淫獣聖戦 偽典 「繭地獄」 15

「邪鬼共、薙刀と弓を隠しておけ」
 小さな鬼は、互いに協力し合ってそれらを運び、奥の院を出て行く。
「女に命じる、我が命じたら即座に舌を噛み切れ。よいな」
「はい。太夫様に命じられ次第、舌を噛み切ります」
 亜衣は、美和がその命令を本当に実行するだろうと思った。これでは逆らえない。太夫は麻衣の柱に近づくと、柱と麻衣を縛り付けた触手を解いた。
「それっ」
 麻衣は股間の疼きに耐えかねたのか、その場にへたり込む。
「何をしている。大王様がお待ちかねだ」
 太夫は麻衣の脇に手を差し込み、無理矢理立ち上がらせた。麻衣は、なんとか一歩一歩近づいて行く。太股同士が擦れ合う度、萌しきった鳴き声を零し、内太股にきらきらと蜜を垂れ流し、鬼麿の元へ進む。飾り毛が無いこともあり、浅ましく淫らな光景だ。
 ようやくたどり着いた。
「鬼麿様」
 胡座の上に倒れ込んでしまう。麻衣の切なる懇願に、これまでにない程、怒張を勃たせる。
「これが鬼麿様の・・・」
 麻衣は間近で屹立を仰ぎ見て、ごくりと喉を鳴らせた。視界に桃色の霞が掛かる。
「さっさとやれ、この女がどうなっても良いのか」
「はい」
 麻衣は頭を支点に腰をもたげた。亜衣の目には淫裂はおろか、肛門にまでべっとりと濡らせた蜜が見え、心が痛む。
「あっ、あれ、うまく」
 筒先が淫唇を掠めるものの、肉壺に捕らえることはできない。若さ故、勃起の仰角が急峻過ぎ、臍に届かんとする勢いのため、麻衣のとば口と角度が合わないのだ。
「いやあ。だめ」
 亀頭が牝芯を弾いた。手が使えれば、肉棒を持って迎え入れることができるのに。麻衣は、不埒なことを思いついたが、それが不埒であることの認識が既にできなかった。淫唇や会陰が、筒先で擦られるだけで、快感がぞくっと背筋を駆け上る。麻衣はもはや、肉欲に堕ちてしまい、当初の目論見が昇華していた。淫裂が疼いて疼いて仕方なく、ただただそこを擦りつけることが、脳裏を占めている。
「埒が開きませんな、この緊箍(きんこ)をお使い召され」
 葛太夫は、煌びやかにいくつもの玉石が象眼された、金色の環を手にしていた。
「あっ」
 麻衣は、葛太夫の指触手で持ち上げられ、鬼麿から引き剥がされた。もう一方の指触手が伸び、緊箍を運んでいったかと思うと、鬼麿の屹立にそれを嵌め込んだ。
「むーーぅ」
 鬼麿が呻く。麻衣を持ち上げていた触手が離れ、地に降りた。根本に鎧を付けたような男根は、金色の環の重さで、やや角度を下げている。これなら。麻衣は意を強くして、先程の試行を繰り返し始めた。それでも、うまく填らない。既に鬼麿の男根は、自らの先触れと麻衣の蜜によって濡れそぼっていた。幾たびか敏感な先端が麻衣の無毛の鼠径部をなぞり上げたとき、余りの心地好さに上体を反らした。その角度が良かったのだろう。
「あっ。あはあーあ、くふぅーあぁ」
 ようやく先端が麻衣のとば口を捕らえたのだ。蜜が亀頭冠を包み込む。素晴らしい感触だ。ぬめぬめと襞がまとわりつき、心地よく締め上げつつ、奥へ奥へ飲み込もうとする。
「はあぁんああ、ううん、いやあ、痛、はあーーっ、はあ」
 痛いと口走ったが、それは全くの心理的な物で、やや引きつれる感覚があったものの、それすら心地よかった。それ以上に、満足感が心を満たしていた。
「うぅあ、はぁ、はぁん。あーっ、ああぁ」
