時は少し進み、夜。 場は鬼獣淫界に転移した社。

 

 その奥、中央の部屋。かつて淫魔大王が鎮座していた玉座は、今は改装され、カーマの寝室として存在している。

 だが、時平の趣向とは大きく違い、その寝室には煌びやかな装飾は殆ど無く、何人も眠れそうなほどの大きさの寝具と、少々の装飾品以外の目立つものは見当たらない。

 その寝具の中心に、カーマは上半身だけを起こした状態で居た。その姿は一糸纏っておらず、薄い掛け布が掛かっている下半身以外は、逞しくも美しい引き締まった肉体を晒している。

 

 カーマは、時平と比べて派手なものや輝くものを並べる趣味は無い。俗に言う、着る、飾るといったものは、カーマにとっては女の趣味であり、適当な物さえ着飾っていればいいという考え方だった。

 

 タオシーには、淫魔の頂点らしい服装や装飾も必要だと言われたが・・・はっきり言ってしまえば、この淫魔の社でさえ正直鬱陶しい。

 

 だが、そんな事はどうでもいいことだ。

 

 

 カーマは、自分の隣に目をやった。

 そこには、悪衣が仰向けの恰好で、カーマのすぐ隣で寝ていた。

やはりカーマと同じ様に一糸纏わぬ裸であり、同じ掛け布が背中から掛かっている。掛け布の上から、悩ましく浮き出ている体のラインは腰の形まで映す。大きく形の整った胸は自らの体の圧力で形を変え、横に広がっており、その柔らかな膨らみは布の隙間から覗けた。

 

 そんな艶美とも、神美とも見れる肉体の美しさに反して、悪衣の寝顔、そして静かな寝息は実に安らかだった。淫魔と変わった身でありながら、その寝顔の様相は、亜衣である頃と変わらぬ、善悪以前の純粋な顔。

 

 カーマは、無言で悪衣の顔を撫ぜる。

 

「・・・ ・・・ん・・・」

 その感触に反応してか、たったそれだけ声を出すものの、その次に聞こえてくるのはやはり遠くの波音の様な静かな寝息である。

 

 

そう、衣も食も住も、何もかもどうでも良いもの。

悪衣が居れば、それ以外に自分にとって、何も欲するものは無い。

 

 

 麻衣、木偶ノ坊との戦いの後。タオシーの式神達によって連れてこられた悪衣は、特に外傷はないものの意識を失っており、一時間近く眠っていた。

 それが起きたと思いきや、悪衣はいきなりカーマを求めて来た。【我慢が出来ない。欲しくて仕方が無い】と。太腿に縋りつき嘆願した。

 

 カーマは当然それに応えた。傷が完全に癒えて間もないというのに、自ら求めてくる悪衣の姿に日頃以上の煩熱を持ったか。今居る寝室で、悪衣が再び眠りにつくまでの数時間の間、たっぷりと、それは激しく相手をした。

 

 人間であるなら肉体の限界を超えた次元である。だが、それで尚平気な状態なのは、やはり互いに淫魔であるが故に成せることだろう。

 

 カーマは涼しい顔をしており、安らかに寝ている悪衣の顔もまた、激しく長い行為の後とは到底思えない。

 

 

「カーマ様」

 コン、コンと戸を叩く音。

 

「入れ」

「はっ」

 戸を開け入ってきたのは、タオシーだった。

 

「タオシーか、無粋に入ってくるからには・・・」

「はい、是非カーマ様にお伝えしたい事項が。・・・よろしいでしょうか?」

 恐らくは、行為の最中の時から部屋の外でタイミングを見計らっていたのだろう。顔には出さないが、それなりに前から待っていたと推した。

 

「かまわん」

「御意。・・・悪衣様の事についてですが・・・」

 チラ、と。寝ている悪衣を見るタオシー。

 

「その・・・ 申し訳ないのですが・・・」

「ふむ・・・ 仕方ないな」

 以外にもあっさりと、カーマはタオシーに応じて寝具から降りた。

 それはカーマが、タオシーという存在を信用している証拠である。

 

 カーマは術により一瞬で元の服装になり、タオシーと共に廊下へと出る。

「簡潔に済ませろ」

「はっ・・・。悪衣様の体についてですが、今日の戦いにおいてイレギュラーが発生し、それにより、少しだけ厄介な事になりました」

 

「厄介なこと・・・とは?」

「はい。僕が放った人型の【言紙】(ことがみ)により分かったのですが、悪衣様と麻衣さんの戦闘において、麻衣さんが悪衣様に高出力の陽の霊力を放出したようです。そして、それにより、悪衣様の中で・・・その、変化が起こっています」

 

「変化?」

「信じられない事なんですが・・・ 膨大な陽の霊力を叩き込まれた悪衣様は、その時一時的に亜衣様の方へと変化した様です」

 タオシーは冷静を装うが、目が泳ぎ、苦虫を噛み潰したような表情になっている。

 それは、自分が年月と努力をかけ完成させた【反転の術】に、絶対の自信を持っているが所以だった。

 

「・・・ほう?」

 カーマは、あまり驚かなかった。

 

