《めざせ!亜衣・麻衣と3Pでイカせまくり。中出ししまくって30連発》


《1話 退院まで@》

三日程僕は意識を失っていたらしい。
状況としては全身のあちこちが打撲と、骨折、眼球も剥離、内臓も破損状態とか。
(何か正式な長い症例名を一杯言われたんだけど、ぼーっとしてる時に色々言われたので忘れた。)
それでも症例数だけ聞いただけでも、すごい重症で青くなりそうだ。
その割にはそれ程あちこち痛くないのは麻酔が効いてるからだろうか。何でこんなに平気なんだろう。
壁とトラックの間に潰された僕はペッシャンコになったらしく病院に運び込まれた時はもうかなり危なかったらしいけど
今はもう命に別状はなく。数ヶ月で退院もできるそうだ。
でも体感的にはそんな大怪我って感じがしない。
頭はすぐに包帯が取れたし、右手右足のギブスも二週間程でとれそうだし
内臓が一部弱ってるのでしばらく食事制限はあるけど杖を突いて自由に歩けるし。
別にふらふらもしない。すぐにも退院できそうだ。

僕の事故を聞いて亜衣・麻衣と天津のおばあちゃんがやって来てくれたのかと最初思ったのだけど
聞いてみると連絡を貰う前に彼女達は来たらしい。何故なのか質問したけどそのうち説明するとの事で誤魔化された。
でも毎日四人が来てくれるのは嬉しい反面ちょっと大げさ過ぎる気もする。連絡取らなくなって随分経つのに。
(木偶の坊さん(変な名前だ)が来て妙に馴れ馴れしく色々世話をやこうとされるのは困ったけど。)
天津のおばあちゃんは特に心配してくれたのか内緒で僕の身体を見てくれて
「回復が早くなる漢方薬」とかを色々貰った。
ちょっと胡散臭いかなと思ったけど昔からの知り合いだし一杯世話になった人なので特に心配もせず僕は頂いた。

「なんか随分久しぶりだね〜」
「うん。麻衣ちゃんもあいかわらず。」
僕は麻衣のことを昔から『麻衣ちゃん』って呼んでた。亜衣には『亜衣』と呼び捨てで。
たぶん一緒に遊ぶ事の多かった麻衣が『ちゃん付け』で、怒られてばかりいた亜衣には
反発もあって呼び捨てにしてたんだと思う。よくそれで文句を言われたけど。
「あいかわらずって何?」
「え? いや、元気だよな〜って。あ、綺麗になったよね。」
「本当?ありがと!
 いや〜ヒロちゃんもそういう事言うようになったんだ。お姉ちゃんとしては複雑だなぁ〜」
ひとつ年上のせいか何かと麻衣はお姉さんぶる。自分が末っ子のせいか昔から弟が欲しかったらしく
僕を弟みたいに扱うところがあった。
「ヒロちゃんもちょっと会わないうちにカッコ良くなったね。背もすごく大きくなっちゃって。」
「!」
思っても見なかった言葉に顔に血が昇ってくるのがわかる。
「あはは。赤くなった。可愛いーい。」
「かっ からかってんじゃねーよっ!って今、僕包帯巻いて眼帯してんじゃん!判る訳ないだろっ!?」
「あはははっ」
「麻衣。病人を興奮させるんじゃないの。」
亜衣がたしなめる。
その亜衣を見て僕は少し複雑な心境になる。
去年聞いた噂では、このあたりでは神道系の私立お嬢様学校として有名な女子高に通ってる彼女達は
亜衣は弓道。麻衣は薙刀で大会に何度も名をつらねてるそうで
美少女双子姉妹として校内だけじゃなく、登下校時に見学や投稿写真家が来るくらい有名なんだそうだ。
他校に居てこの噂を聞いた僕はささやかな優越感と寂しさに ちょっと切なくなった。