 麻衣が腰を下ろすにしたがって、ずぶずぶと中太の茎胴が没して行く。
「ああ、うれしい。鬼麿様」
 姉の手前言わないでおこうと思ったことを、歓びに負けて口走ってしまう。
「はあぁーーーっ」
 長い溜息と共に完全に肉棒をくわえ込んだ。これが本当の男。熱い。男の物が、こんなに熱いなんて。それに硬い。カリが擦り抜けた襞が熱を帯びて、無意識に蠕動運動を始めている。形が分かる。麻衣は無意識に純血を破った木馬のそれと比べていた。やはりあんなおもちゃじゃなく、生身のこれが良い。この前はゴムの棒が入っただけだ、本当の処女は鬼麿様に捧げたのだ。初めての男との交合でこんなにも気持ちいい。逆に木馬に感謝したい位だ。それに擦りつけると、丁度緊箍が陰核を刺激して、電気が走る。
「鬼麿様、出そうになったら、合図して下さい」
 ようやく思い出したのか、麻衣は他には届かないほどに囁くと、それに一〇倍する喘ぎを発する。
「ふぁーはあぁん。はぁ、はぁん、ああーん」
 麻衣は股をM字に開けきり、ゆっくりゆっくりと腰をもたげ、そして下ろした。
「ああー。いい。気持ちいいのう。ふーああん」
 上体を鬼麿に預けるようにすると、乳首も鬼麿の胸板を擦り、堪えられない程ぞくぞくする。この上下運動を繰り返すと、女淫が痺れ、下腹が熱くなり、幾度も稲妻が背筋を駆け上り、頭が真っ白になって行く。それは、鬼麿とて同じことだ。夢にまで見た姉妹の片方と交わり、しかも相手は歓んで腰を動かしてくる。気持ちいい締め付けと、あらゆる部分が蠢く、この蜜壺が極上の悦楽を奏でる。
「天津君、何時まで見ているつもりかね」
 その声で亜衣は二人の行為を、息を飲んで見つめていたことに気が付いた。頬が熱い。それに内太股が恥ずかしいほどの濡れそぼっていた。
「それ、解いてやったぞ」
 柱からで全ての触手による緊縛を解かれ、その場にへたり込んだ亜衣は、視界に肌色の柱を見つけた。はっとなって顔を上げると、人間がいた。
「桂先生」
 葛太夫が化けたのだ。下から見上げる格好になった、亜衣は目前にまだ力なく下を向いた男根と目が合ってしまった。
「きゃ」
 あわてて顔を背けたが。雄の器官が網膜に焼き付いてしまった。汚らわしい。しかし、あの状態であれだけの大きさ、あれが勃起したらどれだけの大きさになるのだろう。そんな妄想が浮かんだ。馬鹿、私の馬鹿。この疼きの所為だ、こんな淫らなことを考えるのは。
「何をしている。不通女でもないのに、恥ずかしがる場合か」
 亜衣が恨みを込めて桂を睨む。
「そのような目付きで、奉仕ができるのか」
「できるわ。二言はない」
「良い心がけだ、しかしな、そのような態度では、勃つ物も勃たない。そうなれば、あの女は死ぬ。まず言葉遣いとその目付きを直すのだな」
 亜衣は、ぐっと詰まった。奉仕は相手有ってのこと。以前聞いた学園長のくどい講話の一節を思い出した。亜衣は、一旦眼を閉じて、意を決した。
「何をすればよいでしょう。先生」
「いいだろう。ただ、私は保健体育は専門外でね。ふっ、この問題に関しては、自ら考えて行動しなさい。それが実社会のあり方だからな」
「分かりました」
 そう言いつつ亜衣はどうしようと思った。そう言えば、先程手本を見たことを思い出した。あれを舐める。本当にそんなことができるのか。死にたくなるほど汚らわしいが、美和を助けるためには致しかたない。亜衣は仁王立ちする桂に躙り寄った。男根の基部を両手で支え、顔をやや傾げつつ近づけてゆく。臭い。それが匂う距離まで顔が寄ったとき、亜衣は震えつつ、蕾のような唇を、意を決して開いた。舌を一杯に差し出し、赤黒い怒張の先端を舐めた。
