ」

 自分を追いかけてきた粗野な声とは違う、落ち着いた人間の声。

 

 

“(あいつらの、仲間・・・!?)”

 

 

 忽ち、子狐の全身を、死の恐怖が支配する。

 母の無残な姿と、自分の最期の姿が重なる───

 

 いやだ──── !!!

 

 

ガアァウッ────!!!

 

 

(カブ・・・ッッ!!)

 

 

 恐怖に駆られた子狐は、力の限り目の前の布に噛み付いた。

 

「ぐっ・・・・!!」

 どうやら、男の手首に噛み付いてしまったらしい。

 口の中に広がる鉄の味に、子狐は慌てて口を離した。

 

 

「っ・・・・ お、落ち着いて。

 君をどうこうしようって気は無いよ。本当だ。

 怖い人達は何とかしてあげるから、この中でじっとして・・・」

 

 

“(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)”

 

 

 牙は、肉の深い所まで食い込んだ筈なのに、痛みを堪える青年の声はとても優しかった。

 子狐は、人間が大嫌いだったはずなのに、不思議とその男の言葉に素直に従い、一切の抵抗をやめた・・・。

 

 

 

 

 やがて、ガサガサと粗雑な音をさせながら、二人の弓矢を持った若者がやって来る。

 

 

「まったく、貴様が矢をしくじるからだな・・・!」

「俺のせいにするのか!? 貴様こそ・・・ ん?」

 

 そこで二人の若者は、青年に気が付く。

 

「・・・貴様、何者だ?」

 夜の林に、たった一人で居るその青年に、若者達は不審を抱いた。

 

「はい、陰陽師の安倍保名(あべのやすな)です」

 対して青年は、もう一つの布で左の手の傷を隠しつつ、簡単に自分の名を明かした。

 

 

“(やすな・・・)”

 

 

 その時、布の中に隠れていた子狐は、初めて青年の名を知った。

 

 

「まだ若輩ですが、最高の陰陽師を目指し修行中の身です。

 この林で瞑想と術式の鍛錬をしていたのですが・・・」

 

「そんな事はどうでもよいわっ!!」

 若者の中の厳つい方が、声を荒げ始める。

 

「我らは子狐を追っている。毛が白銀色の珍しい奴だ。知らぬか」

 若者の細身の方が、こちらは静かな語りだが、言葉の恥は字にある高圧さは、厳つい男よりも強い。

 

「・・・・・・そんな珍しい獣が通れば気付きますが、あいにく。

 しかし、どうしてまた身分のある方々が直接狩りを?」

 

「ふん、知れたこと。白銀の毛皮を持つ狐ともなれば最高の毛皮となる。

 それを上に献上すれば、我らにとってまたとない・・・」

 

  細身の方が、得意気に説明するその途中で

 

「毛皮・・・? 獲物を狩り天より頂いた糧として食すのではなく、皮ですか?」

 明らかに懸念を示し、眉に皺を寄せている陰陽師の青年。

 

「なに・・・?」

 

「それは・・・ 止めておいたほうがいいですね。

 陰陽道の観点からしても、命は大切にしなければ」

 

  と、陰陽師の青年は、身分の高そうな二人を相手に、何の物怖じもせずそう言った。

 

「貴様・・・っっ!!」

「我々に意見するか!! 陰陽師とはいえ若造が・・・!!」

 

 当然怒り始める、身分の高そうな若者二人。

 厳つい方に至っては、腰の刀を抜きそうですらある。

 

 

「いえいえ、とんでもない。

 命がお危ないのは、皆様方のことです」

 

  自分も若造だろうに、という反論は敢えてせず、保名は

 

「白い蛇は神の使い。・・・というのは有名な話ですが、白銀の毛皮の狐もまた、神の使いの一種なのです。

 白蛇を叩き殺した村に日照りや虫害が続いた様に、白銀狐もまた追い立て、或いは殺そうとすると、その本人に祟りが及ぶのですよ。

 伝承によれば、どこからともなく身の丈を越す鬼神が現れ、腸(はらわた)を引き裂くとか・・・」

 

 

“(・・・・・・・・・・・・?)”

 

 

 子狐は困惑した。

 そんな話、知らないし聞いたことも無いからだ。

 

 しかし若き陰陽師の、相手をその目で見つめながらの淡々とした語りは、絵空を感じさせず、確かな説得力があった。

 ザワザワと騒ぎ始める、二人の狩人達。

 

「・・・ど、どうする? 祟りだぞ・・・?」

「・・・お、臆するな! 我らを謀っているに決まっている」

 

 目に見えて狼狽し始める二人。

 保名はそれを確認しながら、コホンと咳払いをし

 

 

「嘘ではありません。その証拠に・・・

 ほら、聞こえませんか? 鬼神の大地を揺るがす足音が」

 

  両手を耳に当て、耳を澄ます動作をする保名。

 すると

 

 

 

 

(ズシ・・・・・ ン!)

 

(ズシ・・・・・・・ ン!!

 

 

 

 

 驚くべき事に、遠くから地響きのような足音が聞こえ、そのたびに大地が大きく揺れだした。

 

「な・・・ なんだ!? まさか、本当に・・・」

 二人の若者は、尋常ではない地響きに、大きく混乱し始めていた。

 ズシンズシンと大地が震えるたび、二人は面白いようにわたわたと千鳥歩きになる。

 

「・・・・・・・・・」

 対して、保名の方は落ち着いたもので、直立不動のまま、その場から一歩も動かない。

 

そして

 

「おや・・・」

 と、更に真横を向いて、少し驚いた顔をする保名。

 

「な、なに・・・?」

 と、二人の若者が保名と同じ方向を振り向くと・・・

 

 

 

 

(バキバキバキバキ・・・・・っっ!!!!)

 

 

 

 

 そこには、背の高い木を易々と踏み潰しながら、大人の身の丈五人分はあろうかというほどの、真っ黒な・・・ 巨鬼がいた。

 突き出た牙、岩石の如く深い顔の凹凸。口から出る吐息は、まるで火事の煙である。

地獄の様な形相の中にある両の眼は、ギロリと二人の若者だけを睨んでいた。

 

 

 

「ぎゃ、ぎゃあああああああっ!!!??」

「で、出たああああアァァアアアっっ!!!!」

 

 

 

 鬼の足音よりもずっとでかい悲鳴を上げ、若者二人は一目散にその場から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 二人が完全に見えなくなるのを横目で確認すると・・・

 

 

「ははははっ。ざまあ見ろ」

 さわやかに笑いながら、両手を広げ

 

 

(パンッ!)

