「淫獣戦線DNA上巻」補完小説

−「淫獣戦線DNA上巻」補完小説−
                 沙門 明

[使用上の注意]
・この小説は「淫獣戦線DNA上巻(二次元EXノベルズ・キルタイムコミュニケーション社刊)」のP.220-P.223の間で、著者である都王子氏が「筆を省略」したと思われるシーンを勝手に想像し、補完するものです。
・原作本に含まれる状況説明・人物説明などは全て割愛されていますので、ご使用前に必ず原作本をお読みください。
・極力原作との矛盾がないよう製作されていますが、演出上の理由や作者のポカによりいくばくかの食い違いもあるかと思います。笑って許してやってください。
・なおこの文章は、単行本と同じ1行24字に最適化されています。



(淫獣聖戦DNA上巻p.220下段12行目からの続き)

平安京をゆるやかな風が渡る。
貴族たちの焚き染めた香と、立ち並ぶ樹々の息吹をほのかにはらんだ涼風が内裏に吹き込み、やがて吹き戻ってきたとき―――それは粘つくような淫風に変わっていた。
この中に何があるのだ。
この中で、何が起こっているのだ。

◇ ◆ ◇

典雅な装飾に彩られた広間の中央で、先刻まで身に纏っていた絢爛たる衣装を一枚残らず引き剥がされた亜衣は、牝犬の姿勢を取らされていた。両手首は手錠のように巻きつく赤黒い触手にいましめられ、かろうじて上体を支える役にしかたたない。桜色に染まった尻は高く掲げられ、淫裂を隠すものは何ひとつなかった。肛門から尻尾のように伸びている赤黒いものは、他戸皇子にねじ込まれた触手だ。うねうねと蠢くそれは、カリ高の亀頭に似た形をした先端の半ばまでを亜衣の排泄孔にくぐらせ、さらに奥へと潜り込もうとしている。それを助けるかのように、他戸皇子の亡霊が舌先で肛門周りの皴を一本一本丹念にねぶっている。
 その一寸ほど下では、仲成の節くれだった男根が亜衣の秘唇にあてがわれ、先端から汚液を滲ませながらぐりぐりと膣口を、尿道口周りの膨らみを、そして敏感な肉芽を捏ね回し続けていた。
「くぅっ!」
 亜衣は括約筋をきつく締め続け、触手亀頭の最も太い部分の侵入を拒んでいた。同時に腰を左右に激しく振りたて、幾度も幾度も膣口をつつく仲成の男根を逸らそうとする。亡霊の唾液や先走り液を塗りつけられてぬめる性器のあちこちが、亀頭や肉茎の瘤で擦られる。その度、ぞわり、とした感覚が亜衣の下半身の奥底をわななかせた。異物に押し広げられた肛門の灼熱感とあいまって、体奥からじわりと熱い蜜が分泌されるのがわかる。
傍らに座した伊予親王は亜衣の背後から腕を回し、両掌でその無防備な乳房を弄び、こね回し、指で乳首を根元から先端へとなぞり上げている。弱い電流のようなぴりりとした刺激が乳首から背筋を走って下腹部に達し、敏感な2つの肉孔を絶え間なく襲う悪戯が生み出す疼きと一つになる。その疼きが再び上半身へと逆流し、乳房に還ってきた瞬間、きゅ、と乳首を抓まれる。亜衣は唇を噛み締めた。
―――だめだ、感じてはッ。
そんな往復が幾度も繰り返され、やがて亜衣の乳房には澱のように不思議な熱気が溜まってゆく。乳首が普段よりも長く、硬くしこって来るのが自覚できる。弄られ続けた小陰唇も充血して肥大し、開花するようにゆっくりと開いてピンクの中身を余す所なく露呈する。クリトリスは包皮を押し上げるようにぷっくりと膨れ、今にも自分から顔を覗かせてしまいそうだ。
亜衣は肉体の浅ましい反応に歯噛みした。それでも決して快楽に負けるわけにはいかない。
 しかしそれは、絶望的な闘いだった。
 時平は懸命にあがく亜衣の尻を、扇子でぴしゃり、と叩くと甲高い声で嘲笑う。
「おほほほほほ、亜衣、なんともそそる尻舞いじゃのう。天神子守衆秘伝の淫ら舞かや?」
 そう言って懐から横笛を取り出し、口に当てる。
「どおれ、ひとつ囃して進ぜようぞ」
 軽やかな、しかしどことなく隠微な調べが広間に流れてゆく。それは亜衣の尻の動きに合わせてリズムを刻み、汚れなき天神の巫女を、舞台上で卑猥なショーを演じる最低級の踊り娘にまで貶める。時平の傍らに控える邪鬼どもからヤンヤの喝采が上がった。梅子を凌辱していた藤原三兄弟までがしばしその手を止めて亜衣の痴態に見入り、下劣な野次を飛ばして嘲笑う。
 あまりの屈辱に、亜衣はきりきりと唇を噛んだ。さりとて動きを止め、凌辱を受け入れることもできない。亜衣は目を閉じて時平から顔をそむけ、美術品のように整った形の尻を縦に横にと振り続けるしかなかった。
………お姉ちゃんっ。
 自らも凌辱を受けながら、麻衣もまた亜衣の姿に視線を奪われていた。自分よりもはるかに気高く強い姉が演じさせられている淫ら舞い。それは自分自身が辱められる以上に哀しく、堪えていた涙が我知らず溢れ、視界がぼやけた。