「苦っ」
 嫌悪感が決壊し、思わず口にした言葉が、太夫の耳に入らなかったかどうかを恐れて顔を上げる。桂は相変わらず無表情で見下ろしていた。とりあえず大丈夫。亜衣は舌先に力を入れて、縦割れに沿って、何度も往復させる。麻衣達の嬌声が耳を突かなくなり。代わりに、自らが発するぴちゃぴちゃという濡れた音が頭蓋の中を谺する。そうだ、単調なのは良くない。舌全体を開いて、亀頭を包み込むように舐め上げる。カリの部分を舌で舐め回す。そして、啄むように唇を尖らせて吸い付く。そうしていると、徐々に充血してきたのか、頭をもたげてくる。
「さすがは成績優秀な生徒だな。飲み込みが早い」
 飲み込む。その言葉に反応した亜衣は、自分の唾で潤し、多少は愛着が生じてきた怒張を飲み込もうと、大きく口を開く。
「ふふふ」
 羞恥心を喚起させようとしても無駄よ。もう覚悟はできている。それが端から見てどんなに淫らで恥知らずでも、たじろがない。そう心に決めていた。思い切ってくわえ込んだ。口内に苦みと饐えた匂いが満たされて行く。負けるものか。
「ずずーーっ」
 虫酸を全身に走らせながら、亜衣はそれに逆らって思い切り吸い上げた。自分自身を苛むことで、何かを振り切るように。喉の奥まで入れれば良かったのよね。
 げっほ、げほ。一旦噎せて吐き出したモノを、健気にもう一度くわえ込む。舌をそよがせ、嘗め回し唇を締め擦り上げる。何度も何度も頭を振って、それに合わせて輪を作った手で茎胴を扱く。
「やるねえ。天津君。何でも負けたくないのだね。それが男女の営みでも。ふふふ」
 亜衣は、如何なる中傷にも耐えられると自信があった。しかし、頬伝う涙が思うに任せない。ぴちゃ、じゅび、ちゅば、じゅる、ずぅーー。先端を指で支え、横くわえでハーモニカをを吹くように、くなくなと側面に唾液をまぶしてゆく。亜衣の心の中はともかく、端から見れば、男根を崇拝し奉仕を捧げる姿にしか見えない。加えて、既にじんじんとくる淫裂の疼きに突き動かされて、だらだらと淫蜜を垂れ流す様は色狂いと揶揄されても致し方ないだろう。
 それが数分も続いたろうか、初めてにしては抜群の技巧ながら、淫水焼けして隆々と天を突く桂の屹立は、一向に果てる気配はない。カーマに奪われたときは、万事が相手主体で推移し、何かを考える余地などなく、為すがままに終わってしまった。しかし、今回は違う。全てが自発的に動かねばならない。この男がどうすれば歓ぶか、それを考えねばならぬことは、精神的にひどく苦痛だ。美和を救うという大目的があるとしても、今まで忌避してきた卑猥なことを、自ら望んでやっているような錯覚が生まれ始めていた。こんな大きいモノが、自分の体内に入るかも知れないと恐怖感と、無意識に生まれる甘いわななきが女淫から波紋のように体中に広がってゆく。不思議ともう嫌悪感が無かった。
 そのとき桂は、ぽつりと眼下に発した。
「口はもう良い」
 だからといって、どうしろとは言わない。憎い奴だ。その雄渾なモノに畏怖さえ憶えだした。口一杯いや喉一杯にまで頬張った逸物を吐き出し、はあっと息を付きうなだれる。もう、あそこでまぐあうしかないのか。その予感だけで、女淫がヒクヒクと痙攣する。そんな自分自身を憎悪しながら眼を開けると、まだ使えるところを見つけた。亜衣はさらに半歩桂に近づいた。ここ数ヶ月で、お椀型から砲弾型にまで成長した乳房。そこに桂の逸物を挟み込む。