 

 

 と、合唱する形で両手を叩く。

 

 すると、驚くべき事に、一瞬で大鬼は消え去り、鬼が踏み潰した筈の木々も、全て元に戻っていた。

 

 陰陽師の得意技とも言うべき、簡単な幻術である。

 

 

「さて・・・ もう出て来ていいよ」

 保名は、子狐を隠していた布をサッと外した。

 

 

“・・・・・・・・・”

 

 

 子狐は、保名をじっと見上げている。

 

「さすが、幻術に驚かなかったね。

 まあ・・・ 化かすのは君達の方が先輩だから、当たり前か」

 

  肩を竦ませ、小さく笑う保名。

 

「あれだけ脅かせば噂も広がるだろうし、もう二度と君を狩りに来ようなんて奴は出てこないだろう。

 でも・・・ これからは気を付けるんだよ」

 

  右の手で、保名は子狐の頭を優しく撫でる。

 子狐も、今度は抵抗をしないでいた。保名を大きな瞳でじっと見つめたまま、保名という人間を受け入れていた。

 

 

「いたっ・・・」

 突然思い出したかのように、保名は痛みに顔を歪める。

 

「あー・・・ 忘れてた」

 保名は自分の左手を見ながらそう言った。

 怪我を隠す為の布は青色だった筈だが、見事に真っ赤に染まっている。

 

 しかも、忘れていた勢いでいつものように両手を叩いたものだから、更に悪化していた。

 

 

 

“・・・・・・・・・・・”

 

 

(タッ────)

 

 

「あ・・・・・・」

 保名の傷を見た子狐は、悲しそうな目をしたあと、すぐに走り去っていった。

 

「・・・・・・・・行っちゃったか」

 保名は少しだけ名残惜しそうに、もう足音も聞こえない、可愛い子狐を見送った。

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

 子狐と別れた安倍保名は、一人森の中、帰路についていた。

 

「いたた・・・」

 時折、じんと痺れてくる左手の噛み傷に痛みを覚えながら・・・

 

 

 そうして、どれだけ一人で歩いていたろうか

 

 

 

「“もし”」

 

 

「・・・え?」

 陰陽師の青年が振り返った視線の先には、一人の・・・

 

「・・・・・・・・・」

 見た所、年は14前後といったところだろうか。

 美しく煌びやかな、それでいて秋の月の様な静かささえ感じる着物を羽織った長い銀髪の少女。

 

 笠から垂れる布が顔を隠している事からして、高貴な身分の女性なのだろうか。

 布の中で頭をやや下げている状態だが、顔は・・・ とても可憐で、可愛らしく、そして・・・ 綺麗だった。

 

 勿論、こんな森の中に、そんな女性がいるということは怪しい事この上ない状況だが

 その少女に魅せられてしまったのか、保名は、魂が抜けたように立ち尽くしていた。

 

 

 すると

 

「・・・・・・

 立ってこちらを見つめていただけの少女が、何かを喋り出した。

 

「え?」

 少女の小さな口が、何かを呟いたのはわかったが、小声で聞き取れない。

 

「怪我・・・」

「え? ああ・・・」

 驚くほどの口数の少なさで、少女は保名の左手を指さす。

 

「見せて」

 そう言うと、少女は保名の返事も聞かず、ぐいと左手を自分の顔の前まで持っていった。

 

「(うわ・・・)」

 これまで保名は、身内以外、女性とはほとんど簾の向こうでしか話をした事が無い。

だからこそ、少女の手の小ささ、柔らかさ、そして温かさに声が出なかった。

 

 

そして、少女は保名の手を、口元に近づけると・・・

 

 

「(ペロ)」

「え・・・っ!?」

 少女は、それが当たり前かの如く、いきなり青年の指の傷を小さな舌で舐め始めた。

 目を閉じ、真剣に、ぺろぺろと血を舐め取り、悪いものを吸い取ろうとする仕草は、愛らしい小動物のそれである。

 

「・・・・・・・・」

 良く見ると、少女の小さな舌は、平らな部分がやや緑色に染まっていた。

 確か、動物の中には薬草を食べ、その口で傷を舐め取ることで治癒をするものもいると聞いたことがあるが・・・

 

 だが、それより何より

まるで白雪のように無垢さを感じさせる美しき少女が、一心に手の傷を舐めている、その不思議な眼前の光景に

保名という幼さ残る青年は、魂が抜けてしまったかのように、ただ魅入っていた。

 

 

「君は・・・」

 保名が、尋ねようとしたが

 

「これで、いい。血は止まった。消毒も・・・」

 それより前に、少女は心の底から安堵した声でそう告げつつ、保名の手首から口を離す。

 

「? ・・・・・・・・・あ。ほんとだ」

 確かに。左手を見てみると、あれだけ流れていた血は、もう完全に止まっていた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 銀髪の少女は、じっと保名の顔を見上げ、見つめている。

 

「・・・・・・・・・・ええと、あの・・・」

「・・・・・・・・・・・・(じー・・・)」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(じ〜〜・・・・・・・)」

 

 無垢な瞳に見つめられて、保名の方も全く言葉が出ない。

 そんな無言の時間が、どれだけ続いたろうか

 

 

 

「ええと・・・」

 保名は悩んでいた。

 こういう時、何を話せばいいのかわからない。

 

 しかし、いつまでも無言でいるわけにもいかないし・・・

 名前を聞きたいが、そこから入ると失礼かも・・・

 

 

「(・・・・・あ、そうだ)」

 そうだ。自分の名前の紹介から入ればいい。

 

「僕は安倍保名(あべのやすな)。陰陽師なんだ」

「・・・知ってる」

 

 

「君の名前は?」

 やや緊張しながら、その問いをぶつけるが

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 当の少女の方は、明らかに困った顔をしながら、真横を向き顎に手を当て、何か考え込む仕草をし始めた。

 

 そして

 

「葛の、葉・・・」

 考えあぐねた挙句、他にそれらしい名前は結局何も浮かばなかったという顔で、少女はボソリと自分の名を呟く。

 

「葛の葉? それが・・・ 君の名前?」

 陰陽師の青年の問いに、葛の葉という少女は、視線を逸らし、頬を少し赤くしながら、コクリと頷いた。

 

「葛の葉、か・・・」

 明らかに、人間のものとは違う、自然界に生きる者の名。

 人の価値観や常識からすれば、ふざけた偽名以外の何物でもないその名前。

 

