淫獣聖戦ZZ 第7章


 屈辱的な女体盛りの器にされた亜衣に、邪鬼たちが群がり、飛びかかった。
 牙を剥き出しにしてかぶりつこうとする醜い邪鬼たちに迫られ、亜衣の口から普段の彼女ならば絶対にあげないような悲鳴がもれる。
 今まで鬼獣淫界の化物どもに攻撃を受けても、生じるのは組み伏せられ、陵辱を受けるかもしれないという恐怖だった。
 いま亜衣を襲っているのは、肉食獣に補食される立場の、か弱い哺乳類の遺伝子に刻まれた、本能的な怖れである。
 邪鬼の鋭く尖った牙、凶々しく光る刃物のような爪は、少女の柔肌など容易に切り裂くだろう。
 獣じみた奇声と共によだれをまき散らし、欲望に息を荒くして、無抵抗の獲物に襲いかかる邪鬼たち。
 だが亜衣は気丈にもすぐさま歯を食いしばり、声を押し殺した。
 邪鬼ごときに襲われて悲鳴をあげるなど、耐え難い屈辱だった。
 ギリ、と歯を噛み締め、邪鬼どもを殺気をこめて睨む。
 しかし亜衣が抵抗できないことを知っている邪鬼たちは、おかまいなしに亜衣の高貴な肌に手をかけた。
「イッヒヒヒッ、うまそうだぜ、兄弟!」
「おお、俺たちゃ、こいつには何度も殺されたからなぁ! 今日はたっぷりお返しさせてもらうとするか、ええ?」
「脂でぬめぬめして、食欲をそそりやがる。ヒヒヒヒヒヒッ」
 口々に下卑た声をあげ、邪淫の欲情をあらわにしてむしゃぶりつく。
 腹部に盛られた肉料理に、3匹の邪鬼がガツガツと犬のようにかぶりついていた。
 クチャクチャと音をたてて生に近い肉や魚介類を咀嚼し、盛り付けに構わず乱暴に食い散らかす。
 まるで何日も餌を抜かれていた猟犬のような勢いだ。
 亜衣の白いお腹の上に、肉汁と血と脂の混じったよだれがポタポタと垂れて広がっていく。
 口の中の肉片を飲み込むと、邪鬼はそのエキスの一滴までも逃すまいと、亜衣の脇腹を流れ落ちる液を舌ですくい、唇を押し当てて啜る。
 時平に翻弄されて絶頂を迎えたことで、亜衣の身体は敏感になっていた。
 強すぎる刺激にたまらず腰を浮かして逃れようとするが、邪鬼たちはそれを許さずに押さえつけ、念入りに味わい尽そうとする。
 亜衣の上の食物を貪る邪鬼たちの牙が、亜衣の柔肌を軽く引っ掻き、うっすらと傷をつける。
「くぅ……っ」
 亜衣はこみあげてくる声を喉の奥で必死に噛み殺した。
 嫌悪感と悦楽の狭間で、肉体が疼いている。
 認めたくない感覚を、亜衣は心の中で否定した。
 彼女にとって、性の快楽を感じてしまうことは、単に屈辱でしかないのだ。
 邪鬼たちは臍の中まで舐めまわし、肋骨をなぞるようにしてしゃぶっている。
 脇腹から背中の方にまで手を差し入れ、引き寄せるようにして口を押し当てていた。
 腰や背筋に邪鬼の爪が食い込み、小さな痛みを生じさせる。
 そのチクチクした感覚が、妙に苛立たしかった。
 邪鬼たちがとりついているのは、もちろん腹部だけではない。
 両胸にもそれぞれ邪鬼が1匹ずつ喰らいついていた。
 色とりどりの甘く濃厚なソースに味付けされた豊かな膨らみに、思う存分むしゃぶりつく。
「ウヒヒッ、こいつはたまらねぇっ! この柔らかさ、絶品だぁっ」
「すっかり熟れて甘くなってるぜ、このオッパイときたら。食べられたくてしょうがないとよっ! ヒャハハハハッ!!」
 顔中にクリームがべっとりとつくのもかまわず、胸に顔を押し当て、狂ったように舐めまわす。
 唾液と生クリームの脂肪分で、亜衣の肌はテカテカと濡れ光っていた。
 すぐに胸を覆っていた分はきれいに舐め取られ、邪鬼たちはそのまま鎖骨やうなじ、腋の下までも、その勢いのままにしゃぶり尽していく。