「・・・しかも、悪衣様の中には未だ多く陽の力が残留しており、悪衣様が今回強くカーマ様を求めたのも、淫魔が妖力を浪費した時に起こる衝動と同じもののようです。

 ここからが問題なのですが・・・恐らく、いや、確実にこれからも、悪衣様は一時的に、精神だけが亜衣様に・・・戻ります」

 自分自身の冷静且つ完璧な計測すら虫唾が走っている。

魂の時点からの属性の反転。それがたかだか、正体不明の霊力を膨大に浴びた程度でぐらつきが生じているなど、そんな馬鹿な事があっていい筈が無い。

そんなことはタオシーのプライドが許さない。

 

「・・・・・・フッ」

 カーマは一瞬だけ目を見開くが、すぐにそれは悪辣な笑顔に変わる。

 

「それで?」

「僕の【反転の術】は完璧です!! いくら強い霊力で消し去ろうとしても、人の力で錠前が引き千切れないのと同じ様に、術は僕以外には絶対に解けませ・・・・・・

・・・あ、す、すいません・・・」

タオシーは、語気を荒げた自分にすぐ気付き、自分を諌めた。

こういった所が、タオシーが根本から冷静且つ優秀である証拠である。

 

「かまわん、続けろ」

「はい・・・。一週間もすれば、悪衣様が一時的に戻る現象は、必ず無くなります」

「次に亜衣に代わるのは、いつだ?」

「それが・・・ 明日の朝頃、時間は1時間前後かと」

「早いな」

「そこから先は、2日後、4日後とサイクルが弱まっていき、時間も減少していきます。そして・・・終わりです。悪衣様は完全に淫魔の姫として安定するでしょう。

しかしご安心を、僕の霊力で逆に・・・」

途中で言葉を止めるタオシー。

 

「フフ・・・そうか、そうか・・・」

 カーマが嬉しそうに笑うのを見たからだ。

 いかにも楽しい事を思いついた事が伺える、悪辣な笑み。

 

「・・・・・・」

 タオシーも、その表情からカーマの心情を読み取ったのか

 

「では、お任せします」

 ぺこりと一礼をして、その場を後にした。

 

 数瞬、支配する静寂。

「フフフフ・・・ ハハハハ。面白い、明日が楽しみだ!!」

 一人高らかに笑うカーマ。

 悪衣は、ただそれを五月蝿そうに眉をひそめ、寝返りをうっていた。

 

 

 

  ◇    ◇

 

 

 次の日。同じく淫魔の社。遊戯の間。

 

 そこは、淫魔ならではの遊戯の道具が数多く隅に点在している。大小様々な形をした張型や、拘束具等、多くの怪しい道具がその中には、あの時麻衣を貫いた木馬もあった。

 

 

「ん・・・」

 その中央で、亜衣は目覚めた。

 

「ここ・・・ は・・・?」

 意識がはっきりとしない。なんだか思考に靄が掛かっている。

 なんだか息苦しい。それになんだか体がベトベトする。

 とりあえず、体を動かそうと試みた。

 だが・・・

 

(ギシッ・・・)

 

「・・・?」

 そんな音がするだけで、体は動かない。

 目を開ける。

 見えるのは・・・木の床。だが、随分と離れている。

 

「・・・・・・!!」

 やがて、靄の掛かっていた思考が晴れる。

 それと同時に、自分の現状、そして悪衣としての記憶が蘇ってきた。

 

 思い出したくもない記憶の数々。自分を犯した男に自ら股を開き、受け入れ、卑猥な言葉を口にして・・・

 

「・・・・・・(ギリッ・・・!)」

 軋む音がするぐらいに、歯を食い縛る。

 これほどの羞恥はない。いっそ死んでしまった方が余程楽だ。

 

 いや・・・ 

「(落ち着いて・・・ 落ち着くのよ、天津亜衣。こんな所で絶望する為に、こうなった訳じゃないでしょ・・・!!!)」

 そう、今自分が亜衣として出切る事をしなければ。

 これはせっかく妹の麻衣が与えてくれたチャンス・・・。なら、

 

 そこでやっと、今の自分がどういう状況であるか分かった。

 自分は、縛られている。恐らく縄か何かで縛られて、天井から吊るされているのだ。

 両手が、両腿にそれぞれ縛り付けられ、全く動きが取れない。

薙刀などの鍛錬で鍛えていても、それでも一人の少女である亜衣には、完全に縛り付けられた縄を外すなんて真似は勿論不可能だ。

 

そして、さっきから体中に付いている粘液らしきもの、それは、恐らく・・・

 

「くっ・・・・・・!」

 想像することすら耐え難い、こんな辱め・・・今すぐにでもこれを全て洗い流したい。

 

「ちっく、しょう・・・!!」

 甘かった。不意を突くどころか、これは自分の事は完璧にカーマ達に予測されていたという事になる。

 

 それでも何とか、渾身の力を込めて、体を揺らし、腕や足を思い切り引いて、押してみる。

「ぐぅっ・・・」

縄の部分の皮が擦り切れ、血が滲む。

しかし、体がブランコの様に揺れるだけで、縄自体はビクともしない。

それでも、繰り返し、繰り返し、無駄な足掻きを試みた。

 

 

「フッ・・・ やめておけ」

 その時、不意に後ろから、よく知る声が聞こえた。

 

「・・・っ、カーマ・・・っ!!」

 見えない相手に、ありったけの憎しみを込めてその名を呼んだ。

 

「声だけでわかってくれるとは、嬉しい限りだ。さすがは俺の伴侶といったところか?」

 カーマは、そんな亜衣に敢えてそんな言葉を返す。

 

「・・・誰がっ!!あんたなんかとっ!!!」

 亜衣は当然叫んだ。

 

 

「・・・ふふ、そう言うと思っていたぞ。

 しかしな、忘れていまい? つい昨日まで、お前は・・・」

「言うなぁっ!!! あんなの・・・ あんなの私じゃないっ!!!!