◇ ◆ ◇

 姉妹にとって永遠とも思える凌辱地獄は続く。いや、未だその幕が開いたに過ぎないと言うべきか。
「ぐおぅぅ………」
 巫女の肛門を弄び、触手の侵入を助けようとしている他戸皇子が、いっこうに衰えない亜衣の抵抗に業をにやしたように低くうめいた。確かに亡霊たちの動きは緩慢であったが、自由がきかぬよう戒められた体を五人もの亡霊に弄ばれながら、なお激しく抗い続ける亜衣の精神力は天女の末裔の名に恥じないものだった。
「きひ、きひひひひぃ」
 他戸皇子の母親である井上廃皇后が不気味な笑声を上げると、亜衣の肛門を犯している触手の上を跨ぎ、その腐れた女陰を触手の幹に擦り付けた。
 じゅわぁ。
 愛液か腐肉の潰れた汁か。青黒い液体が触手にまとわりつき、ゆっくりと幹を伝い、亜衣との結合部に滴ってくる。やがて触手亀頭をくわえ込んだ亜衣の肛門の皺に、にゅるりと染み込んだ。
「ふおぅぅぅっ!?」
 亜衣が背中を反り返らせた。井上廃皇后の邪淫液は、触手亀頭の摩擦を劇的に低下させ、太い傘の部分が亜衣の括約筋を割ってずるりと挿入されたのだ。
………あああ………入る………入ってしまうっ!
 ずるるるるん、という形容しがたい感覚が敏感な直腸粘膜を疾る。
「ほほぉ、一度飲み込んでしまえば、後は底無しのようでおじゃるな」
 時平の言葉通り、隘路を付きぬけた触手を阻むものはもう何もなかった。触手はその幹の部分を蛇の鱗のように波立たせて亜衣の奥へ奥へと這いこんでゆく。引き裂かれる疼痛と同時に、生き物であれば抗えない排泄の快感に似た感覚が亜衣の下半身を襲った。加えて触手の幹には所々瘤状に膨れ上がっている部分があり、そこが菊門の狭い部分を通る度に羽衣の巫女の全身はわなないた。
―――負ける、ものかっ。
 逆境に追い込まれるほど輝きを増す亜衣の克己心は、しかし更なる試練を迎える。
 それまで軟体動物のような動きを見せていた触手が、十分な深さに届いたと見たか、突然びくり、と震えたかと思うと、鉄棒のように硬化したのだ。
「ああっ?あああああっ!」
 亜衣は大きく目を見開き、この凄惨な責めが始まって以来初めて、人目もはばからない絶叫をほとばしらせた。仲成の男根の挿入を防ぐために動いていた腰の動きがピタリと止まる。もし動かせば、柔らかい腸壁が体内で突き破られてしまうかもしれなかった。
 ひひひひひ。
 ひぃーっひぅひい。
 おほほほほ。
 キィッキキキキィ………
 亡霊たちと時平、そして邪鬼たちが、金縛りにあったように動きを止めた亜衣の姿に満足げな笑声をあげる。仲成は亜衣の膣口に男根の先をあてがい、ゆっくりと、ことさらにゆっくりと圧力をかけてゆく。亜衣の膣口が亀頭の先端の形に合わせて歪んだ円形に開かれ始める。
「やめろっ、やめろぉぉーっ!」
 亜衣は反射的に腰を捻って亀頭を外そうとしたが、腸に引き裂かれそうな痛みを感じて悶絶した。膣口の位置は数センチも動いていない。仲成は意に介さず、さらに奥を征服しようとして………その動きを止めた。
 天神の巫女の膣口はこれが最後の砦だとでも言うようにきつくきつく閉じられ、あろうことかその内部からは仲成の男根を押し返す力さえ感じられる。幾度も姉妹の純潔を守ってきた護符の効果のひとつであったか。無理矢理に押し込めぬでもないが、腐れかけた亡霊の体は脆い。男根こそ瑞々しく鋼のようであったが、それを支える肉と骨が軋みを訴えている。仲成はそれ以上の挿入を諦め―――