・・・・・・・・・・・僕は二年前に亜衣に振られていたから。

四、五歳くらいの時に彼女達の神社の境内に遊びに行って出会い仲良くなった僕達は
世間的には幼なじみって言うんだろう。それこそ いつもあちこち一緒に遊び回ったものだった。
一緒に遊んで、探検して、悪さして、怒られて…楽しかった。
それこそずっと続くと思ってた関係。
その関係を崩してしまったのは実は僕の方からだった。
小学生くらいから毎年二人にバレンタインにチョコレートを貰っていたんだけど中学に入ってから亜衣からぱったりと
貰えなくなった。一度目はさほど気にもならなかったけど二年目も貰えなかったので
何でだろう。嫌だなと考えこむうちに僕は亜衣が好きだったんだと気付いた。
そこで催促がてら文句を言いに行ったけど、かまってもらえなかったあげく返ってきた言葉が
『なんだって麻衣がチョコあげたからってあたしまであげなくちゃならない訳?』だった。
「だって毎年貰ってたし・・・」
「毎年あげてたからこれからもあげないといけないの?」
「そうじゃないけど・・・」
年下って事もあるせいかどうしても亜衣との会話は姉弟みたくなってしまう。それも姉の方が絶対者で弟は家来の。
「好意であげる物を催促しに来るなんておかしくない?」
「そりゃ・・・・そうだけど」
「もうあたし達も大きいんだから、軽い気持ちでそんな事はしないわよ。」
「だって僕・・・・・亜衣の事好きだし・・・・・・・・・・・・・・・っ!」
ぽろっ・・・と出た告白に硬直する僕。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
亜衣はしばらく俯いていたけど顔をあげるときっぱりと言った。
「あんたは幼馴染としてはいいけど、そういう風には見れない。男はキライだから。」
「!!!!っ」
ショックだった。
後になって、あれはニュアンスが違っただけだと判るがその時僕は『男はキライ=本当はあんたも嫌い。』と受け取った。
今までの関係が全部否定されたような。嘘になったような。頭から冷水を掛けられたような絶望感。
とっさに僕はその場から走って逃げ出してしまった。
以後、傷ついた僕は亜衣を避けた。当然麻衣とも顔を合わさなくなり、どんどん疎遠になっていった。
年賀状も出さず麻衣の手紙にも返事を出さず。TELも避けて時々家まで誘いに来た麻衣を邪険にあつかって怒らせて・・・
そうしていたら彼女達も受験で忙しくなったのか以後連絡は殆ど来なくなった。
僕は忘れようとして狂ったように勉強して高校は別の進学校に進み(彼女達は女子高だっけど) 

・・・・・・・・そうして2年以上連絡無しの状況が続いていた。

 僕の体力は急速に回復した。なんでも病院に運ばれた時には頭蓋骨骨折及び内臓も多数傷付いていて
一時は意識不明まで行ったのが一命を取り留めた後、ものすごい勢いで回復してるそうだ。
病院の先生もこんなに回復が早いなんてありえないが…と首をかしげていた。
中でも内臓や眼球が修復してきてる。ありえない!と騒いでいるみたい。
最大の問題が・・・勃起だった。
目覚めた3日目ほどから、ぼくの ちんちんは起ちっ放しになってしまった。(笑いこっちゃない)
別にHな想像をしてる訳じゃなくって、朝起ちのように勝手に起っているのだ
恥ずかしながら朝昼晩起ちっぱなし。それこそエニタイム フルタイム 起ったままなのだ。
おしっこがすごく やりずらい。(いや、ホントに笑いこっちゃない。)
形もなんか、これこそ生まれ変わったんじゃないかっていうくらい一回りほど大きく硬くなっていた。
興奮すると更に反り返ってお腹に当たったりする。
お腹に当たるなんて、以前Hな漫画で『へそ迄反り返った俺の〜』なんてセリフを見て笑った事はあったけど、
それは漫画だからで現実になんかありえないと思ってた。
『すごいっ』と最初は喜んだけど一日中勃起しっぱなしだと落ち着かないし とっても恥ずかしい。
さらに常に先走りっていうのか?先端が濡れ続けている。 なんかおもらししてるみたいで ものすごく情けない。
しょっちゅうティッシュで拭いてるのにどんどん溢れてきて止まらない。意識的に止めようと思ってても止まらない。
蛇口の緩んだ水道口みたいだ。おしっこをずっと我慢して下腹に力をいれてるのに
少しづつ漏れ出してる感じといえば男の人には判ってくれるだろうか。
ずっと下半身をシーツで隠したまま何度も何度もこっそりティッシュで拭く自分が
情けないやら悲しいやら恥ずかしいやら。

病院の先生は最初『元気が合って良いじゃないか。若いって証拠だよ。うらやましいなぁ』って笑ってたけど。
『トイレですっきりしてきてごらん』といわれ3時間経っても出て来れなかったあげく
全然治らないと知ると困惑顔になった。
結局、外科の領分ではないって事で関知されなくなってしまった。

