淫魔聖伝2(仮称)

・接触(第3話)


 まだ開け切らぬ寿々音のうつろな視界に、夕陽に照らされた石膏色の天井がぼんやりと映し出される。
「ここは……?私、どうしちゃったんだろう…」
 靄のかかった意識に、横たえた身体が錆びたように重い。壁に染み付いた消毒液の匂いと、風と戯れる水色のカーテンに、この場所が保健室のベットの上である事を気づかされた。しかし、なぜ自分はここにいるのかは全く理解できない。欠如した記憶をつなぎ合わせるようにして、寿々音の視点は当てもなく宙をさまよい続けていた。
 と、薄く開けた瞳にまぶしく突き刺さる蛍光灯の光を遮って、誰かが顔を覗かせた。それはいつも見慣れた、向日葵のように明るい笑顔だった。
「あ、寿々音。よかった、目が覚めたんだね」
「真緒…センパイ?」
 ゆっくりと身を起こそうとする寿々音を、真緒は肩を押して戻す。
「あーダメダメェ、ちゃんと寝てなきゃ。ホント大変だったんだよ、寿々音ったら突然いなくなっちゃうんだから」
 そうだ、確か紙吹雪のようなものがいきなり現れ、それに包まれたままどこかへ連れて行かれたんだ。再び身体を横たえつつ、寿々音はその時の状況を有り有りと思い出し始める。それは時が経つにつれて次第にはっきりと、その輪郭線をポラロイド写真のように蘇らせていった。
 毛布をかけ直しながら、真緒は続ける。
「探し出してここまで運ぶのだって、苦労したんだから。もう、寿々音ったら案外重いんだもん。おかげで筋肉ついちゃったよ」
 そうおどけてポーズを取ってみせる真緒に、つられて寿々音も笑みをこぼした。
「でもよかった。寿々音が無事で、本当によかった」
 と、真緒は横たわる寿々音に、覆い被さるようにしてそっと抱きしめる。そして、突然の事に戸惑う寿々音の耳元で、同じ言葉を何度もささやくように繰り返した。
「よかった……、本当に…よかった…」
「セ、センパイ…」
 まるで迷子だった我が子を抱く母親のように、真緒は安堵に満ちた微笑みを浮べる。真緒センパイは、自分の事をこんなにも心配してくれてたんだなと、寿々音の胸の内は、感謝と敬愛の気持ちで熱くなった。そして、真緒の細い背中を優しく抱き返す事で、精一杯それに応えようと思った。
 しかし…―――なにかが変だ。小さな胸中に宿る疑問や矛盾は、徐々に寿々音の表情から微笑みを奪っていく。それは天井のシミを数えるほどに肥大し、その質量を次第に増していった。
 どうして自分は、あの紙吹雪みたいな物に襲われたんだろう。真緒センパイは、どうやって自分を見つけ出したんだろう。なにより、あれは一体何物で、目的はなんだったんだろう。センパイは、なにか知ってるんだろうか。
 本来人一倍負けん気が強く、且つ賢明である寿々音にとって、この数十分、あるいは数時間の出来事に納得のいく事など何一つ無かった。やっぱり、思い切ってセンパイに聞いてみよう。意を決し、寿々音はふたたび身を起こそうとする。が、その時だった。
「……。…プッ、ククククク…、クフフフフ」
 突如、何事か堪え切れなくなった様子で、真緒は突っ伏したまま不気味に笑い出す。仕掛けた罠に誰かがかかるのを待ちわびるような、その底意地の悪い声に、寿々音は訝しむより先に、底知れぬ恐怖と不安を抱いた。
「ま、真緒センパイ?なにが…そんなに……」
 寿々音は恐る恐る声を掛けようとする。が、その時、またしても突然、真緒はガバッとおもむろに身を起こすと、身を仰け反らせて堰を切ったように爆笑し始めた。
「クフ、クフフフ、ク…ーーッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!ヒィーもうダメ、これ以上ガマンしてたら窒息死しちゃうよホント。やーっぱり慣れない事ぁやるもんじゃーないなー。あーまだおかしい」
 よじれそうな腹を押さえ、ベッドの端をバンバンと叩く真緒とは対照的に、事態の掴めない寿々音は、ただその場でポカンとする他なかった。と同時に、寿々音の胸中にあった疑問の一つが、実に意外な形で解消された。
「あーそうよ。アタシは大鳥真緒ちゃんがござーせん。残念賞♪」
 と、一通り笑い終えた真緒、に酷似した人物は、豪快に足を組み替えつつ、制服の胸ポケットからショートホープの袋を取り出す。考えてもみれば、あの後すぐに寿々音を探しに行った真緒に、胴衣から制服に着替えるヒマなどなかったはずである。そんな単純な事に気づかなかったなんてと、寿々音は自分の浅はかさを恥じた。しかし、今はそれどころではない。
