「天津家の人々」A

12月28日、年の瀬も押し迫った天津屋敷。

 鬼麻呂「ねぇ〜ねぇ〜、麻衣ぃ〜〜。」

  麻衣「な-に? 鬼麻呂様。」

 鬼麻呂「あのなぁ〜、時平が口癖のように『朕(ちん)は〜』って、言っておったのじゃが、どういう意味なのじゃ〜〜?」

  麻衣「ああ、それは自分のことを言っているのよ。」

 鬼麻呂「自分のこと?」

  麻衣「えっと要するに、今の言葉で言えば『僕は〜』とか『私は〜』とか言う意味よ♪」

 鬼麻呂「『オレは〜』とか?」

  麻衣「うん、ま〜そんなところねぇ。」

 鬼麻呂「わかった! ありがと〜! 麻衣!!」

  麻衣「いえいえ、どういたしまして。」

     <ドタ ドタ ドタ>(←鬼麻呂の足音)

麻衣に礼を言うと、鬼麻呂は居間に走って行った。

そこで一人「お絵かき」を始めた鬼麻呂。

すると居間のテレビから、年末恒例の「今年の重大ニュース」が流れてきた・・・。

アナウンサー「・・・さて、続きましては今年被害が急増しました、『オレオレ詐欺』についてです。」

  鬼麻呂「んっ? おれおれさぎ?」

アナウンサー「その家の息子を装い、『オレだよ!オレ!』と電話をかけ、交通事故の示談金などを騙し取るという悪質な手口で・・・」

  鬼麻呂「世の中には、悪い奴もいるな〜(怒)! んっ? 『オレオレ詐欺』・・・? ・・・もし麻呂なら『マロマロ詐欺』・・・?   ・・・もし時平なら・・・・・・」

鬼麻呂はにやりと笑った。

〜〜数分後〜〜

  鬼麻呂「なーなー、 亜衣〜〜! 麻呂、クイズ考えた〜。 出すから解いて〜〜♪」

   亜衣「や〜よ! お正月の準備で忙しいんだから〜!」

  鬼麻呂「2問だ〜け〜だ〜か〜ら〜。 ねっ! いいでしょぉ〜〜〜、亜〜衣〜〜。」

   亜衣「もーしょーがないわねぇー、本当に2問だけだからね!」

  鬼麻呂「うんっ! では第一問。 最近流行の『オレオレ詐欺』、もし犯人が『麻呂』を装ったら『何々詐欺』というでしょう?」

   亜衣「何? その問題。」

  鬼麻呂「い〜から、答えて〜〜。」

   亜衣「はいはい。 え〜と、あんた自分のこと『麻呂』って呼んでるから〜、・・・『マロマロ詐欺』?」

  鬼麻呂「ピンポン! ピンポン! 正解です。」

   亜衣「変な問題(?)」

  鬼麻呂「では、最終問題です。 最近流行の『オレオレ詐欺』、もし犯人が『時平』を装ったら『何々詐欺』というでしょう?」

   亜衣「そんなの簡単じゃない! あんたが『マロマロ詐欺』なんだからー、時平なら『チンチン詐欺』で・・・・・・・・・」

亜衣はそこまで言うと口をつぐんで、顔を真っ赤にした。

自分の発した不用意な言葉の意味に気が付いたのである。

ふと横を見ると、鬼麻呂がニタニタといやらしい目つきで亜衣を見ていた。

亜衣は鬼麻呂の作戦にまんまと引っかかったと気付くと、勢いよく平手を振り上げて、

亜衣「なーーに、言わすのよーーーー! この馬鹿ぁーーーーーーーーー!!!!!!」

   <バチィーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!!!!!>

亜衣の強烈な一撃が、鬼麻呂のコメカミにクリティカルヒットした。

亜衣にぶっとばされた鬼麻呂は15メートルは飛ばされ、そのまま庭の池にダイブした。

     <ザッブーン!!>(←鬼麻呂が飛び込んだ音)

頭から突っ込んだ鬼麻呂はそのまま浮き上がってこなかった・・・。

その様子を影から見守っていた木偶の坊・・・、

木偶の坊「・・・若っ、・・・若は・・・、 本当に・・・、 馬鹿なの・・・、 か?・・・、 ・・・もしっ・・・・・・。」



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