「パイズリか。こんな手管をどうやって憶えるのかね。天津君」
「雑誌で・・・」
 そう答えて、亜衣はかーっと熱くなった。
「ふーむ。そうか。指導方針を考えないといけないなあ」
 あくまで、生徒と教師を演じ続けるようだ。ぐっと奥歯を噛み締めると、桂の演じる設定に乗ってやろうと思いついた。両手でたわわに熟れた乳房を挟み付けた。雄渾なモノもほとんどそのもち肌の峡谷に没する。膝を屈伸すると、先端が突き出たり、沈み込んだりして、自分のおっぱいが次々に形を変えてゆく。そうだ、亜衣は思いつきを実行に移した。男根が突き出た時に延ばした舌で、蛇のようにちろちろと舐めてみた。
「おおう」
 初めて、桂が声を発した。気を良くした亜衣は、訊いてみた。
「どうですか先生。私の胸は」
 変化を付けた方がよいだろうと思い、左右交互に肉球を揉み回す。
「うーん、そうだね。なかなかいいよ。柔らかくて、それでいて張りがあって、私のモノが埋まるくらい大きいしね。ただ」
「ただ?」
「やや、滑りが悪い。その辺がね」
「滑りですか」
 亜衣は、口を半開きにして下を向いた。唾が一筋、二筋谷間に垂らしてゆく。水滴が光を反射して淫靡だ。何滴か落とした後、上下動を再会した。にゅちゃ、にゅる、ちゅちゃ。潤滑液を得て、スムーズな動きになる。
「うーむ。優等生はこうゆう場合でも応用力があるね」
「ありがとうございます。先生。私もなんだか、はあ、気持ちよくなってきました」
 媚びを売るつもりの言葉だったが、実際乳房全体が熱くなってきて、乳首もこれまでになく尖っている。それが、桂の陰毛に擦れると痺れるように気持ちいい。なんだか膣の奥が、きゅっと締まった気がした。もう冷静な思考ができない。ただただ本能で動いていた。動作が慣れてきたのか、人知れずピッチが速まっていく。それに連れて動悸も高まってくる。だんだん、やらされている意識がなくなり、本心から望んでこの男に奉仕しているような気分になってきた。そして何十回か往復の後、突き出された槍先に唇を被せたときだった。
「おぅ」
 桂の呻きに只ならぬ気配を感じた瞬間。胸に挟んでいた逸物が飛び跳ねた。亜衣はそう思った、その瞬間筒先が口の中で爆ぜた。いやっと上げようとした悲鳴は、音声にはならない。咄嗟に吐き出そうと思ったが、既に遅く、夥しい粘液が喉を直撃し、なおも突き出されてくる屹立に出口をふさがれパニックになる。飲めば良いんだ。そう思いつくまで数秒。自分が何をしようとしているか、亜衣はもうわからなかった。一回二回と飲み込んだ時、第二撃が襲った。同じように対処しようと思ったが、もはや喉に絡んで嘔吐感が生まれた。すぐには。そう思ったとき、桂は、それをやや引き抜いてくれた。おかげで、唇から一部が逆流し外に吹き出してしまった。桂は、そのまま亜衣の口から自らのモノを完全に引き抜くと、亜衣の顔に向けた。どっぷ、どくと、第三撃目にしては大量の白濁が亜衣の鼻から瞼を斜めに塗り上げ、返す刀で頬や首筋、そして胸を白く染めてゆく。亜衣は何も考えられず、目を閉じて恍惚となっていた。



BACK       TOP       NEXT