「あ、あなたは…一体誰なんですか!なんで私を、それに本物の真緒センパイは?!」
「んー、そーんないっぺんに質問されてもねえ。真緒ッチ困っちゃうー♪」
 タバコの煙で輪を作りながらとぼけてみせるニセの真緒に、寿々音の表情が険しくなる。
「そんなに怖い顔しないでよー。お・わ・び・に、これからとーっても気持ちいい事してあげるから♪」
「き、気持ちいい事って……?」
 慄然とした寿々音の言葉に、ニセ真緒は冗談半分の笑顔で応える。それは本物の真緒が持つ、向日葵のような明るさと温かさなどどこにもない、邪悪そのものと思える絶対零度の笑みであった。
「それは始まってからの、お・た・の・し・み♪さーてさて、そんじゃあチャッチャと始めましょっかねー」
 そう言ってニセ真緒はタバコの火を指でもみ消し、それを明後日の方向へ投げ捨てる。そして、横たわる寿々音の腹にいきなり「よいしょっと」と馬乗りになると、怯えと怒りに満ちた寿々音の顔を、絶対的な強者の目で見下ろした。
「や!?なにするんですか、降りてください!!」
「ンフフフ、その怯えた顔も可愛いわね。お肌もスベスベで赤ちゃんみたい。ホントいじめたくなっちゃう♪」
 ブルブルと小動物のように震える寿々音の頬を、ニセ真緒はいとおしむような、しかし妖しい手つきで丁寧に撫でまわす。そして、その両手はおもむろに胴衣の胸元を掴み、勢い任せに左右へと肌蹴させた。
「きゃっ?!…い、いやぁ」
 突然の辱めに、寿々音は反射的に両腕で胸を隠す。それを強引に払いのけ、ニセ真緒は体操シャツに包まれた寿々音の乳房をむんずと掴むと、まるでパン生地でもこねるように、両の柔乳を荒荒しく揉みしだいだ。
「や…やめてください。いや、い、痛い…」
「んんー?『いやぁ』じゃないでしょ、『いやぁ』じゃー。あら、あんたガキのくせに結構大きな胸してるわねー。つい最近までランドセル背負ってた分際で、生意気なオッパイだ事♪」
「そ、そんな事…あ…あぁぁぁ…、だ、だめぇ……。そんなに…強く……」
 カァっと顔を真っ赤にして、寿々音は視線を反らす。その仕草が、ニセ真緒のサド心にドボドボと油を注いでしまう格好となった。
「そーんなに謙遜しなくていいのにー。別に悪いって言ってんじゃないんだからー」
 激しく胸を弄ばれる痛みは、やがて迸るような快感へと変わっていく。緊張に固くなった乳首をこする木綿の感触に、いつしか寿々音はあどけなく濡れた唇から、微熱を帯びた吐息を零れさせるようになっていた。
「ンハァ…、ハァ…、も、もう…やめ…て…ンンッ…アハァ…、おねが…い…」
「でもあなた、すっごく気持ちよさそうよー?ホントは毎晩、彼氏にこうやってモミモミもらってんじゃないのー?」
 寿々音のささやかな望みを無視し、ニセ真緒は寿々音のわずかに湿ったシャツをたくし上げると、片方の乳房だけをプルンと露出させる。
 現れた薄い桜色の愛らしい乳首を、ニセ真緒は丹念に舐めまわし、吸い、甘噛みした。そして残されたもう片方は、シャツから突き出そうなほど固く突起してしまった乳首をコリコリといじめながら、同時に掌で全体をまんべんなく愛撫し続けた。
 その度に寿々音の幼い身体は、本人の思考とは裏腹にピクンッピクンッと反応し、まるでそれが電気信号のスイッチであるかのように、尻を何度も跳ねさせて身悶える。紅潮した艶やかな肌には、霧吹きで拭いたような細やかな汗が、全身にまんべんなく浮き出ていた。
「イヤ…、ンハァァ…か…彼氏なんて…エハッ…ハ、いません…ンンンハァ」
「ふーん……じゃぁ、自分で揉んでるのかなー?」
 一瞬ビクッとなる寿々音の表情を、ニセ真緒は見逃さなかった。
「アララララ、ひょっとして図星?やーだ、寿々音ちゃんのエッチー♪」
「…!!ち、違う…そんな…寿々音は…寿々音はオナニーなんて…してないです」
 あわてて否定する寿々音。しかしそれを受けたニセ真緒は、なぜか勝ち誇った笑みを浮べてみせた。
「あっれあれー、アタシ一言もオナニーなんて言ってないわよー」
「…!!」
「ただ、毎晩自分でオッパイ揉んでるのかしらーって、聞いただけだもーん♪」
「う、うぅぅ………そ、そんなぁ…ひどい……」
 意地の悪いニセ真緒の言い回しに、寿々音は両手で顔を覆いながら、恥ずかしさのあまりむせび泣く。その手を無理やりに引き剥がし、ニセ真緒はニンマリとさせた顔を、文字通り寿々音の目と鼻の先まで近づけ、より一層ニンマリとした表情を作った。
「アハハ♪ひょっとしてあなた、この顔を想像しながらオナニーしてるんじゃないの?」