 邪鬼の長い舌が、性感帯の集中した敏感な箇所を余さず蹂躙していくのだ。
 亜衣にとってはたまったものではない。
 ムダ毛のない、きれいな腋の窪みに、邪鬼のザラつく舌が押し当てられ、ねぶるようにえぐっていく。
 くすぐったさと同時に、背筋にゾワゾワしたような感覚が走り、亜衣は身をよじった。
 初めて感じる得体の知れない感じに、亜衣は戸惑いを覚えた。
 だがその正体を探る余裕もなく、うなじを別の邪鬼が舐めあげる。
「……くふっ……」
 腰と臀部のあたりに痺れるようなむず痒さが広がり、四肢から力が抜けていく。
 痺れが去った後で、もどかしさが股間の奥に宿り、じんわりと亜衣を責めたてる。
 舌はうなじから白い喉に這っていき、邪鬼は噛みつくようにして歯を押し当てた。
 ひと噛みで亜衣の喉笛など噛み千切られてしまう。
 緊張に硬直する亜衣の震えを楽しむように、声帯のあるあたりを舌でつついてニタリと笑う。
 邪鬼はいきなり、亜衣の喉笛がへこむくらいに、舌先に力をこめた。
「―――ッ!?」
 ゴキュッ、と喉の真ん中が押し込まれ、声も出せず、亜衣はヒューヒューと息を漏らして必死に空気を求めた。
 邪鬼は十数秒ほどそうやって、亜衣がヒクヒクと痙攣して苦しむさまを眺めていた。
「天津の娘も、こうなってはかわいいものよ!」
 亜衣の喉を解放すると、胸を激しく上下させてようやく酸素を吸い込むさまを見やり、邪鬼が嗄れた声で言った。
 いたぶることを愉しんでいるのだ。
 窒息寸前になったとき浮かんできた涙に眼を霞ませ、亜衣は下っ端の鬼に弄ばれる恥辱に身悶えた。
(許さない!……絶対に、1匹残らず射殺してやる!)
 亜衣は邪鬼を次々に矢で射て殺していく場面を想像して、怒りを必死に堪えていた。
 今できる抵抗はそのくらいしかないということが、ひどく悔しかった。

 腹にたかっていた邪鬼の1匹が亜衣の胸にとりつき、柔らかな膨らみを握りつぶしそうな程に力をこめて揉み始めた。
「……ぅあっ……ぐ…」
 亜衣の喉から苦鳴がもれた。
 邪鬼はかまわず亜衣の感触を堪能するようにしつこく揉みあげる。
 形の美しい亜衣の乳房が、無惨に姿を歪ませ、邪鬼の醜い指を食い込ませていた。
「ヒキキッ、この弾力、はちきれそうな張り…最高の乳だぜ!」
 歓喜の声をあげて舌ベロを伸ばし、亜衣の乳首をレロレロと舐める。
 さらには指の間に乳首を挟み、ピンク色の突起をこすりたて、つまみあげた。
 クニュクニュと励起した乳首を嬲りながら、その先端を舌で弾き、円を描くようになぞり、口に含んで吸いたてる。
 その間も休まずに、プルプルした柔らかい乳房を強引に揉みつづけている。
 長く伸びた爪が白い肌にかすかな傷をつけ、いくつもの赤い筋が生じていた。
「おうおう、固くしこって大きくなってやがる。そんなに乳が気持ち良いのか? ええ? もっともっと揉んで欲しいか? ウケケケッ」
 執拗に亜衣の胸を責めながら、邪鬼が嘲笑う。
 亜衣の乳首は意思とは関係なしに充血し、硬度を増していた。
 邪鬼の指がこねくりまわし、ザラザラした舌が表面をこすりたてる度、強い快感が生じ、理性を溶かしてしまいそうになる。
 牙で軽く噛みつき、引っ掻くように敏感な乳首を嬲り、軽い痛みと共に微妙な刺激を与えていく。
 指で乳首を押しつぶし、また起き上がったところをクリクリと指の腹で転がして遊ぶ。
 乳房全体を飲み込むように口に含み、舌でめちゃくちゃに弄び、柔らかな肉を喉の奥まで深く吸引する。
 堪えきれずに力がこもったか、牙が乳房に食い込み、皮膚が突き破られて、わずかに血が流れ出ていた。
 その赤い液体も、邪鬼がすぐさま舐めとり、啜りあげる。
