「天津家の人々」B

1月1日、元日。
ここ天津屋敷では正月気分に浮かれ、鬼麿と麻衣がおせちをつまみに「御屠蘇」を飲んでいた・・・。
しかし少々飲みすぎたため、二人は浮かれ過ぎていた・・・。

    亜衣「麻衣・・・、あんたちょっと飲み過ぎよ!」

    麻衣「らぁ〜いじょぶよぉ〜〜! さぁ〜〜、おねぇ〜ちゃんも飲んで、飲んでぇ〜〜〜・・・、きゃはっはっはっ〜〜〜〜〜。」

    鬼麿「そ〜だぞぉ〜、亜衣っ!お前も飲め飲めぇ〜〜。」

    亜衣「はぁ〜・・・。」

亜衣は眉間にしわを寄せ深いため息をついた。

    麻衣「あー! お姉ちゃんっ! そんな顔してると『しわ』が増えて、早く老けちゃうぞぉ〜〜〜。」

    鬼麿「そ〜だぞ〜、亜衣っ! こ〜いう時は『パァッー!』っと騒ぐのが一番だぞぉ〜!」

    麻衣「そーそー『パァッー!』っとね、『パァッー!』っと! きゃはっはっはっはっはっはっっっーーーーーーーー。」

    亜衣「・・・はぁ〜〜〜・・・・・・。」

亜衣はより深いため息をついた。

    鬼麿「よしっ! 歌うぞっ! 麻衣っ!」

    麻衣「うんっ!」

    亜衣「!?」
  
鬼麿と麻衣はスッと立ち上がり、それぞれ「おちょうし」と「箸」をマイク代わりに手に持って歌いだした。

    鬼麿「ア〜イ、アイッ♪」

    麻衣「ア〜イ、アイッ♪」

    鬼麿「亜〜衣、亜衣っ♪」

    麻衣「亜〜衣、亜衣っ♪」

鬼麿&麻衣「おさぁ〜るさぁ〜んだねぇ〜〜〜〜〜♪」

    亜衣「・・・・・・。」

    鬼麿「ア〜イ、アイッ♪」

    麻衣「ア〜イ、アイッ♪」

    鬼麿「亜〜衣、亜衣っ♪」

    麻衣「亜〜衣、亜衣っ♪」

鬼麿&麻衣「みな〜みのしまぁ〜のぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

    亜衣「・・・・・・・・・・・・。」

    鬼麿「アイッ!アイッ!」

    麻衣「アイッ!アイッ!」

    鬼麿「亜衣っ!亜衣!」

    麻衣「亜衣っ!亜衣っ!」

鬼麿&麻衣「しぃっ〜ぽのなぁ〜がぁいっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

    亜衣「・・・・・・、あんた達・・・、いい加減にしないと・・・・・・。」

亜衣は<ブルッ、ブルッ>と小刻みに震えだした。

    鬼麿「ア〜イ、アイッ♪」

    麻衣「ア〜イ、アイッ♪」

    鬼麿「亜〜衣、亜衣♪」

    麻衣「亜〜衣、亜衣♪」

鬼麿&麻衣「おさぁ〜るさぁ〜んだよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪♪」

        <グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッーーーーーーーーーーーー>(←亜衣の震える音)

亜衣は怒りが頂点に達して・・・、とうとうキレてしまった・・・。

  亜衣「・・・・・・ウッ・・・ウッッ・・・・・・ウキィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

鬼麿&麻衣「!!。 亜衣(お姉ちゃん)が・・・・・・、『猿』になった!!」

  亜衣「ウキィィィーーーーーーーー!!!」

        <バリッ! ベリッ! ボリッ! ガリッ!>(←亜衣が二人の顔を引っ掻く音)

鬼麿&麻衣「きゃぁぁぁーーーーーーーーー!! ごめんなさぁ〜〜〜〜〜〜い!!!」

逃げ惑う鬼麿と亜衣、しかし狂猿と化した亜衣は執拗に二人を追いかけた。

  亜衣「ウキィ! ウキィ! ウキィィィーーーー!」

鬼麿&麻衣「もぉ〜〜〜しませぇ〜〜〜〜〜〜ん!!! だぁ〜かぁ〜らぁ〜ゆ〜る〜し〜てぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!」

  亜衣「ウキィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」

その様子を木陰からそっと見ていた木偶の坊・・・、

  木偶の坊「・・・、あっ・・・、あれが・・・、亜衣様の・・・、新しい・・・、必殺技・・・、かな?・・・、もしっ・・・・・・・・・。」



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