 部屋中に響く叫び声。

 そこらの人間ならその気迫に竦んでしまうだろうが、カーマは逆に唇の端を吊り上げる。

 

「フフフ・・・ お前は分かっていないな、亜衣」

 パチン、と指を鳴らす音。

 

(シャ────────────・・・・・・)

 

 それと共に、どこからか畳大の大きさの鏡が、床を滑って亜衣の周りを囲んだ。

 カーマの妖術か、それともこの鏡自身が動くようになっているのか・・・

 

「これで、よく見えるだろう?」

 亜衣の背中を撫でながら、亜衣の隣へ移動するカーマ。

 

「・・・・・・っ」

 確かに、よく見えた。

 鏡越しに見える自分の姿は、やはりカーマのものであろう白濁液が体中にかかっている。

桃色の肌の上に、薄白色が塗られている様は、とんでもなく淫靡だ。

更に、自分を縛っている縄。それは肉体を縦横無尽に巡っており、それは両手と両足を括りつける形で四肢の自由を奪い、二つの縄口はそこで一つに絡まりあい、天井に釣り下がっている。

強く縛っている故か、縄の食い込みにより、女性の肉体の凹凸がより大胆に強調された形となっている。両胸は通常よりも大きく見え、腰のくびれもより大げさに見えた。

 

亜衣はその姿を、激しい羞恥と屈辱の心を覚え、逆にカーマは、いつまでも見て痛くなるほどの淫艶なる美を、亜衣の姿に感じていた。

 

「自分の姿をよく理解してもらったと思うが、もう一つ・・・」

 そう言うと、カーマは亜衣の下半身に手を伸ばす。

 

「やめろ!! 触るなっっ!!!」

 激しく体を揺らして抵抗しようとする亜衣。しかし、【あの時】と同じでそれは何の抵抗にもならない。縄で完全に体の自由を奪われた今は尚更だ。

 

「そう騒ぐな、【中に溜まったもの】を出してやろうというのだから」

「(・・・中に・・・?)」

 亜衣がその意味を疑問に思ったその瞬間。カーマの両手が亜衣のヘソの下を触る。

 

「やっ・・・!?」

 カーマが強く下腹部を押すと、亜衣の秘所からボト、ボトと、まるで最初から亜衣の体の中にあったものかのように、ゆっくりと・・・カーマの濃い精液が大量に落ちる。

 

「・・・・・・・・・っっ!!!」

 鏡越しにそれを見て、亜衣は青ざめた。

 

「寝ている間のお前の喘ぎ声も、中々だったぞ」

 そう、カーマは亜衣の体中に精液をかけるだけではなく、寝ている亜衣に何度も何度も、亜衣を貫き、膣内に精を放ったのだ。

 

「ぃや・・・ イヤ・・・っ!!」

 自分の膣の中に、自分を犯した男の精液が大量に入っているという事実に、さすがの亜衣もショックが隠しきれない。

 

「そう嫌がることもないだろう、寝ていながら喘ぎ声を立て、自ら足を絡めてきたくせをして」

「・・・・・・・・・っっ!!」

 信じない。嘘だ。嘘に決まっている。カーマは私を動揺させようとしているんだ。

 

 私はそんな女じゃない。私は・・・ 私は・・・

 

 

 カーマは、狼狽する亜衣を恍惚の笑みで観ながら

「幸せな誤解をしているようだが、【悪衣】は間違いなくおまえ自身だ。タオシーが言っていたな・・・ 【反転】とは、別のもので魂を塗り潰すのではなく、元からその人間にあった闇と淫を呼び覚まし、増大させ、一気に裏返す事なのだ。

 そうだな・・・現代の物で例えるなら、オセロか?

 常にお前は、白く在り続けていた。その裏にある黒を覆い隠しながらな。

人間の羞恥心。世間体。常識。プライド・・・ そういった面倒なものを接着剤にして・・・」

 カーマは、ぐいと亜衣の顎を掴み、顔を目と鼻の先の自分の顔へ向ける。

 

「思い出せ、俺達淫魔との戦いで受けた辱めの数々を。

その中、異形の者に陵辱を受け、攻め立てられた時に感じた、己の中に在るどす黒いものを。

お前は天津の巫女であるが故に、人間のメスなら当然持っている筈の肉欲すら、その強い精神力で封じてきた。だからこそ・・・【悪衣】は、その快楽に素直なのだ。

お前に初めて肉の喜びを教えてやった俺と、今までお前自身によって抑圧されてきた性の喜びを、悪衣は味わっているだけのこと。お前はそれすら自分ではないと言い張りたいのだろうが・・・ あれは今のように、鏡に映った正直なお前の姿・・・本性だ」

「・・・・・・・・・・・・」

 亜衣は、無言でわなわなと震えている。

 認めたくなかった事実、その核心を突かれ、もはやまともに思考すら出来ない。

 悪衣は紛れもない自分自身。それが本気で分からなかった訳ではない。同じ魂で、同じ体で、同じ記憶なのだ。分からない筈がない。

 

 だが、信じたくなかった。

 自分に、よりによって自分を犯した男と愛し合うような獣の本性があるなど、誰が認めたいと思うだろう。

 それが人間である以上、当然存在する欲だとしても、自分は誇り高き天津の巫女。そして一人の戦士だと、信じていたかった。

 

「心のどこかで、例え反転しようと、己の【黒】を御し切れると思っていたか?