 だが、保名は

 

「いい名前だね」

 微笑みを浮かべながら、そう言った。

 

 嘘でも世辞でも何でもない。

 ただ、その名前を聞いた上で彼女を見て、本当に彼女にしっくりとくる。

不思議な魅力のある名前だと、保名は素直に心の底から思った。

 

 

「! ・・・・・・・ ・・・・・・//////////

 驚きに目を見開き、顔を真っ赤に染めて、葛の葉は俯いた。

 その表情の変化ぶりは、とても愛らしい。

 

 

「血止め、ありがとう。

 でも、もう帰らないと・・・ また」

 

  踵を返し、来た道を帰ろうとする保名。

 

「待って」

 それを、葛の葉は呼び止めた。

 

「今、すごく、夜遅い・・・

 ち、近道がある、から・・・ あ、案内、する」

 

  顔を赤くしながら、葛の葉は保名の進行方向とは違う方向を指差す。

 確かに、葛の葉の指差す方向には道があった。人が通るには少し狭めだが・・・

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

       安倍家 屋敷

 

 

 

 

「すごいなぁ・・・ もう着いた」

 葛の葉の案内に従い、獣道の様な道を通ることで、保名は自分の家まで半分以下の時間で辿り付く事が出来た。

 

 保名がその事に感嘆していると

 

 

「ここが・・・ やすなの・・・ うち?」

 それよりずっと驚いた顔をして、葛の葉は保名の住む屋敷を見上げていた。

 まるで、初めて人間の暮らす家を見たかのような驚きで。

 

 

「そうだよ。まあ・・・ 陰陽師の家系だからそこそこいい所に住まわせて貰ってるけど、それでも身分の高い方たちと比べると・・・」

 そう謙遜する保名だが

 

「・・・ゲンって、すごいな」

 葛の葉はまるで聞いておらず、何かしら呟いてまでいる。

 

「え?」

「な、なんでも・・・ ない。それより・・・」

 葛の葉は、急にゴソゴソと懐に手を入れ何かを取り出し

 

「これ・・・」

 薬草らしき草の数本を、保名に手渡した。

 

「すりツブして、毎日塗れば・・・ ぜったい、治る」

「・・・・・ わかった。ありがとう」

 

「薬草、足りなくなったら・・・ また、来る」

「え? いや、今日はもう遅いし、泊まって・・・ ・・・あ」

 

言い終わる前に、葛の葉は保名の眼前から消えていた。

 まるで、葛の葉という少女自体が幻だったとでも言うかのように、何の痕跡も、気配も残さず・・・

 

 

 

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

        それから一月後

 

 

       信太の森   奥地

 

 

 

 

 保名と葛の葉が出会った場よりもかなり深い森の中心。

 そこでは、一人の着物姿の少女が、素手で野草を摘んでいた。

 

「これぐらいで、いいか・・・」

 少女は勿論、葛の葉である。

 

 行っているのは、彼女の日課である保名の家に行く前の野草と薬草摘み。

 葛の葉は、一月もの間、毎日に近くこれを続けていた。

 

 それと同時に、言葉の練習も行い

 今では、流暢とはいかないまでも、保名との会話ぐらいは困らないほどには上達していた。

 

 

「よし・・・」

 薬草と野草を布で包み、いざ出かけようとしたその時

 

「姉さま」

 背後から幼き声が呼び止める。

 

「・・・・・・柚子葉(ゆずは)」

 振り向くと同時に、その人物の名を言う葛の葉。

 

 少女は、葛の葉と瓜二つの顔立ちと、雰囲気を持っていた。

 違うのは、葛の葉の白銀色とは違い、狐らしい柚子色の髪であること。そして、葛の葉よりもより小さいこと。

 見た目は12そこらだが、全体から漂う雰囲気は葛の葉よりずっと落ち着いたものを感じさせる。

 

 今の葛の葉の、たった一人の可愛い身内。

 同じ父母から生を受けた、葛の葉の妹ギツネである。

 

「柚子葉。すまないが、一緒に遊戯がしたいなら後にして・・・」

 布の中の薬草を、着物の袖の中に隠し、誤魔化そうとする葛の葉だったが

 

 

「今日も、人間の男の所へ行くつもりですか?」

「・・・っ!」

 

 しかし、その次の瞬間には柚子葉に核心を突かれ、葛の葉は驚いてしまう。

 

 

「な・・・っ 柚子葉、どうして・・・」

「わかります。帰ってくるたび、姉さまから人間の匂いがしますから」

 

 幼き外見とは裏腹に、柚子葉は慧眼だった。

 

 

「お姉さまは忘れたんですか? 父様と母様が人間にどんな・・・」

「・・・・・・ 皆まで言うな」

 

「あの日の事は、忘れたことはない」

「なら・・・」

 

「・・・・・・ だが、ヤスナは違う。

 ヤスナは・・・ 他の人間とは・・・」

 

 

「姉さまを狩人から助けた・・・ それは何度も聞きました。

 私にはとても信じられないですが、姉さまの言葉を疑うつもりもありません。しかし・・・」

私達は狐で、保名と言う男は人間です」

 

 

 

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

        安倍屋敷   保名の寝所

 

 

 

 

「ヤスナ」

 勝手知ったる人の家、というぐらいの遠慮の無さで、今日も葛の葉は保名の寝所に現れた。

 

「やあ、葛の葉」

 保名は左手に包帯を巻いていて、右手で日々の雑務として呪符を書いていた。

 

「今日も持って来た」

「ああ、いつもありがとう」

 初めて出会った日から、葛の葉はこうして毎日のように保名に会いに来ている。

 

 【薬草を届ける為だ】と本人は言うが、一度に持ってくるのは数本とはいえ、ここ一月でほぼ毎日持って来られては例え全身に塗ろうとかなり余りある。むしろ、その薬草だけでちょっとした薬屋が開けそうな勢いだ。

 

 ・・・実際、磨り潰した薬草の粉を、怪我をした知人にあげた事もあるが、当然葛の葉には内緒の話。

 

 葛の葉本人も薄々数が多い事に気付いたのだろう。

最近持ってくる物は、薬草よりもセンマイなどの野草や食べられる木の実、キノコなどが主となっていた。

 

 

 毎日やって来る内に、葛の葉の言葉遣いも段々流暢になり、最近ではちょっと難しい言葉も使うようになった。

 そして葛の葉と保名も、この一月の間に、だいぶ親しい間柄になっていた。

 