おまけにこの先走りみたいのは何か女性だけが感じる臭いを出しているみたいだった。
見舞いに来たクラスメイト達が『神野君、何かつけてる?変な臭いがしない?』と言い出して
女子達は『うん』『なんか変な感じがするよね?』と口々に
『嫌な臭いではないんだけど・・・壮快な臭いでもないし』と言って
妙にもじもじしていた。男子の方は皆解らないと言ってたし当然僕もさっぱり気付かなかった。
その時は病院臭が移ったのかな?くらいに思っていただけだったけど・・・・

目覚めてから2週間が経ったが何故かいまだに亜衣麻衣姉妹と木偶の坊さんは毎日やって来る。
天津のおばあちゃんまでよくやって来る。
久々に会って、よく見舞いに来てくれるのは嬉しかったけど、こんな状態の僕を見せるのは かなり嫌で
なんとか隠そうとしたけど昔からの馴染みに隠し事が出来るはずも無くあっさり露呈し説明する羽目に。
顔から火がでるような気分を生まれて初めて味わった。
 しかし事情を知ると呆れ顔の亜衣と麻衣をよそに天津のあばあちゃんは深刻な顔で謝って説明し始めた。
そこで僕は初めて彼女達が来てる意味と鬼獣淫界との闘争を知る。
あまりにも荒唐無稽な話なんだけど天津のおばあちゃんも亜衣も嘘を付くような人じゃないし
ここ最近 近辺で女性の原因不明の失踪事件がものすごい数で起こっていて、その説明にもなる。
確かこの前も短期間で10人くらい行方不明になってて、校内でも近所でも噂になってたのに
新聞でもTVでも取り上げないんでおかしいとかなり話題になってたんだ。
一番失踪者が多かったのが彼女達が居る天神学園で複雑な心境ながら僕はかなりやきもきしていたし
うちの学校にも失踪した女子生徒が何人かいて現実味を身近に感じると ぞっとした。
まして彼女達が直にそんな目にあっていたなんて。
怖さと戸惑いと、二人が僕に何にも言わずそんな事になっていた苛立ちと寂しさが混同して
なんともやりきれない気分になった。

要約すると
鬼獣淫界という異界?の人達が天神の末裔の『鬼麻呂という人物を攫って王(淫魔大王)として推戴し、
勢力を増して世に騒乱を起こそうとしていてるので、天神の母方の末裔だという天津家が
代々守護する役目として近年行動を再開した連中と暗闘していたそうな。
テロじゃないか。そういうのは警察とか自衛隊とかの領分じゃないか?と聞いたんだけど、
警察機構設立の遙か以前から活動していて今は宮内庁直轄の単独機関として
独自に動いていられるそうな。宮内庁だって…嘘でしょ?

今回その連中との戦いで鬼麻呂さんという人が亡くなってしまったそうだ。
その敵自体はやっつけて封印して?(何かイメージ沸かない。陰陽士みたいなのかな?)
帰ってきて、失意の中で鬼麻呂さんの法要をしていたら
近隣で鬼麻呂さんの霊気が立ち上がり、捜していたら僕が見つかったそうだ。

見舞いをしながら僕の身体を調べてみると確かに僕の中に鬼麻呂さんの魂が転生しているらしい。
にわかに胡散臭い話なんだけど天津のおばあちゃんには昔からお世話になっていたし、
子供の頃から色々不思議な事を教えて貰ったり実際に見せられていたせいか
僕はそういう霊みたいなのは実体験で信じてたので、そうなのかなぁ・・・という感じが半分はする。。
確かに「え、いくらなんでも嘘だろ?皆揃って危ない人になっちゃったんじゃないの?」という気分も実は残り半分。
亡くなった人が生きてる人の中に転生するなんてあるんだろうか?
僕自身 別人に変った実感もしないし、あるとしたら、この勃起くらいだ。
まさか僕のちんちんに転生したっていうお馬鹿なオチじゃないだろうな?