 そうだとしても、結果はお前の知るとおりだ。・・・まあ安心しろ、これは、お前が通常の人間であり、女だということだ。

 ・・・俺にとっては最高の女だがな、フフフ・・・」

 亜衣の頬を撫でるカーマ。

 

「・・・それで、その最高の女とやらに、することはこんな事なわけ?」

 なんとか気力を奮い立たせ、強気に毒を吐く亜衣。

 

「フフ・・・ もうお前の何もかもは俺のものだということを、深く理解してもらう必要があるからな。俺のモノで染めたのはその余興だ」

 邪悪でありながら、同時に無邪気な子供のような言い方でカーマは言う。

 

「・・・まるで、犬のマーキングね。下らない!!」

 気丈にも、亜衣は強くカーマを挑発する。

 しかし、鏡越しに見えるカーマの顔は、怒りどころかより一層の邪悪な笑みを見せていた。

 

「おやおや、この時点でそんなようでは、先が思いやられるな。今日は特別なイベントだというのに」

「イベント・・・?」

 その意味を、亜衣は分かり兼ねた。

 

「フフ、心も体も淫魔である、快楽に素直な悪衣も悪くないが・・・ 誇り高く、潔癖である亜衣だからこそ楽しめることもある。健気な花を己の手で汚す感覚というのは、何物にも変えがたい」

 カーマの邪悪な笑みに、悪衣は表情に出さず、恐怖する。

 

「・・・何を、するつもり・・・?」

「お前の人としての尊厳、プライド・・・ それを苛め抜いてやろうと思ってな」

 やっと亜衣の顔から手を離すカーマ。

 

 だが、気を緩める間もなく

「・・・あっ!?」

 亜衣の背中の筋を、蛞蝓のようなものがゆっくりと登ってくる感触に、亜衣はビクッと震えた。

 カーマの、舌である。

 

「うあっ!? やっ、やめっ・・・!!」

「フフ・・・ お前の体の事、じっくり教えてやろう」

 そう言って、カーマは亜衣の体中を愛撫し、舐め回していく。

 

「うっ・・・ く・・・ぅ!!」

 脇の下の肋骨の部分。首筋。ヘソ。うなじ。ありとあらゆる箇所を弄びながら、何故か、胸と秘所だけは全く手を付けない。

 しかし、それを疑問に思うよりも前に

 

「うあっ・・・、は、ああぁっ・・・!!」

 亜衣は、その愛撫の一つ一つに、体が強く反応し、快楽が襲ってくる事実に驚愕していた。

「イヤ・・・ あぁっ・・・、なん、で・・・」

 何故何でもないような所を触られて、こんなに感じてしまうのか、亜衣には訳が分からない。

 

「フフ・・・ おまえ自身、ほとんど知らなかったろう。俺がお前との性交で見つけ出した、そして開発したお前の性感帯だ。

 何も胸や秘所だけが女の感じる場所ではない。邪鬼どもはそれを理解する脳ミソも無かったようだが・・・」

 亜衣のヘソの下を巧みに撫で回す。

 

「あ、ああっ・・・!」

 肉棒で秘所を貫かれる時の、一気に脳天に来る快感とは違い、性感帯の愛撫のみによる快楽は、じわじわと少しずつ登ってくる形で、亜衣の体を火照らし、いくら歯を食い縛ろうとも、今まで味わったことの無い愛撫の形に、そしてカーマの蟲惑的且つ、天才的な指や舌の動きに、意思とは反して声が漏れてしまう。

 

「俺は今、お前の体の事は、何から何まで分かっているぞ。お前の性感帯の数、ついでにホクロの数もな。・・・聞きたいか?」

「あぁっ・・・ くふぅっ・・・ そ、んなの・・・聞きたく・・・ふぁっ!?」

 ヘソの穴の中に、舌を突き入れられる亜衣。

 

「やっ、ああっ・・・、あっ!!」

 ヘソの中で生き物のように動く舌が、まるでヘソから何かが直接子宮に侵入しようとしているような感覚を覚えてしまう。

 

 それと同時に、愛撫が激しさを増し、一気にスピードを上げた。

「さあ、イッてしまえ」

 その言葉どおり、急激に早く、激しくなった愛撫は、亜衣の想像を遥かに超えて、熱くなっていた亜衣の体をあっという間に限界にまで・・・

 

「ふあっ!! ああっ!! ああああああぁぁ────────────っ!!!??」

 

 ビクビクと体を痙攣させ、カーマの宣言どおりに達してしまった亜衣。

 それも、触られ始めてから・・・

 

「ちょうど2分といった所か」

 勝ち誇った顔で、そう告げる。

 