「ク…ンン!!…フアァァ…、ハァァァ…」
 言葉責めとともに、乳房への集中攻撃が再開される。泣きながら身悶える寿々音の顔は、いつしか夥しい量の涙と唾液と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。
「ねぇ、いっつも憧れの真緒センパイの事考えながら、自分のオッパイ揉んだり、アソコを指でいじったりしてるんじゃないのー?」
「ふあぁぁ…、ア…アハァァァ…」
「こうやって乳首をコリコリされたり、クリちゃんをいじめられたりする自分を想像しながら、毎晩オナニーしてるんでしょうー?ねえ、どうなのよー」
 何もかもを見透かされている気分だった。この人は相手の心の中が読めるんじゃないかとさえ、寿々音は白濁化していく意識の中で思った。それが意識的なのか無意識のうちになのかは定かではないが、気がつくと寿々音は、ニセ真緒の尋問に首を小さく縦に振っていた。
「そうなのー、やっぱりそうなんだー。アハ、寿々音ちゃんって、やっぱりエッチな娘なんだねー♪」
「ハァ…ハァ…、ンンッ……ハァ…」
 寿々音の羞恥心の殻は、もはや粉々に打ち砕かれていた。
「それじゃあ、お姉タマが寿々音の夢を叶えてあげまチュね♪ほーら、こんな具合に」
 と、すっかり固くなってしまった寿々音の乳首を、ニセ真緒は人先指で3Dスティックのようにグリグリと押し回す。そしておもむろにそれを潰さんばかりグッとつまむと、目いっぱいの力で抓り上げた。
「ん…んぎぃ!!?ああぁぁ!!!!」
「そんでさらに、こーーんな具合に♪」
「くあぁぁ……いああ!!!あええああああああ!!!!」
 実に嬉々とした表情で、ニセ真緒は抓った乳首を、そのまま寿々音の上半身ごと持ち上げ、さらに上下左右勝手気ままに振りまわす。乳房をまるごと引き千切られるような激痛に、寿々音は抵抗する事も、「痛い」とも「やめて」とも叫ぶ事ができず、ただ音に限りなく近い呻き声をあげるしかなかった。
 寿々音はもはや、ニセ真緒の完全な玩具であった。
「どう?憧れの真緒センパイにムチャクチャにされてる気分は。気持ちいい?気持ちよ過ぎて死んじゃいそう?夢が叶ってよかったわねー、す・ず・ね・ちゃん♪」
「かぁぁぁぁ…、はあぁ、はぁぁぁぁぁぁぁ…!!!!!……あぁぁ」
 次の瞬間、寿々音は未発達なその肢体を大きく仰け反らせ、大絶叫の後に脱力した。首と腕は無気力にダランと垂れ下がり、消耗し切った顔は酸欠の金魚のように口をパクパクと動かす。玉の汗を噴き出した身体は、乳首を支えに吊るされたまま、時折ピクンッピクンッと小刻みな痙攣を起こした。
「………、アレ?アレアレアレアレー?寿々音ちゃん、まさかイッちゃった?うっそー、マッジー、信じられなーい♪ちょっとオッパイをいじっただけでイッちゃうなんて、あなたひょっとしてM子さん?」
 キャッキャと楽しそうな声を弾ませるニセ真緒の言葉にも、寿々音は反応する気力は残っていなかった。パッと手を離され、寿々音の身体はベッドの上にバサッと落とされる。宙に投げ出された意識の中で、寿々音はフルマラソンを走り終えたランナーのように、ただ大の字に倒れ込むしかなかった。
「ハァ……、ハァ…ハァ……。ン………ハァ…」
「でも、こ〜んな事でイッちゃってたら身が持たないわよ、寿々音ちゃん。だって言ったでしょ?これはただのオ・ア・ソ・ビ。本番はこれからなのよー♪あらあら、そんなに泣かなくても大丈夫よー。ほら、よく言うじゃない。『涙はない、涙はない。明日に微笑みあるだけ』って。あら、知らない?あーあ、カルチャーギャップ感じちゃうなー」
 それが何のジョークかはさっぱり分からなかったが、分かったところで寿々音になす術はなかった。
 すっかり腫れて赤くなってしまった寿々音の乳首にキスをして、ニセ真緒はスクッと立ち上がる。そして,未だ身動きできない寿々音の足の間に跨ぎ立ち、なにかの合図のように指をパチンと鳴らした。
「そんじゃあ、そろそろ本番始めましょうかー♪ダイタァーン・カムヒア!」
 捨てられたように横たえる寿々音を見下す、その黄玉色の美しくも禍禍しい光を宿した瞳は、西日に照らされより一層冷たい輝きを放っていた。


「ちょ、ちょっと、どうしたのよ真緒」
 部活の終え、いそいそと帰路に着こうとしていた萌夏は、胴衣姿のまま憤った足取りで廊下を歩いていく真緒を見かけるや否や、何事かとあわてて声をかけた。
「…なんでもないわ。気にしないで」