 

「ちゃんと食べているか? ヤスナ」

 綺麗な着物を着ているのに、どっかと胡坐をかいて座りながら、保名に尋ねる。

 

「ああ。お陰様で。

 葛の葉が持って来てくれる山菜はおいしいから」

 

「ふふっ。お前、好き嫌いが多いからな」

 

「失礼だなぁ。食えないのは椎茸と大根だけだよ」

 

「ダメだぞ、食べろ。背が伸びないぞ」

「ははは。これ以上背丈はいらないよ」

 

「ふふふふっ」

「はははははっ」

 

 楽しそうに、笑い合う二人。

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 しかし葛の葉の心の中では、常に大きな不安が渦巻いていた。

 保名と過ごす時間、この笑い合える一時(ひととき)が楽しく、心地が良いものであればあるほど。より強く。

 

 最初は、命を助けてもらった感謝と、左手の侘びの気持ちだった。

 だから、保名の左手が治ったらそれでお別れだと、なんとなく自分でそう決めていた。

 

 ・・・なのに、毎日ここへ来るようになってから・・・

 

 保名は、自分が知るどんな人間とも全く違う。

人間でありながら、自然界に生きる自分達・・・ 山の妖よりもずっと【命】に対し謙虚で、優しい。

 

それは虫などの小さな命だけでなく、陰陽師が祓う対象である妖や霊に対してもそうだった。

 

保名が自分に語ってくれる話。

陰陽の仕事で霊を祓う時、その霊がどんな霊で、どんな人生を送っていたのか、どんな無念を残しているのか。

霊と直接語り合い、その無念を出来る限り解決させ、除霊ではなく成仏を願う。

 

故に、陰陽師の仲間内では変わり者扱いされていると、保名は笑いながら話してくれた。

 

 

 保名は誰より優しく、誰より温かく、そして誰よりも深く、大きい。

 

そんな保名の近くにいるうちに、自分の気持ちに気付いてしまった。

 いつの間にか、保名の隣にいるだけで、他のどんな時より安らいだ気持ちになって安心している。

そんな自分に気付いたのは、つい最近。

 

 保名と居たい。保名の顔が見たい。保名とずっと話していたい。

 人間である保名を、自分はいつの間にか好きになってしまっていた。

 

 

 でも、保名は人間で、自分は妖狐。

 人と妖の間にある隔たりは、余りにも大きい。

 もし自分が狐と、妖狐とわかってしまったら、この心地良い関係も終わってしまうだろう。

 

 

 それよりは、せめて

 1日・・・ いや、ほんの数刻でも長く、この時間が続いてくれればいい。そう思っていた。

 

「(嫌な奴だな・・・ 私は)」

 自分が負わせた怪我を治すために薬草を持って来る一方で、完治する日が来ないことを願っている。

 だから、保名の太陽のような眩しさに、時に辛くなる。

 

 

 

「・・・・・・・ 薬草、付けているか?」

 そんな自分を騙し騙し、今日も葛の葉は、いつも通りに話を続けていた。

 

「ああ、うん。ちゃんと言われた通りにつけてるよ」

 符作りを続けながら、葛の葉の問いに答える保名。

 

「おかしいな・・・ この薬草の効き目ならもうとっくに治っている筈なのに」

 

 ・・・ああ、やっぱり私、心の中でほっとしてる。

 

 でも、やっぱりおかしい。

 この薬草は、酷い怪我でも一週間あれば大体治せるのに・・・

 

 葛の葉が、そんな思案を巡らせている時

 

 

 

「・・・そうだね。なかなか治らないな、君に噛まれた傷は

 

「────っっ!!?」

 心臓が爆発したかと思うほどの、保名の一言。

 

「あ・・・・・」

 保名も、しまったとばかりに口に手をやる。

 彼の中では、全く言うつもりは無かったらしい。

 

 

「あ・・・ な・・・」

 何を言っていいのか分からない。

 

 

 

「き、き・・・ 気付いて・・・ たの・・・ か!?」

 やっと口からついて出た言葉は、それだった。

 

 

「気付いてたも何も、最初の着物姿の時から君だって分かってたよ」

 陰陽師だからね、と、表情で付け加えて。

 

「それより、その・・・」

「え?」

 

 混乱状態になっている葛の葉に、保名は何か言いにくそうにしている。

 

「その、出てる・・・」

「・・・・え、え!?」

 

 葛の葉には、何のことだか分からない。

 逆に、余計混乱するだけだった。

 

「だから、その・・・ 耳と、しっぽが」

 

「っっ・・・・・・ !!!!!」

 慌てて自分の頭とお尻を触って確認すると、いつもは完璧に隠している筈の耳と尻尾の感触があった。

 

「っっ〜〜〜〜〜・・・・」

 ばれた。

完全にばれてしまった。

 

嘘をついていたことが、狐であることが、

 

 

(ダッ────!!)

 

 

 顔を真っ赤にしたまま、葛の葉は一目散に逃げ出そうとした。

 

「あ・・・ 待って!!!

 保名は飛び出し、葛の葉の手を反射的に掴む。

 

 それも・・・ 両手で。

 まだ完治していなくて、ちょっとでも握ると痛い筈の保名の左手は、しっかりと葛の葉の左手を掴んでいる。

 

 

「な・・・」

 信じられない、という表情のまま、葛の葉は保名の左手の包帯に手をかけた。

 恐る恐る引っ張ると、ほんの小さな痕しか残っていない、完治した左手首が姿を現す。

 

「ヤスナ、おまえ・・・ 左手・・・ 治ってるじゃないか!!」

「いや、その・・・ これは・・・」

 

 保名は、何とも言えない困った表情をしていた。

 

「騙してたのか!!?」

「ゴメン・・・ だけど、それはお互い様だろ?」

 

「う・・・」

 それを言われると、もう何も言えない。

 

 

「なんで、黙ってたんだ・・・?