『今の僕のおかしな状態は体内に転生した鬼麻呂さんの影響で、自分達のせいでもあるから
色々と世話をさせてくれないか』と何とおばあちゃんに頭を下げられて頼まれた。
びっくりしながら断る理由もなく頷いたけど
僕としては心配して僕自身に会いに来てくれたんではなく、僕と会った事が偶然だったと知った方が遥かにショックだった。
理屈で考えてみれば彼女達は今迄それどころじゃなくって死人が何人も出るようなひどい目にあってたんだから
連絡も取らなくなった僕なんか相手にしてられなかったのは判るんだけど
『僕を心配してこんなに毎日来てくれる』と勘違いして舞い上がってた自分がすごく惨めで寂しくなった。


 僕の母親が勤めが忙しく事故加害者との交渉もあって めったに来られない為(父は海外赴任中)
身の回りの世話を亜衣と麻衣が交代で来てしてくれるようになった。
麻衣に世話してもらうのは くすぐったいような嬉しさがある。
トイレに杖ついて行くのに付き添ってくれのは、かなり恥ずかしかったし
看護婦さん達に『彼女?』とか聞かれると普段は『姉です(違うだろ)』というところが
時々ふざけて『彼女でーす。』というもんだからあちこちで話題になって問い詰められて、からかわれて困った。
文句を言ってもケラケラ笑って聞きやしない。

あんた達『すごい可愛い娘が外科棟の個室患者に会いに来てる』って患者内や看護婦さん達の間で話題になってるんですよ?
そう説明して『勘弁してよ』と頼んでも逆に喜んで面白がってエスカレートする始末。参った。

亜衣に世話してもらうのは内心複雑だった。昔振られた好きだった娘に身の回りの世話をされるのはなんとも
・・・・・・・・・キツイ。
すごく綺麗になってた亜衣を見るたび忘れたはずの想いがちくちくとうずく。
いや、笑いかけられると どきん!と心が弾んじゃうあたり全然吹っ切れてないのかもしれない。

しかも彼女は僕じゃなくその転生したという鬼麻呂様とやらを僕に見てるふしがある。
うたた寝をしていた時に彼女がやってきて花瓶とか活け直した時に、
なんとなく二人っきりが恥ずかしくって寝たふりをしていたら僕に向かって一言・・・・
『今度は守るから…』
と亜衣が呟いた。

どきり とした。
ものすごい真剣で辛そうな声だった。
そして僕に向けてはいるが僕に言ってはいない。
死んでしまった鬼麻呂さんを指してるのは間違いない。
どういう風に亡くなったのかは聞いてないけど、彼女達はおばあちゃんから鬼麻呂さんを守るように云われていて、
それが出来なかったと彼女は思ってるのは事実みたいだし。責任感の強い彼女にはかなり辛いのだろう。

亜衣は僕を見てない。僕の中の鬼麻呂さんとやらだけを見てる。
ものすごく寒くなった。
昔 告白して振られた幼なじみが怪我をして世話に来てくれるようになったけど
僕じゃない僕の中に居るという他人を見てる・・・いいしれないショックとどす黒い嫉妬心。
何なんだよ。そんなのないじゃないかよ。
彼女がすごく傷ついてるらしいのを何とか慰められないかとも思うけど
その鬼麻呂って人の事が脳裏にちらついて直ぐにムカムカしてしまう。
笑いかけられては内心飛び上がり鬼麻呂さんを連想して瞬時に鬱(うつ)になるを繰り返し、余計落ち込む日々。

数日後ついに我慢出来なくなって言ってしまった。
「別にそこまで世話してくれなくて良いよ・・・・」
「どうして?」屈託の無い表情。苦い。
「僕の事、嫌いなんだろ?」
「?そんなわ・・・あっ!・・・・・」
僕を振った時の事を思い出したらしい。
でも逆にいえば『僕の告白は今まで忘れていた程度の事』だった訳だ亜衣には。
それがまた僕には苦い。
(僕を振った事は亜衣にとっては何でもない事で
 今の僕は 〔幼なじみから⇒知り合い〕程度に格下がりした とるに足らない存在なんだなぁ・・・
 本当に僕自身なんかどうでも良くって『鬼麻呂さんの入った人』としか見ていないのかも・・・)