 そんな萌夏に見向きもせず、真緒はぶっきらぼうにそう言い放ち、そのままズカズカと歩き続ける。その態度に納得できないのか、それとも心配してなのか、ともかく萌夏は、真緒の後について回る事にした。
「なんでもないって…、なんなのよー真緒ぉ」
 と、前方から見覚えのある人影が二つ近づいて来るのに気づき、真緒はピタッと歩みを止めた。その背中にドンとぶつかってしまった萌夏だったが、同じく前方の人影に気づくと、恐れをなしたようにササッと真緒の盾にして、コソコソと隠れた。
「あらあら〜?あなた確か、大鳥……マコさんだったかしら。そーんなオシャレな格好してどこ行くの?」
 わざと名前を間違えつつ、気安く手を振る派手なゼブラスーツの大女、そしてその傍を影のように付いて歩く黒いスーツ姿の男は、はたして新学院長・風見紫樹華と、秘書の結城であった。こんな時にえらい奴に会ったと、真緒は一瞬表情をしかめたが、すぐに平常を装い直し、軽く会釈をしながら通り過ぎようとした。
「んもう、無視しなくてもいいじゃないのよー。アタシもここの学院長を任されてる以上、大鳥家当主のあなたともうちょっと仲良くしておきたいんだけどなー」
 妙に若作りした声色で、馴れ馴れしく呼びとめようとする風見に、真緒はやれやれと言った具合に鼻で溜息をつき、ゆっくりと振り向いた。
「…。この学院の運営は、既に代理の方に一任してあります。それに、いくら大鳥当主になったとはいえ、まだ実質的な権限等はなにもありません。ですから、私に取繕っても何もいい事はありませんので悪しからず。それでは、急ぎますので」
 失礼します、と仏頂面のままペコリと頭を下げ、真緒は180度きっかり回れ右をして再び歩き始める。その後ろを、萌夏も恐る恐る頭を下げつつ続いた。
「ねえ待ってよー。待ってってばー。そんなに怒んなくてもいいでしょう。怒るとお肌に悪いわよー。よく言うじゃない『涙はない、涙はない、明日に微笑みあるだけ』って」
 どこまでが冗談か本気か分からない、風見の人を食ったような口調が、真緒をより不快な気持ちにさせた。この人とは絶対に関わり合いたくない。第一、今はそれどころではないと、真緒は口をへの字に結んだまま、振り向きもせずにズカズカと廊下の奥の奥の方へと進んで行った。
「ちょ、ちょっと真緒ぉ。いくらなんでも失礼よ。まがいなりにも学院長さんなんだし…」
「萌夏、目を合わせちゃダメよ。あの人と関わったら、なにされるか分からないんだから」
「そんな言い方って…。う、うん…」
 萌夏の耳打ちを、わざと少し大きめの声で返しつつ、真緒は前進し続ける。それに萌夏も、とまどいながら併せた。

 あの新学院長・風見の事を嫌っているのは、実は真緒だけではない。むしろ、大鳥学院に通う女子生徒の大半が、彼女に何らかの不快感を持っている。推定身長180cmの長身に、スーパーモデル顔負けの美貌とプロポーション。そして腰まで伸びた、ややクセのあるワインレッドの髪。本来なら羨望の憧憬の眼差しが注がれてもよいはずであるが、そんな輩は馬鹿な男子生徒と、アホな男性教員ぐらいのものであった。
 ある意味それは、嫉妬の類なのかも知れない。風見紫樹華という女は、自分が絶世の美女で、且つこの上なくいい女であるという事を知っている。それを包み隠す事なく、むしろ平然と「私はいい女。あんた等とは格が違うのよ、格が」と言って歩いているような言動とファッションに、同性からの支持が芳しいわけはない。さらに、「実は学院長の椅子に座るために、役員達を色仕掛けで口説き落とした」などという根も葉もない噂も、女子生徒達の反感に拍車をかけていた。加えて、あの威圧感。要するに風見は、女からすればたまらなく嫌な存在なのである。
 無論、真緒は彼女を嫌っているのは、そんな低次元の理由からだけではない。

「あ、そうだ!大鳥さん、これからご飯食べに行かない?なにかとお話ししたい事もあるし。アタシいいお店知ってるのよー♪」
 どこかのやり手女社長、ないしは銀座の超高級クラブのママ然とした風見の言動を、真緒は無視しながら猪突に猛進する。それをパタパタと追いかけながら、風見は言葉を続けた。
「アレレレ、ひょっとして大鳥さん、お金の心配してる?だーいじょうぶよー、ちゃーんとアタシがおごってあげるから。ね♪」
 人の良さそうな笑顔で、風見は真緒の肩に手を置き、ニッコリとその顔を見つめる。見様によっては生徒想いの善良な教員の様相であったが、その裏っ面からはドス黒い醜悪さしか感じられなかった。まるで汚らわしい物でもそうするように、真緒はその細長く端麗な指を払いのけようとした。その時。