「・・・ハァ、・・・ハァ・・・」

 虚ろに床を見つめる亜衣。

自分がこんな短時間で、しかも、何でもないような場所を触られ続けただけで達してしまった事が信じられなかった。カーマの指、舌の一つ一つに合わせて体が反応してしまう、まるで、カーマの好きなように自分の体を改造されてしまったかのようだった。

今も体が・・・火照っている。そして、止まる事無く、自分の秘所から太腿を伝っている雫。

 

「(これが・・・ 今の、私の体? 淫魔の・・・淫乱な・・・私の・・・)」

 愕然とする亜衣。カーマの手によって、今、自分が完全にカーマの色に染められている事を思い知った。

 

「フフ・・・ 理解してもらえたようだな。そう、今のお前は、俺無しでは生きてはいけない」

 曇りなき自信に満ち溢れたカーマの言葉。

 

「・・・ふざ、けるな・・・っ」

 だが、亜衣は屈してはいない。例え体がどうなっていようと、心だけは・・・

 

「フフ、フフフ・・・」

 カーマは、より満足そうに笑う。

 

「いいぞ亜衣。実にいい。その誇り高さ、強さ。何もかもが愛おしい。それでこそ亜衣だ。

 実に楽しませてくれる。最後の一つを用意していたのは間違いではなかったよ」

 

「・・・もう、一つ・・・!?」

 亜衣は一瞬怯えの顔を見せる。

 

「これで終わりだとでも思っていたのか? 残っているのはメインだぞ」

「・・・・・・・? ・・・っ!!?」

 その言葉の意味が分かり兼ねていた所で、いきなり、亜衣のお腹からグルグルと音が鳴り始める。

 腸内に熱いものを感じたかと思うと。それは亜衣の腸内で暴れ周り、しきりに亜衣の穴から出ようと急き立てる。

「あっ・・・? ぐ・・・」

 それと共に、前の方からも同じ様な感覚が襲ってきた。

 

「い・・・ぎっ!?」

 尋常ではないその暴れ様、苦しさに、亜衣は額から汗を流し始める。

 

「フフ、効いてきたか」

「ぐっ・・・う・・・っ! 私に・・・ 何を・・・ した、の・・・っ!?」

 腸の圧迫に苦しみながら、カーマに問う。

 

「淫魔の世界にある強力な下剤を飲ませておいただけだが?」

「げ・・・ 下剤・・・っ!?」

 亜衣は驚いた。そんなものを使う意味自体、理解が出来ないからだ。

 

「・・・縄を・・・ほどいて・・・」

「ん?」

「縄を解いてっ!!! お願いっ!!!」

 今すぐ駆け込まないと、とんでもないことになってしまう。

 

「漏れそうだから、早くトイレに行きたいと」

 亜衣の言葉の意味を、サラリと述べてしまうカーマ。

 

「・・・・・・っ!!! そうよっ!!」

 尋常ではない辛苦に、もはやなりふりをかまっていられない。

 

「行かせる訳にはいかんな、目的は洩らさせることだ」

「え・・・っ!?」

「言ったろう。人としての尊厳を苛め抜く、と。

 ・・・まさか、愛撫でイかせるだけで終わるとでも思ってたのか?」

「・・・ウソでしょ・・・?」

「ほ・ん・と・う・だ」

 カーマの笑みが、これほど悪魔の笑みに見えたのは初めてだ。

 

「・・・・・・・・・っ!!!」

 その間にも、胃が、腸が、焼けるような暑さを持って、亜衣を苦しめる。

 

「ぐ、ぐ・・・ あぐ・・・」

 次から次へと、全身から玉のような汗が噴出し、滴り落ちる。

 

「お願い・・・ トイレに、トイレに、行かせ、て・・・っ」

 苦しみに耐えながら、続けてお願いをする。

 

「ふむ・・・ では、何とかしてやろう」

 ニヤリと微笑み、カーマは亜衣の後ろに立つ。

 そして

 

(ズ・・・グッ!!!)

 

 

「ぎ、がっ!!? うううううっ!!!?」

 突然の侵入物。

 カーマの肉棒が、亜衣の尻の穴を再び貫いた。

 

「うああああああっ!!!? あああああああっ!!!??」

 思わず絶叫する亜衣。脳はもうパニックに近かった。

 

「フフフ、栓をしてやったぞ。これでもつか?」

 勿論、カーマはわざと言っている。

 こんなことをされれば、その時点で誰もが洩らしてしまうだろう。

 しかし、

 

「ぐ、ぐ、うっ・・・・・・」

 亜衣は、反射的に素早く括約筋を締めたため、奇跡的に僅か数滴も洩らすことは無かった。

 

「・・・フッ。素晴らしい。まったく楽しませて・・・くれる!!」

 カーマは間髪いれずに、強く締め付けてくる亜衣のアナルの中で、激しい前後運動を始めた。

 

(パンッ! パンッ!! パンッ!! パンッ!!)