 亜衣自身を食べ尽そうとする欲望がむき出しの、荒々しい愛撫である。
 いつか勢いあまって乳房を食いちぎってしまうのではないかと心配になるほどだ。
「……う…くぁ……ンンッ……!」
 襲い来る苦痛と快楽に、堪えきれずに亜衣の口から喘ぎが漏れた。
 その開いた口に別の邪鬼がすかさずベロをねじ込む。
「んむ……んんっ…」
 亜衣は目を見開き、首を振ってそれを逃れようとするが、人間のものよりはるかに長い舌は、亜衣の口内を埋めつくし、外に出すことができない。
 飲み込むことが困難なくらいの唾液が流し込まれ、こじ開けられた唇の端からあふれていく。
 邪鬼の生臭い口臭が口内から鼻腔になだれこみ、吐き気をもよおさせる。
 あまりのおぞましさに気絶しそうなほどだった。
 嫌悪感に亜衣の眉間に深い皺が寄る。
 時平に散々辱められたとはいえ、一応は人の姿形をしているものと、見るからに妖異の存在である邪鬼では、抵抗感もまた違う。
 しかもたかが雑魚の鬼どもに汚されるなど、到底我慢できるものではない。
 だが彼女の気持ちに関係なく、邪鬼の舌は亜衣の中を這いまわり、粘膜を存分に味わいつくそうと蠢いていた。
 邪鬼としては亜衣が嫌がれば嫌がるほど、力ずくで汚す歓びに興奮するのだ。
 性器を持たない邪鬼にとって、舌と角は性器の代わりであるとも言える。
 舌が感じるあらゆる味覚、触覚は、邪鬼には性的快感となって伝わっていた。
 女体のなめらかな肌の感触、愛液や汗、唾液といった、分泌される体液の味は、邪鬼にとってこたえられない快楽を生み出すのである。
 まともに向かえば襲いかかっても軽く蹴散らされ、触れることもかなわない天津の羽衣姉妹だが、今は無抵抗の若々しい女体を、思うさま陵辱できる。
 欲望のままに亜衣の唇を征服し、お互いの唾液を混ぜ合い、ぬめらかな舌を絡ませる。
 頬の内側をなぞり、口蓋や歯茎までもチロチロと舌で嬲る。
 長い舌を亜衣の喉の奥にまで差し入れ、苦悶する亜衣の反応を愉しむ。
 亜衣の粘膜の感触、味わいは、邪鬼にとって格別の美味であり、極上の悦楽を生んでいた。
「イヒヒヒ、最高だ〜! 天津のおなごの味はさすがに違う。ケヒヒヒヒッ!!」
 発音器官がどういう構造になっているのか、亜衣の口を犯す舌を休めぬまま、邪鬼が恍惚とした声で言った。
 快楽にうち震える邪鬼の舌からは、射精にも似た快感と共に、大量の唾液がとめどなく分泌される。
 仰向けになっている亜衣は、口中にたまっていく唾液を嫌々ながらも飲み込まざるを得ない。
 その唾にもわずかながら催淫効果があり、それは徐々に亜衣を蝕んでいくことになるのだ。
 邪鬼の汚らわしい体液が喉を通って体内に入り込む。
 絶望的な屈辱感に、亜衣は死ぬ思いで耐えていた。
「……ぷはっ……ん゛…むんんっ!」
 やっと邪鬼の舌が離れたかと思うと、またすぐに別の舌が唇を割って侵入する。
 それまで亜衣の口を汚していた邪鬼は、今度はかわいらしい顔をベロベロと舐めまくり、涎でベチョベチョにしていく。
 頬だけでなく、鼻も目も、髪ですらもおかまいなしに唾をなすりつけた。
 舌の感触と唾液の臭いに、たまらず目を閉じて顔をそむけるが、邪鬼はそれを見て、かえって嬉しそうに亜衣に舌を這わせた。
 プニプニした耳たぶに噛みつき、耳孔に舌をさしこみ、熱い息を吹きかける。
 芸術的な顎のラインに沿ってゆっくり舐めあげ、亜衣の産毛をそそけ立たせる。
 長く伸びた睫毛や、スッキリ整った眉までも唾液でとっぷり濡らし、固く尖らせた舌先で小振りな鼻の中さえ無理矢理に犯す。
(き、汚い!……なに考えてるのよ、こいつら…!)