◇ ◆ ◇

―――る、筈もない。
 仲成は亜衣の肛門を犯している触手を両掌でむんずと掴み、綱引きのようにぐいと引いた。それにつれ亜衣の腰も引き寄せられ、亀頭がぐちゅりと膣口に潜り込む。その先にはさらに強い護符の抵抗があった。が、仲成は委細構わず触手を手繰り続ける。結果、幾段にも瘤のある触手の幹が、亜衣の直腸粘膜と肛門括約筋をごりごりと削りながら引き出されることとなった。
「ああ、あぅ、あっあっあ、ん!んぅ!!」
 亜衣にとっては挿入された時以上にきつい肛虐であった。触手の膨れた部分が肛門から顔を覗かせるたび、堪えきれず声が洩れる。その声にほんの僅かとはいえ、隠し切れぬ快感の響きが混ざっているのを時平は聞き逃さなかった。
「亜衣よ、いつぞやはそなたが不感症ではないかと申したこともあったのう。だがどうやら麿の勘違いであったようでおじゃるな。天神の処女はホトよりも、不浄の門を犯されるのが殊の外お気に入りの様子。さては天津の子守衆は皆、毎夜毎夜尻の穴に太魔羅を咥え込んでおきながら、昼間は未通女でおじゃりますと気取っておるということかな?」
「だ、黙れぇえええっ!」
 自分一人であればともかく、天神子守衆まで貶められるのは絶対に許せない。だが今の亜衣には何一つ反撃の手段は残されていなかった。できることはただ、耐えて待つこと。いつか必ず来る機会を。天神の加護を。死よりも耐え難い屈辱に耐え、待つこと。
 先端部付近まで引き出されたところで、仲成は触手から手を離した。すると再び、居心地の良い巣穴に潜り込もうとする蛇のように、節くれだった触手が亜衣の腸の中を這いのぼってゆく。
………声だけは………出さないっ!
せめて子守衆へのそれ以上の侮辱を許さぬため、亜衣は悲壮な決意を固めた。奥歯を顎にめり込むかというほどに強く噛み締める。やがて仲成がまたもや触手を引き抜きはじめる。その間、亜衣は確かに声を殺して耐え抜いた。だが時折全身に奔る痙攣、反り返る背中、左右に打ち振られる首、体じゅうにじんわりと吹き出した汗のきらめき、何かを掴もうとするかのように開閉を繰り返す足指は、亜衣がどのような感覚に襲われているかを、その声以上に雄弁に物語っていた。
「ほほう………これはそそる、何とも淫らな艶姿。」
 時平は呟く。からかいの口調に聞こえるが、実のところ神かけて――いや、淫魔大王にかけて――本音であった。数え切れぬ美女を犯し、淫らに堕してきた時平であったが、亜衣ほどにそそる乙女は他になかった。時平は凌辱が好きだ。心から愛していると言って良い。そして凌辱とは犯されまいとする心あってはじめて成り立つもの。肉欲に溺れ、淫語を叫び、股を開いて腰を振る美女もまあ悪くはないのだが、そうなってしまえばもうそれ以上の凌辱は不可能だ。後は突き殺すか、邪鬼どもにくれてやるしかなくなる。だから責めれども落ちぬ類稀なる心の強さと、責めれば反応する健やかな肉体を併せ持つ亜衣は、時平にとっては最高の獲物と言って良かった。今また快楽に襲われつつもそれをひた隠しにしようとする亜衣の姿に、時平はひどくそそられるものを感じ、ふ、と全身から淫らの気を吐いた。
 道真の呪力により冥府から甦った仲成らの亡霊が今のように邪淫の性を備えているのは、時平からこの淫らの気をあらかじめたっぷりと注がれているためでもあった。改めてそれを浴びた亡霊たちは、
 おおぅうっ………