 

「う゛あっ!! あああっ!!! あ゛あっ!!!!」

 太い剛直が、容赦無く亜衣の腸内を行き来する。

 想像を絶する苦しさが亜衣を襲った。思わず、意識が飛んでしまいそうになる。

 

「そぉら! 力を緩めると、漏れてしまうぞっ!!」

 その言葉通り、カーマの肉棒の間から、熱いものが流れ出ようとしているのを感じた。

 

「ぐぅうっ・・・!!」

 洩らしてしまうわけには・・・それだけは、嫌だ。

 亜衣は、必死に括約筋を締める。それは、亜衣の意図とは反対に、カーマの前後運動により強い快楽を与える事となった。

 

「くっ・・・ いいぞ亜衣。素晴らしい締め付けだ!! さすがは必死だな!!! ハハハハハハハハハハ!!!!」

 

(パンッ! パンッ!! パンッ!! パンッ!! パンッ!! パンッ!! パンッ!)

 

 それに応えてか、より一層ピストンを早めるカーマ。

 

「うあああぁっ!!! やめ・・・ もっと、ゆっくり・・・ぃっ!!!」

 ゆっくりではなく、【止めろ】というのが正しいだろう。

 しかし、底まで頭の回る余裕など今の亜衣には無い。

 滝の様に汗を流しながら、全力で肛門を締めた。それにより、カーマの肉棒の形が、尻穴の中ではっきりと分かってしまう。

 長さ、太さ、傘の広さの度合い。先端。そして尻肉には、根元まで深く突かれる度に陰毛のなぜる感触が伝わる。

 

「ううっ!! ううぅううっ!!! うう────っ!!!」

 動かない両手の掌に、自分の指の爪が食い込む。

 折れてしまいそうなほどに、歯を食いしばる。

 

 それが、数分ほど続いただろうか。

 

「くッ・・・」

 不意に聞こえる、カーマの呻き。

 それと共に、カーマの肉棒が、亜衣の中で膨張するのを感じた。

「・・・えっ?」

 

(びゅるっ!! どくどくっ!!! びゅるるるぅぅっっ!!!!)

 

「────────────っ!!!???」

 声にならない叫び。

 液体分の多い排泄物でパンパンに膨らんでいた腸に、カーマの白濁液が逆流して混ざっていくのを感じる。

 

「かっ・・・は・・・ あっ・・・!!!」

 もう、いっそのこと気絶してしまったらどんなに楽だろう。

 自分が何に対して頑張っているのかさえ、見失ってしまいそうなほど、亜衣は精神的に憔悴していた。

 

 それを見ながら、カーマは

「さて・・・ 名残惜しいが、そろそろ・・・」

 その言葉に、ビクリと反応する亜衣。

 

「イヤッ!? 抜かないでっ!! 抜いちゃダメぇぇええっ!!!!」

 通常なら口が裂けても言わない台詞。

 でも、今のこの状況で抜かれたら・・・

 

「おね、がい・・・ 今、抜くの・・・ だけ、は・・・」

 憎らしい相手であるカーマに懇願してまで、亜衣は人としての尊厳を守ろうとした。

「フフ・・・」

 それに対し、カーマは微笑んだ後。

 

(ずるっ・・・)

 

 ゆっくりと、肉棒を抜きにかかった。

「うああっ!!? ダメッ!! ダメェッ!!!!」

 自分の肛門に栓をしているのが何かすらも忘れ、全身全霊の力を込めて、それを逃がすまいとした。

「くっ・・・」

 少しだけ呻くカーマ、だが、次の瞬間には、亜衣の尻肉に手を添え、一気に力を込め・・・

 

(ずる、ずるっ・・・)

 

「やめてっ!! 抜かないでぇっ!!」

 

 肉棒の大体が抜かれていき、もはや傘の部分が引っかかるのみとなっている。

「随分と頑張ったな。さすがの俺でも痛いぐらいだぞ。そんなに離したくないか?」

 尚、亜衣に意地の悪い軽口を叩く。

 

「おね・・・がい・・・ それ、だけは・・・」

 一方の亜衣は、カーマに言い返す気力も余裕も全く存在しない。

 涙が流れ、涎が口の端から垂れている。青ざめた、しかし紅潮した顔で、それでも必死に、たった一つの事を懇願するしか出来なかった。

 

 だが、カーマがそれを聞くはずは無かった。

「フッ・・・」

 

(ズブゥゥッ!!!)

 いきなり、亜衣の秘所に何かが突き入れられた。

 

「くああぁっっ────!!!??」

 その直後、鏡越しにそれが、カーマの右手の、三本分の指だとわかる。

 三本の指は、それぞれ独立した生物のように亜衣の中で広がり、蠢き、そして親指は同時に亜衣のクリトリスに容赦の無い様々な刺激を与え続けた。

 只でさえ女の扱いを心得きっている上に、亜衣の弱点を全て知っているカーマの責めは、信じられないほどの快感を亜衣に与えてくる。

 

「あっ! ああっ!! ああああああぅっ!!!!」

 腸の内側からの、破裂しそうな痛み。苦しみ。そして秘所から与えられる強烈な快感に

 

「(もう・・・ダメ・・・っ!!)」

 亜衣は遂に、菊門の力が抜けてしまう。

 カーマの肉棒が抜き放たれたのは、それと同時だった。

 

「うあ・・・ ああああああああああああああああああああああ────────────っっっ!!!!!!!!!!!!」

 

 (ブシャアアアアアアアアアアアア────────────・・・・・・)

 

 亜衣の尻から勢いよく吹き出る、茶色の噴水。それに、前の穴からも同時に黄金色の水、そして尻からは時折固形の物も混じって、木床を汚していく。

 