 酷いじゃないか、私は・・・ 治らなかったら、どうしようと・・・」

 

  これまでの心配や罪悪感が一気に崩れたせいか、葛の葉は目に涙を溜め、ついにポロポロ泣き出した。

 保名の着物の襟をぎゅうと握り締め、泣き顔を隠す為に胸の中に顔を埋める。

 

「ごめんね」

 保名は、そんな葛の葉の頭を、最初に会った森と同じように優しく撫でる。

 

 

「だけど、僕も不安だったんだ。

 この傷が治ったと知ったら、君がふっと消えてしまうんじゃないかって・・・

 そう思ったら、治ったって言うのが辛かった」

 

  左手で、葛の葉を包むように優しく抱き締め、保名は己の心の内を語る。

 

「なん・・・で」

 

「・・・・・・・・ 君が、好きだから」

 保名の口から語られる、想いの告白。

 

 

「・・・・・・・・・」

 葛の葉の中で、時が止まった。

 

「私は・・・ 狐だぞ?」

「そうだね」

 

「人じゃない、妖(あやかし)だ・・・! 妖狐族だぞ!?」

「うん、わかってる」

 

「それに・・・ その、こんな幼児体型で、背も低いし、胸も無いし・・・」

「うん」

 

 葛の葉は、自分の問題を端からぶつけていくが、保名は瑣末だと言わんばかりに、たった一言でそれを享受していく。

 

 

「髪だって、他の妖狐達(みんな)の太陽の色と比べて、炭みたいに真っ白で・・・」

「・・・ダメだ」

 

 だが、その一言だけは、拒絶した。

 

「え・・・?」

 意図の分からない拒否の言葉に、葛の葉が困惑する中

 

「そんなに綺麗なのに、そんな言い方しちゃダメだ」

 保名は、そんな言葉を真正面から、言ってのけた。

 

「きれ・・・ い・・・?」

 聞き慣れない単語に、思わず聞き返す葛の葉。

 

「そう」

 頷く保名。

 

「そのぱちくりとした大きな瞳も。細い身体も。

 そして何より、この綺麗な白銀色の髪も・・・ すごく綺麗で素敵なのに、それを君自身が否定するなんて悲しいよ」

 

 

「ヤス、ナ・・・」

 嬉しかった。

 そんなこと、今まで言われた事が無かったから。

 

 昔から、この白い毛(かみ)は嫌いだった。

 この白い毛のお陰で、同じ位の年の狐達には仲間外れにされ、そして人間には狙われて

 

 けどそれを、目の前の男は、綺麗だと言ってくれる。

 

「初めてだ・・・ こんな、嬉しいと思ったこと・・・」

 嬉しさに、胸が爆発しそうだった。

 

 

「・・・・・・・・ あ」

 そこで、気が付いた。

 

 保名の顔が、すごく・・・ 息が当たるほど、近くにある。

 

「あ・・・」

 保名も気付いたらしい。

 葛の葉も、保名も、互いに目と鼻の先で、真っ赤になった相手の顔を見ていた。

 

 

「・・・・・・・・・っ」

 

 思考がうまくまとまらない。

 自分の、胸の鼓動がうるさい。

 

 これだけうるさく響いていると、保名に聞こえてしまうかも・・・

 

 

「ヤスナ、ちょっ・・・ 近・・・」

 なんとか言葉をひねり出して、葛の葉は離れようとするが

 

「・・・ごめん」

「え・・・?」

 

「我慢、出来そうに・・・ ない」

 保名はそれだけ言うと

 

「っ!?」

 葛の葉の小さな唇に、自分の唇を 重ねた。

 

「んむっ・・・」

 その瞬間、葛の葉の全ての思考は弾け跳ぶ。

 

「んっ・・・ んんっ・・・」

 

 信じられない。

 今、保名と・・・ 口と、口で・・・

 

 口の中に神経の全てが集まったみたいに敏感になって、保名を感じてる。

 舌も、唾液も、私の口の中の全てが保名に触れられてる。

 

 それを感じるだけで、葛の葉は精一杯だった。

 

 

 

「ん・・・」

 そしてそのまま、二人は、縺れ合うようにして、ゆっくり倒れこんだ。

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

 緊張と静寂に包まれた、保名の寝所。

 

 はだけられた形で、葛の葉の着物が木床に広がり

 その上には、一糸纏わぬ生まれたままの姿の葛の葉。

 

 

穢れを知らない白桃の如き白い肌は、緊張の為か震えていた。

そして葛の葉の最大の特徴である白銀色の長髪は扇の様に広がり、まるで天河を思わせる。

 

それこそ天の川の天女を思わせる美を兼ね備えていながら、その肢体はまだ幼く

控えめに膨らみを帯びた両の胸、そして臍の下の秘部には、産毛(うぶげ)すら生えていない。

 

 故に、両足をぴっちりと閉じている上で、

それでも未成熟な陰唇の割れ目が見えてしまうのがとても愛らしく、それでいてどこか官能的であった。

 

 

「あの・・・ 出来れば、足の力を抜いて欲しいんだけど・・・」

 葛の葉の真上に、腕立ての姿勢でいる保名が、苦笑しながらお願いをする。

 

「だ・・・ だって。こういうの、初めてで・・・

は・・・ 恥ずかしい、よぉ・・・」

 対して葛の葉は、いつもの男の様な口調や威勢はどこへ行ったのか、肢体を小さく震わせながら、そう答えるのがやっとだった、

 

「参ったな・・・ 僕も。その・・・ 初めてだから。

 ・・・でも、押し倒したのは僕だしね。・・・頑張ろうかな」

 

  そう言うと、保名は葛の葉の細い喉に顔を埋め、側面をぺろりと舐め上げる。

 

 

「んっ・・・!」

 それだけで、ビクンと体を震わせる葛の葉。

 する必要はどこにもないだろうに、唇をきゅっと結んで声を我慢していた。

 

 続けて、乳房と言うにはまだ早く、浅い丘でしかない胸に手を伸ばし、ゆっくり撫で擦ってみる。

 

「はっ・・・ ん、うっ・・・」

 柔らかながらも、成長過程の少女特有のしこりとも言うべき硬さを残した胸の独特の感触。

 そしてその先端にある、小さく薄桃色の突起は、保名の手による刺激を受けて、僅かながら勃起の兆候を見せている。

 

「・・・・・・・・」

 横目でそれを見ていた保名は、攻略心に駆られたのだろうか

大胆にも、直接葛の葉の秘所に手を伸ばし・・・

 

 

(クチュ・・・)

 

 

「ふぁっ・・・!? あっ、あ・・・!!」

 

秘丘の割れ目を指でなぞるだけのものだが、それでも自分でさえ触れた事の無かった場所。

それを初めて触れられた葛の葉は、小さな肢体を大きく仰け反らせ、声を上げる。

 

(クチュ、クチュ、チュク・・・)

 

 

「あふぁっ!? あ、あぅ、あっ!!」

 二度、三度と指を前後に動かすたび、無垢な少女は頬を紅潮させ、可愛らしい嬌声に喉を震わす。

 美しく可憐な顔が、未知の快楽に様々な変化を魅せ、それが更に、保名をこの時に、そして葛の葉に夢中にさせた。

 

 そんな中、保名の目に付いたのは、体と同じようにブルブルと震えている、葛の葉の白銀色の尻尾。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 

(ギュッ・・・!)