と力強い雄たけびを上げた。緩慢だった動作が素早くなる。活力を得た亡霊たちは、亜衣の全身にまとわりつき、いっそう強い力で恥辱の姿勢をとらせようとする。亜衣は両手を触手に縛られたまま仰向けにされ、さらに両脛が耳につくほどに二つ折りにされた。左脚は伊予親王が、右脚は他戸皇子がしっかりと押さえつける。秘所と肛門が天を向き、その場にいる全ての者の前に晒される。それでもまだ辱め足りぬとでもいうのか、井上廃皇后と吉子廃皇后の2人の女怪が枯れ枝のような指を伸ばし、亜衣の秘唇を左右に大きくくつろげ、さらにはクリトリスの包皮を剥き上げた。触手に拡げられた肛門の皺から、わななく膣口、小さく盛り上がった尿道口、玩弄に紅潮して肥大した陰唇、そして桃色に顔を覗かせた肉真珠まで、女として秘めなければならない部分を何ひとつ隠すことのできない無残な眺めだった。
「くっ………放せっ………見るなぁっ………。」
 肛門の中の触手がうごめくたび、陰唇の中の媚肉がひく、ひく、ひくと震え、膣口がわずかに開閉する。
「ほほぉ………これはまっこと良き眺め。このホトが、明日の今頃までにいったい何本の魔羅を咥えこむものか、楽しみでおじゃりまするなぁ」
 時平は生贄の傍らに歩み寄ると、白足袋で亜衣の乳房を踏みつけ、足指の先で乳首を弄ぶ。
「時平ッ!」
 亜衣は見下ろす時平に、破魔の矢のような鋭い視線を叩きつけた。時平は両手で己が胸をかき抱くようにして、一歩退く。
……あああ、亜衣、良い、良いぞぉ。それでこそじゃ。
白塗りの化粧がなければ、その頬がわずかに朱に染まっているのが見て取れたかもしれない。時平の男根は袴の中でそそり立ち、そこから今度は直線的に淫らの気が放出された。
「ぐおおおおおおおおっ」
 それをまともに浴びたのは、今まさに亜衣の女陰を犯そうとしている仲成の亡霊であった。狂おしいほどの欲望に取り付かれた仲成は、飢えた獣のように亜衣にのしかかり、護符が押し返す圧力も構わず、力任せに男根を挿入しようとする。人間の男であればペニスが折れても不思議ではないような力強さで、ごりごりと亜衣の中に侵入を果たしてゆく。それは仲成の男根に、時平から受け取った淫らの気が込められていればこそであった。
………お婆ちゃん、麻衣っ。
 男根に膣を犯される感覚は、亜衣にとって初めてのものだ。そのおぞましさに喪心しそうになるのを、二人の名を呼んでこらえる。
亀頭部がすっかり亜衣の中にはまりこみ、瘤のある茎の部分が陰唇を割って沈んでゆこうとする。その時、亜衣の膣内で「気」がはじけた。それは天神の護符に込められた、光の気。時平の「淫らの気」と陰陽一対をなすもの。魔の侵入を防いでいたそれが、ついに護符から漏れ出しはじめたのだ。
「げはははは」
「ぐひひひひ」
亜衣の陥落の時近しとみて、他戸皇子と伊予親王が不気味に笑う。
「をおおおおおうっ!」
 仲成の口からも感極まったような声が洩れる。その背が大きく後ろに反り返ると―――そのまま尻餅をついた。亜衣の秘所から抜けた男根の先からおびただしい量の精液が噴き出し、亜衣の股間から腹、胸のあたりまでに浴びせかけられた。
「おお、これは何としたことじゃ?」
 いぶかる時平は、すっかり萎えてしまった仲成の男根を見て合点がいったように頷いた。
「これは申し訳ないことを。麿の淫らの気が強すぎたゆえ、空射ちをさせてしまったようでおじゃりまするな」
 強すぎる淫気は、さしもの仲成をも童貞少年のように敏感にしてしまい、放出を抑えることを不可能にしたのだ。そして放出の予感に仲成が体の力を抜いた瞬間、護符からの光の気がその体を押し返した。その結果がこれだ。
「ぐうううう」
「ぐうううう」
 3人の男亡霊たちが時平を詰るように低く唸る。時平は澄ました顔で、
「ささ、これでようやく亜衣のホトの護りを弱める手だてができたというもの。麿の淫気のこもったその精液をお使いあそばされよ」