落ち込もうとした矢先に亜衣が逆撫でるような事を言う
「・・・・別に・・・宏樹が嫌いって訳じゃないよ。」
カッ と頭に血が昇る!
(いっ今さらっ!)
それじゃ振られてから今までの僕は何だったんだ?あんなに口惜しがってた日々は無駄だっていうのか?
忘れようと馬鹿みたいに勉強して変な進学校行って アホみたいに試験三昧に囲まれてる今の僕は何なんだ?
そして再会したと思ったら男は嫌いって言ってた癖に「鬼麻呂さん今度は守るから」か?そいつは男なんだろ?
ちくしょう!何だってんだ!男嫌いじゃなかったのかよ?
「何言ってんだよ!嫌いだって言ったじゃないかっ!」
「!?・・・・・あ、それは・・・男が全般的に嫌いだって意味で…」
「『あんたはキライ』って言ったじゃないか!それに僕は男だよ!女に見えるのかよ!」
(それに鬼麻呂って奴は男だったんだろ!?)
「あれは・・・そういう意味じゃなくって・・・」
僕の剣幕にびっくりして珍しく口篭る亜衣。
病人に怒鳴り返すのもマズイと思ってるのか、強く言い返さないで困った顔の亜衣を見るのがどうにも苦い。
(何だよそりゃ!じゃあどういう意味だよ!ふざけんな!僕があの後どれだけっ・・・・)と
怒鳴りちらしたい衝動に襲われるけど途中で苦々しくなって黙り込む
筋違いではあるし、鬼麻呂さんの事口走りそうだし、そうするともろに嫉妬してるが判ってしまう。それは嫌だ。
駄目だ。二年以上経ってるのに僕、全然亜衣を吹っ切れてない・・・・・
それに亜衣とこんな事で言い合いになるのも嫌だ。
これじゃまるで僕は相手にされなくて癇癪 起こした子供じゃないか・・・・みじめだ。
「いいよ・・・・もう・・・・来ないでよ。」
「あたしは…」
らしくない亜衣のぎこちなさに頭が かっとなる。
(ああ、くそっ もういいや。)
「鬼麻呂さんとやらの魂が僕の中に居るから守るってか?僕は僕だぞ!神野宏樹だ!そんな奴知るか!」
「それは・・・自覚がないだけでしょ?実際身体に変調が起きてるし、何が起きるか判らないし
 ・・・それにお母さんも忙しいんでしょ?だったら…」
「義務なんかで来んなよ!振られた娘に毎日平気な顔で来られてこっちが平気だとでも思ってんのかよ!?」
          「!!?」

愕然とした表情の亜衣。・・・・全然考えていなかった事を言われたみたいだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その程度でしか僕は思われてなかった訳だ。

痛い・・・・亜衣の考えも、こんな亜衣の顔を見るのも、今こうして傷付けてしまった事も、こんなみじめな自分も・・・
「っ・・・・・・・・・ごめん。」
亜衣が沈痛な顔で謝る。こんな表情見たの初めてかもしれない・・・でも嬉しくない。できれば一生見たくなかった。
「もう・・・・・来んなよ・・・・・・・」
それでも、どうしても優しい言葉をかけられないままの僕にもう一度「ゴメン」と謝って亜衣は帰って行った。
傷付けられたのは僕の方だ。でも傷付けてしまった。いやどっちが悪いなんて事じゃない。
いや、やっぱり僕さえ我慢してれば…でもこのままで良かったのか?ずっと僕が我慢してりゃ良かったのか?
その晩は悶々として眠れなかった。。。

こうして亜衣が来なくなった。変わりに麻衣が毎日来る事に。
彼女はそんな鬼麻呂さんの事は一言も云わず昔話に花を咲かせながら僕を世話してくれる。
一抹の不安はあるけど、それはありがたい。
それどころか逆に麻衣とは段々微妙な感じになってきた。
いつのまにか僕は彼女より背が高くなっていた。逆にいうと彼女がすごく小さく女の子女の子して見える。
何かの拍子に腕を掴んだりするとその細さにびっくりして女性としての変化にすごくドキドキする。
それでいて麻衣は昔と同じように気軽に触れたり支えてくれたりするのだけど、でもこっちは勃起状態。
つまりは発情状態。
背中や太腿なんかを気軽に触られるとすごい「ぞくそく」して妙な気分になって焦る。
最初は気づかれて笑われたり、からかわれたり怒られたりしたけど
触られると意識しちゃうし彼女も成長してるし、柔らかいし、何か良い臭いするし・・・・で、要はぎこちなくなっちゃう。
僕が意識しまくっちゃってるのを気づくと麻衣の動きもぎこちなくなって、互いに赤くなって笑って誤魔化すんだけど
段々妙な雰囲気になってお互い黙りこくってしまう ってのが何度もあった。