 

 

「ひぁっ───!!!?」

 左の手で、誘われるようにその尻尾を握った途端、葛の葉は魚のように、跳ねた。

 

「やぁっ・・・! しっぽ、ぉ・・・っ! しっぽ、ダメぇっ・・・!!」

 小さな子供か子猫のような声で、弱々しく訴える葛の葉。

 

「・・・・・・・・・」

 それを見た保名は、そっと尻尾から手を離す。

 

「は・・・ふ」

 

 弱点の責めから開放され、葛の葉はすっかり放心した顔で、ゆっくり息を吐くが

 

 

(グイッ───!)

 

 

「ひゃ、うぅっっ───!!?

 

 その隙を突いて、保名は再び葛の葉の尻尾を内股から握り、臍の位置まで引っ張り上げた。

 

「あ、あ!! あう、あっっ!!!」

 

 クイ、クイ と、保名が引っ張るごとに、敏感な尻尾がより敏感な割れ目を擦り上げ、強烈な快感を葛の葉に与える。

 それを繰り返していくうちに、葛の葉の秘所からは、快楽と興奮の証しである愛蜜が溢れ、自身の尻尾を塗らしていった。

 

 

 そして

 

 

「ひあ・・・ あ、あ・・・っ あ───────っ!!!

 

 

(プシィッ────・・・・!!)

 

 

 勢いのままに、ぎゅう と一際強く尻尾を引っ張ったのが決定打となり

 派手に初めての潮を吹きながら、葛の葉は大きく身体を仰け反らせ、絶頂を迎えた。

 

 

「わ・・・」

 保名は、初めて見る潮と、頬に飛んだ雫の飛沫に驚きつつ

 

「だ・・・ 大丈夫?」

 自分でやっておきながら、そんな言葉をかける。

 

 

 どうやら保名という人物。普段菩薩のように優しい分、こういった行為においてはかなり積極的になる御仁らしい。

 

 

 

「は────っ・・・・・・ は─────っ・・・・・・・」

 

 おかげで葛の葉の方は、まだ魂が飛んでしまっているままだった。

意識も虚ろに、瞳の焦点が合わないまま、大きく呼吸に胸を上下させている。

 

 

「あ、その・・・ 葛の、葉・・・?」

 そんな葛の葉の顔の前で、手をプラプラと振ってみるものの

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ふぇ・・・?」

 脳みそが溶けてしまったかのような、この反応。

 

 だが、それは数回の呼吸と共に、瞳の焦点と共にだんだんと戻ってきた。

 

 

「ふぅ・・・ はぁ・・・ ふぅ・・・」

 無言のまま、保名を見つめる葛の葉。

 

「ご、ごめん・・・。初めてで、ちょっと興奮しすぎちゃった」

 そう言って謝る保名。さっきまでの大胆な責めとはまるで別人である。

 

「知らな、かった・・・」

「え・・・?」

 

「こんな、すごいなんて・・・ 知らなかった・・・・・・」

 狐として葛の葉が知っていたのは、ただの子孫繁栄の行為。それだけだった。

 自分で自分を慰めたことすらない葛の葉にとっては、その全てが未知であり、驚きだった。

 

「・・・・・・・」

 純粋な笑顔で、自分に微笑んでくれる葛の葉に、保名は・・・

 

「葛の葉・・・」

「・・・? なん、だ?」

 

「君に大事なことを言うのを忘れてた。

 ・・・これを言わないと、ただの自分勝手だ」

 

  保名は、ひとたび覚悟を決める為の深呼吸をしてから、葛の葉の顔を覗き込み

 

 

「家族になろう。葛の葉。

 僕の・・・ 妻になって欲しい」

 

「つ・・・ ま・・・?」

 葛の葉は思わず、その単語を反芻した。

 その言葉の意味を知らないわけじゃない。知っているからこそ、驚きのあまり。

 

 

「狐だとか掟だとか、そんな話はどうでもいい。

 僕は葛の葉と、ずっと一緒にいたい。・・・君がいない世界を、もう考えられないんだ」

 

「ほん、とに・・・?」

「・・・・・・・(コク)」

 葛葉の問いに、無言で頷く保名。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 保名もまた、自分と同じ事を想ってくれていた。

 その事実に、言葉に、葛の葉の中から、色々な感情がこみあげてくる。

 

「だから、一番大事なことを聞くよ。

・・・・・・・ 君を、僕のものにして・・・ いいかな」

 

「・・・・・・・・・」

 つまり、それは・・・

 【親友】という関係を捨て去り、男と女の契りを結ぼうということ。

 

 結んでしまえば、もう親友には戻れない。

 

 でも、本当に怖いのは・・・

 

 

(ぎゅっ・・・)

 

 

「あっ・・・」

 葛の葉は保名を抱き寄せ、力の限り抱き締めた。

 

「葛の葉・・・」

 少女の力では、全力でも保名を圧迫するほどではない。

 

 でも、腕に篭もる力から

葛の葉の想いは、痛いほどに保名に伝わってくる。

 

「お願い・・・」

 

 そして

 

「ずっと・・・ 離さないで・・・」

 大粒の涙を流しながら、葛の葉は

初めて保名の前に、か弱い少女の姿を、本当の想いを打ち明けた。

 

 

「・・・・・わかった」

 保名も、葛の葉の想いを全て受け止め、頷いた。

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

 保名は爆発しそうな心臓と屹立物をなんとか抑えながら

袴を外し、露になった肉棒を右手で沿え、葛の葉の秘所・・・ 割れ目に先端を付ける。

 

「・・・・・・・・・っっ」

 それだけで体を強張らせ、ビクンと震える葛の葉。

 目を閉じ、床に広がる自分の着物の一部をぎゅうと握り締め、来るであろう未知の痛みと衝撃に対し、必死だ。

 

 

(つ、ぷ・・・っ)

 

 

「ひ、うっ・・・!」

 

 ゆっくりと、慎重に。腰を前に押し出していく。

 閉じている未成熟な割れ目は、一度の絶頂のお陰で、滑る様に保名の肉棒の挿入を受け入れ、広がり、秘丘の肉が保名の形に僅かな盛り上がりを見せていく。

 

「あ、あっ・・・!!」

 

 葛葉のように小さな肢体(からだ)の少女の中に

まだ先端とはいえ、自分の分身が入っていくその光景が、何かまるで現実感のないものに見える。

 

 そしてすぐに先端に当たる、感触。

 さすがに保名にも、それが何なのかはすぐにわかった。

 

 

「・・・・・・・ いくよ」

 そう、一言。

 

 次いで、保名は・・・ ぐっと腰を押し出し、一気に剛直を奥まで突き入れていく。

 

────・・・っ!!!