◇ ◆ ◇

 心得た、との様子で真っ先に動いたのは、他戸皇子の母親の井上廃皇后であった。亜衣の体の上に溜まった仲成の精液をその小さな掌でいっぱいに掬い取ると、他戸皇子の男根にたっぷりと塗りつけたのだ。
「ほほ、それで良うおじゃりまする。さあ」
 他戸皇子が亜衣の脚を放して下半身の側に回りこむ。亜衣は自由になった右脚で必死にもがき、這いずるように亡者たちの拘束を抜け出した。肛門からようやく触手が抜ける。しかし両手を縛る触手を引き千切るのに手間取るうちに、仲成の手で頭を床に押さえつけられ、伊予皇子の手で尻を高く掲げさせられて、先ほどと同じような獣の姿勢になった。
―――先ほどと同じ?いや、その全身にはべっとりと亡霊の精液がまとわりついている。長い時間犯され続けた肛門は、急速に閉じようとはしているものの、まだその中身を少しだけ覗かせている。そして膣を護る護符は・・・・・・
 他戸皇子は膝を折って床に座りこみ、淫気のこもる精液にまみれた男根をそそり立たせている。隆々と反り返った長大な逸物は人にあらざる禍々しい形をしていた。茸のように高い雁、大小様々な真珠を埋め込んだような無数の瘤、何より異様なのは肉茎全体に、ミミズが巻きついたような螺旋状の凹凸があることだった。色自慢の娼婦ですら一度挿入されただけで悶絶し、引き抜かれれば絶頂し、三度突かれれば狂い死にしそうな凶器だ。他戸皇子は両手で亜衣の尻肉を掴んで押し広げると、膣口めがけてその先をぐいと突き出した。
 じゅぶっ!
 亀頭があっさりと亜衣の桜色の孔にはまりこむ。亜衣は洩れそうになる声を飲み込む―――それは膣口を無理矢理拡げられるこの感覚が、後一歩で狂おしい快感に変わることを悟っているからにほかならない。
 しうううう・・・
 音にならない音とともに、護符から湧き出す光の気と、精液に溶けた淫気が打ち消しあう。残ったものは、ずるりとした粘液と愛液にまみれて密着する、おとことおんなの性器だけ。
他戸皇子は容赦なく肉茎をこじ入れてゆく。ゆっくりと、だが確実に、天神の巫女の膣が男のものを半ばまで飲み込み、代わりに結合部からはこれまでの執拗な色責めで体奥に溜まった愛液が押し出され、内腿にしたたり始める。
………ああっ………これが………おとこ、の………。
 怪魚や松明張方を挿入されたことはあったが、男の性器を胎内に受け入れるのは、亜衣にとってこれが初めての経験だった。
 他戸皇子の動きは緩慢なものに戻っており、そのため押し入ってくる男根が時折ぴくぴくと動くことまでが感じられる。
………嫌だっ………こんな………形まで、わかるっ。
 雁が、瘤が、螺旋状の隆起が亜衣の膣肉をいっぱいに引き伸ばしながら進んでゆく。かと思えば柔肉のひくつきを味わうかのようにしばしその場に留まり、また蟲のような速度で前進をはじめる。
 ゆっくりとした挿入は、しかしついに終着点に行き着いた。結合はこれ以上ない深さに達し、秘唇が男根の付け根にある陰毛に擦られるほどだ。腐りかけて膨れた他戸皇子の陰嚢が亜衣のクリトリスに当たっている。亀頭の先が護符を通して子宮口を押し上げる。亜衣の肺の奥から絞り出すような溜息が漏れた。他戸皇子はそのままぐりぐりと腰をねじりながら押し付ける。子宮口の甘いうずき。淫嚢に擦られ、密生した陰毛の先につつかれるクリトリス。亜衣の性器が堪えようもなく間歇的に収縮する。それに呼応するように他戸皇子の男根は一層硬度を増し、亜衣の胎内で反り返り、太さまでが一回り野太くなった。まだ一突きすらされていないというのに、亜衣の体の奥から大量の蜜が湧き出し、雫が結合部から溢れて床板を汚した。