(……、まさか)
 脳裏に一つの仮説が生じ、真緒は思いかけず手の動きを止めた。
(もしかして、寿々音の連れ去ったのは風見学院長?ううん、そんなはずないわ。だって、そんな事して一体この人になんの得があるの。第一、証拠もなにもない。でも…ひょっとしたら、この人が学院に来た理由と、なにか関係があるのかも知れない。寿々音の連れ去った事と、なにか関係が…)
 それは邪推というより、動物的な直感に近かった。肩に乗せられた指の爪を彩る、イタリアン・レッドのマニキュアを見つめながら、真緒はしばらくの間、思案に心を奪われていた。
「ねえ大鳥さん、行きましょうよー。そのお店、いいワインが揃ってるのよー」
 同僚をデートに誘うOLのような風見の言葉に、真緒はハッと我に返る。そして、(これは危険な賭けだ。でも…、飛び込んでみる価値はある)と自分に言い聞かせると、おもむろに風見と顔を向き合わせた。
「……分かりました。御一緒します。ただ、生憎未成年ですので、ワインは遠慮させていただきます」
 意を決した真緒の表情とは対照的に、風見の表情がパァと明るくなる。
「キャー、やったー!それじゃあ決まりね。ちょっと結城、表まで車を廻して来てちょうだい。それから、お店に予約の電話お願いね。もちろんVIP席よん」
 ハッ、と短く返事をして、結城はノンフレームのメガネを人差し指で押し上げる。一礼して立ち去る背中を見届ける真緒の腕を、萌夏がグンと引っ張り、耳打ちした。
「ちょっと、どういう事よ真緒ぉ。あの人とは関わらない方がいいって、アンタが言ったんじゃないのよぉ」
「大丈夫よ萌夏。心配しないで」
「だって…、あの人絶対只者じゃないよ。なんかオーラが違うもん。ヤバい空気全開だよぉ。ねえ真緒、止めときなって」
 必死に思い止まるように説得する萌夏に、真緒は落ち着き払った態度で同じ言葉を返す。
「大丈夫よ萌夏。心配しないで」
 でも…、と言いかける萌夏であったが、真緒の覚悟に満ちた表情に無言でコクンと頷き、真緒のそばから一歩下がる他なかった。
「ン、なにをコソコソやってんのよー?なんなら、あなたも一緒にどう?」
 風見の突然のお誘いに、萌夏はブンブンと首を横に大きく振って拒否する。
「あら残念。せっかくのお食事なんだから、大勢の方が楽しいのにー。まあいいわ、それじゃあまたの機会に、ね♪さ、行きましょう大鳥さん」
 萌夏に振り向き様のウインクを投げ、風見は真緒の背中を抱きながら歩き出す。不安そうに見つめる萌夏に、真緒は少し微笑んでメッセージを送った。
「大丈夫。心配しないで」
 風見に連れられて歩く真緒の背中は、まるで戦地に赴く兵士のそれであった。少なくとも、萌夏にはそう思えてならなかった。


「や…、もう…やめ…てアアッ!!」
 完全にグロッキー状態の寿々音の秘部を、土留色の気色の悪い物体がネチネチ擦りつける。ベトベトした体液を滴らせ、袴に染み付いた寿々音の「女」の匂いを嗅ぎ分けるような、物体のいやらしいウネウネとした動きに、寿々音は思わず吐息を漏らしてしまった。
 ―――それは瞬く間の出来事だった。真緒の姿を借りた謎の人物が、合図とばかりに指を鳴らした瞬間、辺り一面に生臭い腐食したような匂いが立ち込め、生温い空気がブワァと駆け抜けて行った。と、室内の壁、窓、カーテン、そして寿々音の横たわるベッドに到るまで、全ての物がドクッドクッと脈打ち始め、かと思う間にそれは細長い、先端部が男性器に酷似した物体『触手』に変わっていった。
 気がつけば、部屋そのものが触手に囲まれた不気味な空間へ変態していた。
「ちょっ…、や、なにこれ…気持ち悪い」
 無数の触手は、身動きの取れない寿々音の未成熟な身体へと次々に纏まりつき、肌蹴た胴衣や袴の間をすり抜けて縦横無尽に這い回る。プルンと弾む柔胸。歳相応に薄い鎖骨。うっすらと生え出したばかりの恥毛帯。そして、まだ男を知らない女の部分と小さな尻。それら全てを確認するかのように、触手の群れは延々と、寿々音のあどけない肢体を愛撫し続けた。
「さっきから『いやぁ』だの『やめてー』だの言ってる割に、随分と嬉しそうじゃない♪あなたってホント、イヤラシイ娘ね」
「ち、違う…。そんなんじゃ…そんなんじゃ…ないぃぃぃぃアアァァ!!」
 触手に弄ばれる寿々音を、わざと意地悪くなじりながら、ニセ真緒は再びショートホープに火をつけた。罪人のように両手を吊るされ、M字に開かれた寿々音の脚の間から、ニセ真緒は小淫突起を袴の上から指でネチネチとなぞる。クチュックチュッと湿った音が聞こえる度に、寿々音の身体は敏感に反応し、袴には大きなシミが広がっていった。