 変態的な邪鬼の行為に、亜衣は耐え難い嫌悪感を覚えていた。
 髪の毛まで口に含み、鼻穴に舌を挿入するようなことに興奮する者がいるなど、想像したこともない。
 あまりに不可解で、胸が悪くなるような、乱れた行いである。
 邪鬼はおかまいなしに、亜衣の美しい顔の隅からすみまで執拗に舐め尽そうとしていた。
「ヒヒヒヒッ! お高くとまった巫女の顔の美味なことときたら!!」
「キレイな顔が台無しだな! もっともっと汚してやるぜ!」
 口から泡を飛ばしながら、邪鬼が歓喜の声をあげた。
 ザラザラした舌に頬をこすられる汚辱感に鳥肌をたてながら、亜衣はじっと自分を抑えていた。
 精一杯の自制心を動員し、地獄が過ぎ去るのを待ち続ける。

 振り上げた格好で括りつけられたままの腕にも、邪鬼がたかっていた。
 なぞるように舌を這わせ、二の腕や指を口に含み、ねぶるようにしゃぶる。
 亜衣の腕に絡みついた、活けづくりになった怪魚の頭を噛み千切り、皮を剥いで、数匹で奪い合うようにして喰らいついている。
「イーヒッヒッヒッ! そらそら、お前が処女を捧げた愛しのホト魚さまだぜ、たっぷり味わいな!!」
「んんっ!?……ふんーーーっっ!!」
 邪鬼がホト魚の頭をつかみ、亜衣の口にねじ入れようとした。
 亜衣は堅く口を閉じ、それに抵抗しようとする。
 だが他の邪鬼の舌が侵入していたため、それに弾かれて口を閉じられない。
 噛み切ろうと力をこめても、ゴムのような邪鬼の舌は想像以上に丈夫で、歯はただ食い込むだけで、弾き返されてしまう。
 舌と入れ替わりに、ホト魚の生首が入ってきた。
 ホト魚の頭部はひどく生臭く、血の味がして、亜衣はたまらず吐き出そうとする。
 しかし邪鬼は亜衣の顎をつかみ、力づくで口を閉じさせた。
 さらには顎を上下に動かし、無理矢理それを咀嚼させる。
「んぐ…もご……ぐ……ご…」
 ガリゴリと音をたてて、魚の頭骨が噛み砕かれていく。
 口中にたまらない感触と味が広がり、亜衣は嘔吐感を堪えた。
「どうだ、旨いか? 処女を奪った魚の味は?」
 目に涙を浮かべながら睨みつける亜衣の首を、邪鬼が2、3度縦に動かした。
「ヒハッ、そうか、旨いか! じゃあしっかり飲み込みな!」
 そう言って、亜衣の頭を傾け、飲み込まなければ窒息するように固定する。
 亜衣に逃れる術はなかった。
 喉の筋肉を動かし、口の中のものを飲み下す。
 おぞましい鬼獣淫界の怪魚が、つっかかりながら食道を通り、胃に落ちていく。
 どこまでも続く汚辱に、亜衣は気が遠くなりかけていた。
 いつ精神が崩壊してもおかしくないような、過酷な責め苦が繰り返されているのだ。

 折り曲げられた脚の上に描かれた淫らな天女の交合図は、既に散々食い散らかされて、原形も留めていなかった。
 邪鬼は艶やかな太腿に節くれ立った指を食い込ませ、料理の一欠けも余さず胃に収めようと、口を密着させて貪り喰らっている。
 きれいさっぱり食べるものがなくなっても、まだ飢えた獣の眼光のまま、ジュルジュルと音をたててしゃぶりつづける。
 やがて太腿だけでは飽き足らなくなったのか、屈曲させていた亜衣の脚を強引に引っ張りだし、何匹もの邪鬼がそこへ群がっていく。
 形の良い爪先に、踵に、キュッと締まった足首に、艶かしいふくらはぎに、柔らかそうな膝裏に、次々と邪鬼がかぶりつき、舌を這わせる。
 両脚に別々に邪鬼がとりついているため、脚はおのずと左右に開かされ、秘められた亜衣の中心があらわにされてしまう。