 亜衣が来なくなった事について最初は何も言わなかった麻衣だけど家で何かあったのか数日後はっきりと聞かれた。
「お姉ちゃんに・・・何言ったの?」
「・・・・何にも。」
「嘘。すぐ判るんだよ、ヒロちゃんの嘘。」
確かに昔からこの双子姉妹には嘘を突き通せた ためしが無い。
「・・・・・・義務なら来るなって。・・・言った。」
「!・・・・・そんな訳」
「おばあちゃんから言われて来てるんでしょ?知ってるよ。僕の中に転生したって人を守る義務なんでしょ。
 じゃなきゃ亜衣が毎日部活休んでまで来るのおかしいよ。」
「そんな事・・・・」
「麻衣ちゃんもそうなの?」
「・・・・・・・・・・そう思う?」
じっと見詰められて、つい顔を伏せる。
「・・・・・・・・・」
「確かに言われて来てたのは事実だけど、でもそうじゃなくっても来たよ。
 だってヒロちゃんが入院してるってのに放っとける訳ないじゃない。
 鬼麻呂様の事はあるけれど私はヒロちゃんのお見舞いにきてるんだよ。」
「!・・・・・・・・」
「来たら、おばさんが忙しそうで、だったら私が手伝ってあげようって思うのも普通の事でしょ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「違う?」
「・・・・う・・・・・ん」
「迷惑だった?」
首を振る。言葉が咄嗟に出ない。
「早く治って欲しいなって思ってるよ。手伝える事があればしたいって思ってるんだよ。」
「ありが・・・・くっ・・・」
あ、あれ?やばい泣きそうだ。弱ってた部分にすごく来た。
亜衣がああだから麻衣もそうかと…疑ってたけど怖くて聞けなかったんだ。
すごい不安だったんだ。夜に考え出して眠れなくなった時もあったんだ。
「う・・・・」
「もう・・・何時までたっても泣き虫さんなんだから。」
胸に抱かれ頭を撫でられる。こみ上げてくるのを焦って堪える。随分懐かしくって恥ずかしいけど嬉しい。
ついそのまま麻衣にもたれる。
(うぁ・・・暖かい。)
じんわりと心も暖かくなってくる。

「お姉ちゃん、おばあちゃんに何故行かないのかと責められても理由言わないの。」
「・・・・・・」
「お姉ちゃん、自分は人に対する思いやりが全然出来てないって落ち込んでた・・・」
「・・・・・・・・・・」
「お姉ちゃんとも ちゃんと話し合って・・・ね?」
「・・・・・・・・・うん。」

  翌日亜衣が来た。
たぶん麻衣が寄越したんだろう。
病室に入ってきたけど所在無げに入口でたたずむ。
「・・・・・・座ったら?」
「うん」
やって来て椅子に座る。珍しくしおらしくしてるせいか別人みたいだ。
これも僕が傷つけちゃったせいなんだろうな。と思うと罪悪感でかなり胸が痛む。
「・・・・・・・・・・・元気?」
「・・・・・・うん。」
変な会話だ。
しばらくだんまりとしていたらバックを空けて何か取り出した。
「・・・・・これ」
綺麗にラッピングされた小さな箱
「……何?」
「お詫び・・・・・」
(何の詫びだよ?いいよ別に・・・・)
と思ったけど、ここで揉めてもしょうがない。素直に受け取って空けてみる。

中身は僕が小学生の頃よくやってたゲームのソフトだった。

「そういうの好きだったでしょ?・・・・・・」
「・・・・・ぷっ・・・・・・・・はっ あっははははっ!!」
「!?」
ツボに入った。爆笑した。
もう何年もこんなゲームしてない。これを使うゲーム機種だってもう世代交代して古くなってる。
でも亜衣の記憶では僕の喜ぶ物はこういうのなんだろう。
こんなので僕が喜ぶと思ってる亜衣がおかしくって、悲しくって、
でもわざわざ僕の為に彼女なりに精一杯考えて買ってきてくれたのが判るのが嬉しくって。切なくって・・・
「な、何よ?一体?」
「い、いや すごいよ亜衣は」
「何がよ?」
「センスが!!」
といってまた噴出す僕。

亜衣はそっぽを向いて赤くなって膨れてる。

「まだまだですなぁ 亜衣さん?」
「…宏樹にだって女の子に気の効いた贈り物が出来るとも思えないんだけど…?」
「「・・・・・・・・・・ぷっ」」
お互いに噴出して僕達は笑い出した。


1話 了。



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