「あ、そこは…、ア…アァァ……ダメェ」
「なーにが違うのやら。処女のクセして、クリちゃんこーんなに大きくさせちゃって。むかつくから、このままタバコで焼いちゃおうかしら?」
「アッ…いや、いやいやいや、そんな事…ハァ……しないで」
 触手の変質的な動きに身悶えながら、寿々音は恐怖に青ざめる。その姿を、ニセ真緒は心底面白がり、喜んだ。
「そーんな事言ってると、ホントに焼いちゃうぞー♪ホラ」
「ヒィィ!!?イヤァァァァ!!!!アァァァ…」
 勿体つける間もなく、ニセ真緒は火のついたタバコを、寿々音の股間にねじ込ませる。前振りのない出来事に、寿々音は驚き、背骨を仰け反らせて泣き叫んだ。
「なーんちゃって、実は火なんて最初っからついてませんでしたー♪どう、面白かった寿々音ちゃん…って、アラ?」
 寿々音の紺色の袴が、タバコを押し当てた部分から徐々に湿っていく事に、ニセ真緒は気がついた。それは寿々音の小さな尻を伝い、袴をまんべんなく濡らしながら、数分前までベッドがあった場所へ、ポタポタと滴り落ちていった。
「アラアラ、寿々音ちゃんったら、いい年してお漏らししちゃうなんて、みっともなーい♪きっと躾がなってないのねー」
「うぅ…う…、み…見ないで…、見ないでください…」
「見ないでたって、こんだけ派手にされちゃったらアナタ、見るなって方が無理だわー。あ、そうだ。このままだと風邪引いちゃいけないから、お姉タマが脱ぎ脱ぎさせてあげまチュね♪」
 赤ちゃん言葉で嬉々としながら、ニセ真緒は寿々音のびしょ濡れになった袴を無理やり引き剥がす。寿々音の必死を抵抗も空しく、袴はいとも容易く剥ぎ取られてしまった。
「あ、イヤ、止めてください…。恥ずかしい…」
 ニセ真緒の目前に晒された寿々音の「それ」は、蒼い果実のようであった。まだ男の物を咥えた事のない、固く結ばれた貝の口は、線を引いたように瑞々しく、艶やかな蜜を湛える真珠は、恥じらいの纏うように肉襞の奥へと隠されている。
 それが若干湿って見えるのは、先ほどの失禁だけが要因ではあるまい。
「まぁ、可愛らしいオ○○コだ事。ちょっと味見しちゃおうかしら♪」
「えっ…?あ…ちょっと、いや!!」
 パックリと開いた寿々音の足の間から顔を突っ込み、ニセ真緒はそのあどけない秘裂を丹念に舐めまわす。オナニーは知っていてもクンニは知らなかった寿々音は、自分が何をされているのか理解できず、恥ずかしさと混乱、そして今まで得た事のない悦楽に思わず声をあげた。
「あ、ダメ…そんなところ……。き…汚いです…」
「んんー?そうねぇ、さっきのお漏らしのせいでちょっとショッパイかも。でも、とってもおいしいよ、寿々音ちゃんのココ♪」
「あぁぁ…そんな…そんな事…はぁぁ…言わないで…アア!!」
 言葉とは裏腹に、寿々音は動かせない腰を振って激しくよがる。局部を舌先で愛撫され、小淫突起を転がされる度に、電気ショックが身体中を駆け巡る。しととに溢れ出る愛液を口に含み、それを潤滑油として再び秘裂や真珠にかけられ、舐られると、寿々音の精神は肉体の殻を捨て、宇宙の彼方へと放り出されてしまいそうなほどの快感に酔いしれた。
「ハァ…ハァァ…、いい……。アアン…変に…ハァ…なる…」
「おやおやー。さっきまで『いやーやめてー』とか言ってたクセに、ホントいやらしい娘。じゃあ、こんな事されるともっと気持ちいいかしら」
 口の中で糸を引く蜜を腕で拭い、ニセ真緒は続いて二本の指を寿々音の膣内で挿入する。絶妙な感覚で動かされる指の感触は、寿々音の内襞を刺激してこの上ない快感を与えた。人先指と中指でグチュグチュとかき回されると、内側からは洪水のような愛液が、泡を立たせてドボドボと零れ落ちた。
「アァァ、ダ、ダメ…。そんなトコされたら、寿々音…寿々音おかしく…おかしくなっちゃうぅぅぅぅ!!」
 あどけない顔を紅潮させて、寿々音は激しく身悶える。それでも休まる事を知らない二本の指は、寿々音の未成熟な肢体を存分に責め続けた。
「アァァァァ、す、すごいの!寿々音の中すごいの!!あ、熱い!!寿々音のアソコ熱い!!いや、だめ、出る!出ちゃう!!アアァ、アアアアアアアアアアァァァァ!!!!」
 大絶叫とともに、秘裂から大量の愛液をシャワーのようにドバァと噴き出し、またも寿々音は力尽きたように首をダランともたげた。すっかりふやけてしまった指を振り払い、ニセ真緒は寿々音のオレンジ色の髪を掴むと、グッとその顔を持ち上げた。