 太腿の間に、1匹の邪鬼が小さな身体を滑り込ませた。
 全身を同時に嬲られるという常軌を逸した責めに、どれほど心が抵抗しても、亜衣の肉体は否応無しに反応してしまっていた。
 パッカリと口を開けた花弁からは、とめどなく蜜があふれ、鮮やかに色づいた襞がピクピク痙攣している。
 明らかに性の快感に火がついているのだ。
「ケケケーッ! こりゃすげぇ、すっかり洪水になってやがるっ!!」
「俺たちに責められるのが、よっぽど気持ち良かったってことだ! この好きモノめ〜!!」
「今もっとイイことをしてやるからな! イーッヒッヒッヒッ!」
 亜衣をじっくりと目で犯しながら、邪鬼は禁断の花園に手を伸ばした。
「―――ふぁっ!」
 邪鬼ごときが触れることなど許さるはずもない亜衣の聖なる場所に、醜い折れ曲がった指が無造作に置かれる。
 それだけで、屈辱的な快感が電流のように走り、亜衣は思わず甘い声をあげてしまった。
「イシシシッ、慌てなくてもこれからたっぷりかわいがってやるぜ!」
 邪鬼は両手で亜衣の充血して膨れあがった女唇を押し開いた。
 濡れぬれになったピンク色の襞がすっかり晒され、ヒクついている穴の中までもが丸見えになってしまう。
 粘り気の強い淫蜜が、割れ目にまたがるようにして糸状の橋をかけていた。
「くぅ……あっ、あ…っ」
 亜衣は快楽に腰をプルプル震わせて悶えた。
 ちょっとした刺激だけでも、最も敏感な場所だけに、凄まじいまでの快感を感じてしまうのだ。
 その上、性器だけではなく、全身への愛撫も途切れずに行われている。
 驚異的なまでに自制心の強い亜衣だからこそ、まだ乱れ狂わずにいられるのだと言える。
 これがもし快楽に弱い麻衣や、普通の女性であれば、これほどの責めにあえば、とっくに淫らの欲望に溺れ、悶え狂っていただろう。
 女陰に押し当てられた邪鬼の指が、ゆっくり動き出した。
 秘められた花弁を押し開いたままの状態で、1本、2本と、内側に指が伸びていく。
 色鮮やかな襞の1枚1枚にじわじわ指が這い寄る。
 ぬるり、と、粘液に覆われた秘肉の上を指の腹がすべった。
「くっ………んんんんっ」
 限界まで感度が高まっている身体に、その動きは無上の快楽として伝達される。
 亜衣の爪先に力が入り、ぎゅっと指が丸められていく。
「ヒヒッ、しっかり反応してやがる…」
 足の裏を舐めていた邪鬼が、それを見て下卑た声をあげた。
 クニュクニュと柔肉の感触を愉しむように揉みたてながら、指は次第に陰花の中心部へと這い進む。
 ―――クチュッ
 濡れた音をたてて、亜衣の膣口が広げられた。
「ふはっ……あく……っはぁぁぁっ……」
 亜衣の口から、感極まったかのような喜悦の声がこぼれた。
 無意識の反応で足を踏ん張り、腰が浮かんでガクガクと震えている。
 亜衣の顔には隠しようもない悦楽の色が浮かび、頬を紅潮させていた。
「奥まで濡れそぼって、ヌルヌルになってやがる! いつも澄ました顔をしていても、一皮向けば本性は淫らなものよ! ケーッケッケッケッ!!」
 奇声をあげて、邪鬼が長い舌を伸ばし、亜衣の花芯をベロリと舐めあげた。
「くうぅぅっ!!」
 ザラついた舌の表面に性感の塊と化した部分をこすられ、あまりの快感に、亜衣の身体に感電したような衝撃が走った。
 全身を淫らな責めに晒され、性の悦びを呼び覚まされた亜衣は、それだけのことで絶頂を迎えてしまいそうなほどだった。
(絶対イヤ!!……こんなことで、邪鬼なんかに屈するなんて…!)