 葛の葉には、かなりの激痛が体を駆け抜けているのだろう。

これまでになく大きく見開かれた目から溢れる涙が目尻からこぼれ、開きっぱなしになっている口からは、消え入りそうなほど微かな悲鳴が漏れる。

 

 みち・・・ という、膣壁が限界まで押し広げられる音。ぶちぶちという、膜が裂ける音。

 そして、葛の葉の痛みが全て跳ね返ってきたかのような、潰されそうなほどの締め付けだけが、葛の葉を通して保名に伝わってきた。

 

はっ・・・・ ───・・・ っっ・・・・

 

 痛みを少しでも逃がしたいのか、それとも無意識か、

 強く握りすぎているせいで、すっかり白くなっている両手。

握られている着物の布は、もう着物として着られないほどになっている。

 

 

 二人の結合点から流れる、破瓜の証明。

 真紅が秘所を静かに伝い、着物の裏手・・・ 白布を朱に染めていく。

 

 

い・・・ っ・・・

痛い、という言葉が漏れそうになるのを、きゅっと唇を閉じて我慢しているのがわかる。

 

「・・・・・・・・・」            

 

(ぎゅうっ・・・・・)

 

 保名は、極力動かさないように気をつけながら

 汗ばみ小さく震えている葛の葉の体を、包むように抱き締めた。

 

「・・・・・? やす・・・」

「落ち着くまで、こうしていよう」

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

    そうして、数分

 

 

 

「・・・・・・・・ どう?」

「ん・・・ もう・・・ だい、じょうぶ・・・・・・」

 

 そう言って、保名の腕の中で、笑顔を見せる葛の葉。

 

「・・・・・・・・・・」

 恐らくは、まだ痛いのだろう。

 でもだからこそ、このままで終わらせちゃいけない。

 

 

「じゃあ・・・ 動かすよ」

 保名は、葛の葉の両手に自分の手を絡め、しっかりと繋ぎあうと

奥まで挿入されたままだったそれを、ゆっくりと引き始める。

 

「あっ・・・ ひぐっ・・・っ!」

 ビクン。と反応させ、眉を寄せる葛の葉。

 それでも破瓜の瞬間と比べれば、大分その痛みは緩和しているように見えた。

 

 

「(よし・・・)」

 

(く、ぷっ・・・)

 

「あ、うぁっ・・・」

 

 奥まで挿し込んで、引き抜く限界まで引いての、そろそろとした遅い速度での前後運動。

 それが繰り返されるたび、肉棒に絡みついた破瓜の血が白布の上に落ちる。

 

 

 

 

 そうした交わりが、しばらく続いたろうか

 

 

 

 

(じゅぷ・・・ じゅぷ・・・ じゅっぷ・・・)

 

 

「ひ・・・ んっ・・・」

 無音の部屋の中には小さな水音が響き始め

流れる血液は快楽の証しである愛液とかき混ぜられ、ぷちゅぷちゅと淫靡な音を立て始める。

 

「くっ・・・ ふ・・・ は、あぁ、んぅっ・・・」

 葛の葉自身も、明らかに変化があった。

吐く息は熱を帯び、頬は林檎の色に染まり・・・ 何も知らなかった少女は、破瓜の痛みを超えて、保名を全身で感じ取り始めていた。

 

 

(ぐっ・・・)

 

「えっ・・・」

 突如、保名の手が葛の葉の桃尻に添えられたかと思うと

 

 そのままぐいと持ち上げられ、挿入がされたまま、葛葉の身体は保名の胡坐の上へと移動させられた。

 

「あっ・・・ え・・・!?」

 いきなり、保名の上で抱き合う座位に変わった事に驚く間もなく

 

 

(じゅぷっ! じゅぷっ!! じゅぷっ!! じゅぷっ───!!!)

 

 

「きゃっっ!? あ、あっ!! ぁんっ!!」

 

 大きく、激しく揺れる、小さな肢体。

 

 

「ふあっ・・・! やす、な・・・ もっと、ゆっ・・・ く、りぃ・・・ あ、あっ!!」

 まるで地揺れのようで、怖くなった葛の葉は、思わず保名にしがみ付く。

 

 

「葛の葉・・・」

「やす、な・・・ んっ・・・」

 

 自然と、二人の唇が重なった。

 

「んっ・・・」

「んんっ・・・ ふ・・・ ん・・・」

 

 二人の舌は、始めは、たどたどしく

 やがて深く、濃密に交わり合っていく。

 

 

(ぐぷっ! じゅぷっ!! じゅっ!! くちゅっ!!)

 

 

「うんっ・・・ あ、あっ・・・!!」

 激しさを増していく交わりに、葛の葉の声もその音量が増して行った。

 

 

「ふぁっ、う・・・ やす、な・・・っ やすなぁっ・・・!!」

 無意識にか、より強い力を込め抱き締める葛の葉。

 

「なに・・・?」

 

「やぁ、う・・・っ! なに、かぁ・・・っ また・・・

なに、か、来るぅ・・・っ!! 来ちゃう、よぉ・・・っっ!!!」

 

「なにが?」

 

 腕の中の少女を突き上げるのをやめないまま、保名は別っている上で、意地悪な返しをする。

 保名の方にも、質問に答えきる余裕が無かったのかもしれない。

 

 

「わ、かんな・・・

 ひあっ! あ、あ・・・」

 

  葛の葉はもう、保名に突かれるごとに、悲鳴のような嬌声を漏らすしかできない。

 

 そして

 

 

「あ、あ・・・あ────────っっ!!!!