「どうしたのー。さっきまであんなに嫌がってたのに、随分嬉しそうじゃない。そんなによかったのー?」
 正気を取り戻したのか、あえてニセ真緒と目を合わせないようにしながら、寿々音は恥ずかしそうにコクンと頷いた。
「あ、そう。そりゃ良かったわねー寿々音ちゃん。ほら、アナタのエッチなお汁よー。おかげで指がふやけちゃった」
 そう言って差し出された二本の指を、寿々音は潤んだ瞳のまま、おいしそうに口に咥え込んだ。爪の先から付け根、指一本一本の間に到るまで、クチュックチュッと愛らしい音を鳴らしながら丁寧且つ丹念に舐めるその様子は、男性器を咥える際の動きを連想させる、実に卑猥な舌使いであった。
「はーい、よく出来ましたー。それじゃあオシャブリはそのくらいにして、ご褒美あげるからワンちゃんのポーズになんなさい。もっと気持ちよくしてあげるから♪」
 まるで催眠術にかかったように、寿々音は俯きながら、小さく「…ハイ」と返事を返す。束縛していた触手がスルスルと外れ、寿々音は柔らかい土留色の床にペタンと腰を下ろした。そして言われたまま、自ら四つん這いになると、高く尻を上げてみせた。
「うーん、いい子ねー。聞き分けのいい子は大好きよー。もちろんエッチな子もね♪さーてさて、じゃあ本日のメインディッシュ、張り切ってドーン!!」
 ニセ真緒の意味不明な号令とともに、触手の群れは再び寿々音の身体に纏まりつく。しかし当の寿々音は抵抗する素振りも見せず、むしろ新なる悦楽を今か今かと待ちわびる虚ろな視線は、触手達の行動を享受する姿勢さえ見せていた。
 寿々音はもはや、完全に淫欲の虜であった。
「ハアアァ…、あ…いい…。お、お願いします、早く…早くください…。じゃないと寿々音、おかしくなっちゃう…」
 寿々音の期待に高まる気持ちを焦らすように、触手は蜜でドロドロになった秘裂を、グリグリといやらしくなぞる。腰を振るわせ、上下の口から夥しい量のよだれを垂れ流しながら、寿々音は未知なる快感を懇願した。
「は…早く…、お願いします…、寿々音に…寿々音にください…」
 そのうち、充分にほぐれた事を確認すると、触手はブヨブヨの先端部を硬化させ、おもむろに寿々音の中へと入っていった。

「あ…ああ……、入ってくる、寿々音の中に太くて硬いのが、メキメキ音立てて入ってくる…。い、痛い!痛い…、でも……いい、すごい…寿々音の中でグルグル言ってる…。ゴツゴツしたのが、寿々音のお腹の中掻きまわしてる…。すごい…いい、気持ちいい……、オナニーなんかと全然違う…お尻もオッパイも…自分のじゃないみたい……、こんなの…アァ…始めて……、あ…ダ、ダメ!!そんなに激しくしないで…。そんなにされたら寿々音…アァ…寿々音…イ、イッちゃう!!いっちゃう…イク…ンアァ…アアアアアァァァ!!!」
 
 恍惚した表情のまま、寿々音は本日三度目の昇天を味わった。それと同時に、周囲の触手から白濁した体液が、未だ夢の只中をさ迷い続ける寿々音の顔や手足、尻、背中、そして膣内へとまんべんなくぶちまけられた。
 鼻を伝って口元に落ちる体液を、まるでコンデンスミルクのようにペロリと舐め、寿々音は尻を高く突き出したまま、しばらく悦楽に酔いしれていた。
「ウフフフ、素敵だったわよ寿々音ちゃん♪おかげでアタシもしっかり楽しませてもらったわ」
 まどろむ寿々音の額に軽くキスをして、ニセ真緒はその場を立ち去るベく踵を返す。振り向き様に指をパチンと鳴らすと、触手の群れは跡形もなく消え失せ、そこは元の保健室に戻っていた。
 部屋を出る間際、半裸でベッドに横たわる寿々音に捨て台詞を残すニセ真緒の声は、明かに真緒のそれとは異なっていた。さっとかき上げた栗色のショートカットは、瞬く間に長くしなやかなワインレッドの髪に変わった。
「そうそう、あなたにはあんまり関係ないけど、あなたで大鳥学院の女子生徒ほとんどコンプリートなのよね。なにが起こるかは、起きてからのお楽しみ♪まあ、今日の事は覚えてないでしょうけど。それじゃあ、誰かに見られないうちにさっさとお帰りなさいね♪バイバイ高須さん。いい夢をね」


 世界最高峰と謳われるメルセデス・ベンツの車内は、その呼び声に恥じない実に洗練されたモノだった。かすかに聞こえる心地よいエンジン音と、高級バックにも使われる仔牛の革を贅沢に仕様した各座席。それでいながらゆったりとした広いスペースに飲み物用の冷温庫、さらには5,1chドルビーサウンド対応DVDまで完備と、至れり尽せりのまさに「世界のベンツここにあり」と象徴するような、贅を極めた空間であった。