 亜衣は必死に気力を奮い立たせ、抵抗するために精神を集中した。
 絶望的な状況であっても、最後まで諦めることはできない。
 どんなに汚されても、亜衣の気高い心だけは折れずに保たれていた。
 天津家の娘としての誇りが彼女の心を支えているのだ。
 鬼獣淫界の淫乱の魔物は、彼女たちが調伏しなければ、誰にも倒すことはできない。
 自分がここで屈服するわけにはいかなかった。
「天津の乙女の愛液は格別の味わいだぁ! まるで処女みたいな、濃厚な味がするぜ! ヒヒヒヒヒヒヒッ!」
 粘ついた蜜が邪鬼の舌先と亜衣の股間の間で糸を引いて、キラキラと光を反射していた。
 亜衣の襞はどう見ても快感にわななき、さらなる刺激を待ち受けているように映る。
 ギュッと力のこめられた太腿は小刻みに痙攣し、限界が近いことを示していた。
 もう1度、邪鬼の舌が表面を丁寧にこすりつけるようにして、亜衣の潤んだ襞々をなぞった。
「あふぅっ!……だ…めぇ………」
 精神の集中は、ただそれだけで吹き飛んだ。
 亜衣の脚が本能のままに閉じられ、邪鬼の頭を内腿で挟み込む。
 自然、邪鬼の顔面は亜衣の股間に密着したままに固定される。指は割れ目を押し開いたままだ。
「あっ!? んあぁっ!!」
 邪鬼の鼻面がこすりつけられたことによる新たな衝撃が、亜衣を貫いた。
 抑えようもない衝動のままに、腰をゆらし、邪鬼の顔を秘部にこすりつける。
 亜衣の意思とは無関係に、身体が快楽を求めて動いているのだ。
「イヒヒヒヒッ! 見ろよ! すっかり淫らの本性を表したぜ!」
「欲しくて欲しくてたまんねぇってツラしてるじゃねぇかっ! この淫売めぇ〜」
 邪鬼たちがヤンヤと囃し立てる。
「ほれ、こっちももっと気持ち良くしてやるぜっ!」
 胸にむしゃぶりついていた邪鬼が、いっそう激しく胸をつかみ、グニャグニャと揉みたてた。
「クウッ!……はぁぁうっ」
 苦痛と、それ以上の快感が生じ、亜衣を翻弄する。
 だが皮肉なことに、全身に次々与えられる刺激が、股間から迸る悦楽の波を分散させ、亜衣を陥落から救ってもいた。
 どこもかしこも反応してしまっているが、裏を返せば集中もできないということになる。
 しかしそれが亜衣の意識を引き裂き、終わりのない苦痛と快楽、耐え難い辱めをもたらし続ける拷問であることには変わりない。
 ギリギリのところで堪えれば堪えるほど、苦悶の時間は長引くのだ。

「ああっ……んっ…アッ、や……く………ふっ、アアァッ!!」
 股間に鼻先をすりつけながら、邪鬼が亜衣の蠱惑的な柔襞を執拗に舐め啜る。
 舌を複雑に動かし、秘肉を押しつぶし、こねまわし、こすり、振動を与え、はじく。
 そのひとつひとつの動きに、亜衣の肉体は見事なまでに反応した。
 深い快感に腰をうねらせ、尻を震わせる。
 これだけの快感を味わいながら頂に昇りつめることができない、解放がないという状態は、想像もつかないほどの苦痛となる。
(……このままじゃ………気が狂いそう……ダ…メ……!)