「あ・・・ あ・・・」

 

数秒ほどして、その流れは完全になくなった。すると、横からパチパチと、カーマの拍手の音が響く。

 

「見事な洩らしぶりだ。よかったぞ、亜衣。ハハハハハ」

 心底楽しそうに笑うカーマ。

 亜衣からの返事は無い。

 

 

「・・・う・・・ ひぐ・・・ ぐすっ・・・」

 亜衣は、泣いていた。

 いつものような強く凛々しい姿はどこへ行ったのか、ただ小さく震え泣く姿は、年頃の少女そのものである。

 

 人前で無理矢理排泄をさせられる。今まで知識として知ることすらなかった、人としての尊厳を完全に打ち砕かれる辱めに、さすがの亜衣も、一人の少女として泣き震えるしかなかった。

 

「(私・・・ 私・・・ こんな恥ずかしい恰好で・・・ カーマの・・・ こいつの目の前で・・・)」

 流れ落ちる涙が、床に滴となって落ち、先に床に流れ落ちていた汗と混ざる。

 

 カーマは恍惚に打ち震えていた。被虐心、そして亜衣の今の姿に対し湧き上がる征服感。

 

「見えるか? 亜衣。この床の汚れ様を。

 ほら、あそこを見てみろ。あの白いのが俺の精液じゃあないか? 面白い具合に混ざってるじゃないか」

 亜衣がそれを見ないであろう事は分かっている上で、カーマはより亜衣を言葉で辱める。

 

「うっ・・・ ひっぐ・・・ う・・・」

 小さく震え泣き続ける亜衣。

 その歪む視界の隅に、何かが見えた。

 

「!?」

 瞬きで涙を落とし、その何かを見る。

それは、人間の赤ん坊ほどの大きさをした、しかし、醜く歪んだその骨格からの姿形。その体の色は浅黒く、骨と皮という表現が似合いそうなほど痩せていると思えば、腹は満月の如くふくれており、まるで昆虫の様にシャカシャカと四足で動いている。

 

「な、何・・・?」

 涙を流すことも忘れ、目の前の奇怪な生物に釘付けになる。

 

「餓鬼道からタオシーが召還した餓鬼どもだ。・・・面白いことに、この種類は糞しか喰らわんそうだぞ」

「え・・・?」

 カーマの言葉を合図にしたかのように、グロテスクな小餓鬼どもは、床に撒き散らされた亜衣の排泄物を

 

(ガツガツ、ムシャムシャ、ビチャ、ビチャ、ズルルル・・・)

 

一斉に貪り、舐め始めた。

 

「・・・・・・っ!」

 あまりの光景に、ただただ驚愕し、目を逸らす亜衣。

 

「(イヤ・・・ッ 食べられてる・・・ 私の・・・)」

 

 餓鬼達の食事のスピードは凄まじく、1分もせずに、床に広がっていた茶の汚れは奇麗さっぱり消えていた。

 それと共に、餓鬼達は蜘蛛の子を散らすように、どこぞへと消えていく。

 

「・・・フフフ。食すのがお前のモノのなら、餓鬼道に落ちてみるのも悪くないかも知れんな」

 あまりにもおぞましいジョークを、カーマは言う。

 

「・・・・・・・・・っ!」

 殺意の篭った目で、キッとカーマを睨む。

「【この変態】、と、言いたいか? ・・・ふむ」

 悪魔的な笑みを見せながら、カーマは

「人前で大小便を撒き散らす女は変態ではないのか?」

 わざと、亜衣の心を抉る言葉を放つ。

 

「・・・・・・ぐっ・・・!!! あ、あれは・・・無理矢理・・・」

「フフフ・・・」

 亜衣の後方に、また移動するカーマ。

 

「床は奇麗になったが・・・ ここがまだだな」

 カーマの両手が、亜衣の尻肉を強く掴む。

 

「きゃっ!!?」

 それに驚くも束の間。

 

「特別に奇麗にしてやろう」

「・・・っ!!?」

 その言葉どおり、カーマの舌が、排泄物を落としきれておらず残っている、亜衣の菊門の周辺を、丁寧に舐め出した。

 

「ヒッ・・・!?」

 カーマの舌が、舌の周りを駆けずり回り、菊門を尖らせた舌でつつく。

 

「イヤッ!! イヤァァ────ッ!!!!」

 あまりにおぞましい行為に、逃げたい一心で暴れ出す。

 だが、元々縄で縛られているのと、カーマに両手で尻の双丘を掴まれているのとで、完全に動きは封じられている。

 

「フフ・・・ なるほど。悪くない」

 完全に亜衣の汚れを舐め取りきったか、立ち上がり、亜衣の顔の側に寄る。

 

「・・・・・・っ」

 今にも噛み付きそうな顔で、カーマを睨む亜衣。

「いい顔だ。その顔で見られるのはたまらんな」

「・・・っ! ふざけ────」

 その瞬間。カーマは、亜衣の唇を奪った。

 

「んむっっ!!?」

 あまりにも不意に、一瞬での行為に、完全に虚を突かれた亜衣。

 それがついさっき何をやっていた唇なのかを思い出す前に、カーマの口から【何か】が移される。

 

 それは────

 