「て言っても、ほとんど改造してあるけどね」
 身振り手振りで、愛車の蘊蓄をペラペラと並べ続ける風見とは対照に、真緒はジッと黙り込んだまま、外の景色を眺めながら、話しを切り出すタイミングをはかっていた。
「本当はヘッドライトにミサイルつけようかと思ったんだけど、それじゃあ車検に通らないんで諦めたのよねぇ。あーでも、機関銃ぐらいならOKかなぁ」
 メチャクチャな事をケラケラと笑いながら話す風見に、真緒は強い苛立ちを感じていた。しかし今はチャンスを待つしかない。そう自分に言い聞かせる真緒は、とりあえずこの場は黙って聞き流す事に専念した。
 と、目の前の信号が赤に変わり、ベンツは音もなく止まった。つられたように口を閉じる風見に、真緒はこの機会を逃すまいと、思い切って質問をぶつける事にした。
「…学院長、ちょっとお話があります」
「ん、な〜に?高須さんなら、今ごろ保健室で楽しんでる真っ最中よ♪」
「!!……なっ!?」
 意外なほどアッサリとした回答に、真緒は驚きの表情を隠せなかった。そんな真緒を横目で見ながら、風見はまたフフッと笑った。
「ンフフフ♪やっぱり可愛いわね、あなた」
 ジックリ聴取してボロを出してやろうと思っていた自分の考えを、いとも簡単に見透かされ、真緒は思わず声を張り上げる。
「ど、どうして!どうしてそんな事を!!」
「ホントはあなただけでも良かったんだけど、それじゃあ面白くないかなーっと思って。それにあの娘、結構可愛かったから遊んでみたくなっちゃった♪ついでに言うと、紙吹雪の演出はかっこいいから。アタシあれ好きなのよねー」
 これ以上ないほど不純ながら、同時にこの上なく冷淡な返答であった。
「あーでも、あの紙切れは私のじゃないわよ。それはホラ、コ・イ・ツ・の♪」
 そう付け加えつつ、風見は運転中の結城をアゴで差しつつ、ショートホープに火をつけた。
「!!…、あ、あなたたちは、一体!?」
 あまりの事に後ずさりつつ、真緒は正体不明の二人へ交互に視線を向ける。そんな真緒には見向きもせず、結城はギアをローに入れ、ゆるやかに車を発進させた。
「知りたい?じゃあ、教えてあげてもいいわよ。でも、その代わり私もあなたに聞きたい事があるんだけどなぁ」
 それに答えてくれたら教えてあげると、風見はまた冗談っぽく返す。そんな態度にとうとう我慢の限界に達した真緒は、座席に膝を立たせてものすごい剣幕でまくし立てた。
「ふ、ふざけないで!!いったい、あなたたち何者なの!どうして私達を!ううんそれよりも、何の目的で大鳥学園に来たの!答えて!」
 今にも飛びかかって行きそうな真緒の勢いにも、風見は平然とタバコをふかし、薄笑いまでうかべてみせる。そして、フーッと細い煙を吐き出し、タバコの火を指でもみ消すと、それを車の窓から無造作に投げ捨てた。
「ふぅ、しょうがないわねぇ。じゃあト・クベ・ツ・に、教えてあげる。私たちはこの学園に、ある人を捜しに来たの、上の命令でね」
「う、上…?捜してるって、いったい誰を…?」
 疑問符で頭がいっぱいの真緒に、余裕の笑みを浮べたままの風見は、意外な人物の名を告げる。それは、真緒にとって聞きなじんだ、驚くべき名前であった。
「私たちが捜してるのはね、亀山火巫女っていう人なの」
「!!?火巫女叔母さま…!?」
 気がつけば、空には灰色の分厚い雲が増え始めていた。 



 はい、皆様いかがでしたか?なんだか真緒ってば、またとんでもない事に巻き込まれそうですわねぇ。そして例のお二人は、物語にどう絡んでくるんでしょうか。それ以前にちゃんと出番があるのでしょうか。気になりますわねぇ…クスクス。
 さて次回は、いよいよ真緒と風見学院長の初対決。はたしてどちらが勝つのでしょうか。まあそんなの、見るまでもなく分かりきってますわよね…クスクス。
 あとは作者さんの遅筆っぷりが…って、これは前回となんら変わっていませんわね…クスクス。そういえば作者さん、今年中に同人誌デビューするって話しはどうなったんでしょう。これの続き書いたり、同人誌描いたりで、「バーチャロンマーズ」なんてやってるヒマなんてございませんわよねぇ…クスクス。とても昔、酔っ払ってタクシーにローリングソバットした人とは思えませんわ…クスクス。
 それでは皆様、次回までご機嫌よう。大鳥香でした…クスクス。


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