 

「くっ・・・!!!」

 

 

(どくんっ!! どく、どぷ・・・・・・)

 

 

 雷に打たれたように体が仰け反り、痙攣させ

 葛の葉が二度目の絶頂を迎えたと共に、保名もまた臨に達し、葛の葉の幼き子宮の奥深くに、熱い精をぶちまける。

 

 

「はっ・・・ はっ・・・・・・」

「は───・・・・・・ は────・・・・・・・・」

 

 急な疲れと、脱力感。

 そして、無事に終わったという安心感。

 

 それら全てが一気に襲ってきて、葛の葉と保名の二人は共に、ぐたりと元の体勢に倒れこむ。

 

 

「く・・・っ」

 保名が腰を引くことで、ようやく抜き放たれる肉棒。

 

「は・・・・・・」

 

 抜き放たれた瞬間の陰唇は、縦筋ではなくすっかりと陰茎の形に開いており

ごぽ・・・ という小さな音をさせ、朱と白の混ざった、桃色の液が滴りこぼれている。

 

 

 

「は・・・・ ふ・・・」

 

 葛の葉は虚ろな目のまま、両手をお腹の上に置き、擦っていた。

 擦る手の中、今尚下腹の内の子宮に残る熱い感触に対する、無意識の手の動きである。

 

 

「葛の、葉・・・」

 安らかなその顔が、どこまでも愛しく、可愛らしい。

 保名は、そんな葛の葉の姿に微笑みながら

 

「ん・・・」

 急に睡魔に襲われ

葛の葉の真横に、倒れこむようにして眠りについた・・・

 

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 

 

        夜

 

     安倍屋敷  保名の寝所

 

 

 

 

 二人して眠り込んでしまい、互いに起きた時には、星月の輝く夜闇となっていた。

 

 梟のホウホウという声。鈴虫の鳴く鈴音。

 それらが遠くから聞こえる、寝所に引かれた寝具の中。

 

 一子纏わぬ姿の葛の葉と保名が、一つの布団の中で、静かに見つめ合っていた。

 

 

「まだ、痛む?」

「少し・・・ その、何というか・・・」

 言いにくそうに口ごもる、葛の葉。

 

「・・・・・・・?」

 そんな葛の葉の言葉に、保名は ? という顔になっている。

 

「・・・・・・・・・・・ まだ、入ってるみたいな・・・」

 目を逸らし、顔を赤くしながら、ぼそりと呟く。

 

「・・・・・・・・・・・/////////

 その言葉に、保名もまた赤面してしまった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 続く、沈黙。

 

 

「・・・しちゃったんだな。交尾・・・」

 

 先に、古い思い出を思い出すように呟いたのは、葛の葉の方。

 その言葉は、未だにそれが信じられないという印象であった。

 

「いや・・・ 交尾って言い方は、ちょっと・・・」

 葛の葉の狐ならではの言い方に、保名は苦笑してしまう。

 

 

「・・・・・・ヤスナが、こんな強引な奴だなんて思わなかった」

 

「・・・ごめん。必死だったんだ。

 君と二度と出会えなくなるなんて、嫌だったから」

 

 

「でも、後悔するぞ」

「・・・妖狐族の掟、というやつ?」

 

そう。妖狐族の間では、【人を愛してはならない】【人と添い遂げてはならない】という、暗黙の掟がある。

 

 かつての妖狐族の全ての歴史は、人と関わり、人と在ろうとしたが故に、血が流れ、呪わしい戦乱が起こった。

 現在も妖狐族の間で神と崇められる、金毛九尾の狐の二つの大陸での事実がそれである。

 

 人と共に生きようとすれば、その先には必ず凄惨な結末と不幸が待っている。

 葛の葉自身も、そう教えられて生きてきた。

 

 

「やっぱり、私・・・」

「怖い?」

 

「怖い・・・ もし・・・ 私のせいで保名を不幸にしてしまったら・・・

 そう考えると、怖くて・・・」

 

 

(ぎゅ・・・)

 

 

「・・・・・!?」

「今は、そういう事は考えない方がいいよ」

 

 そう言って、保名は葛の葉を、優しく抱き締めてくれた。

 あらゆる不安から、彼女を守るように。

 

「もう君は僕のものだよ。

 ・・・それに僕も、ずっと君のものだ」

 

「ヤスナ・・・」

 優しい男の、精一杯の強さを込めた言葉。

 

「・・・・・・ふふっ」

 それが、他のどんな言葉よりも・・・ 嬉しかった

 

 

「森に戻れないのなら、ここで暮らそう。・・・ずっと、一緒に。

・・・・・・・・・ 【安倍葛葉(あべのくずは)】に、なってくれるかな?」

 

  葛の葉を正面に見つめての、改めての告白。

 

「あべの・・・ くずは・・・」

 

 保名と共に在る為の名。

 そして・・・ 保名の、妻となる名前。

 

 

「・・・・・・・・ うん・・・」

 そうして私は、深く頷いた。

 

 そこでわかった。

 私はあの時、保名に助けられたんじゃない。

 あの時から、ずっと・・・ 私の全てが保名に、捕らわれていたんだと。

 

 

「んっ・・・」

 二人の唇が、再び重なり合う。

 それは二人なりの、婚礼の儀だったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今は、不安に思うのはやめにしよう。

保名の腕の中に自分がいる。今はそれが、私の全て。

だから今は、ゆっくりと眠ろう。

 

 

例え、どんな結末が待っていても

どんな試練や不幸がこれからあったとしても

絶対に大丈夫だと、乗り越えられると、信じて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、ドミニアです。

 

前々から淫獣聖戦なのにエロが挟めないジレンマから今回は強引に、まだ予定になかった葛葉の回想シーンによるHシーン、という形で引っ張ってみましたが・・・ おかげで終わり所が見つけられず最終的に二話分の長さになるわ、話の進行はぶった斬るハメになるわで散々な結果になってしまいました。

その代わりエロに久しぶりに力を注いではみたんですが、オリキャラエロでは果たしてどれだけ需要があったか・・・

 

 Uではこういう失敗は無いように気をつけたいですね。

 

 それより未完成原稿見た友人が全員「葛葉って昔こんなだったの!!?」って言ってくるのはどういうことか。

 千年前からあんな性格な訳ないでしょー。ねえ?(ぇ

 

 

 

葛葉「ま、昔はわしもこんなウブな時代があったっちゅー事じゃな」

 

・・・・・・・昔の方がよかったかも

 

葛葉「はっはっは・・・ って、そりゃどーゆー意味じゃい!?」

 

 すいませんでした。

 

葛葉「・・・まあそれは置いておくとして。ところで・・・ わし、かなりヤバいけど、死ぬの?」

 

 秘密です

 



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