「ぶぁっ!!? うえっ!! げぇぇっ!!!」

 カーマの唇を振り切ると、口の中のものを必死で吐き出す亜衣。

 その姿は、パニックの度を超え、半狂乱に近かった。

 

 カーマは、満足そうに微笑む。悪戯好きの少年の側面と、残酷な悪魔の側面両方が垣間見られる、そんな笑みである。

 

「フフ、フフフフフ・・・」

「うえ・・・ えう・・・っ う・・・」

 口の中の汚物を出し切ったであろう後も、亜衣は続けて吐き出そうとしている。

 

「お疲れ様・・・といった所か。イベントは全て終わったぞ」

 カーマが再び指をパチンと鳴らすと、一瞬でシュラリと縄が解け、亜衣はゆっくりと地面に落ちた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ ハァ・・・」

 精神、肉体両方の疲労で、亜衣はうつ伏せのまま立つ事が出来ない。

 

「おやおや・・・ 悪衣の時とは違い、体に慣れていないらしい」

 あられもない亜衣の姿に魅入るカーマ。

 

「・・・・・・・・・」

 ニヤ、と笑うカーマ。何かを思いついたようだ。

 そのまま、倒れ伏している亜衣に近づき・・・

 

「ふん」

 亜衣の両足を掴み、手押し車の様な形で抱え上げる。

 

「あっ・・・!?」

 その突然の行動に驚くも、力の抜けた状態でまともに抵抗も出来ない。

 

「何を・・・っ」

「なに、尻やヘソばかりではかわいそうだと思ってな。安心しろ、優しく抱いてやる」

 その言葉に、再び顔に恐怖を浮かべる亜衣。

 

「イ・・・ヤッ・・・ はな、せ・・・」

 なんとか振り払おうとするが、疲労困憊の今、カーマから逃げられる筈が無い。

 

(ズッ・・・プ)

 

「くあ、あああ・・・」

 ゆっくりと侵入してくる、カーマの剛直。

 そして、宣言どおり、疲れきった亜衣の体を気遣ってか、優しくゆっくりと、亜衣の膣を犯していく。

 

(じゅっ、クチュッ、クッチュ・・・)

 

「うあ、あっ・・・ く・・・あ・・・」

 その力の無い声は、拒絶の声か、喘ぎの甘い声なのかも分からない。

 

 うつ伏せの亜衣を右横向きに変え、左足を大きく開かせ、カーマの肩に掛ける。

 そして、全身を使ってゆるやかな前後運動を再び繰り返す。

 

(グッチュ、グチュ、グチュ、チュプ・・・)

 

 大きく形の整った胸が、激しく犯される時とは違い、波が寄せて返すような、そんな揺れ方をする。

 

「体を床に預けることが出来て、楽だろう? それでいて、男側から接合面がとても卑猥によく見える。・・・フフ。俺のものを咥えている亜衣のここは、実に卑猥で・・・美しいな。 

日本ではこの体位は【鯖の尾】と言うのだったか? 面白いセンスだ」

カーマの言葉に言い返すことすら出来ない。

 

(グッチュ、チュク、チュブ、チュグ・・・)

 

「あっ・・・ は・・・ う・・・ く・・・」

 ただ、ゆるやかながら巧みなる腰の動きに、体を揺らされ、感じる快感を心の中で否定するしか、亜衣には出来なかった。

 

 しかし

 

「や・・・め・・・ 中・・・は・・・」

 呂律すら回らなくなってきた舌で、絶え絶えの呼吸で、亜衣は一つの事を拒絶した。

 

「これ以上中に出されると、俺の子供を孕んでしまうかもしれない?」

「・・・・・・」

 そう、亜衣が最も恐れていることは、それだった。

 淫魔の子供を宿してしまう。天津の巫女として、一人の女として、それだけは死ぬよりも辛い。

 それをカーマにいう事は逆効果であろう事は、いつもの亜衣ならわかっていたろう。だが、憔悴しきった精神は、それだけの思考すらできない。

 

 カーマは微笑む。

「素晴らしいことじゃないか。是非俺の子供を、淫魔の次代の王として産んでくれ。・・・淫魔の姫よ」

 やはり、返ってくるのは絶望的な答え。

 

(プチュ、グチュ、グッチュ、チュプ・・・)

 

「イヤ・・・ あっ・・・ あ・・・」

 戯れは続く。

 薄れ逝く意識の中で、亜衣はほんの一瞬、

 

 

「(恋人同士のやる・・・セックス・・・って・・・ これぐらいの優しさ・・・なの・・・かな・・・)」

 

 何の意図も無く、そんな事を思考の端で浮かべていた・・・

 

 

  ◇    ◇    

 

 

 一方、扉の向こうで二人を見守っていたタオシーは

 

「これで、最初の覚醒の期間は終了ですか・・・ 目覚めることなど無ければ苦しくなかったでしょうに」

 そのまま、少々の間黙り込む。

 

「子供・・・ですか、なるほど・・・」

 何事か思いついたらしく、顎に手をあてながら、その場を後にした。

 

 

 

 

 

◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 

 恐怖。二連続アナル!!

 

 あれれ? 全く予定に無かったのに何故こんなことに、特にアナルフェチって訳でもないのですが・・・。これではカーマが尻好きみたいな。

 気付いたらこんなに長く・・・ その場のテンションって怖いですね。

 

 次回は麻衣の方の話に行きます。

 



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