 頭が真っ白になりそうな快楽の嵐の中で、断片的にしか考えることができない。
 ただ屈伏を拒み続ける想いだけが核となり、最後の砦となっていた。
 自分がなぜ耐えているのか、なぜ負けられないのか―――
 その理由すらも思い出すことができないまでに混乱しているのに、まだ彼女は耐え抜こうとしていた。
 どれほどに追いつめられても、たとえ気が狂っても、逃げだせない。
 亜衣の崇高な誇りが、それを許さなかった。
「あとからあとから蜜があふれてきてグショグショだぜ!」
「うまそうだ〜、俺たちにも食べさせな」
「クキキキ、急ぐな急ぐな。時間はたっぷりある」
 入れ代わり立ち代わり、邪鬼が亜衣の股間に頭を突っ込み、次々と舌を伸ばし、ピチャピチャと濡れた音をたてる。
 亜衣の腰を持ち上げ、両脚を担ぎ上げて、濡れ光る襞をレロレロと舐めまわす。
「あうぅっ……ひはぁっ…アンッ、アッ、アッ、あくぅぅっ…ひゃうっ!?…くぅっ!」
 脳髄まで痺れさせる甘美な官能の波に、亜衣はただただ喘ぎ声をあげて悶えた。
 数匹の邪鬼が同時に割れ目を征服し、あぶれた邪鬼は亜衣の後ろのすぼまりにまで舌をこね入れる。
 尻肉に他の邪鬼がかぶりつき、いたるところに歯形をつけ、掌ですべすべの柔肌を撫でまわしている。
 むき出しになったクリトリスを指でこねながら、尖らせた舌先で幾度も弾くと、その度に亜衣は甲高い声と共に腰を跳ねさせた。
 性の昂りは限界まで上昇しているのに、全身に加えられる刺激が邪魔をして、快楽の絶頂に至ることができない。
 亜衣が昇りつめようとすると、邪鬼たちはそれを察したかのように女性器への攻撃を休止し、代わりに別の場所に激しい責めを加える。 
 亜衣の肉体はとどめとなる刺激を欲して、もどかしさに熱く疼いていた。
「ケケケケケッ、そろそろ頃合だな」
 不意に1匹の邪鬼が言い、その言葉に反応してか、一斉に邪鬼たちが亜衣への責め手を休め、身体から離れた。
(……な…に?)
 いきなりの解放に、亜衣は混乱した表情を浮かべた。
 ひとまず開いていた股を閉じ、両足を身体に引き寄せて、警戒する体勢をとる。
 両手は括られたままで、仰向けに寝かされた姿勢はどうしようもない。
 快楽に抵抗しようと張りつめていた緊張が緩み、四肢から力が抜けようとするのを懸命に堪え、荒く乱れた呼吸を整えようとする。
 これから何が待っているにせよ、ともかくも今のうちに回復を計らなければならない。
 快楽に全身が痺れ、ジンジンと火照っていた。
 亜衣は熱に浮かされたように肌を桃色に染め、瞳を潤ませている。
 下腹部の疼きは引くどころか、さらに強くなっていき、一向におさまらない。
 まともに思考する余裕が戻ってくるのと同時に、亜衣の胸に悔しさがこみ上げて来た。
 邪鬼ごときにいいように弄ばれた屈辱感に目が眩む。
(この恨み、絶対に忘れない!)
 グラグラと煮えたぎる感情を抑制しながら、亜衣は心の中で呻いた。
「ホッホッホッ、あれだけ悶え乱れた後だというのに、まだそのような眼をしているとはのぅ…さすがは亜衣じゃ。妹とは違って、怖いこわい」
 亜衣の眼の光を見て、それまで邪鬼たちの狂宴を傍観していた時平が口を開いた。
「だがそうでなくては面白味がない。そなたにはこれからまた、存分に愉しませてもらわねばな」
 時平が意味深なことを口にしながら顎をしゃくると、邪鬼たちが動き出した。
「―――な、なに!?」
 姉の亜衣が散々に辱められる姿に涙し、いま姉が解放されたことにほっと息をついていた麻衣に、2匹の邪鬼が手をかけた。
「イーッヒッヒッヒッ、さあ、とっとと歩きな!」
「イヒヒヒ、お姉ちゃんが待ってるぜ!」
 両脇について、邪鬼が麻衣を引き立てる。
 姉妹にとっての本当の試練が、いま訪れようとしていた。


               (つづく)

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