◇ ◆ ◇

「どれ、おとこの味はどうじゃ?亜衣。良いであろう。病み付きになりそうであろう?ん?」
 亜衣は必死の思いで声を殺し、ただ時平を睨み返す。しかしその眼にはいっぱいに涙が溜まり、さすがの羽衣の巫女の心も引き裂かれそうになっていることがわかる。
「そうであろうそうであろう、声も出ぬほど良いであろう。されど宴はまだ序の口、まだ不浄の門も上の口も空いておじゃりまする。さあさ、順番にとは申しませぬ。天神の巫女のどの穴でも心のままに犯し弄り、淫らの液をたっぷりと注ぎ込み、もはや清めもかなわぬ程に淫らの気に染めて見せましょうぞ!」
 時平はそう言い放つと、亜衣の左脚を担いで他戸皇子の肩に乗せた。亜衣のすらりと伸びた両足がいっぱいに開かれ、牝犬の小便の姿勢になる。天女の末裔の女陰が亡霊の腐れた男根を根元まで飲み込んでいる様が、その場に集う者全ての前であらわにされた瞬間だった。
 その光景は、凌辱に我を失いつつある麻衣の目にも届いた。
・・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・お姉ちゃんのあそこが・・・・・・あんなにひろがってる・・・・・・ひろげられちゃってる・・・・・・。ああ・・・・・・あんなふといのが・・・・・・入ってるぅ・・・・・・。出てくる・・・・・・いやだ、ああ、あんなに、長い。
 他戸皇子の男根が、ゆっくりと先端部近くまで引き抜かれる。亜衣の内奥の肉襞が肉茎にまとわりつくように引き出され、じわじわと胎内に戻ってゆく。カリの部分が引き出される直前で、再び強く腰が押し出され、長大な男根が余す所なく巫女の胎内に収まる。
 上体を支えていた亜衣の腕から力が抜け、顔から床面に突っ伏した。そのまま、イヤイヤをするように首が左右に振られる。美しいピンク色に染まったうなじが緊張し、くっきりと筋が浮き出る。またずるずると肉棒が引き出され、ずん!と突かれる。
 ずるずるずるぅ・・・・・・っ、
 ずん。
 ずるるる・・・・・
 ずん。
 ずず、ずるるる。
 ずん!
 抜き差しのリズムが少しずつ早くなり、ぐりん、と腰を回して膣壁をえぐる動きが加わる。
 ずず、ずっ、ずん。
 ぐり。
 ずす、ずん、ずずず、ずん。
ぐりん。
 ぐりん、ぐりん、ぐりりん。
 ちゅぷ・・・
 水音がした。引き抜かれる男根に浮き出た瘤と、亜衣の花弁の間に粘液が糸をひく。突き込まれれば蜜壷から白濁した液が溢れ、ごぷり、と鳴る。
他戸皇子の動きに合わせて亜衣の腰がびくん!と震え、また時折もどかしげに前後に振られ、しかし強い意志の力で押さえつけられたように止まる。髪を振り乱して身悶える亜衣の乳房が揺れ、床にぶつかる乳首は硬く勃起してこつん、と音を立てそうだ。汗みずくになった額に前髪が何本か張り付いている。せつなげに寄せられた眉。朱色に染まった耳朶。唇が酸素を求める魚のように、せつなげに開閉する。
 声だけは、洩れない。
 他戸皇子の腰がいっそう激しく動き始めた。
子宮を突き上げられるのと同じリズムで熱い息を吐きながら、亜衣は天神の森に咲く梅の花、その花弁の汚れなき色を思い出そうとしていた。
 他戸皇子の指が結合部に伸びて亜衣の固くなったクリトリスをこりこりと揉み込んだ。我知らず膣全体がきゅう、と収縮した瞬間、男根にある大きな瘤が膣の中でクリトリスの裏側をぐりりり、とえぐった。大きく身を仰け反らせた亜衣の尿道口から、透明なしぶきが散った。
「ああああああああああああああああああっ!!!」
 それで亜衣は、いったい何を思い出そうとしていたのか、すっかりわからなくなった。

(淫獣聖戦DNA上巻 p.223下段9行目に続く)



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